天の川銀河について
天の川または銀漢(ぎんかん)とも呼ばれます。
英語のgalaxyは、
ギリシア語の「γαλαξίας」を語源とし、
銀河系を指す「Milky Way」の語源でもある、ミルクの意です。
大文字で始まるGalaxyは、銀河系を指します。
銀河系は、局部銀河群の一部です。
更に、この銀河群は、おとめ座超銀河団に含まれます。
この超銀河団も、うお座・くじら座超銀河団コンプレックスに含まれます。
これは、推定、長さ約10億光年、幅約1.5億光年もあります・・・
とても大きいですね。
銀河系におけるオリオン腕の内側縁近く、
銀河中心から約2.6万から3.5万光年の距離にある、
局所恒星間雲と呼ばれる星間雲に属しています。
太陽系が属している腕と、隣のペルセウス腕との距離は、約6,500光年です。
太陽系は、銀河系におけるハビタブルゾーンにあると考えられています。
太陽が銀河系内を運動する方向を、太陽向点といいます。
太陽向点は、ベガの近くのこと座と、ヘルクレス座の境界付近で、
銀河中心から、約86度の方向です。
太陽の銀河系内の軌道は、ほぼ楕円軌道です。
太陽は、現在、この軌道上の近銀点(銀河中心に最も近づく点)の手前、約1/8の位置にいます。
太陽系が銀河系内の軌道を一周するには、約2.25億から2.5億年かかり、
太陽系が誕生してから現在までに、約20から25周していると考えられています。
太陽系の軌道速度は217km/sで、約1,400年で1光年、8日で1天文単位進みます。
アンドロメダ銀河、さんかく座銀河( M33 )とともに、
局部銀河群を構成します。
天の川または銀漢(ぎんかん)とも呼ばれます。
天の川は、
天の赤道に対して、はるか北のカシオペヤ座から、南のみなみじゅうじ座まで達しています。
このことから、地球の赤道面や軌道面である黄道面が、銀河面に対して大きく傾いていることが分かります。
また、天の川によって、天球がほぼ同じ広さの二つの半球に分けられることから、
太陽系は銀河面に近い位置にあることが分かります。
銀河系は、ハッブル分類でSBbcに分類される棒渦巻銀河です。
総質量は、約1兆2600億太陽質量であり、
そのうち、可視光等の電磁波を放出している質量の合計は、5.1%以下(643億太陽質量)です。
質量の大部分は、ダークマターと考えられており、ダークハローを形成しています。
ダークハローは、銀河中心に向かって密度が高くなっています。
約2000億〜4000億個の恒星が含まれていると考えられています。
星座を形成する明るい星は、地球の近くにある星で、
ほとんどは数光年から千数百光年の距離にあります。
銀河系の絶対等級は、直接測定することは不可能ですが、
慣習的に、約-20.5等とされます。
銀河系の中心は、
地球から見て、いて座の方向に約3万光年離れた所に位置しており、
いて座Aという、強い電波源があります。
いて座Aの中心部(いて座A*)には、
超大質量ブラックホールが存在するとされます。
中心付近には、比較的古い恒星からなる密度の高いバルジを持ちます。
バルジを取り巻くように、若い恒星や星間物質からなる、直径約8万-10万光年のディスクがあります。
ディスクの厚さは、中心部で約1.5万光年、周縁部で約1,000 光年で、凸レンズ状の形状です。
銀河中心では、外側に膨らんでいます。
ディスクの中には、明るい星や散開星団、散光星雲等が多く見られる渦状腕が存在します。
ディスクの更に外側には、
直径約25万から40万光年の、回転楕円体のハローが存在します。
ハローは、古い恒星や約130個の球状星団からなります。
ディスクには、ガスや塵が含まれますが、
ハローには、ほとんどありません。
ディスクでは、星形成が活発に行われていますが、
ハローでは、ほとんど見られません。
銀河系の棒構造は、
約2.7万光年の長さを持ち、
太陽系と銀河中心を結ぶ直線に対して、約44±10度の角度で銀河中心を貫いています。
棒構造は、主に年齢の古い、赤い星からなっています。
銀河系の各渦状腕は、
(他の渦巻銀河と同様に)対数ラセンを描いており、ピッチは、約12度です。
銀河系には、銀河中心から伸びた4本の渦状腕が存在すると考えられています。
