恒星について

 

星の起源・・・ファーストスター

 

恒星

 

原始星

主系列星

赤色巨星 : 赤色超巨星

ウォルフ・ライエ星

白色矮星

ケフェイド変光星

ミラ型変光星

超新星

中性子星

ブラックホール

 

クォーク星 : 3C58

 

はくちょう座V1489

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恒星

自ら光を出し、

重力による収縮に反する圧力を内部に持ち、支えることができる、

ガス体の天体です。

 

地球から一番近い恒星は、太陽です。

 

恒星という言葉は、

fixed starの和訳であり、

天球に、恒常的に固定された星々、という意味で命名されました。

 

これに対し、天球上を移動していく星のことを、「惑星」と命名されたとされます。

 

恒星の名称は、ギリシャ神話に由来することが多いです。

 

それほど明るくない恒星は、バイエル記号で呼ばれます。

星座ごとに、明るい順にα星、β星と、ギリシャ語の記号をつけます。

 

恒星が誕生する際には、質量の小さい恒星ほど、形成される可能性が高いです。

しかし、低質量の星は、暗いため、地球に近いものしか観測できません。

 

明るい星の多くは、

稀ですが、非常に明るい天体です。

 

ガス体の天体は、

理想気体の状態方程式が示す通り、

重力に対抗するために、内部が高温・高圧である必要があります。

 

一方、宇宙空間の温度は3Kに過ぎず、必ずエネルギーが全方位に流出します。

そのため、エネルギー源が必要です。

 

エネルギー源は、

誕生直後の恒星では、自己の重力収縮ですが、

やがて、水素の原子核融合をエネルギー源とするようになり、一生のほとんどをこの状態で過ごします。

 

重い恒星では、一生の終わり近くになると、

核融合する元素を、水素からヘリウムへ変え、

順次、原子番号の大きな元素を使うようになり、

その過程で、収縮と膨張を繰り返します。

 

太陽系内の惑星は、

地球との距離が近く、互いの公転による見かけ上の位置変化が大きいです。

そのため、季節毎で、天球上の場所が大きく変わります。

 

しかし、他の恒星は、

見かけ上の位置変化(固有運動)が、ほとんど変化しないように見えます。

これは、太陽以外の恒星は、地球から数光年以上の離れた場所にあるためです。

 

しかし、恒星は、天球上で完全に静止しているわけではありません。

太陽に近い恒星は、より速く動きます(高速度星)。

バーナード星は、100年間で、満月の半径にほぼ相当する、17.2分角も移動します。

 

明るさ

太陽を除き、最も明るく見える恒星は、シリウス(おおいぬ座α星)です。

 

しかし、視認できる明るさは、恒星本来の明るさとは異なり、

単位面積の光量は、距離の2乗に逆比例して少なくなります。

 

見かけの明るさは、

視等級や写真等級で表されます。

 

視等級mは、

こと座α星が0(ゼロ)等級になる様に、定数Cを定め、

地球上の単位面積あたりに届く光の強度Iから、

m = -2.5 log I + C

で表されます。

 

性質

恒星は、水素やヘリウムを主な成分とした、ガスの塊です。

 

恒星の中心部では、原子核融合により、エネルギーが生み出されており、

中心から表層へかけて、密度・温度が次第に減少する構造になっています。

 

これによって、恒星の内部には圧力差が発生し、

多くの場合は、自己の重力による圧縮との釣り合いが保たれています。

 

また、熱エネルギーは、高温部から低温部へ移動するため、

中心部で発生したは、放射・対流によって、表層へ向けて運ばれ、

最終的には、光エネルギーとして、宇宙空間に放出されています。

 

質量が太陽の8%程度より小さい天体は、

中心部が軽水素の核融合反応が起きるほど高温にならないので、

恒星ではなく、褐色矮星に分類されます。

この値は、恒星質量の下限値です。

 

また、質量が太陽の100倍を超えるような恒星も、

強烈な恒星風によって、自らを吹き飛ばしてしまうため、

形成されうる恒星の質量には、上限があるとされますが・・・

 

