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第4章
【 愛国詩吟総連盟 】では、
去る令和四年十月九日 都ホテル尼崎・鳳凰の間 に於いて創立85周年記念
祝賀会が催されました。
其の祝賀会の催しのプログラム紙のなかでとり上げられていた、漢詩の中から
屈原
の作になる
「詩」
をご紹介させて頂きます。
関 雎
(かんしょ)
関々
(かんかん)
たる
雎鳩
( しょうきゅう )
は河の 洲に在り
窈窕
(ようちょう)
たる 淑女は 君子の好逑
( こうきゅう )
なり
参差
(しんし)
たる こう菜
(さい)
は 左右に 之を流
(もと)
む
窈窕たる 淑女は 寤寐
(ごび)
に 之を求む
之を求むれども 得ざれば 寤寐
(ごび)
に 思服
( しふく )
す
悠
(ゆう)
なる哉 悠
(ゆう)
なる哉
輾転
(てんてん)
反則す
参差たる こう菜
(さい)
は
左右に之を采
(と)
る
窈窕たる 淑女は 琴瑟
(きんしつ)
もて 之を友とす
参差たる こう菜は 左右に之を選
(と)
る
窈窕たる 淑女は 鐘鼓
( しょうこ )
もて 之を楽しましむ
読み下し現代語訳
カンカンと鳴く
みさご
は 河の中州で対
(つがい)
で鳴く
しとやか
(
窈窕
)
な乙女は 君子の よき つれあいなり
水中に茂る
あさざ
は 右や左に ゆらゆらと流れにまかせ
しとやかな 乙女は 寝ても覚めても 心から離れない
求めても 得られぬので 寝ても覚めても これを想う
長い長い夜を 寝付かれぬまま 寝返りばかり
水辺に 茂る あさざは 右や左に これを采る(さいている)
しとやかな 乙女は
琴と瑟
(
大琴
)
のように相和すだろう
水中に茂る 不揃いのあさざは 右に左にゆれる方を選ぶ
しとやか
な 乙女には 鐘や鼓
(
楽器
)
を奏じて喜ばそう
「
詩経
」
(
紀元前七世紀頃
)
から、300年後、紀元前三世紀の戦国時代末期に、
漢詩の世界に燦然と輝く「
楚辞
」の詩が出現します。
作者、
屈原
は古代の中国が生んだ
情熱的な詩人
(
政治家
)
と云われています。
中国最古の詩集。紀元前12世紀〜BC6世紀、約600年間の詩が305編集められて
います。
孔子が
(
紀元前551
〜
479
)
整理してまとめたと言われ
、
風
(ふう)・
雅
(が)・
頌
(しょう)
の
三つ
に分かれています。
詩経の「詩」は いずれも作者不詳で
、
民衆によって素朴な思いを素朴なまま おおらか
に詠われたものと云われています。
もともとは
古代祭祀
の中で
神を降臨
させ、その神と祭りを楽しむ歌、幸せの祈りで
あった と言われています
この民衆の 素朴な歌謡が なぜ
儒教
という、モラルの教えの
経典
になったのか。
孔子は「詩経」について、「
思い邪
(よこしま)
なし
」とその 心映えの純粋さや清らか
さを称えています。
これは何篇かの詩経を読むと素直に納得のいく指摘で、読んでいて心地よいものと
評価されています。
春秋時代から戦国時代にかけて、他国と交渉をする際、外交官は自国の主張に近い
内容の詩経の詩を選んで歌い、相手も同様に
詩経から選んで
返歌
をしたと云われて
います。なんと おだやかな外交交渉か。
この詩は
『
詩経
』
のトップページを開くと最初に出てくる詩で
、「
風
」
の巻に属します。
孔子の高い評価を受けた
詩経の中で
たった一首
具体的に名前を挙げて言及されて
いるのが この『
関雎
』
(かんしょ)
で、表現が極端でなく 丁度良い具合に纏まっている
さまが啓上されています。
内容は、
貴公子
が美しく しとやかな
淑女
を求める求愛の歌です。生々しい感情という
より、対象に対して一歩距離を置いた品の良い愛情の告白詩です。
みさごや あさざ など背景に選ばれた鳥や植物が容易に想像出来ないが、これらは
祈祷と関係があると云われています。
※ 「アサザ」は加古郡稲美町の天満大池にも自生しており 希少植物として保護されて
います
。
但し此の
「アサザ」
が
4000年前の詩に出てくる
「あさざ」
と同じモノを指しているかは不明。
ミサゴ:魚を好む鷹
アサザ:水生植物
此の詩にある「あさざ」は、個人的な思いであるが、清流の中でゆらゆらしている
「
梅花藻
」の方が詩情には相応しいように思う。
昔の女性美感では、なよなよ と折れそうな風情も
、
美の条件に含まれ
、
水草が小川の
流れに ゆらゆら している様子に掛けて表現されている。
(アサザは「水辺に茂る」より、睡蓮のように水上に咲く。)
この詩は今から数千年も昔の詩でありながら 現在もいくつかの表現が使われています。
参差
(ふぞろい)
・寤寐
(寝ても覚めても)
・求之不得
(求めても得られない)
・
・輾転反側
(寝返りを打つ)
・琴瑟
(きんしつ:夫唱婦随の夫婦仲)
など。
詩経が昔からずっと人々に愛され親しまれてきたことが伺える。
ツァイツェン
中国最古の詩集「詩経」紹介のホームページ