3kpc腕・ペルセウス腕
じょうぎ腕・はくちょう腕
みなみじゅうじ腕・たて腕
りゅうこつ腕・いて腕
これ以外に、オリオン腕(太陽系が属する腕)等、二つの小さな腕や弧が存在します。
銀河系は、近傍の銀河の観測位置に対して、約600 km/s(130 - 1,000 km/s)の速度で、
宇宙空間を運動しているとされます。
運動方向は、うみへび座の方向と考えられています。
銀河系内の恒星の軌道速度は、
中心からの距離によらず、ほぼ同じ速度となるような質量分布を持っています。
中心のバルジや外縁部を除くと、
銀河系の恒星の速度は、約210から240 km/sです。
従って、典型的な恒星の軌道周期は、軌道の長さのみに比例します。
これは系の中心に質量のほとんどが集中している太陽系のケプラー運動のような、
異なる軌道を持つ天体が、その軌道に応じて異なる軌道速度を持つ場合と異なっています。 銀河の回転曲線問題
銀河系の近傍には、
多くの矮小銀河が周回しています。
矮小銀河の中で最も大きいものは、直径約2万光年の大マゼラン雲です。
最も小さい、りゅうこつ座矮小銀河、りゅう座矮小銀河、しし座II矮小銀河は、直径500光年しかありません。
他に
小マゼラン雲、
おおいぬ座矮小銀河(銀河系に最も近いです)、
いて座矮小楕円銀河、等があります。
更に未発見のものが、300-500個あるようです。
銀河系は、現在、おおいぬ座矮小銀河と、いて座矮小楕円銀河を、捕食しつつあります。
アンドロメダ銀河は、
銀河系から約230万光年離れた位置にあり、秒速約122 kmで、銀河系に近づいています。
銀河系は、アンドロメダ銀河と、約40億年後には衝突することが示唆されています。
尚、この2個の銀河が衝突しても、太陽やその他の恒星が互いに衝突する可能性は低いです。
この衝突において、活発な星形成が行われた後、
二つの銀河は一度通り過ぎると考えられていますが、
その際に太陽系がアンドロメダ銀河側に移されてしまう可能性も3%程度あります。
そして再び近づき、一つの楕円銀河になると考えられています。
尚、過去にも、銀河系は、小型の銀河と何度も衝突しています。
太陽系の所属する、銀河系が所属する銀河群です。
大小50個ほどの銀河が確認されています。
局部銀河群の内部で、
銀河系から最も近い銀河は、おおいぬ座矮小銀河です。
最も遠いのは、GR8で、距離は約800万光年です。
最も大きい銀河は、アンドロメダ銀河です。
その重力にひかれて、多くの銀河がアンドロメダ銀河周辺に存在します。
局部銀河群に最も近い距離にある銀河群に、
ちょうこくしつ座銀河群や、IC 342/マフェイ銀河群があり、
700万–1000万光年離れています。
その他、近隣には、
さんかく座銀河( M33 )
おおぐま座のM81銀河群、
M101銀河群、
りょうけん座のM51銀河群、
ケンタウルス座A/M83銀河群等があります。
5000万–7000万光年離れた所に、おとめ座銀河団があり、
これら全てが、おとめ座超銀河団に含まれます。
局部銀河群は、おとめ座銀河団に取り込まれつつあるという説が有力でした。
しかし、宇宙の膨張速度が加速的に増加していることが確認されたため、
この予想は、くつがえる可能性があります。
この説では、銀河団同士が引き合う引力は、
ダークマターの質量を含めても、宇宙の膨張による離間速度差を埋めるまで至らず、
宇宙の膨張に準じて、銀河団と銀河団の空間が大きくなり、
最終的には、重力と斥力のバランスが落ち着く程度の総量を含む銀河団が、
個々に安定的な系をなすことが予想されます。
その際、安定した個々の銀河団は、光速の壁に阻まれ、
一つの安定した銀河団単位に、孤立した宇宙(空間)として切り離されると予測されています。
おとめ座超銀河団(局部超銀河団) うお座・くじら座超銀河団
局部銀河群を含む、超銀河団です。
おとめ座超銀河団は、降着円盤と銀河ハローからなります。
降着円盤は、平らで、パンケーキ様の形をしており、光を放射する銀河の60%を占めます。
銀河ハローは、細長く、光を放射する銀河の40%を占めます。
直径は、2億光年です。
