人事労務トピックス


人事労務トピックス :2020年

自転車通勤導入の際の留意点 (2020.12)

 新型コロナウィルス感染拡大に伴い、満員電車を避けるため自転車通勤を認める企業が増えているかと思います。また国土交通省も、本年から自転車通勤を推進する企業の認証制度「自転車通勤推進企業宣言プロジェクト」を創設しました。企業にとっては、自転車通勤を認めることで感染リスクの低減、従業員の健康維持増進、企業イメージアップや通勤手当等の固定費削減といったメリットがあります。  しかしながら他方では、従業員が事故を起こした際など、会社に損害賠償責任が及ぶ可能性がありますので、リスク管理の観点から慎重な対応が求められます。そこで自転車通勤を導入する際に、企業が留意・検討すべき事項について以下にあげさせていただきます。
 ・自転車損害賠償責任保険に加入させる(加入証明がなければ自転車通勤を認めない)。
 ・自転車運転の際はヘルメットの着用の義務化を行う。
 ・自転車の定期点検・整備を行わせる。
 ・自転車通勤に関する申請書を提出させ通勤経路等を確認する。
 ・安全運転に関する誓約書をとる。
 ・リスク等について十分に周知・啓発を行う。
 ・自転車運転に関する教育・研修を行う(安全運転講習等を受講させる)。
 ・自転車通勤に関する規定・基準・ルールを定める。
 ・事故発生時時の対応、連絡先について周知する。
 ・労災事故発生時の手続マニュアルなどを整備しておく。

中小企業デジタル化応援隊事業 (2020.11)

 新型コロナウィルス感染拡大に伴い、多くの企業において働き方改革による在宅勤務やテレワークの導入など新しい勤務形態やさまざまな制度変更が求められています。 しかし、企業内にITやデジタル化に詳しい人材がいないため、テレワーク等を導入しようと考えていても、どのように進めていけばよいか分からないといった悩みをお持ちではないでしょうか。そのような企業に対して、外部のIT専門家がデジタル化関連のコンサルティングを行い、そのコンサルティング費用の一部が補助される「中小企業デジタル化応援隊事業」というものがあります。 次のような制度の導入、変更を検討されている企業は、この「中小企業デジタル化応援隊事業」の利用を1度検討してみてはいかがでしょうか。
 ・テレワーク、IoTツールの導入
 ・ホームページ、グループウェアの導入
 ・セキュリティ強化、通信環境の強化、サーバーの変更
 ・インターネットバンキング、ERP(経理や販売などの基幹システムの一元化)の導入
 ・社内向け研修デジタル化
 ・オンライン会議、オンラインイベントの導入
 ・ペーパーレスの推進
 ・EC構築、デジタルマーケティングの推進
 ・IP電話の導入 など
<問い合わせ先>
  中小企業デジタル化応援隊事業事務局 (TEL. 050-2000-7227)
 (公式ホームページ) https://digitalization-support.jp/

マイナンバーカードの健康保険証利用 (2020.10)

 2021年3月(予定)から、マイナンバーカードが健康保険証として利用できることになりましたので、その概要について以下にお知らせいたします。
<利用するメリット>
 @ 就職・転職・引越をしても健康保険証としてずっと使える。
 A 同意をすれば、 初めての医療機関等でも、 今までに使った正確な薬の情報が医師等と共有できる。
 B マイナポータルで自身の特定健診情報や 薬剤情報・医療費情報が見られる(2021年10月から)。
 C マイナポータルを通じた医療費情報の自動入力で、 確定申告の医療費控除が簡単になる(2021年分の所得税確定申告から)。
 D 限度額適用認定証がなくても高額療養費制度における 限度額以上の支払が免除される。
<申込に必要なもの>
 @ 申込者本人のマイナンバーカード+あらかじめ市区町村窓口で設定した暗証番号(数字4桁)
 A マイナンバーカード読取対応のスマートフォン(又はPC+ICカードリーダー)
 B 「マイナポータルアプリ」のインストール
 尚、「マイナポータルアプリ」は、マイナポータルHPアドレスからダウンロードできます(https://myna.go.jp/html/hokenshoriyou_top.html)。

出張時の移動時間の取り扱い (2020.09)

