ことわざ(諺)色々



は行    

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

敗軍の将は兵を語ら
失敗した者は、その事について意見を述べる資格がない。
背水(はいすい)の陣 決死の覚悟(かくご)で事に当たること。
掃溜(はきだめ)に鶴
(つる)
つまらない人間ばかりの中に、たいへん優れた人がまじって
いること。
馬脚(ばきゃく)をあ
らわす
隠していたことが現れる。化(ば)けの皮がはがれる。
白眼(はくがん) 人を冷たく見る目つき。
白眉(はくび) 多くの中で最もすぐれているもの。蜀(しょく)の馬氏の五兄弟
はみな秀才だったが、長兄の馬良がもっとも優れ、その眉の中
に白毛があったという故事。
走り馬にも鞭(むち) 走っている馬に鞭打てばなおいっそう早く走る。よいうえにも、
もっとよいことをしようとするたとえ。
畠(はたけ)に蛤(は
まぐり)
畑を掘ってハマグリを探したところで見つかるはずがない。あ
りえないことや見当違いのことにいう。
破竹(はちく)の勢い 猛烈(もうれつ)な勢い。とどめがたい勢い。竹を割る時、初め
の節が割れれば、あとはたやすく次々と割れていくからいう。
八十の手習い 年老いてから学問を始めること。
破天荒(はてんこう) 今までだれもやれなかったことをすること。前代未聞(ぜんだ
いみもん)。
鳩(はと)に豆鉄砲 きょとんとするさま。
鳩(はと)を憎み豆を
作らぬ
つまらないことにとらわれて本来のつとめを怠(おこた)り、自
分が損するばかりか世間にも迷惑(めいわく)をかけることの
たとえ。畑にまいた豆をハトがほじくるからといって、豆を作る
ことをやめてしまうのでは本末転倒(ほんまつてんとう)。
花多ければ実少なし 花が多く咲く木には実がたくさんならない。うわべのよい人に
は真実が少ないたとえ。
花に嵐(あらし) 物事には往々にしてじゃまが入りやすいことのたとえ。
花も実もある 外観が美しいだけでなく内容も充実している。名実ともにすぐ
れている。
花よりだんご 表面的な良さよりも、実際に役立つほうを選ぶということ。実
利主義。
腹八分目に医者いら
もう少し食べたいと思うぐらいのところでやめると、健康にはよ
いということ。
針の穴から天をのぞ
せまい考えやものの見方で、広い社会のことを判断すること。
万事休す すべて終わりで、手の施(ほどこ)しようがない。



ひ は行   

ひいきの引倒し あまりひいきしすぎて、かえって悪い結果になること。
非学者論に負けず 学問のない者は学問をした者と議論する場合にはかえって負
けないものだ。道理のわからない者はいくら筋道(すじみち)
のたった話をされても、その意味や負けたことがわからないか
ら、あくまでも自分の暴論(ぼうろん)を主張してゆずらない。
引かれ者の小唄(こ
うた)
刑場に引き連れていかれる罪人が、平気を装(よそお)って小
唄を歌う。負け惜しみに、しいて強がりを言うこと。
庇(ひさし)を貸して母
屋(おもや)を取られ
ほんの軒先(のきさき)を貸したのに、しまいには家全体を取
られてしまう。自分の持ち物の一部を貸したため、言いがかり
をつけられて、ついにその全部を奪(うば)われるようになる。
恩を仇(あだ)で返される、という意。
皮相の見(けん) うわべだけを見て、内容について考えないこと。
匹夫(ひっぷ)の勇 思慮(しりょ)もなく、単に血気(けっき)にはやるだけの小さな
勇気。「匹夫」は低級な男。
必要は発明の母 必要にせまられると、やむなく工夫(くふう)や発明がなされ
る。
火に油を注ぐ 勢いがあるものをあおりたてて、さらに勢いをつけてしまうこ
と。
人の噂(うわさ)も七
十五日
噂というものは、しだいに忘れられていくということ。
人の口に戸は立てら
れぬ
世間の口はうるさいもので、とかくの批評を防ぐことはむずか
しい。
人のふり見て我がふ
り直せ
人の行動のよい点や悪い点を見て、自分の行動を反省し欠点
を改めよ。
人は一代名は末代 人の肉体は一代限りだが、業績や名誉は長く後世に残る。
火の無い所に煙(け
むり)は立たぬ
火の気のないところから、煙が立つことはない。多少であれ噂
(うわさ)が立つのは、何か原因があるものだ。
百聞(ひゃくぶん)は
一見にしかず
人の話を何度も聞くよりも、一度実際に自分の目で見たほう
がよくわかる。
百里を行く者は九十
里を半ばとす
百里の道を行こうとする者は、九十里行ってやっと半分まで来
たと考えよ。何事も完成に近づくと気がゆるみ失敗しやすいか
ら、九分どおり済んだあたりを半分と心得て努力せよ、という
意。
冷や飯を食わせる 冷たい態度であしらうこと。
氷炭(ひょうたん)相
容(あいい)れず
性質がまったく反対で、合わないこと。
瓢箪(ひょうたん)か
ら駒が出る
ひょうたんの中から本物の馬が飛び出す。考えもつかなかった
ところから、思いがけない結果が出ること。
貧(ひん)すれば鈍
(どん)する
貧乏になると、利口な人も愚(おろ)かになる。
貧乏(びんぼう)暇
(ひま)なし
貧乏な者は生活に追われるので、忙(いそが)しくて時間のゆ
とりがない。



