其の3「ベベラー」
〜で「テーパー設定装置」は完成した、、、そんな、ワケは、無い。
その前に僕の、「テーパー設定装置」製作の為の情報環境を書いておきます。
「ベベラー」を造ろうと、考え始めたのが5年位前。動機は「プレーニングフ
ォーム」を使うのは大変だし、、、その頃、お客さんの中にO氏と言う人がいた
。その人の中学生時代からの友人でフライショップからロッドビルダーになった
N氏と言う人がいた。その人(僕がショップを始める前に行ってた「Fサロン心
斎橋」3階の「伝説のフライショップ」のS.O氏から聞いて知っていた。)は
、「コンピュータ制御の回転刃で竹を削るベベラーを造って、使用している、と
O氏から聞いた。さらに「回転刃はギザギザがイッパイ付いていて、それでアル
ミニュームのベッドをテーパーに削り、その上に竹を乗せて削る」と言う事だっ
た(「フライフィッシャー」誌の2000 NO.77 6月号のP86に写真
が載っている)。理論は理解できたが、実際、造るとなると大変だろうなと思っ
た。何せ、「1台が300万円したそうで、それを2台、所有されている」とか
、、スゲー!
「理論」の核心はギザギザの回転刃を「前進」に同調させて「上下」させる技
術。コンピュータを使わない(安い)方法を考えた。切削に「電機カンナ」等使
い、それを「上下」させるのに「パンタグラフ」の構造を利用する、、、しかし
「前進」と同調させる事ができないので、「電機カンナ」を乗せた「トロッコ」
(分かるかナ〜)の下にレールを並べて、「トロッコ」用、以外に「第3のレー
ル」を付けてそのレールをテーパーにして、連動させた「電機カンナ」で竹を削
る構造を考えた。お客さんの1人の機械屋さんのT.M氏が、その方法は「なら
い旋盤」みたいだ、、と教えてくれた。「ならい旋盤」は見た事もなかったが、
たぶん、鍵屋さんのキーを複製するのに使う様な機械だろうナと思った。その人
の紹介で堺市の織物器械の製作や修理をしている鉄工所を訪ねた。「まず、台か
ら造らなければいけない、、鉄は自重で曲がるので「鋳物」で造らないといけな
い」そうだ。と、その時、初めて知った。又、第3のレールにテーパーを切るに
は、X軸、Y軸を制御するサーボや長いネジ機構等が必要だ、と言う事等、段々
と分かってきた。価格は、、、100万円。「結果は保証する。」との事だった
。300万円と比べると安いが、やはり、高かった。
そんな時、アメリカから「通りすがりのフィッシングガイド&ロッドビルダー
」のI氏が来店した。大手釣り具メーカーの親戚をたよって「日本を勉強しにき
た。」と言う。アメリカから来たと言っても、おじいさんが、渡米してミシガン
湖周辺の「カール村」(おやつにカールのあのカールと同じスペルと言っていた
)に住み着き、ロッドを造り始めた事。裁縫箱に白と黒の糸しか無かったのでロ
ッドラッピングの糸の色が代々、白だと言う事。鮭釣り用サイズのフライで釣る
大きなブラウンが村の川にいる事、、、そしてその村では、1軒に1台の「ベベ
ラー」が有る事。そしてその方法が多種、有る事等を教えてくれた。
I氏の家のベベラーは「木のコマを2つ、尖った方どうしを内側に向けて、合
わせて、その合わせ目の間に6個の刃が付いていてそれをモーターで回して削る
と言う物だった。「刃がなぜ6枚なのか?」との僕の質問に「六角竿だから、、
」と訳の分からない答えが返ってきた。他の家ではウオームギアの間に竹を入れ
るとテーパーが付いて三角形の断面に削れてくるベベラーが有るそうだ。
そのI氏がデトロイトの廃車置き場に捨てられた、彼でさえ作動が理解不能の
「ベベラー」を見たと言う。「大量にバンブーロッドを造って一儲けしようとし
たのでは、」との事。アメリカでは「日本が精密なバベラーを造って大量生産す
るのでは、、と脅威を持っている。」とも彼は言った。彼の親戚が勤める大メー
カーは「これは秘密なのだが、回転砥石でバンブーロッドを造っている、、」と
言っていた。
BACK
1
2
3
4
5
6
7
8
9
>NEXT
|