多くの違いがありますが、どちらも人間の自然治癒力を引き出すことが求められます。 二者択一や一方偏重でなく、両者の長所・短所を知り臨機応変に使い分けることが重要です。 健康にとって、適正な食事・睡眠・休養・運動・精神衛生が重要であることは、 近年、西洋医学でも強調されますが、中医学では、古代から重視されてきました。 特に慢性疾患・症状については、どちらの治療でも、生活習慣の改善なしに、 十分な効果が得られないことは銘記すべきでしょう。
以下は、両者の比較です。
西洋医学 | 漢方・中医学 | |
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人体機能のとらえ方 | 主に各臓器を個別に考え、臓器別に専門医が診療するが、総合的診療専門の医師もいる | 各臓器は相互に補強・抑制しあうが、この相互作用の乱れから病気が起こると考える |
診断法 | 問診・身体診察と必要に応じた血液検査・画像診断を用いて診断する。 | 問診、視診、脈診などにより患者に不足または過剰な要素、不調な機能を判断する。 |
薬剤選択 | 症状を個別にとらえ、症状別に処方される。 同病名には同名薬処方が多いが、使い分けもある。 症状別に処方すると薬の数が多くなる | 症状を包括的にとらえ、経過により微調整をする。 複数の生薬が含まれ、病名でなく症状で処方する。同病名でも薬が異なることが多い |
薬剤成分 | 化学合成の単一成分が多い。動植物・鉱物またはその抽出成分由来のものも多数有り。 | 動植物・鉱物生薬が複数配合。日本の漢方薬は通常、植物性だが動物や鉱物由来も一部含む。 |
特徴と効果 | 症状を局所的に抑えるものが多く、急性病には速効性で効果が大きいことが多い。 慢性病では服薬を中止すると病状が再燃することが多い。 | 体の治癒力補強が重視される。効果が緩徐なものが多いが、比較的速い場合もある。 慢性病では体質改善できれば、根治も期待できる。 |
副作用 | 量が増えると副作用が現れやすくなる。薬の種類が増すと相乗的に副作用が多くなる。 | 比較的少ないが、下痢・動悸・発疹などの他、肝機能異常や稀に間質性肺炎なども起こる。 |
妊娠中の服用 | 奇形へのリスクなどから、限定される。特定のもので安全性が確認されているものがある。 | 流産の危険性が否定できない生薬があり、それらを含む方剤は避けるべきである。 |
適する病状 | 病因が特定でき治療可能な場合、手術や緊急性がある場合、重症感染症など。 | 病因不明の慢性疾患、複雑・多彩な症状や西洋医学では対症療法しかないような場合。 |