![]() ジャッキー・チェン フィルモグラフィ 出演映画1970年代後半ジャッキーを第二のブルース・リーとしたがるロー・ウェイのシリアス作品はジャッキーのキャラクターにはマッチせずに大成功には至らず、かねてから持ち味のコミカル路線を活かしたいと考えていたジャッキーは、ロー・ウェイからシーゾナル・フィルム社への2本契約のレンタル出向で「蛇拳」「酔拳」をヒットさせ、日本でもジャッキーブームに火がつく。しかし、その頃からジャッキーブームに便乗して、ジャッキーの意に反して「ジャッキー・チェンの〜」とは名ばかりの、他作品のNGシーンやジャッキーに似ている俳優を使った酷い作品も作られる。 笑林三十七房(36 Crazy Fists)The 36 Crazy Fist/1979年/日本未公開 クレイジー・モンキー 笑拳笑拳怪招/Fearless Hyena/1979年/台湾・香港/豊年影業公司、羅維影業公司(グッドイヤー・ムービー、ロー・ウェイ・カンパニー)/1980年4月19日東映配給 製作:スー・リーホワ 監督/脚本/武術指導/主演:ジャッキー・チェン あらすじ:清朝末期の広東、クンフー道場が政府の弾圧下にあった頃、中でも声望高い形意道場は政府にとって目の上のたんこぶだった。そして政府が差し向けた殺し屋“鉄の爪の任(ヤン・サイクン)”は形意派のほとんどの門弟を殺害し、残すは道場主の陣鵬飛となった。一方、興隆(ジャッキー)は山中に篭り、病気がちの祖父(ジェームズ・ティエン)からクンフーと哲学を学んでいた。祖父から安易にクンフーを使ってはならないと教えられていた興隆だが、祖父の薬代のために街のクンフー道場で用心棒をすることになるが・・・ 解説:監督・脚本・主演・武術指導と初の1人4役。劇中の女装などの変相もあわせると何役こなしているのか。80年度香港興行成績第1位。ロー・ウェイとの最後の完成映画。拳法に喜怒哀楽という人間の感情を取り入れた独特のアイデアはコミカルでかなりインパクトの強いものだった。主題歌「クレージー・モンキー」が妙にファンキーでかっこいい。ラスト・バウトで倒れているジャッキーが立ち上がってこの音楽が流れ出し、両手で顔をふさいで京劇張りに笑顔を見せるシーンは鳥肌もの。喜怒哀楽というメリハリがついているので長い決闘シーンも飽きずに見れる。この頃ブームになった純粋なクンフー・アクションものとしては最後の作品とも言える。 ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳(ビッグ・マスター)刀手怪招/Master with Crack Fingers/1978年/スーン・リー・フィルム/日本劇場未公開 ドランク・モンキー 酔拳酔拳/Drunken Master/Drunken Monkey in a Tiger's Eye/Drunk Monkey/1978年/台湾・香港/思遠影業公司(シーゾナル・フィルム)/1979年7月21日東映配給 製作:ン・シーユエン 監督:ユエン・ウーピン 脚本:シャオ・ロン 撮影:チャン・ハイ あらすじ:クンフー道場を営む黄麒英の息子飛鴻(ジャッキー)は正義感はあるが、練習は不真面目で悪戯好きなどら息子。目に余る息子の素行の悪さから、麒英は飛鴻を鍛えなおすため、酔八仙拳の達人である蘇化子(ユアン・シャオティエン)の元へ預けることにする。 解説:日本初公開映画。そして大ヒット映画。日本のアニメやゲームなどに多大な影響を与える。ジャッキーといえば酔拳だろう。師匠役のユエン・シャオティエンの印象も強い。今では当たり前?となった酔拳も、初めて日本で公開された時は衝撃的だった。酒を飲めば飲むほど強くなるのだから・・・。お酒を飲めない年齢の頃から、清涼飲料水片手に酔ったふりをしたり胡桃を割る真似をしたり・・・流行った。そんな経験を持つ人は多いのではないだろうか。それまでのヒーロー像を大きく覆した作品ではないかと思う。完全無欠なイメージのブルース・リーとは違った魅力で、格好悪いことの格好良さ、コミカルな格好良さを痛感した映画だった。ユニークなトレーニング・シーンも話題になった。弱い主人公が独特のトレーニングを積んで強くなって悪漢を倒す・・・今ではクンフー映画としてありふれたストーリーも、この頃はたまらなくしびれた。もちろん、今見てもしびれるのだが・・・。私も含めて多くの平凡な弱い人々にとって、勇気と希望を与えてくれる最高のヒーローだったと思う。主人公の黄飛鴻は、ジェット・リーの“ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ”シリーズなどでもお馴染みの高名な実在の武術家。 スネーキー・モンキー 蛇拳蛇形刀手/Snake in The Eagle's Shadow/The Eagle's Shadow/Snaky Monkey/1978年/台湾・香港/思遠影業公司(シーゾナル・フィルム)/1979年11月17日東映配給 製作:チェン・チュアン 脚本:ン・シーユエン 監督:ユエン・ウーピン 脚本:チョイ・カイクォン/ハイ・ワーオン 撮影:チャン・ホイ 美術:ディン・ユエンタイ 音楽:チョウ・フッリョン 衣装:クン・チャンカイ あらすじ:清朝末期の広東。