ことわざ(諺)色々



 な行    

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

無い袖(そで)は振れ
相手に対して何かをしてあげたくても、自分に無い物は出しよ
うがない。
泣いて暮らすも一生
笑って暮らすも一生
同じ一生を送るのに、たとえ辛(つら)い人生であっても泣いて
暮らすより笑って暮らすほうがよい。
泣いて馬謖(ばしょ
く)を斬(き)る
全体の秩序(ちつじょ)を守るためには、愛する部下であって
も、掟(おきて)に背けば厳正に処分する。諸葛孔明(しょかつ
こうめい)は、馬謖が自分の言いつけを聞かずに軍を進めて
戦いに負けた時、親友の息子ではあったが、軍法をまげずに
涙を流しながら斬ったという故事。
長い物には巻かれろ 力のある者に従っていると、自分のためになる。
鳴かず飛ばず 何もしないでいる。人目につくような活躍(かつやく)をしない
で、ただじっとしている。
鳴かぬ蛍(ほたる)が
身をこがす
源重之の「音もせで思いに燃ゆる蛍こそ鳴く虫よりも哀(あ
わ)れなりけれ」で、口に出して言わない者のほうが心では深
く思っている。
流れに掉(さお)さす 流れを下る舟に棹をさすことで、勢いのついたところへさらに
助力がふえること。
泣きっ面に蜂(はち) 困っているところに、さらに運の悪いことが重なる。
泣く子と地頭には勝
てぬ
泣いてだだをこねる子供と、権力を握(にぎ)っている横暴(お
うぼう)な地頭には、こちらがどんなに正しいことを言っても聞
き分けてもらえない。権力のある者には、理屈(りくつ)の善し
悪しにかかわらず勝てる見込みがないので、無理でも従うより
他ない。
泣く子も目を見る だだをこねて泣く子も、相手の顔色を伺(うかが)いながら泣く。
くみしやすしと見ればなお泣くし、手ごわいと見れば泣き止む。
相手の様子を見よということ。
無くて七癖(ななく
せ)
どんなに癖の無いような人でも、何か癖はあるものだ。
情けが仇(あだ) 相手のために情けをかけたのが、かえって自分に災いとなっ
てかえってくる。
情けに刃向かう刃
(やいば)なし
情けをかけられれば、どんな人も背(そむ)くことはしない。
情けは人の為(ため)
ならず
情けを人にかけるのは、その人の為になるだけではない、人
に情けをかけておけば、いつか巡(めぐ)り巡って自分によい
報(むく)いが返ってくる。善行(ぜんこう)は結局は自分にも返
ってくるものだから、人には親切にせよ、という教え。
仲人(なこうど)は宵
(よい)の口
仲人は結婚式が済んだら、若夫婦のじゃまにならないように
いつまでもいないほうがよい。
梨(なし)のつぶて 便(たよ)りを出しても返事のないこと。音沙汰(おとさた)のな
いこと。
七重の膝(ひざ)を八
重に折る
嘆願(たんがん)すること。非常にていねいにおわびすること。
七転び八起き 七たび転んで八たび起きる。何回失敗してもくじけないでがん
ばる。
七度(ななたび)尋
(たず)ねて人を疑(う
たが)え
物がなくなった時は、自分の周りをよく捜(さが)してみよ。よく
捜しもしないで人を疑ってはいけない。
名は体を表す 名と実態とが一致している。
怠(なま)け者の節句
働き
ふだん怠けている者に限って、他の人が休む節句の日になっ
て働く。
生兵法は大けがのも
中途半端(ちゅうとはんぱ)な知識は、かえって失敗のもとで
ある。
なめくじに塩 すっかりしょげてしまうこと。苦手(にがて)な相手の前に出て
萎縮(いしゅく)してしまうこと。
習い性(せい)となる 習慣が第二の天性となる。悪い習慣を繰り返していると、それ
が生まれつきの性格のようになる。
習うより慣れよ 教わり習っただけではなかなか自分のものにならないが、何
度も実際にやって体が慣れれば自然に身につくようになる。
ならぬ堪忍(かんに
ん)するが堪忍
もうがまんできないというところを、じっとがまんするのが本当
の堪忍というものだ。
習わぬ経は読めぬ 習って知っていることでないと、やれと言われてもできない。
名を捨てて実(じつ)
を取る
名誉(めいよ)は人に譲(ゆず)り、利益を得るようにする方が
賢明である。
何でも来いに名人な
さあ何でも来い、どんなことでもやってやる、と言う人に名人は
いない。



