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賃貸不動産経営管理士は国家資格へ!

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賃貸不動産経営管理士は国家資格へ!

更新日:2023年4月3日

 賃貸不動産経営管理士の資格は、ここ数年で急速に人気が高まっており、受験者数も急増している資格です。

 これは、賃貸不動産経営管理士という資格の社会的な需要の高まりとともに、国家資格化が進められてきたことも影響していると考えられます。

 そしてついに、2020年6月に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立し、2021年4月21日付けの国土交通省令により、賃貸不動産経営管理士は、法体系に基づく「国家資格」になりました!

 そこで、このページでは、賃貸不動産経営管理士が国家資格になった経緯や国家資格としての位置づけなどについて、解説していきたいと思います。

【執筆者】
㈱モアライセンス代表 大西雅明

市役所に22年間勤めた元公務員。賃貸不動産経営管理士のほか、宅建士、行政書士、司法書士、土地家屋調査士などの国家資格に合格し、15年以上にわたって当サイトで情報発信している。
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賃貸不動産経営管理士の国家資格化への経緯

  それでは、賃貸不動産経営管理士の国家資格化への経緯から、順に見ていきたいと思います。

創設当初は民間資格だった

 「賃貸不動産経営管理士」の資格制度は、「一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会」により平成19年(2007年)に創設され、平成20年(2008年)から試験が実施されている資格であり、完全な民間資格でした。

 一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会というのは、賃貸不動産業界3団体(公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会、公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会 及び 公益社団法人 全日本不動産協会)で構成されており、現在も引き続き、賃貸不動産経営管理士の資格制度を運営しています。

国土交通省告示により公的資格へ

 その後、平成23年(2011年)に国土交通省の告示により「賃貸住宅管理業者登録制度」という任意の制度が施行され、平成28年(2016年)の国土交通省の告示により、「賃貸不動産経営管理士」が、その制度の中に公式に位置づけられました。

 これにより、ただの民間資格ではなく、省庁に認められた「公的資格」といった呼び方もされるようになりました。

 この辺りから、賃貸不動産経営管理士という資格の社会的な需要の高まりとともに特に注目を集めるようになり、受験者数もうなぎ上りで急増し、人気資格の仲間入りをしましたね。

国家資格に相応しい難易度へ

 そしてさらに、国家資格化に向けた準備が着々と進められ、2019年度試験では、それまで50%程度の合格率があったところ、一気に36.8%にまで合格率を下げ、国家資格に相応しい難易度へと移行してきました。

年度 受験者数 合格者数 合格率 合格点
40点満点
平成27年
(2015年)
4,908 2,679 54.6% 25点
平成28年
(2016年)
13,149 7,350 55.9% 28点
平成29年
(2017年)
16,624 8,033 48.3% 27点
平成30年
(2018年)
18,488 9,379 50.7% 29点
令和1年
(2019年)
23,605 8,698 36.8% 29点

国家資格化に向けた試験制度の変更

 そして、2020年度試験では、それまで40問90分の試験だったところ、他の国家資格である宅建やマンション管理士、管理業務主任者の試験と同様、50問120分の試験制度へと変更され、合格率についてもさらに29.8%にまで下がりました。

年度 受験者数 合格者数 合格率 合格点
50点満点
令和2年
(2020年)
27,338 8,146 29.8% 34点

賃貸不動産経営管理士は国家資格へ!

 そしていよいよ、賃貸不動産経営管理士が国家資格になります。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の成立

 上記のような国家資格化への動きを経て、ついに2020年6月12日、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、「賃貸住宅管理業法」といいます。)」が成立し、同年6月19日に公布されるに至りました。

 この法律は、2021年6月15日から施行されています。(一部については、2020年12月15日に施行)

業務管理者の配置義務

 賃貸住宅管理業法では、管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣の登録を受けなければならないことが定められています。

 そして、賃貸住宅管理業者には、賃貸住宅管理の知識・経験等を有する「業務管理者」を事務所ごとに1人以上、配置することが義務付けられました。

業務管理者の要件に「賃貸不動産経営管理士」が明記され国家資格へ

 そして、2021年4月21日付けの国土交通省令及び告示において、この業務管理者になるための要件のひとつとして、「賃貸不動産経営管理士」が明記されたことにより、ついに賃貸不動産経営管理士が「法体系に基づく国家資格」になったというわけです。