主系列星では、質量が大きいほど、半径が大きく、高温になるという関係が見られます。

 

褐色矮星と、恒星の境界付近の質量を持った恒星では、

半径は、太陽の10分の1程度になります。

 

太陽7倍の質量を持つ、スペクトル型B5の主系列星では、

半径は太陽の4倍、温度は15500K前後になります。

 

ただし、恒星が主系列星から脱して巨星化すると、

温度の低下と、半径の膨張が起き、この法則から逸脱します。

 

恒星は、質量の10分の1程度の、水素原子がヘリウム原子に変わるまで、主系列星でいます。

 

主系列星段階を終えた恒星は、

非常に巨大化し、太陽の1000を超える半径を持つものもあると考えられています。

 

太陽自体も、数十億年後に、巨星の段階を迎えると、現在の百倍以上に膨張すると予想されています。

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原始星

誕生初期の恒星です。

 

暗黒星雲の一部が、自己の重力で収縮しはじめ、

可視光でも観測できる、おうし座T型星になる前までの状態です。

 

恒星は、星雲から原始星として誕生します。

 

HR上では、最も右下から、左上に向かって、移動していくことになります。

 

大質量星が作られると、

周囲の分子雲が、星からの紫外光で電離されて、

散光星雲(輝線星雲)を作ったり、反射星雲として観測されたりするようになります。

オリオン大星雲等が知られています。

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主系列星矮星

HR上で、

左上(明るく高温)から、右下(暗く低温)に延びる線である、主系列に位置する恒星です。

 

太陽も、主系列星に属します。

 

質量の大きく明るい星は、主系列上で左上

質量の小さく暗い星は、主系列上で右下に位置します。

 

主系列星は、恒星の一生において、

壮年期にあたる星とされる事がありますが、正確ではありません。

 

巨大な質量を持ち、誕生後数百万年で超新星となるようなものを除くと、

大多数の恒星は、生涯のほとんどの時間を、主系列に位置する事になり、

人間の場合とは異なった経過をたどります。

 

主系列星では、核融合反応が激しくなると、星全体が膨張して温度を下げて、核融合反応を弱め、

核融合反応が弱くなると、星全体が収縮して、温度を上げて核融合反応を強めます。

このようにして、自動的に核融合反応が調節されており、一定の温度、構造で安定しています。

この状態は、中心の水素が枯渇して、ヘリウムの核ができるまで続きます。

 

主系列上に位置する時間の長さは、恒星の質量によります。

質量が大きい星ほど、核融合反応が激しく進行するので、

水素の枯渇が早く、主系列上に位置する時間が短いです。

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赤色巨星 ミラ型変光星

恒星が主系列星を終えた後の進化段階です。

 

肉眼で観察すると、赤く見えることから、赤色巨星といいます。

 

大気が膨張し、大きさは、地球から火星の公転軌道半径に相当します。

 

赤色巨星(狭義)漸近巨星分枝星という、二つの進化段階があります。

 

赤色巨星には

くじら座のミラや、おうし座のアルデバラン等があります。

 

赤色巨星のうち、特に光度や直径が大きいものを、赤色超巨星といいます。

普通の赤色巨星は、太陽質量の1-8倍ですが、

赤色超巨星は、太陽質量の10倍以上もあります。

オリオン座のベテルギウスや、さそり座のアンタレス等があります。 はくちょう座V1489 トップ

 

この後の恒星の進化は、質量によって異なります。

 

年をとった恒星は、中心部の水素を使い果たし

核融合でできたヘリウムからなる中心核と、それを取り巻く水素の外層という構造に変わります。

 

これにより、ヘリウム中心核の表面にある水素の層で、核融合がはじまります(汲み上げ効果)。

 

中心部のヘリウムの核は、エネルギー源がなくなるため、自己の重力で収縮していきます。

この時、重力エネルギーの解放で、熱が産生するため、

核融合が起こっている核の外層部分は、常に加熱される状態になります。

 

これによって、核融合反応が加速され、

核融合で生じた熱によって、外層は外へと膨張しようとし、重力による収縮を上回るようになります。

 

