ビーズ織り工房 伽羅

ビーズ織り日記2013.06.01


制作図面

5月7日から2週間、初めての個展を開催し多くの方々に足を運んでいただきました。心から感謝しております。

以前から時々制作図面(レシピと言う言い方をされますが、私自身その呼称は是としないので・・・)を売ってくださいと言う問いかけがあり、今回の個展でも同様のリクエストがありました。面と向かって「No」というのは気が引けたので、都度適当な言葉で有耶無耶にしていましたが、その態度に問題があると感じています。
はっきり申し上げます。制作図面は、お売りできません。

世の中には「手芸家」と言うジャンルの方がいらっしゃいます。御自身で創作した作品と図面を、何千何万部もの印刷物として出版されたり、教室を運営されている方達です。それはそれで、頑張っておられる事認識しております。

私は「ビース」と云うものを素材として作品制作しています。洋画家が油絵の具を、日本画家が岩絵の具を使って作品を制作する様に、私はビーズを使って作品を制作しています。
制作図面を売って欲しいと言う事は、絵画制作者に対してエスキースを売ってくれと依頼する事と同じだと思うのです。
「たかがビーズ織り、手芸じゃないか。偉そうな事を言うな!」と、言われればそれまでかも知れません。
そう感じておられる方は、それで結構です。

私は15歳で大阪工芸高校図案科に入学しました。卒業後美術系大学デザインコースで4年間過ごし、合計7年間のデザイン学習の末に社会に出ました。
その後、デザインの現場に数十年身を置き、その過程において何が一番重要であるかを身を持って認識しております。

エスキースは制作者にとって、とても大事な物です。制作する作品の命だと思うのです。
オリジナル作品の制作に於いて一番重要なのは、オリジナリティである制作者の個性・感性です。
どうか、御自身のオリジナル作品を制作されます様に心からエールを送らせていただきます。

作品制作図面を他人に依頼するのでは無く、御自身の手で、自分の世界を表現していただきたいと希求しております。素晴らしい作品が生み出され、拝見させていただける事、心待ちにしております。
                          桂田礼子