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社会保険労務士田村事務所        事務所便り  『のぞみ』               平成18年4月号

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転職先に部下を引き抜いたら?

昨今よく耳にしますが、引抜き、いわゆるヘッドハンティングによる転職の際、引き抜かれた転職者が、転職先で前の会社の部下を勧誘することは法律上何か問題となるのでしょうか。

 

原則として

労働者には転職の自由があり、企業間には自由競争の建前があります。退職後に行う従前の会社従業員の勧誘・引抜行為は、通常の勧誘行為にとどまる限り、原則として違法性は無いとされています。特に最近は職業選択の自由が優先される傾向にあり、裁判でも引き抜く側に有利になる傾向があるようです。

 

不法行為となる場合

とはいえ、損害賠償請求が認められた判例もあります。それは、引抜き行為が社会的相当性を著しく欠くような方法で行われた場合とされています。社会的相当性の判断基準となる要件は、引き抜かれた人数や、当事者の地位、引き抜かれた企業が被った損害の程度、勧誘行為の計画性などです。いずれの要件も具体的な数字・文言で線引きされているものではなく、個々の裁判で総合的に判断されるものです。

 

企業の対応策は

企業としては、このような引抜きの防止策として、社内規定で退職後2年以内の競合他社への転職を禁ずる旨を定めたり、個別に契約を交わしたりすることが考えられます。

また、転職者が機密情報を漏洩した場合には不正競争防止法違反で別途責任を問うこともできます。

 

改正介護保険法の施行

 20053月に介護保険法が改正され、その大部分が20064月より施行されます。介護保険制度の基本理念である、高齢者の「自立支援」、「尊厳の保持」を基本としつつ、『介護予防』をキーワードに、給付費のかさむ利用者を増やさないようにして、高齢化で膨らむ傾向にある給付費の増加を抑えることが狙いです。

 

予防重視型システムへ

従来の介護認定は、要支援・要介護156段階(新制度では要支援が12に分かれ、7段階)に分かれていますが、その内訳をみると要支援と要介護1の「軽度の要介護者」で全体の約半数を占め、さらに、この「軽度の要介護者」の約半数が認定後に重度化していると言われています。

ところが、介護保険の創設時は、状態を改善に向かわせることに重点を置いた、いわゆる予防的なサービスはほとんど考えられていませんでした。

そこで、この「軽度の要介護者」に対する介護予防に重点が置かれたわけです。

 

 

予防通所介護と予防訪問介護

介護予防サービスは筋力トレーニングなど利用者が施設に通って受ける「予防通所介護」と、従来の介護サービスを予防中心に変えた「予防訪問介護」の二つが柱です。

予防通所介護は、体力向上のための栄養指導や、体操や器具を使った筋トレなどを、従来のような集団ではなく、一人ひとりの状態に応じて目標や期間を定めて実施します。

予防訪問介護は、今までのような全面的な家事代行はせず、例えば自宅を訪れたヘルパーさんと一緒に料理を盛りつけたり、洗濯物を畳んだりするなど、利用者の自立度を高める内容となっています。

 

費用は

予防通所介護と予防訪問介護のいずれも事業者による無駄なサービス提供を抑えるため、回数に応じた出来高払いではなく、月あたりの定額制としました。長時間サービスを受けても同一の内容なら、利用者の追加負担は不要であり、負担費用の予測がしやすくなります。

 

平均月給5年ぶり増加、正社員数も8年ぶり増

厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によると、2005年の労働者の平均月給総額は前年比0.6%増の334,910円で5年ぶりの増加となりました。雇用についても正社員の雇用が増加し、景気回復の傾向がうかがえます。

 

◆賃 金

現金給与総額のうち、所定内給与(きまって支給する現金給与のうち超過労働給与(所定外給与)を除いたもの)は0.2%増の253,497円、所定外給与(所定の労働時間を超える労働、休日労働、深夜労働に対して支給される給与)は1.6%増の19,305円、ボーナスなど特別に支払われた給与の月平均は前年比2.1%増の62,108円となり、景気回復が賃金に反映されてきていると見られます。