そのために、星の外層は大きく膨らみ、

星の表面温度は、相対的に低下するため、色は赤く見えます。

 

この膨張状態は、

中心部でヘリウムの核融合反応がはじまって、収縮を支えられるようになると、一旦解消されます。

 

しかし、中心部のヘリウムが使い果たされて、より重い、炭素酸素の核ができ、

核の外層のヘリウムが、核融合が起こるようになると、再び膨張が起こります(漸近巨星分枝)。

 

赤色巨星の外層は、

星の中心から離れているために、重力による束縛が弱く、徐々に、ガスが星から流出していきます。

そのため、恒星は外層を失い、中心核が露出します。

ここで核融合反応が終了したものが、白色矮星となります。

 

流出したガスは、惑星状星雲として観測されます。

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ウォルフ・ライエ星WR型星

質量が太陽の40を超える大質量星が、

赤色巨星にはならず、青色巨星へと進化した恒星です。

 

恒星の内部は、質量が太陽の40倍以下の恒星と同様に進化します。

 

恒星の中心部の水素が、すべてヘリウムに変換され、

水素殻燃焼とヘリウム燃焼の段階に入ると、

主系列から外れて、外層の膨張が始まります。

 

低質量星では、膨張につれて、表面が低温になるため、赤色巨星となります。

 

一方、太陽の40倍を超える大質量星では、恒星風が強いため、

膨張の過程で、重力による束縛が振り切られ、

水素に富んだ外層が、吹き飛ばされ、失われてしまいます。

そのため、高温の内部が露出して、青色巨星となります。

 

吹き飛ばされたガスは、星の周囲で散光星雲として輝いていることもあります。

 

ウォルフ・ライエ星のスペクトルは、

通常の恒星で見られる、水素の吸収線は見られず

ヘリウムや炭素、窒素等の、非常に幅の広い輝線が見られるのが特徴です。

 

水素の線がないのは、水素の外層を失っていることによります。

 

ヘリウムや炭素、窒素の幅の広い輝線は、

恒星風によって吹き飛ばされている、ガスの運動速度が非常に大きいために、

ドップラー効果によって幅が広がっているとされます。

 

スペクトル中の輝線の表れ方による分類

主に窒素( N )の輝線が卓越するWN

主に炭素( C )の輝線が卓越するWC

主に酸素( O )の輝線が卓越するWOに、細分類されます。

 

ウォルフ・ライエ星は、恒星の末期の姿であり、

やがて、超新星爆発を起こすと考えられています。

 

ウォルフ・ライエ星は、水素の外層を持たないので、

超新星の型は、スペクトルに水素の吸収線を持たないIb型かIcと考えられています。

 

尚、極超新星のスペクトルは、

水素、ヘリウム、珪素の、各吸収線が見られず、Ic型とも似ていません。

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白色矮星 ミラ型変光星

恒星が進化の終末期にとりうる形態の一つです。

 

質量は、太陽と同程度から数分の1程度と大きいですが、

直径は、地球と同程度か、やや大きいくらいに縮小しており、非常に高密度の天体です。

 

白色矮星は、通常の恒星と同様、気体とプラズマから成り立っていると考えられています。

 

シリウスの伴星(シリウスB等、数百個が知られています。

 

太陽近辺の、褐色矮星より質量が大きい天体のうち、4分の1が白色矮星と考えられています。

 

質量が太陽の50%以下の恒星では、

中心核の温度が、ヘリウムの核融合が起きるほどには上昇しないので、

水素を使い切って、核融合反応が止まった所で、一生を終えます。

尚、寿命は、1000億年以上にもなります。

 

赤色巨星では、

徐々にガスが周囲に流出し、外層を失っていきます。

外層を失ったヘリウムの核は、収縮により、地球程度の大きさとなっています。

 

これが、白色矮星です。

 

惑星状星雲の中心部には、

外層部を剥ぎ取られてできたばかりの、

表面温度が5万度から10万度もある、高温の白色矮星が見られます。

 