※ 業務管理者の要件としては、「宅建士で管理業務実務講習を修了した者」も併せて明記されています。つまり、業務管理者には、賃貸不動産経営管理士又は宅建士がなることができるということです。

業務管理者(賃貸不動産経営管理士・宅建士)の独占業務

 賃貸住宅管理業者は、業務管理者に、「管理受託契約の重要事項説明及びその書面の交付」や、「管理受託契約書の交付」などについての管理・監督に関する業務を行わせなければならないこととされています。

 つまり、これが業務管理者の独占業務ということになるわけです。

 ただし、業務管理者には、賃貸不動産経営管理士だけでなく、宅建士もなることができますので、賃貸不動産経営管理士の独占業務というわけではなく、「賃貸不動産経営管理士と宅建士」の2者の独占業務、ということになりますね。

正式な国家資格ではない??

 ところで、賃貸不動産経営管理士は、「法体系に基づく国家資格になった」という表現が少し気になるところではありますね、、、私の感覚的には、まだ「公的資格」のままのような気がするのですが、、どうなんでしょうか。

 国家資格というのは、本来、”法律によって資格試験の制度が定められているもの”をいうと思うのですが、、、まさか、国家資格ではない??

「法体系に基づく国家資格」の意味⇒「広義の国家資格」

 「法体系に基づく国家資格」という言葉の意味について、私なりに調べてみました。

 前提は、賃貸住宅管理業者には、業務管理者の設置義務があり、業務管理者になるには、賃貸住宅管理業法第12条第4項の要件が必要ということです。(賃貸住宅管理業法第12条第1項

2020年度までに実施された賃貸不動産経営管理士試験

 まず、2020年度までに実施された賃貸不動産経営管理士試験についてです。

 業務管理者の要件である「賃貸住宅管理業法第12条第4項の知識及び能力を有すると認められること」を証明する登録証明事業(登録試験合格+2年以上の実務経験又は同等以上の能力の証明)というものの枠組みが、国土交通省令賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則第14条)に定められました。

 そして、この規定に対する附則(経過措置)を受けた国土交通省告示において、「2020年度以前の賃貸不動産経営管理士試験に合格し、賃貸不動産経営管理士として登録を受けた者」で、指定する講習を修了した者は、登録証明事業により証明を受けた者とみなす、と規定されました。

 この段階で、「賃貸不動産経営管理士」は、法体系に基づく国家資格になった。という言い方になるわけですね。

 つまり、法そのものには明記されていないけれど、法→省令→告示の3段階を経て、賃貸不動産経営管理士が明記されている、ということです。

2021年度以降に実施される賃貸不動産経営管理士試験

 次に、2021年度以降に実施する賃貸不動産経営管理士試験についてです。

 国土交通省令に定められた登録証明事業に適合する登録試験として、賃貸不動産経営管理士試験を実施することになりました。

 これについては、省令に制度が定められている登録試験なんだから、国家試験と言えるんじゃないか、ということになりますね。

 そして、この登録試験(=賃貸不動産経営管理士試験)に合格し、証明を受ければ、法に定める業務管理者の要件を満たすことになります。

 つまり、法には直接「賃貸不動産経営管理士」は明記されていないけれど、法に定める業務管理者の要件のひとつとして明記されている「登録証明事業」として証明するのが賃貸不動産経営管理士だから、賃貸不動産経営管理士は国家資格である。ということですね。

 以上が、非常にわかりにくい「法体系に基づく国家資格」という言葉の意味になるかと思います。

 賃貸不動産経営管理士は、本来的な意味での「国家資格」とは少し異なる「広義の国家資格」になるのかもしれませんが、とにかく「国家資格」になったということに間違いなさそうです。

「法体系に基づく国家資格」の意味
  1. 賃貸住宅管理業者に業務管理者の設置義務(法12条1項)
  2. 業務管理者になるには、法12条4項の要件が必要
  3. 法12条4項の要件は、登録証明事業による証明を受けた者(又は、宅建士で管理業務実務講習を修了した者)(施行規則14条)
  4. 登録証明事業とは、賃貸不動産経営管理士試験+証明(施行規則14条)

