Viaggi
チュンチュンチュン~
動きが妙にしなやかな父子経営のお宿が非常にキレイで居心地よかったため十分な睡眠が取れた。これだけ快適なお宿、もっとゆっくりしたかったですねぇ。
さて、フィレンツェからミラノは結構な距離のため、早朝のエウロスタァで発たねば。駅のバールでブリオッシュとラテマキアートをもっさもっさし、めったに利用しないお高い列車へ乗り込む。券購入の際、隣席を指定しなかったため一時離散で車内を過ごすが、早朝出発のわりに目が覚めてヒマな三時間弱の旅を強いられる。
ガタンオトン・・・ガタンオトン・・・と、列車は4年前に訪れたボローニャ、バルサミコ酢で有名なモデナ、プロシュット・クルードをいつか食しに行きましょうと誓ったパルマを経由。

さて、ドーム型の屋根がいかにも欧州っぽい駅に降り立ち、まずは狙っていたお宿へ向かう。「アットホームが売りの」とロンプラ先生よりご紹介いただくも特に和やかな空気もないお宿にて、空きがあるというのでまずチェックイン。「ミヅーラさま」カーニがモジモジしだす。「ワタクシめはぁ、まずFIATショップに行きたいのですがぁ」
カーニが出発前から連呼していたそのFIATショップとは、どうもミラノにしかないグッズ屋で日本はおろかイタリアでもレアな代物が多数販売しているようだ。立ち寄ってみるとあいにく午後からの営業で閉まっている。
「カーニボン、まったくもって腹が減りましたぁ」「ミヅーラさまは寝てる時t(以下略)」ということで、ドゥオーモ付近でセルフ方式お食事どころ『Autogrill(アウトグリル)』へカーニボンを拉致。
セルフ方式は欲しいものが目視でき明朗会計で非常に便利。この類の店はアンティパストコーナーからプリモ、セコンド、ドルチェ、果物コーナーやらリゾットコーナーなど、スタンプラリーのごとくチェックポイントが点在して実に楽しい。フォルマッジョがふんだんに絡んだリゾットと鶏肉のグリルの乗ったインサラータ、そしてビッラをかっこむワタクシを「あさましいですねぇ」と横目で見つつ、ロースト豚肉、クリームソースのペンネ、ビッラを流し込むカーニボン。
「そろそろお土産を」とスペルメルカートへ潜入。空港の定番商品もお値段がお安めで、袋にガサっと入ったサブレの土産なら200円以下で済む。チューブのアンチョビ、レンジでチンするパスタソースなど便利商品も目白押しで、ワタクシなんぞは奇声をあげて走り回りそうである。

夕方再びFIATショップを訪問すると、中ではツギハギチンさんが「やあ」とお出迎え。キャラクターグッズをガッツリ売っているというよりは、商品がちょこちょこショーケースに陳列されているアートな空間をも楽しんでくれというコンセプトか。
しかし、そんなオサレ空間なものだから「ミヅーラさま、ワタクシめは腕時計をお買い求めしとうございます」というカーニボンのささやかな夢も「お値段1000ユーロです」というクールな店員の答えに見事に撃沈したようだ。「それだけあればもう一回イタリア行脚ができますよ」と羽がうなだれるカーニを諭したかどうかは忘れたが、泣く泣くスピードメーター型壁掛け時計のみを購入。

「のどが渇きましたねぇ、カーニボン」「ミヅーラさまは呑んだくれている時以外、いつもそうおっしゃる」ってんで、夕暮れのカフェのテラス席でビッラをいただく。
今回の行脚は4泊6日という強行手段。もう明日の早朝はマルペンサ空港からヘルシンキを経由しお城に帰るのですねぇ。ミラノは空港利用の関係から宿を取っただけで、ワタクシとしては不要な滞在だが、中世の影が色濃いトスカーナの街を2つ訪問できて大満足。しかも偶然にもミッレ・ミーリアに遭遇できたとはなんたる幸運か。
よる8時~
狙っていたトラットリアに行ってみると「急遽お休みいただきます」の貼り紙が空腹なコロナ隊の前に!代案もないため、高額を覚悟でドゥオーモ近くのリストランテを探すこととする。「ワタクシはぁ、コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ(ミラノ風カツレツ)をいただきとうございますぅ」というカーニと「ミステル!(ミスター)」と呼び込む観光客目当な店で妥協することに。
それらの店に共通するのは、メニュー表が電球で縁取られた派手な看板を掲げていることだ。そして値段がクソ高いくせに、出てきたパスタが冷たい!作り置きした麺に熱いソースを絡めたものか。そういえば「お好みで掛けてください」のフォルマッジョすらテーブルにない。
ヘラヘラと英語で「グゥッ~~ド?」と聞いてきやがるカメリエーラに「パスタは冷たいしアルデンテではない」と仏頂面で放つ。リットル単位の価格を1瓶の価格と勘違いした痛恨のミスもあり、帰る頃には廃人のようなテンションに。「貴様がカツレツを喰いたいと言ったからこんな事になったんじゃい!」なとどはこれっぽっちも思ってないですから、とカーニに念押ししたかどうかは忘れたが、お部屋での宴会用にと買っておいたサラーメとビッラでささやかにイタリア最後の夜を締めくくった。