人事労務トピックス


人事労務トピックス :2018年

パワハラ防止対策義務化の方針 (2018.12)

 先日、厚生労働省の労働政策審議会(雇用環境・均等分科会)において、職場のパワーハラスメント(パワハラ)の防止対策を法律で企業に義務付けるとの方針が示されました。厚生労働省は、これらの方針を取りまとめ、来年(2019年)中に関連法案を国会に提出することを目指すとしています。 その中で事業主が講ずべき措置等の具体的内容については、以下の4点を挙げています。働きやすい職場環境をつくるため、また早めに対策を講じるためにも、その内容を一度確認しておきましょう。
<事業主が講ずべき措置等>
(1) 職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)があってはならない旨の方針の明確化や、当該行為が確認された場合には厳正に対処する旨の方針やその対処の内容についての就業規則等への規定、それらの周知・啓発等の実施。
(2)相談等に適切に対応するために必要な体制の整備。
なお、本人が萎縮するなどして訴えられない例もあることに留意すべきこと。
(3)事後の迅速、適切な対応。
(4)相談者・行為者等のプライバシーの保護等。

健康保険被扶養者届出事務の変更 (2018.11)

 平成30年10月1日から、「健康保険被扶養者(異動)届」の事務取扱いが変更され、日本国内にお住まいのご家族の方を被扶養者に認定する際は、証明書類の添付確認が必要となりましたのでご留意ください。
<添付書類等一覧> 

目的 添付書類 添付の省略ができる場合
@ 続柄の確認 次のいずれか
・戸籍謄本または戸籍抄本
・住民票 ※1 (提出日から 90日以内に発行されたもの)
次のア・イの両方に該当する場合
ア・被保険者と扶養認定を受ける方それぞれのマイナンバーが届書に記載されている
イ・左記書類により、扶養認定を受ける方の続柄が届書 の記載と相違ないことを事業主が確認し、備考欄に「続柄確認済み」を付している
A 収入の確認 年間収入が「130 万円未満 ※2」であることを確認できる課税証明書等の書類 次のアまたはイのいずれかに該当する場合
ア・扶養認定を受ける方が、所得税法上の控除対象の配 偶者または扶養親族であることを事業主が確認し、 事業主確認欄の「確認」を○で囲んでいる ※3
イ・扶養認定を受ける方の年齢が 16 歳未満
B 別居の確認 仕送りの事実と仕送額が確認できる書類(振込の場合は預金通帳等の写し、 送金の場合は現金書留の控(写) 次のアまたはイのいずれかに該当する場合
ア・扶養認定を受ける方の年齢が 16 歳未満
イ・扶養認定を受ける方が 16 歳以上の学生

※1 被保険者と扶養認定を受ける方が同居していて、被保険者が世帯主である場合に限ります。
※2 扶養認定を受ける方が次のいずれかに該当する場合は「180 万円未満」です。
・60 歳以上の方、障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者
※3 障害年金、遺族年金、傷病手当金、失業給付等非課税対象の収入がある場合は、受取金額の確認ができる通知書等のコピーの添付が必要です。

65歳超雇用推進助成金「65歳超継続雇用促進コース」の概要 (2018.10)

 昨今の人材不足対策として、高齢者の活用が考えられますが、その高齢者の雇用推進をする企業に対して支給される助成金(65歳超雇用推進助成金)を紹介いたします。
<主な受給要件>
 1.就業規則等により次のいずれかの制度を定め、導入した企業であること。
   @ 65歳以上への定年の引上げ
   A 定年の定めの廃止
   B 希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度
 2.就業規則の見直しには、専門家等(社会保険労務士、弁護士等)の有料コンサルティングを受けていること。
 3.高年齢者雇用推進員の選任及び高年齢者雇用管理に関する措置(教育訓練の実施、経験等を活用できる配置、処遇の改善等)を実施していること。
 4.支給申請日の前日において、当該事業主に1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること。
<受給額>
 定年引上げ等の措置の内容や年齢の引上げ幅、60歳以上の雇用保険被保険者数に応じて、 下表のように受給金額(10万円〜160万円)が異なります(原則として1回限りの受給)。
@ 65歳以上への定年の引上げ、A定年の定めの廃止の場合

60歳以上被保険者数 定年を65歳へ引上げ(5歳未満) 定年を65歳へ引上げ(5歳) 定年を66歳以上へ
引上げ
(5歳未満)
定年を66歳以上へ
引上げ
(5歳)
定年の定めの廃止
1〜2人 10万円 15万円 15万円 20万円 20万円
3〜9人 25万円 100万円 30万円 120万円 120万円
10人以上 30万円 150万円 35万円 160万円 160万円

尚、その他・要件などの詳細につきましては、厚生労働省等でご確認ください。

フレックスタイム制(介護離職対策として) (2018.09)

