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社会保険労務士田村事務所        事務所便り  『のぞみ』               平成18年10月号

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横行する偽装請負と労働局による

是正指導

 

◆「偽装請負」の現状

製造業の工場などで「偽装請負」と呼ばれる違法な労働形態が広がりを見せています。メーカーなどが請負労働者に直接指揮命令を行う偽装請負について、厚生労働省では、労災隠しにつながる恐れもあると警戒を強め、全国の労働局が2005年度に是正指導した件数は過去最多となりました。

偽装請負が見つかった場合、多くは労働局の是正指導でとどまっていますが、悪質な場合は「事業改善命令」や「事業停止命令」などで対応しているようです。

 

◆「偽装請負」とは?

偽装請負は労働者派遣法などに抵触するもので、元々建設業界に多かったのですが、最近では製造業などでも横行するようになり、厚生労働省では、2004年度から企業への立ち入り調査を強化していました。

メーカーの製造現場などで偽装請負が増えている背景には、外部の労働者を低賃金で、しかも安全責任もあいまいなまま使える好条件を、メーカー側が暗黙のうちに利用している実態があると言われています。

メーカーなどが外部の労働者を指揮命令するためには、労働者派遣法に基づき派遣契約を結ぶ必要がありますが、形式的な「請負」と装った場合には労働安全衛生法上の義務などを負う必要がなくなります。派遣、請負、正社員が同じ工場で働く場合、企業側が直接指揮命令を行えるのは派遣と正社員のみです。

そこで工場内での業務をスムーズに、効率よく進めたい企業が、一括して直接命令を出して「偽装請負」となるケースもあるようです。

また、メーカー側がきちんと派遣に切り替えた場合、派遣労働者が原則1年以上同じ企業で勤務した場合、労働者に直接雇用を申し入れなければならないためにコスト増になることから、派遣への切り替えに消極的な企業が多いのが実態のようです。

 

◆つながる「労災隠し」への不安

偽装請負が行われている場合、請負会社は労働者をメーカーに送り込むだけで、安全に関する責任の所在があいまいになりがちです。

そしてひとたび「労災」をきっかけに行政期間が立ち入り調査すると、偽装請負が発覚してしまう可能性があることから、「労災隠し」が起きやすいとも言われています。 

これでは労働者も「安心して働けない」と不安の声が広がっているのです。

 

健康保険料率の上限が

2008年度から引上げ

 

◆料率上限が年収の10%に

厚生労働省は、労使が折半で負担している会社員の健康保険料の料率上限を、2008年度から年収の10%に引き上げることを決定しました。

現在は健康保険組合の料率上限は9.5%、政府管掌健康保険は8.2%で一律となっています。実際に今後料率を見直すかどうかは各組合が独自に決めることとなりますが、引き上げの動きが増える可能性が大きいようです。

 

◆健康保険組合

健康保険組合は200641日時点で全国に1,548組合あり、その保険料率は国が定めた年収39.5%の範囲で各組合が設定しています。厚生労働省は、20084月から保険料率の上限を0.5ポイント引き上げて、10%に変更する通知を年内にも出す方針です。

上限の引上げは、医療制度改革で2008年度から毎年の健康診断と保険指導が義務付けられることに合わせた措置であり、健康診断費用は11回あたり数千円程度かかるとみられ、健保組合の負担が増えることになりそうです。

 そこで、上限の引上げを契機に、健康診断費用だけでなく将来の医療費増加も考慮して料率引上げに動く組合が相次ぐ可能性もあるとのことです。

 

◆政府管掌健康保険

社会保険庁が運営する政府管掌健康保険は、200810月に新設される全国健康保険協会に運営を移管し、保険料は都道府県単位で設定することが決まっています。厚生労働省は、組織再編後の保険料率の上・下限も健保組合と同様に年収の310%とします。

現在8.2%で全国一律の料率は、再編後、地域の医療費水準を反映した料率を算定し、200910月までに変更されることになります。地域でかかった医療費が増えれば保険料率が上がり、医療費が減れば保険料率も下がる仕組みで、医療費の効率化を促します。ただ、医療費が高止まりした都道府県でも料率の引上げは10%までで止まることになります。

 会社員の健康保険料は実額ベースの上限もあるため、収入が多い人でも保険料負担が際限なく増えることはありませんが、今回の改革では、20074月から実額の上限も年間98万円から121万円に引き上げられるため、高所得層ほど、今よりも負担が重くなる見通しです。

 

仕事に関係のない

ウェブサイトの閲覧

 

◆取引先との会話に困る?

