ことわざ(諺)色々


 た行    

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

大海の一滴(いって
き)
非常に広いところにとても小さなものがあることのたとえ。
大海は芥(あくた)を
選ばず
大海は川からゴミが流れ込むのを問題にしない。大人物は度
量(どりょう)が広くてさまざまな人を受け入れる、という意。
醍醐味(だいごみ) 妙味(みょうみ)。最高の楽しさ。「醍醐」は牛乳を精製して作っ
た濃くて甘い液で、最高の味覚とされた。
大山(たいざん)鳴動
(めいどう)して鼠(ね
ずみ)一匹
前ぶれの騒(さわ)ぎばかり大きくて、結果がとても小さいこ
と。
大事の前の小事 大きな事をしようとするにあたっては、小事に気を配って慎重
(しんちょう)にしないと、油断から失敗することがある。
大地に槌(つち) 絶対にはずれないことのたとえ。
大は小を兼(か)ねる 大きいものは、小さいものの役目もすることができる。
大欲は無欲に似たり 大きな望みを持っている人は小さな利益など問題にしないか
ら、一見欲がないかのように見えること。
宝の持ち腐(ぐさ)れ 役に立つものを持っているのに、しまいこんで使わない。
鷹(たか)は飢(う)え
ても穂(ほ)をつまず
タカは空腹で飢(う)え死にしそうになっても、百姓の作ったイ
ネの穂を食べるようなことはしないという意味で、正義の人は
どんなに困ってもわいろを取るなどの不正は行わないというこ
と。
多芸は無芸 多くの芸に通じていると、かえって専門といえる技量がない。
他山(たざん)の石 他の事がらを参考にして自分に役立てること。よその山から出
た粗悪(そあく)な石でも、宝石を磨(みが)くのに使える。どん
なつまらないこと、また、自分より劣(おと)っている人の言行
でも、自分の才能や人格を磨く反省の材料とすることができ
る。
蛇足(だそく) 余計なつけたし。無用のもの。
畳(たたみ)の上の水
練(すいれん)
理論や方法を学ぶだけで、実践(じっせん)的な訓練(くんれ
ん)を怠(おこた)ること。
立っているものは親
でも使え
自分の用に親を使うなど、本来はとんでもないことだが、急ぐ
場合には、そばに立っている人なら誰かまわず、たとえ親でも
手伝ってもらえ。
立つ鳥後を濁(にご)
さず
立ち去るときに、あとしまつをよくすべきであるということ。
立つより返事 人から呼ばれたら、立ち上がる前にまず返事をせよ。
立て板に水 立てかけた「板」に水をかけると、水は板をつたって下に流れ
落ちるように、すらすらと言葉が出ること。
蓼(たで)食う虫も好き
好き
タデという草の葉はたいへん辛(から)いのに、それを好んで
食べる虫もいるところから、人の好みもさまざまであるというこ
と。
盾(たて)の両面を見
盾は、その表側だけでなく裏側も見よ。栄光の裏には暴虐(ぼ
うぎゃく)と汚辱(おじょく)があるものだ。物事はその裏表(うら
おもて)をよく観察したうえで、その価値を判断すべきだ。
立てば芍薬(しゃくや
く)座れば牡丹(ぼた
ん)歩く姿は百合(ゆ
り)の花
美人の姿をたたえることば。
棚(たな)からぼたも
思いもかけない良いことが起こること。
掌(たなごころ)を返
何の苦もなくできること。または、利益のためにはてのひらを
返すように今までと違う態度をとること。
他人の正目(まさめ) 損得(そんとく)関係のない人の見方は公平で正しい。
旅の恥(はじ)はかき
すて
旅に出ると、知っている人がいないので、恥ずかしいことをし
てもその場限りですむ。
多弁(たべん)能なし 口数ばかり多い人は、実際には役に立たないものだ。
卵(たまご)に目鼻
(めはな)
かわいらしい顔かたちの形容。
玉に疵(きず) そのことさえなければ申し分ないのに、惜しいことにちょっとし
た欠点があるということ。
玉磨かざれば器を成
さず
どんなによい玉でも、磨かなければ宝の器物とならない。生ま
れつき素質(そしつ)がすぐれていても、学問や修養を積まな
ければ立派(りっぱ)な人物にはなれない。
便りのないのはよい
便り
手紙が来ないのは無事な証拠(しょうこ)だから、心配する必
要はない。
足るを知る者は富む 満足することを知っている人は、たとい貧しくても精神的には
富んでいる。
短気は損気(そんき) 短気を起こすのは、器物をこわしたり、まとまる相談もやぶれ
たりして、結果から見て自分の損になる。
断機(だんき)の戒
(いましめ)
学問を途中でやめれば、織りかけの機(はた)の糸を切るのと
同じで何にもならないということ。
断金(だんきん)の交
わり
きわめて堅(かた)い友情。金をも切断するほどに強固に結ば
れた友情。
断腸(だんちょう) きわめて悲しいこと。悲しみのあまり、はらわたがちぎれるよう
な思いをする形容。
短兵急(たんぺいき
ゅう)
だしぬけ。にわか。無遠慮(ぶえんりょ)で突然な行動や表現
をいう。「短兵」は短い武器。



