ことわざ(諺)色々



 ま行    

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

まかぬ種は生えぬ 種をまかなければ芽が出てこないように、原因がなければ結
果は発生しないということ。いいことにも悪いことに対しても使
うことわざ。
負けるが勝ち 無理をして争うよりは、相手に勝ちを譲(ゆず)るほうが良い結
果になるものだ。
馬子(まご)にも衣装 馬方のような者でも、よい服装をすれば一応立派に見える。身
なりだけを繕(つくろ)っていることを、からかって、または好意
的にいう語。
待つ間が花 ああだろうかこうだろうかと予想して待っているうちが楽しいと
いうこと。
待てば海路(かいろ)
の日和(ひより)あり
辛抱(しんぼう)強く待っていれば、いつか航海によい天候に
なる。人生も同じで、ものごとが思い通りにいかないときは、
のんびりと待っているとよいことがあるものだということ。
まな板の鯉(こい) 相手のなすがままの状態。
豆を煮(に)るに豆が
らを焚(た)く
兄弟や仲間どうしが互いに傷つけあったり害しあったりするた
とえ。魏の曹植は詩文にすぐれ父からかわいがられていた
が、兄の文帝から憎まれ、あるとき七歩歩む間に詩をつくらな
ければ罰するといわれて詩をつくった。その詩は「豆がらは釜
底にあって燃え、豆は釜中にあって泣く」とうたって、兄弟の
不和を嘆いたものだった。
眉毛(まゆげ)に火が
つく
自分のまわりに危険が迫(せま)り、危なくなるたとえ。
眉(まゆ)に唾(つば)
をつける
だまされないように用心すること。狐(きつね)や狸(たぬき)に
ばかされないようにするには、眉毛に唾をつけるとよいという
俗説による。信用できないもの、疑わしいものを「眉唾物(ま
ゆつばもの)」という。
真綿(まわた)で首を
しめる
それとなくじわじわと責(せ)めること。
真綿に針を包む 表面はやさしいが、心の底は意地が悪いこと。



 み ま行   

ミイラとりがミイラにな
ピラミッドにミイラを探(さが)しに行った人が戻(もど)ってこな
くなることからできたことわざで、他人を探しに行った人が戻
(もど)らなくなって 同じように探される立場になること。
身から出た錆(さび) 自分の作った原因や犯した過(あやま)ちなどのために苦しむ
こと。
水清ければ魚棲(す)
まず
あまり水がきれいで透(す)き通っていると隠(かく)れる場所
がないので、魚も住むことができない。人もあまりに清廉潔白
(せいれんけっぱく)だと、人に親しまれず孤立(こりつ)してし
まう。
水心あれば魚心あり 相手の出方によってこちらにもやりようがある。
水に油 互いにとけあわないことのたとえ。
水は方円の器(うつ
わ)に随(したが)う
水は形がないものなので、入れる器によって丸くも四角にもな
る。人もこれと同じで、周りの環境や友人によって良くも悪くも
なる。
三日見ぬ間の桜 たった三日見ない間に、つぼみだった桜は満開になってしま
い、満開の桜は散ってしまう。物事の状態がわずかな間にどん
どん変化する。
三つ子の魂(たまし
い)百まで
幼い子供のころに身につけたことは、いつまでも変わらない。
身に過ぎた果報(か
ほう)は災いの基(も
と)
身分に過ぎた幸せは災難(さいなん)を招くもとになる。
身にまさる宝なし この世で自分より大事なものはない。
身の程(ほど)を知れ 自分の力量・境遇(きょうぐう)を考えて、許されることか、許さ
れぬことかの判断を誤らないようにせよ。
身を捨ててこそ浮か
ぶ瀬もあれ
水におぼれそうになったとき、悪あがきをすればよけいに深み
にはまってしまう。自分の体を捨てるようにすれば体が浮き、
背がとどく浅瀬(あさせ)に出ることもできる。