企業で、業務に関係のないウェブサイトの閲覧を制限する動きが広がっているようです。業務の効率アップを図るともに、情報漏洩対策を強化する企業が増えているためです。

そんな中、青少年向けとして始まった有害サイトを遮断する「フィルタリングソフト」の市場が昨年は約2割伸びており、学校や家庭以上に企業で浸透しています。このソフトを導入すると、買い物サイトやスポーツニュースなど、趣味のサイトを閲覧しようとした場合、画面上に「このページは利用制限されています」、「業務に関係ありますか」といった警告が表示されます。

従業員の中には、「野球やゴルフの結果がわからないので、取引先との会話に困る」といった意見もあるようです。

 

◆サイト閲覧の4分の1が私的利用?

国内ソフトメーカーによれば、ある企業では、フィルタリングソフト導入前に閲覧されたウェブサイトのうち、約4分の1が業務に関係のない私的利用だとみられるそうです。

個人情報保護法が施行され、企業が情報漏洩対策や内部統制を進める中、ウェブサイトにアクセスしただけで情報が漏洩する危険性もあるため、アクセス制限や履歴の監視などの対策をとる必要がでてきたようです。

 

◆プライバシーの問題は?

社員の電子メールの送受信については、一定のプライバシーを認める判例があります。

一方、ウェブサイトは情報を得る手段に過ぎず、アクセス制限にプライバシー侵害が成立する余地はないと考えられていますが、チェックされる側がストレスを感じる方法をとると人格権の侵害につながる可能性がないとは言えない、との指摘もあります。

 

育児休業取得者増加への

対応が重要に

 

◆育児休業制度の有無、育児休業の取得率

厚生労働省の調査によると、育児休業制度の規定のある事業所は61.6%(平成14年度61.4%)で、事業所規模30人以上では86.1%(同81.1%)だそうです。

事業所規模別にみると、500人以上で99.9%(同99.2%)、100499人で95.5%(同93.6%)、3099人で83.7%(同78.0%)、529人で56.5%(同57.5%)と、規模が大きくなるほど規定がある事業所の割合が高くなっています。

また、平成16年度に出産した女性労働者の育児休業取得率は72.3%と、平成16年度の調査(70.6%)より1.7ポイント上昇しており、事業所規模30人以上では80.2%(平成16年度78.0%)となっています。

一方、配偶者が出産した男性労働者の育児休業取得率は0.50%と、平成16年度の調査(0.56%)に引き続き低い水準となっています。

 

◆育児休業の期間、育児休業からの復職率

育児休業制度の規定がある事業所における育児休業制度の期間は、子が「1歳6カ月」になるまでとする事業所が79.9%を占めています。また、「1歳6カ月を超え2歳未満」とする事業所割合は3.0%、「2歳〜3歳未満」とする事業所割合は6.1%、「3歳以上」とする事業所割合は1.0%となっています。

また、育児休業からの復職率は89.0%(平成14年度88.8%)であり、男女別にみると、女性は89.0%(同88.7%)、男性は94.9%(同100.0%)となっています。

 

◆事業所としての対応は

育児休業取得者があった際の雇用管理については、「代替要員の補充を行わず、同じ部門の他の社員で対応した」事業所は47.2%(平成14年度51.7%)、「事業所内の他の部門または他の事業所から人員を異動させた」事業所は13.4(19.4)、「派遣労働者やアルバイトなどを代替要員として雇用した」事業所は43.7(39.7)となっています。

今後も、育児休業の取得者は増加していくとみられます。事業所として雇用管理が難しい面もあると思いますが、育児・介護休業法に対応した規定の整備や雇用管理を行うことが、今後見込まれる人手不足に備えるためにより重要になってくるでしょう。



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                                       所長  特定社会保険労務士 田村 幾男


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