これらの星は、恒星の中心核であった時の余熱と、重力による圧力により、光と熱を発しています。

 

もはや核融合反応を起こすエネルギー源がないため、次第に表面温度が下がり、

熱放射による冷却の過程で、色も、OBAFGKMと、スペクトル型も変化します。

 

最後は、黒色矮星となって、電磁波による観測ができなくなるとされます。

 

シリウス伴星(シリウスBは、

直径は太陽の0.016倍、質量は1.06倍、平均密度は水の40万倍とされます。

そこから、表面重力は、太陽の約4100倍(地球の約116千倍)と計算されます。

高密度のために、原子内の電子は、フェルミ縮退しており、

パウリの排他律から、それ以上の縮退状態を形成できません。

 

白色矮星は、縮退圧の圧力勾配と、星自身の重力が釣り合って、形を保っています。

 

太陽質量の約 1.4 倍以上の白色矮星は、存在しません。

1.4 倍以上の場合は、電子の縮退圧では重力による星の収縮を支えきれず、

中性子星となるか、

重力崩壊を引き起こして、II型超新星爆発を起こします。

 

白色矮星は、もはや進化せず、冷えていくだけの天体ですが、

通常の恒星と、近接連星を構成していると、新星Ia型超新星として活動することがあります。

 

白色矮星の重力により、相手の星からはぎ取られて降着した水素は、

表面に積もって、落下時の位置エネルギーや、強い重力で加熱され、限界を超えると核融合を起こします。

 

通常の恒星では、中心部で核融合が活発化して、

温度と圧力が上がると、膨張して、速度を下げるという機構が働き、安定してエネルギーを放出し続けますが、

縮退気体には、こうした作用がなく、核融合は暴走し、表面に降り積もった水素を吹き飛ばします。

これが、新星です。

 

水素の降下量が多い場合、

熱が溜まり、表面で核融合が行われる場合があります。

その場合は、白色矮星の質量が増えていき、

チャンドラセカール限界を超えると、中心部で核融合は暴走し、Ia型超新星爆発に至ります。

 

白色矮星を構成する物質は、

核融合反応によって生じた、ヘリウム、炭素、酸素等です。

他に、ネオンやマグネシウム等があります。

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ケフェイド変光星セフェイド変光星、CEP

HR上で、ケフェイド不安定帯に属する、脈動変光星です。

 

絶対等級が比較的大きく、スペクトル型がFK型の黄色超巨星に属する、周期的脈動変光星です。

 

変光範囲は12等、

周期は、250日です。

 

太陽質量の50%より大きい恒星では、

ヘリウムの核の収縮が進行して、温度が1Kを超えた時点で、

ヘリウムから、炭素酸素への核融合反応がはじまります。 元素合成

 

すると、主系列星の時と同じように、安定に調節される核融合反応が起こるので、

星全体が収縮して、主系列星に近い状態に戻ります。

 

この時に、恒星の外層が不安定な状態となり、星全体が脈動する、ケフェイド変光星となります。

 

この型の変光星には、変光周期が長い星ほど、絶対等級が明るいという性質があります(周期光度関係)。

 

この関係を用いると、その実視等級と変光周期を測定することで、距離の測定に用いることができます。

 

CEP型の中には、非常に明るいものもあり、他の銀河内であっても識別可能であるため、

CEP型脈動変光星を用いることで、その銀河系までの距離を精密に求めることができます。

 

ケフェイド変光星は、更に、

種族Iの、ケフェウス座δ型DCEP)と、

種族IIの、II型ケフェイドCW)に、細分類されます。

 

ケフェウス座δ型変光星

ケフェウス座δ星     5.366日の周期で、3.48等星〜4.37等星の範囲を変光します。

いっかくじゅう座T 27.025日の周期で、5.58等星〜6.62等星の範囲を変光します。

 

II型ケフェイド変光星

おとめ座W          17.234日の周期で、9.46等星〜10.75等星の範囲を変光します。

ヘルクレス座BL 1.307日の周期で、9.70等星〜10.62等星の範囲を変光します。

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ミラ型変光星

脈動変光星の1種です。

 

