ことわざ(諺)色々


 さ行    

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

歳月(さいげつ)人を
待たず
年月は人の都合(つごう)など構(かま)わずどんどん過ぎて
いくということ。
才子(さいし)才に倒
(たお)れる
自分の知識に自信を持ちすぎてかえって失敗すること。
鷺(さぎ)を烏(から
す)
白いものを黒だと言い張る。明らかに違っていることを主張し
てやまない。
先んずれば人を制す 人より先に物事を行えば他人を押さえて有利になるが、遅(お
く)れると人に押さえられて不利になる。先手を打つことが肝要
(かんよう)である、という意。
策士(さくし)策に溺
(おぼ)れる
駆(か)け引きのうまい人は、つい自分の策略(さくりゃく)に頼
りすぎて、かえって失敗する。
酒は百薬(ひゃくや
く)の長
酒は適当な量だと、どんな薬よりも元気が出るということ。
砂上の楼閣(ろうか
く)
基礎がしっかりしていないのですぐに失敗しそうなこと。
五月の鯉(こい)の吹
き流し
さっぱりとして心にわだかまりのないたとえ。端午の節句に立
てるこいのぼりには腸(はらわた)がないから言う。
皿(さら)なめた猫
(ねこ)が科(とが)を
負う
魚を盗(ぬす)み食いしたネコは逃げてしまい、あとから皿をな
めたネコが罪を着せられる。大きな悪事を犯した張本人が捕
まらずに、それにちょっと関係した小物ばかりが捕まって刑罰
を科せられる。
猿(さる)に烏帽子
(えぼし)
サルに烏帽子をかぶせたように、柄(がら)に似合わない言動
のこと。
猿(さる)も木から落
ちる
どんな名人でも時には失敗することもある。
去る者は負わず
自分のもとを去ろうとする者は無理には引きとめない。
去る者は日々に疎
(うと)し
死んでしまった人は、日数がたつにつれて世間からしだいに
忘れられてゆく。親しかった人も、遠くはなれてしまうとしだい
に疎遠(そえん)になる。
触(さわ)らぬ神に祟
(たた)りなし
関係さえしなければ、災いを招くことはない。よけいな手出し
はするな。
三顧(さんこ)の礼 目上の人が、礼を尽くして人を迎(むか)えること。
三十六計逃げるに如
(し)かず
計略(けいりゃく)にはいろいろあるが、一番よい手は逃げる
べき時には逃げて身の安全をはかることだ。ふつう、困って逃
げるとき、ひきょうだと言われるのを自ら慰(なぐさ)めるために
いう。
山椒(さんしょう)は
小粒(こつぶ)でもぴ
りりと辛(から)い
体は小さくても、才気や能力のある人がいるということ。山椒
の実は小さいけれども、非常に辛いところから言う。
三省(さんせい) たびたび反省する。「三」は、三回ではなくしばしばの意味。
三人寄れば文殊(も
んじゅ)の知恵
平凡(へいぼん)な人間でも、三人寄り集まって考えれば、文
殊菩薩(もんじゅぼさつ)の知恵のようにすぐれた知恵が出る。
「文殊」は知恵をつかさどる菩薩。
算を乱(みだ)す ばらばらに散ること。



