アンドロメダ・ハイツ最初のインタビュー

パディ・マクアルーン

Paddy MacAloon, 1997



はじめに
1990年に発表された前作「ヨルダン:ザ・カムバック」以来のプリファブ・スプラウトの最新作「アンドロメダハイツ」はこの5月に発売されることになりました。そこに収められている12曲は個々の楽曲の魅力もさることながら、アルバム全体を通してモダンさとノスタルジックさという相反する雰囲気を見事に調和させた素晴しい仕上がりとなっています。
ここでいうモダンさとは、いわゆる今風のスタイルのサウンドではなくて、ノスタルジックといってもそれが未来の方へ向けられているというちょっと変わったものなのです。タイトル曲「アンドロメダ・ハイツ」はまだ建てられていない家の完成の日を思い浮かべる賛美歌のような曲で、「アベニュー・オブ・スター」は育みつつある愛についての歌、そして「エレクトリックギター」はビートルズとその時代についての歌で、ポップスの普遍的な魅力、そしてかつてビートルズのメンバー達が願ったであろうという思いを伝えようとしています。それらもまたジョン・レノンの作詞の手法と同様に「文脈外から読み取れるもの」(quoted out of context)として表現されています。
ハープ、ハーモニカ、ギター、チェレスタ、サックスその他いろいろな生楽器は、最新のミュージックソフトとデジタル器材を駆使した架空のオーケストラとうまく溶けあっていて、こういったテクノロジーはメロディよりもリズムを重視するダンスミュージックの分野で主に使われているのですが、このアルバムではゴージャスなメロディのコラージュを創りだすことに貢献しています。「アン・マリー」「スティール・ユア・サンダー」といった楽曲、そしてとりわけ「スワンズ」では生楽器本来の魅力と架空のオーケストラが複雑に絡み合いながら、プレファブ・スプラウトの叙情的な持ち味を壊すことなく、うっとりするような素晴しいサウンドを提供しています。
ジャズで著名なトミー・スミスとマーティン・テイラーがプリファブ・スプラウトが所有するスタジオで架空のオーケストラと共演しています。そのスタジオの名前は?そうそれが「アンドロメダ・ハイツ」なのです。
確かに本作は素晴しいレコードではありますが、あまりにも時間がかかりすぎています。 「どうして”ヨルダン:ザ・カムバック”から7年もかかったんですか?」プリファブ・スプラウトの中心人物であるパディ・マクアルーンへのインタビューはこの質問から始まりました。
text by Ray Gibbon.

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