蛇形派と鷹爪派のクンフー二流派は対立し、鷹爪派の上官逸雲(ホアン・チョンリー)は蛇形派殲滅に執念を燃やしていた。一方、小さなクンフー道場で雑役をしている孤児の簡福(ジャッキー)は、道場の師範や門弟達から虐められる毎日。ある日、簡福は不思議な老人(ユエン・シャオティエン)に親切にしたことから、クンフーを教えてもらうことになる。その老人こそは蛇形派の生き残りであった・・・ 日本公開“拳”シリーズ第2弾。本作のプロモーションで初来日。基本的なストーリーはジャッキー自身による。他の2作品「酔拳」「笑拳」と比べると少しシリアスな面もあるが、コミカルなジャッキー・アクションの奔りだと思う。酔拳と同じく師匠のユエン・シャオティエンがいい味を出している。他の2作品と同じく、師匠によるトレーニングによって弱い主人公が強くなっていくのが最大の魅力。今では日本でもあまりに有名になった蛇の形を取り入れた拳法は、当時は本当に斬新だった。この映画では、ジャッキーは撮影中に相手の刀で本当に腹部を切られてしまうという事故に遭う。痛がるジャッキーをよそ目にカメラは回り続けたという。 龍拳龍拳/Dragon Fist/1978年/台湾/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/1982年2月20日東映配給 製作総指揮:ロー・ウェイ 製作:スー・リーホワ 監督:ロー・ウェイ 脚本:ウォン・チュン・ピン 主演/武術指導:ジャッキー・チェン 撮影:チェン・ユン・シュー 音楽:フランキー・チャン あらすじ:タン(ジャッキー)の師であるサンタイは武闘大会で優勝するが、その祝賀会場でチュンという武術家からの挑戦を受け、その致命傷から命を落としてしまう。残された弟子のタンはチュンに復讐することを誓い、3年の猛修行の末「龍拳」の達人となり、サンタイ未亡人、娘のラン(ノラ・ミャオ)と共に恩師の仇討ちに出向く。しかし、チュンは変わり果て、降参するサンタイを殺した事を深く後悔し、サンタイ未亡人に心からの謝罪をする。そんな時、チュン道場を壊滅しようと企むウェイがタンの腕に目をつける・・・ 解説:ロー・ウェイがジャッキー・チェンをブルース・リーのようにしたかったのだという事がうかがえる。ジャッキーのコミカルな魅力は発揮されていないが、それなりに強くてかっこいいジャッキーが見れるので、これはこれでありだと思える。ストーリー的には、師匠が殺された成り行きや敵討ちの動機に疑問も残るし、龍拳が怒りのパワーという感じで、ジャッキーの意にも反するところがあると思われるが、そういう映画も1本くらいあってもいいかと思える映画。昔見た時には、“龍拳”といえば「拳精」の五獣拳の龍拳をイメージしていたのに、全然違ってしっくり来なかった記憶がある。 拳精拳精/Spiritual Kung Fu/1978年/台湾・香港/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/1980年6月14日東映配給 製作/監督:ロー・ウェイ 製作:スー・リーホワ/リー・シエンチャン 武術指導:ジャッキー・チェン 解説:ジャッキー映画には珍しい少林寺が舞台。チープな特撮が印象的。私がこの映画を初めて見た時、“拳法の精”がとても妖精に見えなくて、幽霊か妖怪だと思っていた。ジャッキー自身は気に入っていない映画の1つのようだが、ファンタジックなストーリーが斬新で、厳しいトレーニング・シーンこそは無いが弱い主人公が強くなっていく定番の要素が含まれていて、私は意外と好き。挿入歌の「チャイナ・ガール」は耳に残る曲だが、この映画にマッチしていて良い効果を出していると思う。珍しいジャッキーのトンファーさばきも見られる。この映画でトンファーという武器を知った人も多いのではないだろうか。少林寺とSF要素を融合した挑戦的な映画だと思う。 ジャッキー・チェンの飛龍神拳(怒りのプロジェクトカンフー/神拳 ヤング・ボディガード)飛渡捲雲山/Magnificent Bodyguards/1978年/台湾/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/日本劇場未公開 カンニング・モンキー 天中拳一招半式闖江湖/Half a Loaf of Kung Fu/1978年/台湾/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/1983年8月6日東映配給 製作:ロー・ウェイ/スー・リーホワ 監督:チェン・チーホワ 脚本:タン・ミンチー 主演/武術指導:ジャッキー・チェン 解説:最後のバトルも“虎の巻”を見ながら戦うという、ジャッキーが最初から最後まで半人前であまり強くない主人公という設定は珍しい。