 し さ行   


四角な座敷(ざしき)
を丸く掃(は)く
こまかいところまで注意を配らず、いいかげんな仕事をするこ
と。
鹿(しか)を逐(お)う
者は山を見ず
一つのことに夢中になっている者は、ほかのことを顧(かえり)
みない。目先の利益を得ることに夢中になっている者はまわり
の事情に気づかない。
地獄(じごく)で仏 とても困っているときに、思いがけない援助(えんじょ)がある
こと。
しし喰った報(むく)い 悪事をしたために受けなければならない報(むく)い。よい思い
をしたからには、困ることが起きてもあたりまえだということ。
獅子(しし)身中の虫 内部から災(わざわ)いを起こすもの。味方でありながら味方を
害するもの。
事実は小説よりも奇
なり
事実は作りごとの小説よりもかえって奇妙で不思議なものだ。
私淑(ししゅく) 尊敬する人が過去の人だったり遠方の人であるため、直接に
は教えを受けられないが、その著書などによって間接にその
人を模範(もはん)として慕い学ぶこと。
児孫(じそん)のため
に美田を買わず
良い田を買って子孫のために財産を残しても本人たちのため
にはならないから、あえてそのようなことはしない。
親しき仲にも礼儀あ
どんなに親しい友達どうしでも、相手に対する礼儀を欠いては
ならない。
舌(した)を巻(ま)く とても感心したり驚いて口がきけない様子。
疾風(しっぷう)に勁
草(けいそう)を知る
はげしい風の吹くことによってはじめて、風にも折れぬ強い草
が見分けられる。苦難や事変に遭遇(そうぐう)してはじめて、
その人の意志や節操(せっそう)の強固さがわかるというたと
え。逆境(ぎゃっきょう)にあってはじめてその人の真価がわか
る。
雌伏(しふく) 将来活躍する日を期しながら、人の下に屈従(くつじゅう)して
いること。
釈迦(しゃか)に説法 知り尽くしている人になまかじりの教えを説く愚(おろ)かさを
言う。
蛇(じゃ)の道はへび 同じ仲間のやったことならすぐわかる。ヘビの通った道が他の
ヘビにはよくわかるように、仲間の者がやることは、すぐに推
察(すいさつ)できる。
弱冠(じゃっかん) 男の二十歳。転じて、広く年が若いことをいう。昔、男は二十
歳を「弱」といい、元服して冠(かんむり)をかぶったのでいう。
「若冠」と書くのは誤り。
柔(じゅう)よく剛(ご
う)を制す
弱い者がかえって強い者を負かすこと。しなやかなものは弱そ
うに見えてもかたいものの鋭い鉾先(ほこさき)をうまくそらし
て最後には勝ちを得るものだ。
重箱の隅(すみ)を楊
枝(ようじ)でほじくる
非常に細かいことまでせんさくし、あれこれうるさく言う。
雌雄(しゆう)を決す 勝敗を決める。
朱に交われば赤くな
朱色のものに交われば、自分もやがて赤色になる。人はつき
あう友達によって良くもなり悪くもなる。
春秋(しゅんじゅう)
に富む
年が若いこと。将来が長いこと。
春宵一刻値千金(し
ゅんしょういっこくあ
たいせんきん)
春の夜はとてもよいもので、わずかな時間が一千金にも値す
る。
春眠(しゅんみん)暁
(あかつき)を覚えず
春の夜は寝心地(ねごこち)がよく、夜明けも知らずつい眠り
つづけてしまう。
正直の頭(こうべ)に
神宿る
正直な人には常に神仏(しんぶつ)の加護(かご)がある。
上手(じょうず)の手
から水が漏(も)る
上手な人でも時には失敗することがある。
少年老い易(やす)く
学成り難し
月日がたつのは早く、若いと思っていてもすぐ年を取ってしま
い、学問はなかなか成就(じょうじゅ)しにくい。だからわずか
な時間でも惜(お)しんで勉強しなければならない。
将を射(い)んとせば
まず馬を射(い)よ
目的物を得るには、その周囲にあるものから攻めるのが早道
である。
初心忘るべからず ものごとを始めたときの、まじめな気持を忘れてはならない。
助長(じょちょう) いらぬ力添えをして、かえって害すること。
 宋国の人が稲の苗(なえ)の成長を早めようとして、その穂先
(ほさき)を引っ張り、かえって枯らしてしまった話。
知らぬが仏 知ればこそ腹も立つが、知らなければ心が仏のように穏(お
だ)やかでわだかまりもない。当人だけが事件や真相を知らず
にのんきに構えているのをあざけっていう場合にも使う。
しり馬に乗る よく考えないで、人の後について物事を言う。
尻(しり)に目薬 見当違いなこと。全く効き目のないこと。
人間(じんかん)到る
所青山(せいざん)あ
「人間」は「人」ではなく「世間・世の中」、「青山」は「木の繁
(しげ)った山」でなく「骨を埋(う)める土地・墓場」のこと。つま
り、世の中にはどこにでも骨を埋める土地はあるから、大きな
志をもつ者は故郷を離れて活躍(かつやく)せよ、という意味。
沈香(じんこう)も焚
(た)かず屁(へ)もひ
らず
香を焚(た)くほど風流で魅力的でもなく、おならをして人に嫌
(きら)われるでもない。特に役に立つこともないが害にもなら
ぬ、平々凡々(へいへいぼんぼん)な状態。可もなく不可もな
いというタイプの人。
人後に落つ 人の後ろに下がること。人に負ける。他人より劣(おと)る意。
人事を尽くして天命を
待つ
力の限りやるだけのことをやったら、後の結果は天命にまか
せるということ。
死んだ子の年を数え
いまさら言っても仕方のない過去のことをあれこれ言うこと。
心頭を滅却(めっきゃ
く)すれば火もまた涼
(すず)し
よけいなことを考えたり、迷(まよ)ったりする心を捨てれば、
火さえもすずしく感じられる。