 ち た行   

知音(ちいん) よく心を知り合っている親友。知己(ちき)。
知己(ちき) 真の親友。自分の才能や人柄(ひとがら)をよく知ってくれる
人。また、知り合い、知人の意にも使う。
竹馬(ちくば)の友 幼友達。いっしょに竹馬に乗って遊んだ幼(おさな)い時の友
達。
知者は惑(まど)わず
勇者は恐れず
知識のある人は物事の道理に通じているから、事に当たって
惑(まど)うことがない。勇気のある人は事に当たって恐れるこ
とがない。
父の恩は山よりも高
く母の恩は海よりも
深し
父母の恩はきわめて大きい、という意。
治(ち)に居て乱を忘
れず
世の中が平和な時でも、乱れた時のことを考え、その用意を
忘れない。
血は水よりも濃(こ)
他人よりは、やはり血のつながった身内のほうが頼りになる。
血縁の力は強い。
茶腹(ちゃばら)も一
時(いっとき)
茶を飲んだだけでも一時的に空腹を忘れることができること。
わずかなものでも一時しのぎにはなる。
中原に鹿(しか)を逐
(お)う
ある地位を得るために相争うこと。
忠言は耳に逆らう 忠告の言葉は気にさわりがちだが、自分の行いにとってはた
めになる。
長者の万灯より貧者
の一灯
長者がささげる万の灯明より、貧者がささげる精いっぱいの一
つの灯明を、仏様は喜ばれる。貧しい人の真心のこもったささ
げ物は、たとえわずかであっても価値がある、という意味。
提灯(ちょうちん)に
釣鐘(つりがね)
つり合わないものや比較(ひかく)にならないもののたとえ。
塵(ちり)も積もれば
山となる
ごくわずかなものでもたくさん積み重なると、ついには高大な
ものとなる。
血を以(も)って血を
洗う
親子・兄弟・肉親どうしが争うこと。
沈黙(ちんもく)は金 あまりくだらぬことをしゃべるものではない。黙(だま)っている
ほうが立派(りっぱ)だ。



 つ た行   

月とすっぽん ちょっと似てはいるが、実は比べ物にならないほどひどく違っ
ていること。
月に叢雲(むらくも)
花に風
名月にかかる雲、桜の花に吹く風。よいことにはとかくじゃまが
入りやすい、思い通りにいかないことが多い、という意味。
月夜に釜(かま)を抜
かれる
明るい月夜に釜を盗(ぬす)まれる。油断がはなはだしいこと
のたとえ。
月夜に提灯(ちょうち
ん)
道も明るい月夜に提灯をともす。不必要でむだなこと。
月夜の蟹(かに) 月夜のカニには中身が少ないことから、頭の足らない人のこ
とをいう。
角を矯(た)めて牛を
殺す
少しの欠点を直そうとして、かえってそのものをだめにしてしま
うたとえ。角の曲がりを直そうとして、牛を殺してしまう。つまら
ぬ末端(まったん)の事柄にこだわって肝心なものをそこなう
こと。
罪を憎(にく)んで人
を憎まず
犯した罪を憎むが、その人は憎まない。罪を犯した人間を憎ん
ではならない。
爪(つめ)に火を灯
(とも)す
ろうそくの代わりに爪に火をともす。非常にけちなことのたと
え。
鶴(つる)の一声 大勢であれこれ議論してもなかなか決まらなかったことが、え
らい人の一言でそのまますぐ決まることを言う。
鶴は千年亀は万年 長命でおめでたいこと。



 て た行   

泥中(でいちゅう)の
蓮(はす)
ハスの花は泥(どろ)の中から咲くにもかかわらず白くてきれ
いなことから、汚れた環境の中にいてもその影響を受けること
なく「けがれなさ」を保つこと。
敵に塩を送る ふだんは相争っているライバルが、競合分野でない方面で困
っている時、それに援助を与えること。
敵は本能寺に在り 本当の目的は、見かけとは違って別のところにある。明智光
秀が、備中(びっちゅう)の毛利勢を攻めるために出陣した行
軍の途中で、急に方向を変えて、京都の本能寺にいた主君・
織田信長を討った故事による。
敵を見て矢を矧(は)
目の前の必要に迫(せま)られて、初めて準備に取りかかる。
鉄は熱いうちに打て 大人になってからでは難しいので、純粋な気持のある若いう
ちにきたえておくとよい。
出る杭(くい)は打た
れる
ほかの杭より高く出た杭は打ちへこまされる。差し出たふるま
いをする者、または頭角(とうかく)を現す有能な者は、他から
憎まれたり妨(さまた)げられたりする、という意
天上天下唯我独尊
(てんじょうてんげゆ
いがどくそん)
天地の間に自分より尊いものはないということで、人格の尊
いことを示したことば。
天に唾(つばき)す 人をひどい目にあわせようとして、かえって自分がひどい目に
あうこと。
天は二物(にぶつ)を
与えず
人はよいところがあれば必ず悪いところがあるものだ。よいと
ころばかりそろった人はいないものだ。
天は自ら助くる者を
助く
だれにも頼らず独り立ちして努力する者に、天は幸福をもたら
す。
天網(てんもう)恢恢
(かいかい)疎(そ)に
して漏らさず
どんな小さな悪事でも、天罰を免れることはできない。天が張
りめぐらした網の目は粗(あら)いが、悪事をはたらいた人は
一人も漏(も)らさず処罰する。



