#37 亜鉛欠乏症
亜鉛は「必須微量ミネラル」の一つで、亜鉛欠乏症も鉄欠乏症と同じくらい頻度が高く、
世界で20億人が亜鉛欠乏状態であると推定されています。
人体における亜鉛の役割
数百種類の酵素反応の活性化、タンパク質・DNAの合成、細胞分裂、ホルモンの合成・分泌や
免疫反応調節などに関わり、身体の成長と維持に重要な役割を担っています。
亜鉛欠乏が引き起こす様々な症状
亜鉛が不足すると代謝がうまくいかず、成長と発達、生殖・免疫機能に支障をきたし、
多彩な症状を引き起こします。
- 皮膚:乾皮症、脂漏性皮膚炎、脱毛症、口内炎、創傷治癒遅延
- 嗅覚、味覚:嗅覚、味覚障害
- 免疫系:呼吸器、消化器感染症の増加
- 下痢:慢性下痢の発生率増加
- 食欲:食欲不振につながる可能性
- 精神障害:無気力、統合失調症、うつ病と関連。亜鉛補給でADHDとうつ病改善の報告があります
- 成長:子供では成長遅延を引き起こす可能性、世界の子供の3分の1の発育不全に関与
- 妊娠中:母親の亜鉛の状態が低いと、新生児の注意力が低下し、運動機能が低下する
- 性ホルモン:テストステロンの減少
原因
摂取減少
食事摂取量の減少による軽度の亜鉛欠乏症は一般的です
吸収低下
発育遅延、重度の下痢、脱毛、皮膚の発疹(殆どの場合、性器と口周囲)、カンジダ症、細菌感染
損失増加
運動、大量のアルコール摂取、下痢は体からの亜鉛の損失を増加させます
亜鉛欠乏症の診断方法
亜鉛欠乏症は、通常、血清亜鉛値の低値によって診断されます.
- 基準値: 80〜130μg/dL
- 潜在性亜鉛欠乏: 60〜80μg/dL
- 亜鉛欠乏: 60μg/dL
血清亜鉛値を測定する時の注意点
- 午前に値が高く、午後に低下する傾向を示します(約20%低下)
- 食後は低下するため空腹時に測定する方が望ましいとされます
- ストレスや甲状腺機能亢進症では高くなることがあります
ALP低値も亜鉛欠乏を示唆する指標となることがあります.
亜鉛欠部和尚の治療
食事による補給
亜鉛が豊富な食品 魚、貝(カキには特に多く含有)、エビ、カニ、ビーフ、チキン、アーモンド、
カシューナッツ、豆類など
内服薬による補給
ノベルジン®が保険適用になっています。