くじら座のミラから名づけられました。

 

中心のヘリウムが枯渇すると、

水素が枯渇した時と同じように、中心にある炭素と酸素の核が収縮しはじめ、

その周辺では、ヘリウムの核融合反応が起こり始めます。

 

そして、再び膨張が始まり、恒星は赤色巨星となります。

 

膨張が進むと、

恒星の外層は不安定な状態となり、

星全体が脈動する、ミラ型変光星となります。

 

ミラ型変光星は、脈動とともに、外層のガスを周囲の空間に放出していきます。

 

太陽質量8倍以下の恒星では、

中心核の温度は、炭素が核融合を起こすほどには上昇しないので、

外層を失った炭素と酸素の核である、白色矮星となって、一生を終えます。

 

周囲に放出されたガスは、惑星状星雲として輝きます。

 

非常に赤く、脈動周期は100日より長く、

変光範囲が、可視光で2.5等級より大きい(赤外線では1等級より大きい)という特徴を持ちます。

 

ミラ型変光星は、太陽質量2倍よりも小さいと考えられますが、

外層が膨張して非常に大きくなっているため、太陽の数千倍も明るくなりえます。

 

恒星全体が膨張、収縮することで、脈動していると考えられています。

 

これにより、半径とともに、温度が変化し、光度の変化を引き起こす。

 

脈動の周期は、恒星の質量と半径の関数になります。

 

ミラ型変光星は、比較的金属量が豊富な環境で生まれると考えられてきましたが、

非常に金属量が枯渇した、ろくぶんぎ座矮小楕円体銀河で、ミラ型変光星が発見されました。

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超新星 原始星 白色矮星

重力崩壊の際には、莫大な量の重力によるポテンシャルエネルギーが解放されて、恒星全体が吹き飛びます。

これが、超新星爆発です。

 

この時、恒星は急激に明るくなり

明るさで約1億倍、等級で約20等も増光し、

数週間、超新星一つが、銀河全体と同じ明るさで輝くこともあります。

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中性子星 赤色巨星 白色矮星

質量が太陽程度、半径(直径?)10 km程度、大気の厚さは1 m程度で、中性子が主な成分の天体です。

 

中性子星に強い磁気がある場合、磁極から電磁波が放出されます。

2つの磁極を結ぶ線が、自転軸と一致していない場合、

中性子星の自転により、電磁波が放出する方向を変えながら放たれる、パルサーとなります。

 

中性子星自身は可視光線を発していないため、

パルサーとして、中性子星の実在が確認されました。

 

密度は、約109 t/cm3と、太陽の1014倍以上もあるとされています。

 

桁外れに大きい密度のため、

中性子星の表面重力は、地球の2×1011倍もあり、

脱出速度は 1/3 c にも達します。

 

質量が、太陽の10 - 20倍程度までの恒星の場合には、

重力崩壊で押しつぶされた、直径10km程度の中心核が残ります。

 

これは、非常に強い重力のために、原子核に電子が吸収されて、

星のほとんどが中性子からできています。

 

中性子星は、大質量の恒星の超新星爆発によって、中心核が圧縮された結果形成されますが、

中性子星として存在できる質量には、トルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界と呼ばれる上限値があり、

それを超えると、ブラックホールとなります。

 

上限の質量は、太陽質量の1.5倍から2.5倍と考えられています。

 

下限は、太陽質量の0.1倍から0.2倍程度です。

 

重力崩壊によって、非常にコンパクトに圧縮された結果、

角運動量保存の法則によって、元の恒星よりもはるかに高速に回転しており、

典型的な自転周期は、30秒から1100です。

 

中性子星は、中性子のみから構成される、大きな原子核と見なすことができます。

 

原子核内部では、

陽子と中性子が互いに束縛されつつも、動ける状態にあるため、

液体といっても、それほど間違いではありません。

 

中性子星のコアは、

極めて大きい密度のため、超流動状態になっているとするモデルも存在します。

 

中性子星の構造・性質

中性子星の表面は、通常の原子核や電子からなります。

 