そんな半人前キャラクターが運を頼りに必死で頑張って戦う姿に、見てる側は共感が持てるのかも知れない。邦題もそうだが、日本公開時には日本の人気番組など時代の流行を意識した適当な字幕がついた。当時はそんな字幕や邦題が多かったように思う。ただ、日本公開時の主題歌「カンニング・モンキー」はノリが良くて映画を引き立てていた。SHYというミュージシャンだったが、実は作詞:タケカワユキヒデ 作曲:ミッキー吉野 で、歌っているのもタケカワユキヒデっぽかった。曲のアレンジもゴダイゴっぽい。ジャッキーはこの映画で、多くのコメディ要素を取り入れようと試みたようだ。実際、同時期の他の映画より、かなりコメディ色の強い映画となっている。ジョーク交じりに半人前主人公が奮闘するストーリーもバカバカしいと言えばそうだろう。そのためか、ロー・ウェイはこの作品を気に入ってなかったようで、製作後、数年はお蔵入りになっていた。日本で公開されたのもジャッキー人気が高くなってからで「ヤング・マスター/師弟出馬」や「ドラゴン・ロード」の後。この頃はジャッキー人気も凄かったが、同時にそれに乗っかった古い作品やB級映画も多かった。 蛇鶴八拳蛇鶴八歩/Snake and Crane Arts of Shaolin/1978年/台湾/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/1983年2月19日東映配給 製作総指揮:ロー・ウェイ 製作:スー・リーホワ 監督:チェン・チーホワ 主演/武術指導:ジャッキー・チェン 武術指導:ツー・ウェイホー 解説:親友のチェン・チーホワが監督だったため、ジャッキーは役作りやスタントを自由に発揮できる最初の「夢のプロジェクト」と呼んでいる。 成龍拳劍・花・煙雨江南/To Kill with Intrigue/1977年/台湾・香港/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/1984年5月12日東映配給 製作/監督:ロー・ウェイ 製作:スー・リーホワ 脚本:クー・ロン 武術指導:チェン・シンイー ファイナルドラゴン(キラードラゴン 流星拳)風・雨・雙流星/Killer Meteor/1976年/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/日本劇場未公開 解説:ジミー・ウォングと共演。悪役ジャッキー。 少林寺木人拳少林木人巷/Shaolin Wooden Men/36 Wooden Men/Shaolin Chamber of Death/Young Tiger's Revevge/1976年/香港/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/1981年2月12日東映セントラルフィルム配給 製作総指揮:ロー・ウェイ 監督:チェン・チーホワ/ロー・ウェイ 脚本:チェン・チーホワ 武術指導:リー・ミンウェン 主演/武術指導:ジャッキー・チェン 解説:この映画は日本では「酔拳」「蛇拳」などでジャッキー人気に火が点いた後に公開されたので、初めて一重まぶたのジャッキーを見てショックを受けた人も多かったみたいだ。整形かそうでないかはハッキリしていないが、昔、奥二重だった人が二重になったという例は多々ある。しかし、ロー・ウェイがジャッキーの顔を気に入ってなかったことは確かなようだ。映画は興行的には失敗したようだが、“木人”はかなり話題になった。学校へ行くとみんなが木人になっている・・・といった感じ。後にはゲームのキャラクターにも起用されるくらいだ。テレビ放映の影響のほうが大きいように思われる。ジャッキーらしいコミカルなアクションを発揮する以前の映画なので、ストーリーはシリアス。おまけにジャッキーは最後の最後まで、口が利けないという役。それでもこの映画のファンが多いというのは、“木人”人気とこの映画のオリジナリティによるものと思われる。 レッド・ドラゴン(新・ドラゴン怒りの鉄拳)新精武門/New Fist of Fury/1976年/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/日本劇場未公開 解説:ジャッキー主演のロー・ウェイ監督映画第1作目。 ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門少林門/The Hand of Death/Countdown in Kung Fu/Countdown in Death/Shaolin Men/1976年/ゴールデン・ハーベスト/日本劇場未公開 ※映画タイトル下は概ね、原題/(別タイトル/英語タイトル)/製作年/製作国/製作会社/日本公開情報、その下に受賞歴・・・の順で記載 |
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