 に な行   

二階から目薬(めぐ
すり)
二階にいる人が階下にいる人に目薬をさすように、思うように
ならなくてもどかしい。
逃がした魚は大きい あと少しのところで手に入らなかったものは、惜しかったという
気持が強いため、実際よりよく思えるものだ。
憎(にく)まれっ子世
に憚(はばか)る
人に憎まれるような人が、かえって世間では幅(はば)をきか
す。
西から日が出る 絶対にありえないことのたとえ。
西と言えば東と言う 人の言うことにいちいち反対すること。
二足の草鞋(わらじ)
を履(は)く
表向きの仕事のほかに、同じ人がそれと相反するような他の
仕事を同時にすること。警官が麻薬(まやく)の密売をするな
ど。
二兎(にと)を追う者
は一兎をも得ず
二匹のウサギを同時に捕まえようと追いかけても、結局一匹
も捕まえられなくなる。同時に二つのことを得ようとすると、結
局はどちらも得ることができない、という意
女房と畳(たたみ)は
新しいほうがよい
新しいものはすべて美しい。
人間到る処青山(せ
いざん)あり
人間はどこにでも活動する場所はある。「青山」は墓地(ぼち)
のこと。



 ぬ な行   

糠(ぬか)に釘(くぎ) 少しも手ごたえがなく、効き目がないこと。
抜かぬ太刀(たち)の
高名(こうみょう)
口やかましく講釈(こうしゃく)はするが、うでまえを見せたこと
のない人を嘲笑(ちょうしょう)していう。また、争って勝つより
も、じっとこらえてけんかをしないほうが立派だということ。
糠(ぬか)みそが腐
(くさ)る
ひどい音痴(おんち)を形容することば。
盗人(ぬすびと)猛々
(たけだけ)し
盗みを働きながら、何もしなかったような顔をしている者や、悪
事をとがめられて逆にくってかかるのをののしる言葉。
盗人に追銭(おいせ
ん)
損(そん)の上の損のたとえ。
盗人に倉の番 役に立たないどころか、かえって害になる。
盗人にも三分(さん
ぶ)の理
盗みはいかなる理由があろうとも悪事に変わりないが、当人
にしてみればそれなりの言い分があるものだ、ということ。筋
(すじ)の通らないことにも、無理な理屈をつけようと思えばつ
けられることをいう。
濡手(ぬれて)で粟
(あわ)
濡れた手で粟をつかむと、粟粒(あわつぶ)がくっついてたくさ
んつかめる。苦労しないで多くの利益を得ることをいう。
濡(ぬ)れぬさきこそ
露(つゆ)をも厭(い
と)え
濡れないうちは、ちょっとでも濡れまいと思い露も避(さ)ける
ほど用心するが、いったん濡れてしまうとどうでもよくなる。い
ったん過ちをおかしたらどうでもよい、もっとひどいこともかま
わずやってしまう。おもに男女間の過(あやま)ちについて言
われる。
濡(ぬ)れぬさきの傘
(かさ)
失敗しないように用心すること。



 ね な行   

猫(ねこ)に鰹節(か
つおぶし)
猫に鰹節の番をさせる。その人の好きなものを近くに置くこと
は、あやまちを犯(おか)しやすくて危険である、という意。
猫に小判(こばん) 物の価値がわからない者にどんな高価な物を与えても無駄
(むだ)であること。
猫の目のよう 変化しやすいことのたとえ。
猫も杓子(しゃくし)も 何でもかんでも。どれもこれも。語源は、一休(いっきゅう)咄
の「生まれて死ぬるなりけりおしなべて釈迦(しゃか)も達磨
(だるま)も猫も杓子も」の所から出たもの。
猫をかぶる 獰猛(どうもう)さを隠し、あたかもおとなしい猫のようにふるま
う。
寝た子を起こす せっかくうまく納まっているのに、余計(よけい)なことをして問
題を起こす。
寝ていてころんだ例
はない
何もしなければ、しくじることもない。
寝耳(ねみみ)に水 不意の出来事に驚きあわてるたとえ。「寝耳」は睡眠中に耳
にはいること。安らかに寝ているところに突然、大水が出て
「水だ」という叫(さけ)び声が聞こえた、という意。
念力岩をも通す どんなことも一心をこめてやればできないことはない。



 の な行   

能ある鷹(たか)は爪
(つめ)を隠す
優れた鷹は獲物(えもの)に襲(おそ)いかかる直前まで爪を
隠し、相手を油断させることから、優れた才能の持ち主である
ほど、ふだんはその実力を見せびらかすようなことはしない。
能書筆を選ばず 字のうまい人はどんな筆でもかまわずうまく書く。
嚢中(のうちゅう)の
錐(きり)
才能がある人は、必ず世に現れてくるたとえ。袋(ふくろ)の中
に錐を入れると、すぐにその先端が突き出ることから。
喉元(のどもと)過ぎ
れば熱さを忘れる
どんなに熱いものを飲んでも、のどを通り過ぎればその熱さを
忘れる。どんな苦しい経験も、それが過ぎ去ればけろりと忘れ
てしまう。
鑿(のみ)と言えば槌
(つち)
鑿をと言われたら、鑿だけでなく槌もいっしょに持ってくる。気
がきいていることのたとえ。
蚤(のみ)の夫婦 蚤はメスのほうが体が大きいことから、妻が夫より大きい夫婦
のこと。
蚤も殺さぬ とてもおとなしい性格のたとえ。
暖簾(のれん)に腕
押し
垂れ下がっている暖簾を押すように、力を入れても少しも手ご
たえがなく張り合いがない。こちらが積極的になっても、相手
の態度があやふやで反応に乏(とぼ)しいこと。