 近年、扶養親族などの介護等により離職を余儀なくされた方が増加していますが、優秀な人材の確保という視点から企業に対策が求められています。 法律が求める介護休業や短時間勤務などの方法も考えられますが、介護離職対策の一つとして、下記のようなフレックスタイム制を検討されてはいかがでしょうか。
<フレックスタイム制の概要>
 フレックスタイム制とは、一定期間の総労働時間を定めておき、従業員が日々の始業・終業時刻を決定して働く事ができる制度で、導入する場合には以下の要件が必要になります。
(1)就業規則等に始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねることを規定すること。
(2)労使協定において、下記の事項を定める。 
  @ 対象となる労働者の範囲
  A 清算期間(※1)
  B 清算期間における総労働時間
  C 標準となる1日の労働時間
  D コアタイム、フレシキブルタイムを設ける場合には、その開始及び終了の時刻
 (※1)・・・清算期間とは、フレックスタイム制における労働者が労働すべき時間を定める期間で、現行法では、1ヶ月以内の期間とされていますが、法改正で(2019年4月から)3ヶ月まで選択することができるようになります。
 尚、フレックスタイム制に係る労使協定は、行政官庁への届出不要です。

夏期休暇前の確認事項 (2018.08)

 8月は、業種等にもよりますが、お盆休みや夏期休暇等の長期休暇を一斉に取得する企業もあるようです。そこで、夏期休暇に入る前に企業として確認、処理しておくべき事項を、以下にあげさせていただきます。
<夏期休暇前の主な確認・処理事項>
 ・取引先等への休暇期間等の連絡。
 ・取引先等の営業期間の確認。
 ・休暇期間中の従業員の出勤等の勤怠確認。
 ・休暇期間前後の業務スケジュール把握。
 ・休暇期間中の従業員の緊急時連絡網の確認。
 ・休暇期間中の役員の動静確認。
 ・オフィス、建物等の防犯・防災対策。
 ・システム、パソコン等のセキュリティ対策。
 ・郵便物等の取扱い確認と連絡。
 ・新聞紙、定期購読誌等の取扱いと連絡。
 ・ゴミ、廃棄物等の処理確認。
夏期休暇前にすべき事項は、日常の業務と異なるものが多いため、ミスや漏れが発生しやすくなります。安心して夏期休暇をむかえられるように、事前にこれらの事項の取扱いについて確認しておきましょう。

企業の防災対策 (2018.07)

 先日、大阪北部を震源とする地震が発生しましたが、会社(事務所・工場)の被災対応や従業員の安全対策は万全だったでしょうか?  地震などの不測の事態に備えるためには、日頃から災害対策準備を進めておくことが有効です。そこで、企業ができる主な防災対策を以下にあげさせていただきます。
<企業ができる主な防災対策>
 ・防災備品(ヘルメット・懐中電灯等)の準備。
 ・非常食、飲料水等の確保。
 ・医療・救急用品、消火器、消火設備の確認。
 ・建物、備品(机・棚・パソコン等)の転倒防止措置。
 ・災害時の役割分担(避難を判断するリーダー・連絡係等)の決定。
 ・防災訓練(消火訓練、避難経路の確認)の実施。
 ・災害発生時の対応マニュアルの作成。
 ・災害時における従業員との連絡方法の確保。
 ・従業員被災時における従業員家族との連絡方法の確認。
 ・従業員の避難場所・帰宅経路の確認。
なお、内閣府や各自治体においても防災対策について、ガイドラインやマニュアルを作成している場合があります。 どのような対策が必要かを、それらを参考にして検討するのもよいでしょう。

職場の熱中症対策 (2018.06)

 夏に向かい気温の高い日が続くこれからの時期、職場でも熱中症対策が求められます。  従業員が熱中症を発症すると、安全配慮義務違反として企業が訴えられるケースも想定されますので、どのような対策を講じるべきか、事前に確認しておきましょう。 厚生労働省でも、通達で職場における熱中症予防策として、次のようなものを挙げています。
1.作業環境管理
 ・休憩場所の整備やWBGT値(暑さ指数)測定器の設置活用をすること。
2.作業管理
 ・高温多湿作業所を頻繁に巡視、作業時間の短縮等や計画的に熱になれる期間を設けること。
 ・定期的に水分および塩分の摂取を指導すること。
 ・服装等は透湿性・通気性の良い服装を着用させること。
3.健康管理
 ・健康診断結果に基づき異常所見がある場合、医師等の意見を聴き必要がある場合は、就業場所の変更や作業の転換等の措置をとること。
 ・睡眠不足、体調不良などに留意し労働者の健康状態を確認すること。
4.労働衛生教育
 ・熱中症の症状、予防方法、緊急時の応急処置等を作業を管理する者や労働者に対してあらかじめ教育すること。
5.救急処置
 ・あらかじめ病院等の所在地・連絡先を把握し、緊急連絡網を関係者に周知すること。
 ・熱中症を疑わせる症状が出た場合、必要に応じ救急隊を要請、医師の診察を受けさせること。

セクハラ防止のために講ずべき措置 (2018.05)