 す さ行   

すりこぎで重箱(じゅ
うばこ)洗(あら)う
こまかいところまで行き届かないこと。
住めば都(みやこ) 住み慣れれば、どんな土地でも都同然に住み心地がよくなる
ものである。
脛(すね)に疵(きず)
を持つ
隠している過去の悪事があって、やましいことがあることをい
う。
棄(す)てる子も軒
(のき)の下
子に対する親の愛情は深く、子を捨てる場合にも雨風があた
らないようにと、軒下を選ぶ。
雀百まで踊(おど)り
忘れず
雀は死ぬまで飛びはねる癖(くせ)が抜けない。幼時から身に
しみ込んだ習慣は、年をとっても改めにくい。
雀(すずめ)の涙 ごくわずかなことのたとえ。
杜撰(ずさん) 著作などに誤りが多いこと。いい加減で、ぞんざいなこと。宋
の詩人の杜黙(ともく)の詩は、詩の規則に合わないものが多
かった。そこで、時の人がいい加減なものを杜撰(杜黙が作っ
たものという意味)というようになった。
過ぎたるは猶(な)お
及(およ)ばざるがご
とし
何事もやり過ぎるのは足りないのと同じで、ちょうどよい程度
にやるのがベスト。
好きこそ物の上手な
人が大成するのは素質(そしつ)ということもあるが、それが
好きであり、熱心に努力するからこそ上達(じょうたつ)するの
である。
数奇(すうき) 不幸せ。不遇(ふぐう)。「数」は運命のことで、「奇」は時世(じ
せい)に合っていないこと。
推敲(すいこう) 詩文の字句を何度も練(ね)り直すこと。詩人の賈島(かとう)
が自分の詩の一句に「推」と「敲」の字のどちらを使うか迷った
ことから。
水魚の交わり 非常に親密な交際。魚は水がなければ生きていかれないよう
に、離れることができない非常に親密な間柄(あいだがら)。蜀
(しょく)の劉備(りゅうび)が、諸葛亮(しょかつりょう)との交
際について言った言葉から。



 せ さ行   

青雲の志 ◇社会的に高い地位につき、有名になろうとする志。
◇行いが清く、俗世(ぞくせ)から離れようとする志。
精神一到何事か成ら
ざらん
何事も一生懸命やれば、できないことはない。
清濁(せいだく)併
(あわ)せ飲む
心の広いことで、善人悪人の区別なく、寄って来るものはみな
受け入れること。「清濁」は、正と邪、善人と悪人の意。
急いては事を仕損じ
あまり焦(あせ)ると失敗しやすい。
青天の霹靂(へきれ
晴れた青空に急に起こった雷鳴(らいめい)。突然に起こった
大事件のたとえ。
席暖まるに暇(いと
ま)あらず
非常に忙(いそが)しい形容。忙しくて席に座(すわ)っている
暇がないという意味。
赤貧(せきひん) ひどい貧乏(びんぼう)。「赤」は何もない意味。
雪中の松柏(しょうは
く)
困難にあっても節操(せっそう)を変えないこと。松や柏(この
てがしわ)などの常緑樹は、寒い雪の中でも葉の色を変えな
いことから。
節を折る それまでの主義や態度を変える。「節を屈(くっ)する」ともい
う。
背に腹は代えられぬ 腹を背中の代用にできないことから、目の前の重大事のため
には他を犠牲(ぎせい)にすることはやむを得ない、という意。
狭(せま)き門より入
自分を鍛(きた)えるためには、楽な方法より苦しい方法をとる
ほうがよい。
前車の覆(くつがえ)
るは後車の戒め
前の人の失敗は後の人の戒(いまし)めとなる。
前車の轍(てつ)を踏
(ふ)む
前の人がした失敗を、後の人が繰り返すこと。「前轍を踏む」と
もいう。
前人の植えた樹 昔の人が樹を植えておいてくれたおかげで、後の世の人は木
陰(こかげ)で涼(すず)むことができるという意味で、先代の
善行のおかげで後の者が楽をできることに対して使われる。
栴檀(せんだん)は二
葉より芳(かんば)し
香(かお)りの高い栴檀(びゃくだん)の木は、二葉のころから
すでにいい香りを放つところから、すぐれた人は、幼いころか
ら人並み以上の才能を表すということ。
船頭(せんどう)多く
して船山へ上る
物事を進めるにあたって、あまり指図(さしず)をする人が多い
と、統一がとれず全く見当違いのほうに進んでいってしまう。
善は急げ よいことをするには、ためらわずすぐにやるのがよい。
前門の虎(とら)、後
門の狼(おおかみ)
一つの災難(さいなん)から逃(のが)れたかと思うと、また他
の災難にあうこと。
千里の道も一歩から 遠い旅路(たびじ)も足もとの第一歩から始まる。どんなにすば
らしいことでも、ほんの小さなことの積み重ねによってできる。
千慮(せんりょ)の一
思いがけない失敗。



 そ さ行   

総領(そうりょう)の甚
六(じんろく)
長子(ちょうし)は他の兄弟に比べてぼんやりしていておとなし
い。
袖(そで)すり合うも
他生(たしょう)の縁
(えん)
全く知らない人とのふとした出来事も、前世からの縁によるも
の。 「他生」とは、現世(げんせ)とは違う時代のことで前世を
指している。
備えあれば患(うれ)
い無し
ふだんからしたくをしておけば、何が起きても心配することは
ない。
忖度(そんたく) 他人の気持ちを推(お)し量(はか)ること。