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社会保険労務士・行政書士田村事務所        事務所便り  『のぞみ』               平成19年7月号

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“ストレス時代”のリスクマネジメント 

 

◆労災認定された過労自殺者が過去最多

平成18年度の脳・心臓疾患の「過労死」事案の労災認定請求件数は938件(前年度比69件増)、支給件数は355件(前年度比25件増)となりました。また、過労や仕事のストレスが原因で自殺(未遂も含む)したとして、2006年度に労災認定された人は前年度より24人多い66人で、過去最多となりました。過労自殺を含む精神障害の認定者数も大幅に増加し、年代別では働き盛りの30代が40%を占めています。

 

◆精神疾患の労災認定基準も過渡的段階に

平成11年9月以降、精神疾患・自殺の労災認定請求件数は増加の一途をたどっています。認定基準自体が変更されていない中での認定数の急上昇は、現場における精神疾患の増加・深刻化を示しています。

今年5月7日には福岡高裁で、当時48歳の化学工業子会社に出向した男性が単身赴任で転勤後、未経験業務でうつ病を発症し自殺した事件について、裁判長は一審福岡地裁判決を支持し、「業務外」と主張する労基署側の控訴を棄却しました。高裁段階で過労自殺が労災認定されたのは、トヨタ事件(平成15年名古屋高裁)に次いで2件目です。

いずれも労災の判断基準が争点となり、労基署側は自殺の原因は本人の「ぜいじゃく性にあった」と主張するものの、裁判長は平均的労働者と比べて「性格等に過剰な要因があったと認めることはできない」と指摘しました。このような判例が増えると、精神疾患に対する労災認定基準が変わることが予想され、精神疾患についても、管理者責任が問われるケースが増えてくると思われます。

 

◆労災補償制度と民事訴訟との関係

労災補償制度による補償には、精神的損害(慰謝料)や逸失利益などは含まれません。そのため、遺族が会社に過失があったと考える場合、行政訴訟(労災認定)とは別に、民事訴訟を提起するケースが急増しています。

会社の過失とは「安全配慮義務違反」、つまり、社員に職場を起因とする発病や死亡の危険があるにもかかわらず、その危険性を回避するための措置を会社側が怠ったとする論拠です。

メンタルヘルスが緊急課題とされて久しく、厚生労働省は、事業者に「健康管理に係る体制を整備するとともに、健康診断結果、産業医による職場巡視、時間外労働時間の状況等様々な情報から労働者の心身の健康状況及び職場の状況を把握するよう努め、労働者の健康状況に配慮して、職場環境の改善、積極的な健康づくり、労働時間管理を含む適切な作業管理等様々な措置を実施すること」を求めていますが、長時間労働の抑制のみならず、時短の中での成果の追求や各種ハラスメントなど、達成課題や構成員が複雑化した職場において、諸々の精神的負荷に転じそうな問題に対して、管理職にとどまらず全職員に教育と実践を徹底しなければならない時代となってきているようです。

 

核家族・単身者の増加で,平均世帯人数が過去最少

 

一世帯当たりの平均所得額は5638,000

厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」によると、一世帯当たりの平均所得額(平成17年1月から12月の所得)は5638,000円と前年を2.9%下回りました。

生活が「大変苦しい」「やや苦しい」と意識している人は56.3%で、前年から0.1ポイント増加しています。

 

核家族・単身者の増加で世帯数増える

世帯総数は前年より約49万多い4,753万で、20年前と比べ1.3倍に増加しています。このうち4分の1以上の1,204万世帯が単身で、20年間で1.8倍になっています。母子世帯は前年より約10万増えて初めて70万を超え、平成13年からの5年間でみると11.3倍に増えています。

反対に、3世代同居は全体の10分の1以下となり、過去最少の432万世帯となっています。65歳以上の高齢者だけか、高齢者と18歳未満しかいない家庭は、前年から11万増えて846万世帯となり、高齢者社会が浮き彫りとなりました。

また、平均世帯人数は過去最少の2.65人となっており、核家族化・単身者の増大が影響した結果となっています。

 

世帯所得減少は一世帯当たりの就労人数減少が影響

仕事を持つ人の1人当たり平均所得は3206,000円と景気回復の兆しが反映され増えているため、世帯所得の減少は、一世帯当たりの仕事を持っている人が減ったのが要因ではないかとみられています。

