人事労務トピックス


人事労務トピックス :2017年

未成年者雇用時の留意点 (2017.12)

 昨今の労働者不足により、未成年者を雇用する事例が見受けられます。労働基準法では、未成年者を保護するために労働時間の制限や就労禁止業務など、様々な制限が設けられています。未成年者を雇用する際には、労働者の年齢に応じて、次のような注意が必要です。
  @満20歳未満の者(未成年者)
   ・未成年者本人と労働契約を締結しなければならない<労基法第58条>
 ・未成年者本人に賃金を支給しなければならない<労基法第59条>
  A満18歳未満の者(年少者)
   ・年齢を証明する書類を事業場に備え付けなければならない<労基法第57条>
 ・坑内労働・有害業務・危険業務の就業は禁止されています<労基法第62・63条>
 ・原則、変形労働・時間外・休日労働等が制限されています<労基法第60条>
 ・原則、深夜業が制限されています<労基法第61条>
 ・解雇時における帰郷旅費負担(14日以内)<労基法第64条>
  B満15歳に達した日以後の3月31日までの者(児童)
   ・原則、使用禁止されています<労基法第56条>
 ・学校長の証明書および親権者等の同意書を事業場に備え付けなければならない<労基法第57条>
 また、従業員に対して、社内教育や研修を行うことも有効な手段です。この教育研修においても、具体的事例や問題点を挙げ、その場合の懲戒の程度を周知させ、場合によっては損害賠償責任や名誉棄損罪、侮辱罪等が課せられる可能性があることなどを説明し、全社でその内容を共有することが求められます。

インターネット上の誹謗中傷対策 (2017.11)

 近年、インターネットやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等の掲示板に、従業員や退職者と思われるものから、例えば「この会社はブラック企業です」、「上司のパワハラが原因で頻繁に従業員が辞めていく」、「残業時間が多くうつ病で長期休職をしている者がいる」など会社や上司・同僚等を誹謗中傷した内容の文章、画像、動画等がアップされるといった事案が見られるようになりました。このような事態が起きれば、企業にとってブランドや信用力の低下など、様々な問題を引き起します。
   このインターネット上への誹謗中傷対策として、就業規則、SNS等取扱規程や指針(ガイドライン)の整備が考えられますが、これら規程を整備する際には、「会社や個人への誹謗中傷に関する書き込みはしない」、「違法行為をあおる発信はしない」、「業務内容を中傷することは投稿しない」など具体的な禁止事項を挙げ、懲戒処分もありうることを明記することが必要です。
 また、従業員に対して、社内教育や研修を行うことも有効な手段です。この教育研修においても、具体的事例や問題点を挙げ、その場合の懲戒の程度を周知させ、場合によっては損害賠償責任や名誉棄損罪、侮辱罪等が課せられる可能性があることなどを説明し、全社でその内容を共有することが求められます。

キャリアアップ助成金「正社員化コース」 (2017.10)

 政府は、企業に対して様々な助成金の支援策を準備していますが、比較的活用しやすい助成金としてキャリアアップ助成金(正社員化コース)を紹介いたします。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、パート、アルバイト、派遣労働者等の有期契約労働者を正社員等に転換した場合に支給される助成金です。
この助成金を受給するためには、まず、正規雇用への転換や直接雇用する制度を就業規則等に規定し、事前にキャリアアップ計画書を策定し労働局に届け出る必要があります。そして、6か月以上雇用した有期契約労働者(パート、アルバイト、派遣)を正社員等に転換し、さらに6か月継続雇用することで支給申請することができることを留意して下さい。
受給額は以下の通りとなります。
  @有期→正規:1人当たり57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
  A有期→無期:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
  B無期→正規:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
 < >は、原則として生産性(※1)6%以上の向上等が見られる場合、
 ( )は大企業要件該当の場合の支給額
 ※1 生産性の計算 = 営業利益、人件費、減価償却費、動産・不動産賃借料、租税公課の合計額を雇用保険被保険者数で除した額  また、上記金額に加えて、派遣労働者を正規雇用する場合や対象者が母子家庭の母等の加算があります。

ストレスチェック制度の実施状況 (2017.09)

 労働者数50 人以上の事業場を対象として、年1回のストレスチェック制度(※1)の実施が義務付けられていますが、その実施状況が、初めて取りまとめられ、厚生労働省から発表されました。
 その結果、ストレスチェック制度の実施義務対象事業場のうち、82.9%の事業場がストレスチェックを実施済みであることが分かりました(所轄の労働基準監督署へ実施報告書を提出)。また、実際にストレスチェックを受けた労働者の割合は78.0%で、そのうち、医師による面接指導を受けた労働者の割合は0.6%となりました。
 制度導入等に対する助成金として、50人未満の事業場がストレスチェック制度を実施する場合に申請できる「ストレスチェック助成金」、「小規模事業場産業医活動助成金」や労働者数に制限がない「職場環境改善計画助成金」、「心の健康づくり計画助成金」が、政府の支援事業として用意されています。 一旦、メンタルヘルス不調者が出ると企業経営に大きな影響を与える恐れがあるため、助成金活用等で積極的な実施が求められます。

 ※1 ストレスチェック制度とは、職場におけるメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的に、年1回のストレスチェックの実施とその結果に基づく面接指導などの実施を義務づけているもの(労働者数50人未満の事業場については、努力義務)。

無期雇用転換ルールの特例 (2017.08)

 無期雇用転換ルールとは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換させなければならないルールのことです。この無期雇用転換ルールについて、次のような労働者については特例措置として、無期転換申込権を発生させないことが認められています。
   <特例対象労働者>
 @ 専門的知識等を有する有期雇用労働者(高度専門職)・・・5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務に従事する、高収入(年収1,075万円以上)、かつ大臣基準に該当する高度な専門的知識・技術・経験を持つ有期雇用労働者
 A 定年に達した後に、引き続いて雇用される有期雇用労働者(継続雇用高齢者)
 この特例措置を受けるためには、@高度専門職の場合には「第一種計画認定・変更申請書」を、A継続雇用高齢者の場合には「第二種計画認定・変更申請書」を提出し、都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。
 また、平成25年4月1日以後の有期労働契約が適用されるため、最初に5年を超える対象労働者が発生するのは、平成30年4月からとなります。特に継続雇用高齢者の5年超えの雇用を認めるのか、その場合の労働者の処遇をどうするかについて、対応が求められるところです。

人事労務に関するトピックスを掲載しています。  (おそど社会保険労務士事務所)

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