賃金(月間)

現金給与総額

所定内給与

所定外給与

特別に支払われた給与

334,910

+0.6

253,497

+0.2

19,305

+1.6

62,108

+2.1

※( )内は前年比(%)

 

◆雇  用

常用労働者は4,3094,000人で前年比0.5%増と2年連続の増加となりました。このうち正社員などの一般労働者は前年比0.5%増と8年ぶりに増加し、景気回復を背景に企業が積極的に正社員雇用を進めていることがうかがえます。

パートタイム労働者は前年比0.6%増で、調査が始まった1990年以来増加が続いています。

常用労働者

一般労働者

パートタイム労働者

43,094千人

+0.5

32,176千人

+0.5

10,918千人

+0.6

※( )内は前年比(%)

 

調査は従業員5人以上の約33,000事業所が対象となっています。

 

少子化対策

政府は、急速に進む少子化を食い止めるには、仕事と子育ての両立を促す企業環境の整備が不可欠とみており、次世代育成支援対策推進法(次世代法)で社員300人超の企業に行動計画の策定を義務付けました。それに伴い、主要企業が社員の子育て支援策を相次いで拡充し始めています。

 

●主要企業の例

東京海上日動火災保険やサントリーなどは、子どもが小学3年生になるまで勤務時間を短縮できる制度を導入、日産自動車では妊娠がわかれば即座に産前休暇を認める制度を導入しました。企業の支援策が実際にどの程度活用されるかは未知数ですが、リーディングカンパニーの名に相応しい実績を残していただきたいところです。

ちなみに、政府は女性の育児休業の取得率の目標を80%としていますが、実際には2004年度で70%強、同年の男性の取得率は政府目標の10%に対して0.44%でした。制度はあっても利用しにくい雰囲気があるとの指摘は以前から多くあります。

 

●兵庫の例

兵庫県では、「5年間で25万人」の赤ちゃんを産んでもらおうという“産めよ増やせよ”作戦に着手するため、平成18年度の予算案に約618億円を盛り込んだそうです。

また、「晩婚化・未婚化の進行」への対策として、平成18年度から男女の出会いを支援するお見合い紹介事業を始めます。これは「ひょうご出会いサポート事業」という名称で、企業、自治体など会員団体を募り、職場交流会で気の合った相手を探してもらうシステムです。出生率の低下に危機感を抱く兵庫県は、年平均5万人への回復を目標に、結婚支援など少子化対策を多角的に展開していく方針です。

 

●その他の例

富山県では経営者の次世代育成支援事業に100万円を予算化したり、久留米市では特定不妊治療を行う夫婦を対象に、来年度から年間5万円を独自に助成することを決めました。

 

公益通報者保護法

(平成1841日施行)

 

この法律は公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効等ならびに公益通報に関して、事業者および行政機関がとるべき措置を定めることにより、公益通報者の保護等を図ることを目的としています。当法は施行後になされた公益通報について適用されます。

 

公益通報者の保護

@    解雇の無効…公益通報をしたこと  を理由として事業者が行った解雇は無効です。

A    解雇以外の不利益取扱いの禁止…解雇以外にも、公益通報をしたことを理由とするその他の不利益取扱いも禁止されています。

●「その他の不利益取扱い」の例 

降格、減給、訓告、自宅待機命令、給与上の差別、退職の強要、専ら雑務に従事させること、退職金の減額・没収(退職者の場合)

B 労働者派遣契約の解除の無効等…派遣労働者が派遣先で生じている法令違反行為を通報しても、それを理由とする労働者派遣契約の解除は無効であり、派遣労働者の交替を求めること等も禁止されています。

 

通報は実名で

法は実名での通報を前提に、通報者が不利益な取扱いを受けないよう規定しています。匿名での通報については、通報者に連絡がつかないために十分な調査ができず、通報者へのフィードバックも困難であることから、実名の通報と同様の処理は行えなくなるからです。

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                                       所長  特定社会保険労務士 田村 幾男


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