 遠方での会議や顧客の都合等で、従業員が出張や直行直帰等するようなことがあるかと思います。その際の移動時間等の取り扱いについて、労働時間として扱ってよいかどうか分からず、従業員から質問をされた際など、その返答に困るようなことがあるのではないでしょうか。
例えば、遠方に出張するため仕事日の前日に当たる休日に、自宅から新幹線等で直接出張先に移動して 前泊する場合の休日の移動時間について、労働時間に当たるのか、それとも当たらないとしてよいのか、判断に迷うこともあるかと思います。このような出張時の移動時間の取り扱いについては、下記のような考え方で判断します。
 <原則的な考え方>
 出張・直行直帰等に伴う移動時間は、原則として移動中に業務や移動手段等の指示を受けず、自由な利用が保障されているような場合には、労働時間に算入する必要はありません。通常の出張において、新幹線等での移動時間は労働者が自由に使用する場合が多いかと思いますので、特段の制限を付していない限り労働時間に該当しないと考えられます。
 <例外的な考え方>
 ただし、出張の目的が物品の運搬自体である場合や、物品の監視等について特別の指示がなされている場合などでは、使用者の指揮監督下で労働していると判断されます。その為、このような場合は労働時間として扱う必要があります。

障害者雇用優良中小企業認定 (2020.08)

 本年4月1日から、障害者雇用促進法の改正により障害者雇用に関する取り組み状況が優良な中小企業を認定する制度(もにす認定制度)が創設されました。「もにす」とは、共に進む(ともにすすむ)という言葉と、企業と障害者が共に明るい未来や社会に進んでいくことを期待して名付けられました。  この障害者雇用優良中小企業(もにす)認定制度は、常時雇用する労働者が300人以下の事業主が対象となっています。また、各企業の障害者雇用の促進と安定に関する取組み状況等によりポイントが付与され、一定基準以上のポイント(20点以上)を取得することが求められています。他にも条件がありますので、詳しい認定基準等につきましては、厚生労働省ホームページや都道府県労働局、ハローワーク等でご確認ください。
 ・障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)
 https://www.mhlw.go.jp/stf/monisu.html(厚生労働省HP)

「もにす」認定事業主になることで、次のようなメリットを受けることができます。
 @自社の商品・サービス・求人票・名刺等に「障害者雇用優良中小企業認定マーク(愛称もにす)」を使用できます。
 A厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのホームページ等に掲載され、周知広報の対象となります。
 B日本政策金融公庫の低利融資の対象となります。
 C地方公共団の公共調達などで、加点評価を受けられる場合があります。

エイジフレンドリー補助金 (2020.07)

 高齢者が安心して安全に働くことができるよう中小企業事業者による職場環境の改善等の安全衛生対策の実施に対し補助を行う「エイジフレンドリー補助金」の概要について、以下の通りご案内いたします。尚、この補助金の申請には、期限(令和2 年10月31日まで)がありますのでご注意ください。
<対象となる事業者>
次の(1)〜(3)のすべてに該当する事業者
 (1) 高年齢労働者(60歳以上)を常時1名以上雇用している
 (2) 労働者数や資本金の額が一定の中小事業者である
 (3) 労働保険及び社会保険に加入している
<補助金額>
 ・補助対象: 高年齢労働者のための職場環境改善に要した経費
 ・補助率: 1/2
 ・上限額: 100万円(消費税を含む)
<補助対象となる職場環境の改善対策>
 ・通路の段差の解消(スロープの設置等)
 ・階段に手すりの設置
 ・床や通路の滑り防止対策(防滑素材の採用、防滑靴の支給)
 ・安全衛生教育 など
<申請先>
一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会(エイジフレンドリー補助金事務センター)

労働施策総合推進法の改正 (2020.06)

 本年6月1日から労働施策総合推進法の改正により、職場におけるパワーハラスメントについて、事業主に防止のための雇用管理上必要な措置を講じることを義務づけました(中小事業主は、令和4年3月31日までは努力義務)。尚、労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったこと、又は、雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることも禁止されます。
<パワーハラスメントの防止のために事業主が講ずべき措置>
@ 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
A 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
B 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
C 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
D 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
E 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
F 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
G 再発防止に向けた措置を講ずること
H 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
I 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

新型コロナウイルス感染症に関する支援情報 (2020.05)

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、経営環境や資金繰りの面などで、さまざまな影響を受けておられるかと思います。そこで、政府等による支援情報の概要を以下にあげさせていただきます。 尚、各助成金、補助金などの詳細につきましては、経済産業省HP掲載の「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」リーフレットをご参照ください。
「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」 → https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
(1) 雇用調整助成金
 売上高等が減少した企業等が、労働者を休業させた場合などに、休業手当等の一部を助成。
<主な支給要件>
・最近3か月の売上高等が前年同期と比べて10%以上減少している。
(対象期間の初日が令和2年4月1日から 令和2年6月30日までの間は、5%減少)
(2) 小学校休業対応助成金・支援金
 臨時休業した小学校等に通う子どもの保護者に対して、労基法上の年次有給休暇とは別に、有給の休暇を取得させた企業や契約した仕事ができなくなった個人事業主に支給。
<主な支給要件>
・子ども等の世話を行うため有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主。
・契約した仕事ができなくなった個人事業主等。
(3) 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
 テレワークの取組を行う事業主に対して、対象経費の1/2を支給(上限あり)。
<主な支給要件>
・テレワーク機器等を新規で導入する中小企業事業主。