 最近、セクハラ(セクシュアルハラスメント)に関する話題が世間を騒がせていますが、一旦、セクハラ被害者への対処方法などを間違えると大きな問題になりかねません。 厚生労働省でも、職場におけるセクハラを防止するために事業主が雇用管理上講ずべき措置として、以下の10項目をあげています。どのような防止措置を講ずる必要があるのか、対応方法など、今一度確認しておきましょう。 
 (1)職場におけるセクハラの内容・セクハラがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
 (2)セクハラの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の 内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
 (3)相談窓口をあらかじめ定めること。
 (4)相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。
 (5)事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
 (6)事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
 (7)事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
 (8)再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)
 (9)相談者・行為者等のプライバシー保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
 (10)相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

雇用保険手続きの際にはマイナンバー記載を! (2018.04)

 平成30年5月以降、雇用保険被保険者資格取得届等のハローワークへの届出の際には、必ずマイナンバーを記載しなければならないことになりました。これまではマイナンバーの記載がなくても、届出が受理されていましたが、今後は、必要なマイナンバーの記載がない場合には、補正のため返戻する場合があるとのことです。下記の事務手続をされる場合には、十分にご注意ください。
 マイナンバー記載が必要な届出等は、以下の通りとなります。
 (1) 雇用保険被保険者資格取得届
 (2) 雇用保険被保険者資格喪失届
 (3) 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
 (4) 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付支給申請書
 (5) 介護休業給付支給申請書
 なお、従業員からマイナンバーを取得する際は、厳格な本人確認を行うことも求めています。例えば、なりすまし防止のために、@番号確認(正しい番号であることの確認)と、A身元(実在)確認(番号の正しい持ち主であることの確認)が必要になります。
<その他留意事項>
・ 届出の際に、マイナンバーカード等の写しの添付は不要です。
・ 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書など、ハローワークからの返戻書類には、マイナンバーは記載されません。 

4月〜 改正障害者雇用促進法の施行 (2018.03)

 平成30年4月1日から障害者雇用促進法が改正施行され、法定の障害者雇用率の引き上げや障害者雇用率の算定式に精神障害者が追加されることになりました。
改正のポイントは以下の通りとなります。
(1)障害者雇用率の引上げ
 従業員が一定数以上の規模の事業主は、一定割合で障害者を雇用することが義務付けられていますが、民間企業の場合は、その雇用率が「2.0%」から「2.2%」に引き上げられます。  (さらに平成33年4月までに「2.3%」への引上げが予定されています。) また、障害者雇用率の変更の結果、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲も見直しとなりました。対象企業の範囲も「従業員50人以上」から「従業員45.5人以上」に変更されます。 ※短時間労働者は1人を0.5人としてカウントします。 (さらに平成33年4月までに「43.5人」への変更が予定されています。) 
(2)障害者雇用率の算定の変更 
 障害者雇用率の算定の対象者として、これまで「身体障害者」や「知的障害者」に限られていましたが、新たに「精神障害者」が追加されます。
 なお、1人以上の障害者の雇用義務がある事業主は、毎年6月に障害者雇用状況報告書を管轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ提出する義務があります。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) (2018.02)

 「トライアル雇用助成金」は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を原則3カ月間の試行雇用することにより、その適性や能力を見極め常用雇用への移行のきっかけとして頂くことを目的とした制度です。対象者について、フリーターや母子家庭の母等が対象でしたが、現在では学卒(3年以内)や出産・育児等でブランク期間のある方(※)が、下記の通り拡充されています。
<主な受給要件> 
 ・事前にトライアル雇用求人をハローワーク等に提出し、これらの紹介により、対象者を雇い入れること
 ・原則3カ月のトライアル雇用をすること
 ・1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者等同程度であること
<対象者>
 ・紹介日時点で、学校卒業後3年以内で、卒業後、安定した職業についていない(※)
 ・妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている (※)
 ・紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望する
 ・紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
 ・紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている
 ・就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する(母子家庭の母等)
<受給額>
 支給対象者1人当たり月額4万円(母子家庭の母等の場合、月額5万円)
 最長3カ月間分が支給されます。

募集・求人時の記載等にご注意を (2018.01)

 ホームページや求人媒体、ハローワーク等で労働者の募集や求人申込みをする際は、求人票等に「業務内容」、「賃金」などの労働条件を明示することが必要ですが、改正職業安定法が施行され、本年1月1日から求人票等の記載方法が変更されました。 今回の改正で、これまでの労働条件の明示に加え「試用期間」、「裁量労働制(採用している場合)」、「固定残業代(採用している場合)」、「募集者の氏名または名称」、「雇用形態(派遣労働者として雇用する場合」)の明示が必要となります。
 また、求人票等に記載した労働条件が、入社時の労働条件と異なり、変更があった場合は、速やかに変更内容について労働者へ明示することが求められます。
 例えば、下記@〜Cのような場合には、変更の明示が必要となります。 
@「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
 例)当初:基本給30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月
A「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
 例)当初:基本給25万円〜30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月
B「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
 例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月 ⇒ 基本給25万円/月
C「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
 例)当初:基本給25万円/月 ⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月
 なお、変更明示については、求職者が変更内容を適切に理解できるよう「当初の明示と変更後の内容が対照できる書面を交付する方法」、「労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したり脚注を付けたりする方法」により行う必要があります。
 今後、労働者の募集・求人の際には、ご留意ください。

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