 ふ は行   

風樹の歎(たん) 親孝行しようと思った時には親は亡く、親孝行出来ないことの
嘆(なげ)き。
風前のともしび 風の前に置かれた「火」は消えやすいことから、物事が危機
(きき)に面していることを言う。
覆水(ふくすい)盆
(ぼん)にかえらず
太公望(たいこうぼう)の妻(つま)は、読書ばかりしている太
公望に愛想をつかして出ていったにもかかわらず、彼が斉の
宰相(さいしょう)になったら復縁(ふくえん)を求めた。この時
太公望は水の入ったお盆をひっくり返し、「元に戻せたら希望
に応じる」と言った。この中国の故事から、一度別れた夫婦は
元には戻(もど)らないということ。また、一度やってしまったこ
とは取り返しがつかないことをいう。
不肖(ふしょう) 父に似ない愚(おろ)か者という意。また、自分のことを謙遜
(けんそん)していう語。
二人口は過せるが一
人口は過せぬ
夫婦二人分の生活費は、一人の場合に比べて二倍かかるわ
けではなく、経済的な暮らしをするからかえって安上がりにな
る。
船は帆(ほ)でもつ帆
は船でもつ
帆があればこそ舟も役に立ち、帆も舟があればこそ使い物に
なる。人は互いに助け合ってこそなりたっていくものである。
古川に水絶えず 旧家(きゅうか)は衰(おとろ)えてもたやすくはつぶれない。
昔金持ちだった家には、没落(ぼつらく)しても昔をしのばせる
ような立派(りっぱ)な物が何かと残っているものだ。
刎頚(ふんけい)の交
わり
その人のためなら、たとえ首をはねられても構わないほどの
深い交わり。「刎頚の友」とも言う。
糞(ふん)は出たが別
が出ない
うまい考え(分別)が出てこないというしゃれ。



 へ は行   

へそで茶をわかす おかしくて大笑いするようす。
下手(へた)の考え休
むに似たり
よい考えも出ない人が、どんなに時間をかけて考えても、ただ
時間をかけるだけで何の効果も上がらない。まるで休んでいる
のも同然だ。
下手の横好き 下手なくせにそのことが大変好きで熱心なこと。
蛇(へび)に噛(か)
まれて朽縄(くちな
わ)におじる
ヘビに噛まれたことのある人は朽ちた縄を見てもそれがヘビ
のように見えて恐れる。一度ひどい目に合わされると、それと
似たものがみな害を加えるもののように見える。
蛇ににらまれた蛙
(かえる)
おそろしくて体を動かすことができない。
弁慶(べんけい)の立
往生(たちおうじょう)
進むことも退(しりぞ)くこともできないこと。衣川の合戦で弁慶
(べんけい)は橋の真ん中で矢を浴びて立ったままで死んだと
いう。
弁慶の泣き所 攻撃されると最も弱い点。弁慶ほどのつわものも痛がって泣く
という急所で、ふつう向うずねのことをいう。



 ほ は行   

判官(ほうがん)びい
弱い者や悲運の者に対して、同情的に人気が集まること。九
郎判官源義経(くろうほうがんみなもとのよしつね)のような不
遇(ふぐう)な英雄(えいゆう)に同情し、ひいきすることからい
う。
坊主(ぼうず)憎(に
く)けりゃ袈裟(けさ)
まで憎い
坊主が憎いと、その身に着けている袈裟まで憎らしくなる。そ
の人を憎む心があると、その人に関係あるすべてのものが憎
らしくなる、という意。
棒(ぼう)に振る 努力や苦心が無になることのたとえ。
木石(ぼくせき)に非
(あら)ず
木や石なんかと違って、血も涙もある人間だから大いに物に
感ずるということ。
臍(ほぞ)をかむ 自分のヘソを噛(か)もうとしても噛めないことから、物事がどう
にもならずに後悔(こうかい)すること。ことわざでは「ほぞ」と
読むが「臍」は「へそ」のこと。
骨折り損のくたびれ
もうけ
苦労してもつかれるだけで何の効果もあがらないこと。
仏作って魂(たまし
い)入れず
立派な仏像を作り上げても、それに魂を入れない。一応できあ
がってはいるが、最も肝心(かんじん)な点がおろそかにされ
ている、という意。
仏の顔も三度 円満の徳を備えている仏も、その顔を三度なで回されると腹を
立てる。いくらやさしい人間でも、たびたび嫌(いや)なことをさ
れると怒ってしまうということ