国家資格となった賃貸不動産経営管理士への移行

 上記のとおり、国家資格となった賃貸不動産経営管理士試験は、2021年度からは、以下のとおり実施されることになります。

 また、過去の合格者は、国家資格への移行手続きが必要となります。

2021年度から法に基づく「登録試験」として実施

 2021年度(令和3年度)試験からは、賃貸不動産経営管理士試験は、賃貸住宅管理業法第12条第4項の知識及び能力を有すると認められることを証明する登録試験として実施されます。

 この登録試験は、(一社)賃貸不動産経営管理士協議会が、登録証明事業実施機関として国土交通大臣の登録を受けて実施するものです。

 この試験に合格し、証明(登録)を受けることで、「国家資格としての賃貸不動産経営管理士」の資格を取得することができます。

2020年度以前の合格者の国家資格への移行

 なお、2020年度試験以前の合格者が「業務管理者(=国家資格としての賃貸不動産経営管理士)」に移行するためには、2022年6月15日まで「民間資格としての賃貸不動産経営管理士」に登録したうえで、「業務管理者移行講習」を修了する必要があります。

 つまり、この日までに移行講習を修了しなかった場合、「業務管理者」になるためには、改めて賃貸不動産経営管理士試験に合格しないといけないということですね。

 さらに、「民間資格としての賃貸不動産経営管理士」の資格は、その日をもって失効することになっています。

 過去に賃貸不動産経営管理士試験に合格した方に対しては、直接、協議会から通知が届いているはずですので、ご確認ください。

「民間資格としての賃貸不動産経営管理士」に登録

 私も、2020年度以前の賃貸不動産経営管理士試験の合格者ですので、まずは、2021年12月10日付けで民間資格としての賃貸不動産経営管理士に登録しました。

賃貸不動産経営管理士認定証(大西雅明 認定番号W02156)

「業務管理者移行講習」を修了することで国家資格へ

 そして、2021年12月30日、eラーニングで2時間の講習及び効果測定を受け終わり、業務管理者移行講習を修了しました。

 これでめでたく私も国家資格としての賃貸不動産経営管理士になることができました。

業務管理者移行講習修了証(大西雅明 修了証番号第0045685号)

賃貸不動産経営管理士証(大西雅明 登録番号(2)045685)

国家資格『賃貸不動産経営管理士』は独学でも合格できる?

 では、国家資格となった賃貸不動産経営管理士試験は、独学でも合格できるのでしょうか?また、合格するためには、どんな勉強方法で、どれぐらいの時間、勉強すればいいのでしょうか。

独学におすすめの勉強方法

 賃貸不動産経営管理士試験は、国家資格化に伴い難化したとはいえ、他の不動産系国家資格(宅建・管理業務主任者・マンション管理士など)に比べると、まだまだ易しい資格です。

 このため、独学であってもテキスト1冊をしっかりと読み、問題集(過去問)を複数回繰り返すだけで、短期合格も十分に可能です。

 独学の勉強方法については、賃貸不動産経営管理士の独学におすすめの勉強法のページで、そして、独学におすすめのテキストについては、賃貸不動産経営管理士の独学におすすめのテキスト・問題集のページで詳しくご紹介していますので、そちらを参考にしてください。

勉強時間は100時間が目安

 賃貸不動産経営管理士試験に合格するためには、一般的に、100時間程度の勉強時間が必要と言われています。

 仮に、1日に1時間の勉強をするとすれば、3ヶ月程度の勉強期間になりますし、1日に2時間の勉強なら1ヶ月半程度、そして3時間の勉強なら1ヶ月程度の勉強期間になりますね。

 勉強時間の詳細については、賃貸不動産経営管理士の独学に必要な勉強時間は?のページをご参照ください。

独学が不安な方は通信講座もおすすめ

 なお、独学が不安な方や、短期合格を目指したい方には、通信講座もおすすめです。

 下記の記事では、賃貸不動産経営管理士のおすすめ通信講座を徹底的に比較してランキング形式でご紹介しています。費用の安さや合格率の高さ、サポートの充実度など項目別のおすすめ通信講座もご紹介していますので、参考にしてください。

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