石川虚舟
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 《泉に代えて》   
石川虚舟 2010
 
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石川虚舟/造形 2005~
 
 
 

石川虚舟 《 泉に代えて 》 (レデイメイド) 2010
 
カンボジア国境に近いタイ南部の島のホテルに、
雨水を受ける甕と柄杓が置かれていた。
柄杓で水を汲み、足の砂を洗い流す。
バンコクに戻ると「ウイークエンド・マーケット」で、
取っ手のついた、口のくびれた甕に遭遇。
 
 
 
恵みの水に、泉が深くかかわる。 その泉に深くかかわる 岩には、大地の深い眠り。 大地は天から雨と露を付与される。 泉の水には、天と地の結びつきが深くかかわる。 葡萄の果実から授かるワインには、天地の結びつきが深くかかわる。 その葡萄には、大地の栄養分と天空の太陽熱が賦与されている。 水の恵に、ワインの恵にその都度、天と地が深くかかわる。 ということで注ぎの恵みは、クルークのそのクルーク性である。 クルークの本質に、天地が深くかかわる。
Im Wasser des Geschenkes weilt die Quelle. In der Quelle weilt das Gestein, in ihm der dunkle Schlummer der Erde, die Regen und Tau des Himmells empfängt. Im Wasser der Quelle weilt die Hochzeit von Himmmel und Erde. Sie weilt im Wein, den die Frucht des Rebstocks gibt, in der das Nährende der Erde und die Sonne des Himmels einander zugetraut sind. Im Geschenk von Wasser, im Geschenk von Wein weilen jeweils Himmel und Erde. Das Gschenk des Gusses aber ist das Kruhafte des Kruges. Im Wessen des Kruges weilen Erde und Himmel.
マーティン・ハイデガー 「物(Das Ding)」 1951 
 MARTIN HEIDEGGER, VORTRÄGE UND AUFSÄTZE,
 KLETT-COTTA, S.164-165.
 
天から雨と露を受け入れ貯えられた水は、 岩が鎮座する「泉」から、ゆるりと注がれる。
一方、水甕は天からの雨を受け、貯水する。 取っ手のついた、口のくびれた甕は、 授けられた液体を貯え、そして注ぐ「もの」。
デュシャンの《泉》も液体を受け、そして注ぐ。
 
⇒ マルセル・デュシャン 《泉》 1917
⇒ 石川虚舟 《ガラス製の泉》 2011