小学校休業等対応助成金・支援金 (2020.04)

 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症対策として、小学校等(※)が臨時休業した場合等に、仕事を休まざるをえなくなった方を支援するため、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、有給の休暇 (労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた企業に対する助成金を支給することを決めました。また、同様の理由で委託を受けて個人で仕事をする方が、契約した仕事ができなくなった場合にも支援をすることとなっています。 支給概要について以下の通りご案内させていただきます。
 ※ 小学校等:小学校、義務教育学校の前期課程、特別支援学校、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
<支給対象者>
・子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有 給休暇を除く。)を取得させた事業主
・子どもの世話を行うことが必要となった保護者であって、委託を受けて個人で仕事をする者
<対象となる子ども>
 @ 新型コロナウイルス感染症への対応として、ガイドライン等に基づき、臨時休業等をした小学校等に通う子ども
 A @)〜B)のいずれかに該当し、小学校等を休むことが必要な子ども
  @)新型コロナウイルスに感染した子ども
  A)風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子ども
  B)医療的ケアが日常的に必要な子ども又は新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患等を有 する子ども
<支給額>
・労働者を雇用する事業主の方:休暇中に支払った賃金相当額 × 10/10 (上限1日8,330円 )
・委託を受けて個人で仕事をする方:就業できなかった日について、1日当たり4,100円(定額)
<適用日>
  令和2年2月27日〜3月31日(6月30日まで延長予定)の間に取得した休暇

企業の新型コロナウイルス対応 (2020.03)

 新型コロナウイルスの問題が世間を騒がせておりますが、厚生労働省より労働者を休ませる場合の措置について発表されましたので、一部抜粋して紹介いたします。 新型コロナウイルスに感染した方を休業させる場合と発熱などの症状がある方を自主的に休ます場合とで、対応方法が異なりますのでご注意ください。
<発熱などがある方の自主休業>
 新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休まれる場合は、通常の病欠と同様に取り扱っていただき、病気休暇制度を活用することなどが考えられます。例えば、一定の症状があることのみをもって一律に労働者に休んでいただく措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払う必要があります。
<感染した方を休業させる場合>
 新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払う必要はありません。なお、被用者保険(健康保険等)に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。

子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得(令和3年1月1日施行) (2020.02)

 令和元年12月27日に改正育児・介護休業法施行規則及び改正指針が公布されました。この改正により、令和3年1月1日から育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得することができるようになりました。改正の概要は以下の通りです。
<現行制度の概要>
 1日又は半日(所定労働時間の2分の1)単位で、1年に5日(子、又は対象家族が2人以上の場合は10日)まで子の看護休暇・介護休暇の取得が可能。 ただし、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者等は、半日単位の取得は不可。
<改正後>
 子の看護休暇・介護休暇共に、原則、全ての労働者の休暇の取得が、時間単位※で可能となります。 ただし、子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得することが困難な業務がある場合は、労使協定を締結することにより、時間単位の休暇制度の対象から除外することができます。

※「時間」とは、1時間の整数倍の時間数をいい、労働者からの申出に応じ、労働者の希望する時間数で取得できるようにする必要があります。

道路交通法改正 (2020.01)

 日頃の業務で営業車等を使用されることも多いかと思いますが、昨年(令和元年)12月から道路交通法が改正され、運転中の「ながら運転」に対する罰則が厳しくなりましたので注意が必要です。「ながら運転」とは、自動車等の運転中にスマホや携帯電話を使用する(通話、スマホやカーナビ画面を注視、画面操作する等)ことを指します。 違反した場合の反則金や違反点数は、これまでより厳しくなり、免許停止処分になることもあり得ます。改正の概要は以下の通りとなります。
<携帯電話の使用(保持)等>
 ・罰則  : 5万円以下の罰金 → 6月以下の懲役又は10万円以下の罰金
 ・反則金 : 6,000円 → 18,000円(普通車の場合)
 ・違反点数: 1点 → 3点
<携帯電話の使用(交通の危険)等>
 ・罰則  : 3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金 → 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
 ・反則金 : 9,000円 → 反則金適用外 懲役刑又は罰金刑(普通車の場合)
 ・違反点数: 2点 → 6点(免許停止)
 免許停止等によって業務に影響が出ないように、従業員へ改正内容等を周知して、運転する前に電源を切る、ドライブモードを設定する、安全な場所に停車してから使用することなどを徹底することが求められます。

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