 む ま行   

昔取った杵柄(きねづ
か)
以前鍛えた腕前で、今でも衰えずうまくできること。
百足(むかで)の仕度
(したく)
ぐずぐずして仕度に時間がかかることのたとえ。
矛盾(むじゅん) 前後のつじつまが合わないこと。昔、盾(たて)と矛(ほこ)を
売る人があり、「自分の売る盾はどんなに鋭(するど)い矛で
も突き通せないほど堅い」といい、また「自分の売る矛はどん
なに堅い盾も突き通せる」といって自慢(じまん)したので、あ
る人が「お前の矛でお前の盾を突いたらどうなるのか」と尋
(たず)ねたら、その人は返事ができなかったという故事によ
る。
無用の用 世の中で無用とされている物も、活用しだいでかえって大いに
役立つものだ。また、一見したところでは用途(ようと)のない
ような物が、実際は人間の知見をこえた働きがあるという意
味。
無理が通れば道理
が引っ込む
道理にはずれたことが公然と行われるような世の中では、道
理にかなったことが行われなくなる。
無理は三度 人が無理を我慢(がまん)できるのはせいぜい3回まで。それ
以上になると普段(ふだん)おとなしい人でも怒る。
無法の法 とくべつに法律や規則を設けなくても、自然にそれが備わるこ
と。



 め ま行   

明鏡も裏を照らさず どんなにすばらしい(曇りのない)鏡でも裏までは照らせない
ことから、どんなに賢い人でも目の届かないことがあるという
意。
名物に美味(うま)い
ものなし
美味(おい)しいと評判のものをわざわざ食べに行っても(期
待が大きすぎて)感動するほど美味しく感じられないということ
から、評判と実物がつり合わないことを言う。
牝牛(めうし)に腹を
突かれる
心を許していた相手に急にやられること。思いがけないことで
ひどい目にあうこと。
盲(めくら)蛇に怖
(お)じず
目の見えない人は蛇(へび)がいても平気でいられることか
ら、物を知らない人は恐れがないことをいう。
目の上のこぶ じゃまもの。
目は口ほどに物を言
口に出して言わなくても、目つきで気持ちを相手に伝えること
ができる。
目は心の鏡 目はその人の心を映し出す鏡である。目を見ればその人の心
の正邪がわかる。



 も ま行   

孟母(もうぼ)三遷(さ
んせん)の教え
子どもの教育には環境が大切である。孟子(もうし)の母はは
じめ墓(はか)に近いところに住んでいたら、幼い孟子が墓
(はか)を作る遊びばかりするので市中に引っ越した。ところが
今度は商いのまねをして遊ぶ。そこでさらに学堂のそばに引っ
越したら今度は祭礼の儀式(ぎしき)のまねごとをして遊ぶよ
うになったので、この場所に住みつづけることにしたという故
事による。
本木(もとき)に勝る
末木(うらき)無し
「幹(みき)」よりも優れた枝(えだ)はないということから、どん
なに色々比べてみても初めに選んだ物がよい、という意味。
餅(もち)は餅屋 物事にはそれぞれ専門(せんもん)があり、何事もその専門家
にまかせるのが一番いいということ。
元の木阿弥(もくあ
み)
再び以前の状態にもどる。
物言えば唇(くちび
る)寒し秋の風
何事も物を言えばあとでたいてい後悔(こうかい)する。特に人
の悪口を言ったあとは自分自身がいやになる。
桃栗(ももくり)三年
柿八年
どんなことでも、やりとげるにはそれなりの年月をかけなけれ
ばならないということ。
貰(もら)う物は夏も
小袖(こそで)
人からもらう物なら、不要の品でも何でも辞退(じたい)しな
い。欲の深いことのたとえ。
門前市をなす 門の前に市場が出来るほど、その家に出入りする人が多く集
まっているようす。
門前雀羅(もんぜん
じゃくら)を張る
訪れる人がだれもいなくて寂(さび)れているようす。訪問客が
なくなり、門の外に雀(すずめ)が群がって、網(あみ)を張って
雀(すずめ)を捕らえることができるという意味。
門前の小僧(こぞう)
習わぬ経を読む
寺の門前に住む小僧は、ひとりで聞き覚えてお経を読む。ふだ
ん見たり聞いたりしていると、習わなくても、自然にそれを覚え
るものである。