 と た行   

頭角(とうかく)を表す 学識や才能が他の人より際立ってくること。
灯火(とうか)親しむ
べし
読書に適したよい時節。秋の夜はさわやかで、灯火の下で読
書がよくできる。
唐人(とうじん)の寝
言(ねごと)
何を言っているのか全くわけのわからない言葉。
灯台(とうだい)下(も
と)暗し
燭台(しょくだい)のすぐ下は暗い。手近のことはかえってわか
らず、気がつかないでいる、という意。「灯台」は航路標識の
それではなく、油ざらに灯心を入れて火をともす昔の燭台(しょ
くだい)のこと。
問うに落ちず語るに
落ちる
他人に聞かれると用心して秘密(ひみつ)をもらさないように
するが、自分から話し出すときには聞かれていないことまでつ
いうっかりしゃべってしまう。
同病相憐れむ 同じ苦しみに悩(なや)んでいる者どうしは、同情の心が厚い
ということ。
豆腐(とうふ)に鎹(か
すがい)
豆腐に鎹を打ち込む、という意味から、手ごたえがなく、少しも
効き目がないこと。
登竜門(とうりゅうも
ん)
出世の糸口をつかむこと。立身出世の関門のこと。黄河上流
の竜門は急流の難所で、ここを登りきった鯉(こい)は竜にな
るという伝説があることから。
十日の菊、六日の菖
蒲(あやめ)
手遅れで、大切なときに間に合わないことのたとえ。
遠くの親類より近くの
他人
遠く離れた親類よりも近くに住む他人のほうがいざという時、
かえって頼(たよ)りになる。
時は金(かね)なり 時間を無駄(むだ)にしてはいけない。
毒にも薬にもならぬ 平々凡々(へいへいぼんぼん)で、いてもいなくてもどうでもよ
い存在。
得を取るより名を取
金をもうけることよりも名誉(めいよ)のほうが大切だ。
毒を食らわば皿(さ
ら)まで
毒を食べてしまった以上は、それを盛(も)った皿までなめる。
悪事に手を染めた以上は、徹底的に悪事を重ねる、という意
味。
毒をもって毒を制す 悪いものを取り除くには、思いきってほかの悪いものを使え。
所変われば品変わる 土地土地で風俗や習慣もいろいろ違う。
年寄りの冷や水 年寄りの飲む冷たい水。老人にふさわしくない危ないことをす
る意。
塗炭(とたん)の苦し
泥(どろ)にまみれ火に焼かれるような、非常な苦しみ。
隣(となり)の花は赤
何でも他人のものがよく見えて、うらやましいこと。
怒髪(どはつ)冠(か
ん)を衝(つ)く
非常に怒ったようす。はげしい怒りのために髪の毛が逆立っ
て、かぶっている冠をつきあげる、という意。
鳶(とび)が鷹(たか)
を生む
平凡な両親から優れた子供が生まれる。「瓜の蔓(つる)に茄
子はならぬ」「蛙(かえる)の子は蛙」に対する言葉。
鳶に油揚げをさらわ
れる
自分のものになるはずの大切なものを、いきなり横取りされて
しまう。
虎(とら)に翼(つば
さ)
勢力のある者にさらに勢いを添(そ)えること。
捕らぬ狸(たぬき)の
皮算用
まだ捕まえてもいないのに、狸の皮がいくらで売れるかな、な
どと計算することで、どうなるかわからないものを当てにして、
色々考えること。
虎(とら)の威(い)を
かる狐(きつね)
うしろだての有力者の権勢(けんせい)をかさに着ていばるこ
と。
虎の尾を踏(ふ)む 非常に危険なことをする。
虎は死して皮をとど
め、人は死して名を
残す
人は死んだ後も、立派(りっぱ)な人だったなあと言われるよう
にいつも心がけなさいという教え。
取りつく島も無い 頼りにする物が見つからず、どうして良いかわからないこと。
または相手の態度があらく、話すきっかけがつかめない こと
を言う。
鳥なき里のこうもり すぐれた人のいないところでは、つまらない者がいばってい
る。
泥棒(どろぼう)を見
て縄(なわ)をなう
ふだん用意を怠(おこた)っていて、急場に臨(のぞ)んであわ
てて準備をすること。
どんぐりのせいくらべ どれもみな同じくらいで、特にすぐれたものがないこと。
飛んで火に入る夏の
自分から進んで危険や災難(さいなん)にとびこむことのたと
え。