石川虚舟
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《鑿戸牖以為室》
石川虚舟 2012
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石川虚舟《鑿戸牖以為室》2012
凝灰岩(笠松石)、木部(欅、230×212×88mm)
 
2009年、バンコクの王宮近くの露店で「布袋」に似た、超小型の人物像(鉛製)を二体購入。写真は、そのうちの一体。別の一体は、背に笠を掛けている。
店番の農婦らしき中年女性が、それらはアユタヤの土中に埋もれていたと説明。
その露店には発売当初、小さな鋳造品を虫眼鏡で調べる客が群がる。
周辺の店舗では、それらに金メッキを施し、数十倍の高値で売られていた。
 
   ⇒ 石川虚舟《 天地の境界 》2018
   ⇒ ハイデガーと『老子』
   ⇒ ハイデガーの秘密
 
 
 
 
鑿戸牖以為室、当其無有室之用、
故有之以為利、無之以為用、
戸牖を鑿ちて以て室を為(つく)る。
其の無に当たって、室の用有り。
故に有の以て利を為すは、無の以て用を為せばなり。
  cf. 金谷治『老子/無知無欲のすすめ』(講談社学術文庫)、p.43
 
⇒ 『老子』 第十一章(無用)
 
建築家、フランク・ロイド・ライトが心酔した『老子道徳経 上篇』 第十一章(無用)では、その”詩的なる(dichtend)”文体で「無の有用性」が説かれる。
因に古代中国の、岩山に鑿たれた穴居の場合、その「無の有用性」の基盤(Grund)は「岩」である。
ライトは、個々の建築設計にあたって、各地方の自然石材にこだわる。
そしてマルティン・ハイデガーは、次の様に思索する。
 
真の詩的なる構想とは、現存在が歴史的なものとして すでに投入されている「あの地」からの開示である。 そこは大地であり、歴史的民族にとって彼らの大地、 それ自体を閉鎖する基盤(Grund)である。 その基盤に、ずっと隠蔽されたままの すべてのものと共に、その民族は宿るのである。
 マルティン・ハイデガー 『芸術作品の根源』 1935/36
 
.....  Der wahrhaft dichtende Entwurf ist die Eröffnung von Jenem, worein das Dasein als geschichtliches schon geworfen ist. Dies ist die Erde und für ein geschichtliches Volk seine Erde, der sich verschließende Grund, dem es aufruht mit all dem, was es, sich selbst noch verborgen, schon ist.   .....
 Martin Heidegger 'Der Ursprung des Kunstwerkes', "Holzwege", S.63. 1950