約100の銀河群と銀河団からなり、
中心には、おとめ座銀河団があります。
質量は、約1015太陽質量と推定されています。
恒星の数のわりには光度は小さいため、質量の大部分はダークマターと考えられています。
おとめ座超銀河団は、じょうぎ座銀河団の近くにある、
グレートアトラクターと呼ばれる重力アノマリーに引き込まれています。
おとめ座超銀河団は、銀河クラウドと呼ばれる銀河団の集まりからなります。
降着円盤は、
おとめ座銀河団、
りょうけん座クラウド、
おとめ座IIクラウドの、
3つの銀河クラウドからなります。
銀河ハローは、
細長いクラウドからなり、おとめ座銀河団を指しています。
おとめ座超銀河団を含む、超銀河団、銀河フィラメントの複合体です。
約60個の銀河団から構成され、
総質量は、太陽質量の1018倍と推定されます。
長さ約10億光年、幅約1.5億光年と推定されています。
5つのパーツに分けられます。
1.うお座・くじら座超銀河団
2.ペルセウス座・ペガスス座鎖(ペルセウス座・うお座超銀河団を含む)
3.ペルセウス座・うお座鎖
4.ちょうこくしつ座領域(ちょうこくしつ座超銀河団、ヘルクレス座超銀河団を含む)
5.おとめ座・うみへび座・ケンタウルス座超銀河団(おとめ座超銀河団、うみへび座・ケンタウルス座超銀河団を含む)
銀河系が含まれる、おとめ座超銀河団の質量は、全体の0.1%しかありません。
( HZ 、ゴルディロックスゾーン:GZ、生命居住可能領域 )
宇宙の中で、生命が誕生するのに適した環境と考えられている領域です。
ここでの環境とは、主に他天体から放射されるエネルギー量や、星間物質の量です。
ハビタブルゾーン内にある惑星を、ハビタブル惑星、
その中でも、特に、地球とサイズ等が近い惑星は、ゴルディロックス惑星といいます。
惑星系のハビタブルゾーン( CHZ )
ある星系において、中心星からの放射エネルギーが、生命発生の条件に適していると考えられる距離にある領域です。
その距離は、惑星の表面温度が、液体の水を維持できる程度とされます。
中心にある恒星の条件により、惑星系のHZは異なります。
太陽系では、0.97〜1.39AUの距離にある領域とされ、
この領域にあるハビタブル惑星は、地球しかありません。
尚、月や、地球のラグランジュ点も、この領域に含まれます。
金星は、HZの内側で、逆に強すぎるとされます。
HZ の導出
一般に、ある恒星のCHZ(永続的ハビタブルゾーン)の中心までの距離は、次の式により、決定されます。
d A U = √( L s t a r / L s u n )
d A U : HZの中心の半径 天文単位(AU)
L s t a r : 恒星のボロメトリック光度
L s u n : 太陽のボロメトリック光度
太陽の25%程度の光度を持つ恒星では、HZの中心は0.5AU付近となり、
太陽の2倍の光度では、1.4AUとなります。
これは、光度の変化が、逆2乗の法則によるためです。
HZの中心は、
系外惑星が、地球と同じような大気組成・大気圧であると仮定した場合に、
地球と同じような平均温度となる距離として定義されています。
惑星表面の温度は、
恒星の表面温度、恒星の半径、恒星と惑星の距離、アルベド、温室効果を用いて算出することができます。
しかし、実際には、単純ではありませんが。
更に、恒星は、進化によって、より明るく、より熱く、より大きくなります。
このため、時が経つにつれ、CHZは、恒星から遠くに移動します。
生命の可能性にとっては、惑星が、長期に渡り、HZを保つことができる軌道が理想です。
銀河系のハビタブルゾーン ( GHZ )
銀河の中での、惑星系HZが存在できる条件を考慮したものです。
銀河の中心から十分に近いため、地球型惑星が形成されるのに必要な重元素が高レベルに存在します。
一方、中心から十分遠くで、
高い恒星密度による、彗星や小惑星の衝突の危険、
超新星爆発による放射線、
更に、銀河中心のブラックホールの影響を避けられるとされる領域です。
天の川銀河のGHZは、
銀河中心核から、約25,000光年の、
誕生後40億年〜80億年の星々を含む、ゆっくりと広がる領域とされていますが、詳細不明です。