その要因としては、60歳到達による定年退職で収入が減る世帯や、フリーター等で正社員にならない親族の扶養が考えられます。

 

所得の不平等格差は改善

所得分配の不平等の度合を示す「ジニ係数」(0に近いほど所得分布の不平等が均等であることを意味する)は、今回の調査では前年より低い0.3948となり、2年ぶりに低下しました。今回の結果は不平等差が少なくなったということを数字上の結果は示していますが、実際はまだまだ所得格差は埋まっていないように感じられているようです。

 

景気が回復しても 賃金は上がらない?

 

◆「いざなぎ景気」を超える景気回復?

このところニュース等で「“いざなぎ景気”を上回る勢いで景気が回復している」などと報道されていますが、一般労働者の賃金は上昇せず、景気回復の実感がない人が多いようです。景気回復と労働者の実感の違いは、企業の経営者と労働者の考え方が根本的に異なるからだといわれています。

 

◆景気回復の理由は?

総務省が発表した今年4月の完全失業率は前月より0.2%低い3.8%と、9年1カ月ぶりに3%台に低下しました。

このデータからすると、「失業率の低下=景気回復」となり、平均賃金が上昇し購買力が上がると考えられますが、この考え方は今回のケースには当てはまらないようです。景気が回復したから賃金が上昇したのではなく、賃金の上昇を抑えているから企業の純利益が増加し、景気回復につながったといわれています。

その根拠として、相対的に賃金が低いパート社員や契約社員が増加し、賃金水準の高かった団塊世代が定年退職を迎えたことが挙げられています。また、今年1〜3月期の雇用者1人当たりの平均賃金は前年に比べ減少しています。

 

◆今後の見通しは?

人件費の削減をはじめとするコスト削減による企業の利益はあくまでも一時的な利益にすぎず、企業が持続的に成長していくためには、商品・サービスの販売等によって利益を上げていかなければなりません。

そのためには優れた人材を確保していくことが重要です。だとすると、企業は自ずと賃金の引上げを行い、福利厚生などの充実を図るようになるのではないでしょうか。

 

離婚件数の増加と母子家庭への就業支援

 

児童扶養手当の受給者数が過去最多に

厚生労働省がまとめた「母子家庭白書」によれば、母子家庭の生活を支援するための児童扶養手当の受給者数が今年2月末時点の概数で987,000人となり、2006年度は過去最高になる見通しであることが明らかになりました。

年間の離婚件数が1999年から2006年にかけて約25万件以上と高水準となり、母子家庭が増えたためとみられます。

 

児童扶養手当は削減へ

現在、児童扶養手当は母子家庭の母親や養育者に対して月額4万円強支給されていますが、政府は、母親の就労と自立を促すため、2008年4月から、5年を超える受給者の手当を最高で半分減額する方針を決定しています。

政府は、減額に備えて母子家庭の就労支援を強化しています。今回の白書では、2006年度の母子家庭の母親へのハローワークの照会件数が295,000件となり、前年度の1.1倍、2003年度の1.5倍に増加したとされています。また、就職も73,000件と前年度の1.1倍、2003年度の1.4倍になったと強調しています。

 

母子家庭に対する就業支援策

政府による主な就業支援策(いずれも平成15年度に創設)は、以下の通りです。

1.母子家庭等就業・自立支援センター事業[実施主体:都道府県、政令指定都市、  中核市]

母子家庭の母親等に対して、就業相談や就業支援講習会の実施、就業情報の提供など一貫した就業支援サービスや養育費の相談など生活支援サービスを提供

2.自立支援教育訓練給付金事業[実施主体:都道府県、市、福祉事務所設置町村]     

地方公共団体が指定する教育訓練講座を受講した母子家庭の母に対して、講座終了後に受講料の一部を支給→受講料の4割相当額(上限20万円、下限8,000円)

3.常用雇用転換奨励金事業[実施主体:都道府県、市、福祉事務所設置町村]

パートタイムで雇用している母子家庭の母を、OJT実施後、常用雇用労働者に雇用転換した事業主に対して奨励金を支給→1人当たり30万円



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