あとがき

プリファブ・スプラウト

From Osaka To Langley Park

日本にも結構ファンがいるにもかかわらず、プリファブ・スプラウト関係のサイトがほとんどないのを不思議に思われた方は多いのではないでしょうか?私もその一人で、海外のファンによる多くのページを見ては何で日本語のはないのだろうと思ってきました。ライナーノーツや日本の雑誌のインタビューなんかも、中川五郎さんのものを除いてはどうも的外れな印象を持っていたので、一念発起して苦手な英語と格闘して自分で作って見ることにしたのです。
当ページは海外のサイトにあったパディのインタビュー、トーマス・ドルビー自身が作っているページのFAQ、雑誌「SELECT」の記事からの引用を中心にして、「ヨルダン・ザ・カムバック」から「アンドロメダ・ハイツ」までの7年間のパディの動向に焦点を当てて構成してみました。今後気になった記事がありましたら、随時追加していく予定です。


*****MOJO4MUSIC
MOJO誌で2つ下の『西部の男』の記事が書かれた時の元になっていたと思われるインタビューでMOJO誌のWEBサイトで公開されてました。記事にあった網膜剥離と未発表の『Trawl The Megahertz』の部分はこのインタビューでは省略されてますが、ニューキャッスル風アメリカについての言及、シェールの「Gunman」話は記事にはありませんでした。こういう記事になってないものがWEBでフォローされるっていうのはいいですよね。ウェンディの脱退はガセネタだったらいいなと思ってましたが、パディがここではっきり言ってるので間違いないでしょう。残念です。まあワンマンバンドだから、パディがあのヴォイスが欲しいと思えばまた参加する可能性はあるんでしょうけど。
****Rock's Backpages (June 2001)
『The Gunman and Other Stories』発売後にWEB上で見つけたインタビュー記事からの引用です。「Street of Laredo」が実は性病にかかって病院に収容されている兵士達について歌ったイギリスのフォークバラードが元になってるとか面白いことを言ってますが、そんなことあまり聞きたくなかったかも・・(笑)。バート・バカラックの派手な黄色い上着といいパディの底意地の悪さは健在です。レイ・チャールズの歌う「Life's a Miracle」を想像してみるのは楽しいですね。
***西部の男
MOJO誌2001年8月号の記事からの引用です。短くてもMOJO誌らしいシャープな内容。網膜剥離の話、『Trawl The Megahertz』お蔵入りの話など暗い話題が多いけど、最後のパディのセリフを聞くとこの人全然変わってない、と思いうれしくなりました。記事の中に出てくる映画「ステップフォードの妻達」は日本では未公開でビデオでも出てないようです。ネットで調べてみたけど面白そうな映画ですね。
**METRO (OCT. 13, 1999)
プリファブ・スプラウトの公式サイトに掲載されていたメトロ誌によるインタビューの引用です。翻訳はNさんがやって下さいました(それもわずか一日で!)。「38カラット・コレクション」のプロモーション来日の時にHMV渋谷で行われたインストアイベントの質問と一部重複してますが、パディが現在何に興味を持っているのかがよくわかる貴重な発言も多々あって、短いながらも面白い内容のインタビューになってます。ここでは最近の音楽にはついてけないと言ってますが、去年雑誌に「ビリー(イギリスの宇多田ヒカルのような若い女性歌手)の『ガールフレンド』が一番」だとか寄稿してるので、ヒットチャートは結構まめにチェックしてるはずです。ところどころはちょっと裏を読んだ方がいいでしょう。(笑)
*「 フレットの中の星 」
プリファブのEメール・ニュースレター(<登録メールの宛先)に添付されていたMOJO誌のインタビューからの引用です。翻訳は久次さんにお願いしました。お顔も見たことのない方にコラボレイトして頂いてこのようなアウトプットが出るネットの面白さを今更ながら感じています。インタビュー自体もパディの創作活動のルーツに触れた興味深い内容で、なおかつ久次さんの翻訳も力が入ってるので読みごたえのあるものになってます。「Swoon」のようなスタイルを発展させていたらどうなっていたのか?今一度「Swoon」を聴き直しながらそんな思いを巡らしてみるのもいいかもしれません。
「新作"アンドロメダハイツ"最初のインタビュー」