中性子星の大気は、厚さが約1mほどで、その下には固体の「地殻」があります。

 

内部には、中性子過剰核と呼ばれる、非常に中性子の多い原子核でできた層があります。

 

更に、内部へ進むと、原子核から中性子が外へ漏れ出す、「中性子ドリップ」という現象が見られるようになります。

この領域には、原子核と自由電子と、自由中性子が存在します。

 

さらに、内部に進むにつれて、原子核が融けあって、

一様な物質(中性子と少量の陽子、電子からなる)の超流動相となります。

 

中心部のコアと呼ばれる、高密度の領域の構造は、詳細不明ですが、

核子と電子だけでなく、

π中間子やK中間子といった中間子の凝縮や、

核子以外のバリオンである、ハイペロンが現れます。

 

最も中心部の、超高密度領域では、クォークからなる、超流動体で構成されているという説もあります。

 

内核

kmほどの厚さで、構成するものは、仮説により異なります。

ハイペロン

π中間子縮退

K中間子縮退

クォーク物質への相転移

ρ0 = 2.8×1017 kg·m3 を、標準原子核密度とすると、

密度は、2ρ0 より大きく、中心部は 1015 ρ0 の密度に達します。

 

外核

密度は、約 0.52 ρ0 であり、数kmの厚さです。

ほとんどが中性子で、数%の陽子、電子、ミューオンが含まれています。

これらは、強く縮退しています。

 

地殻

1 km の厚さ。

密度は 0.5ρ0 より小さいです。

電子と自由中性子、中性子過剰核からなります。

 

表面

大気の下にある層で、約数百m の厚さです。

イオンと電子からなります。

 

大気

厚さは 1 m程の、薄いプラズマ層です。

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ブラックホール 赤色巨星

太陽質量の30倍よりも大きい恒星の場合には、

中性子星になっても、重力を支えることができずに、重力崩壊が進行して、ブラックホールとなります。

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クォーク星

超新星爆発を起こした後に形成されるとされる天体です。

 

クォークが、裸の状態で存在する天体で、

クォーク星は、中性子星より重力が強く、ブラックホールよりは弱いです。

 

クォーク星は、中性子星より小さいという特徴を持っています。

 

3C58

天の川銀河内の、カシオペヤ座の方向、約1万光年の位置にある、

パルサー及び超新星残骸です。

 

中性子星形成の標準的な理論では説明できないほど、

異常に早く冷却しています。

 

クォーク星である可能性も示唆されています。

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はくちょう座V1489

地球から見て、はくちょう座の方向に、約5250光年離れた位置にある、赤色超巨星です。

 

大質量星を含む、はくちょう座OB2星団に属しています。

 

最も直径の大きな恒星です(2012年時点)。

 

直径が約23km(約15天文単位)と、太陽1650もあります。

 

ただし、質量は、太陽の25倍から40と、直径の割には小さいため、

平均密度は、8000kg/km3にしかありません。

 

光度(単位時間当たりのエネルギー放出量)は、太陽の27万倍もありますが、

絶対等級は、5.566(太陽は4.8)です。

また、遠距離にあるため、視等級は、16.60と暗いです。

 

940日の変光周期を持つ、半規則型変光星でもあります。

半規則的なのは、脈動変光星であると、

自身の質量を、少しずつ放出しているためです。

 

はくちょう座V1489星は、巨大な赤色超巨星であり、

表面での重力は、太陽の約8万分の1、地球の約2900分の1しかありません。

 

このため、表面から、年間1兆×4000億トン(太陽質量の0.02%)、もの物質が、放出されています。

 

恒星風の速度は、極めて遅く、約23km/sです。

尚、太陽風の、地球公転軌道付近における速度は、平均約450km/sとされます。

 

スペクトル線分析によると、

放出された星間物質は、酸素に富む組成をしています。

 

他に、水、一酸化炭素、シアン化水素、二酸化硫黄、硫化水素の他、

一酸化ケイ素、一酸化硫黄、一硫化炭素といった、ユニークな星間分子も発見されています。

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