最も多くのプリファブ・スプラウトの情報を提供しているであろうBedford McIntosh氏のHPから引用させてもらいました。曲を作るのは大好きだけどアレンジが億劫というパディの態度がよくわかって笑えます。多少インタビュアーをからかい気味にあしらってる節がありますが、めげずに頑張るこのまじめなインタビュワーには好感を持ちました。「ニューキャッスルから眺めたワイルドウエスト」という観点で作られたこの意欲的なアルバムの制作過程がよくわかり、"Whoever you are"がジョン・フォードの映画「捜索者」を思わせるのも納得できます。あとプロモーション用のスチール写真で太い葉巻を持っているのはエルンスト・ルビッチを意識しているのではないかと密かに思っているのですが...。ここに述べられているジミー・ネイルやシェールに書いた曲を含めて「ニューキャッスルから眺めたワイルドウエスト」という視点についてもう少し深くつっこんだライナーノートを作ってみようかなと考えています。
「パディ、自作を語る」
これもBedford McIntosh氏のHPからの引用です。わからないところも強引に訳しましたので、むちゃくちゃ誤訳があると思います。個人的に一番好きなアルバムである"プロテスト・ソング"の曲へのコメントが少ないのが残念ですが、パディが表現しようとしていることを理解するための格好の資料ではないでしょうか?
「プリファブ・スプラウトは何をしているの?」
プロデューサーであるトーマス・ドルビー自身が作っているHPのFAQからの引用です。1994年〜1995年ぐらいに彼自身が書いたもので、プリファブ・スプラウトについてのエッセイになっています。それぞれのメンバーの印象などプロデューサーという立場ならではの発言には、彼らとの深い信頼関係、彼の暖かい人柄が出ているように思います。特に"ヨルダン:ザ・カムバック"が作られた背景への言及は興味深く読めました。
「穏やかなるもの-the Mild One-」
イギリスの音楽雑誌「SELECT」1992年8月号の記事から引用です。85曲という膨大な曲のストックについて述べられており、この中のマイケル・ジャクソンについてのアルバムを心待ちにしてた方も多いはずです。30代半ばというクリエーターとしてもっとも充実している時期に7年間も作品を出せなかったのは残念なことですが、自身のスタジオを手に入れた今、これらの作品の発表はそう遠くないであろうと思いたいところです。
「 The Early Years of PREFAB SPROUT 」
Elfasih's Prefab pageに掲載されているGavin Carr氏による手記の引用です。昼間はスタンドで働き、夜は自宅のガレージで練習というデビュー前のプリファブ・スプラウトが懐かしさを交えたタッチで綴られています。ときどきはパブなんかで演奏してユニークなスタイルをどんどん発展させていたのでしょう。ダーラムの地図を見てみるとこのウィットン・ギルバードにラングレー・パーク、ベア・パーク(アルバム未収録曲のタイトル)といった地名が近接していることもわかります。手記の作者であるGavin氏はトラッドミュージックのバンドを組んでいて、HPもご自身で制作されているので、興味のある方は覗いてみて下さい。

プリファブ・スプラウトの魅力を語るのは難しいです。ただ非常にユニークなグループだということは言えると思います。洗練されたメロディと凝った歌詞を指摘してそのユニークさを語ってしまうのもひとつの手ではあるのですが、そのユニークさはどこから出てくるものなのかをこのページを頼りに捜していただければ幸いです。"ヨルダン:ザ・カムバック"のタイトル曲について「天上にいるエルビス・プレスリーが、ラスベガスのホテルの最上階にいるハワード・ヒューズのように、下の世界を見下ろしてるというイメージで書いた」というパディの発言はアメリカという国の持つ神話性にとりつかれた彼の視点をうまくいいあらわしています。イギリスから見た神話の国「アメリカ」という視点は、同じ島国である日本のリスナーには理解しやすいものではないかと私は思っています。
読みにくい文章に最後までつきあって下さってどうもありがとうございました。 今回が初めての翻訳なので、誤訳はかなり多いと思います。見つけられて気になられた方はご指摘下されば今後の参考になるので大変助かります。
また、お暇な方はアンケートにもご協力をお願いします。
1998年1月18日(*1999年1月10日 **1999年12月31日 ***2001年7月29日 ****2001年8月22日 *****2001年9月1日 追記)
sneeze
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