ことわざ(諺)色々


 か行    

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

飼(か)い犬に手をか
まれる
日ごろから世話をしている人などに裏切られて、ひどい目にあ
うこと。
快刀乱麻(かいとうら
んま)を断(た)つ
よく切れる刀でもつれた麻(あさ)を切る意で、紛糾(ふんきゅ
う)して収拾(しゅうしゅう)がつかない物事を鮮(あざ)やかに
処理すること。
 隗(かい)より始めよ 物事は、まず言い出した者から始めよ。
蛙(かえる)の子は蛙 子の才能や性質は親に似るものである、というたとえ。平凡な
人の子はやはり平凡人である、という意。
蛙の面(つら)に水 どんなことをされても、どんなことを言われても平気で、少しも
感じないこと。
蝸牛角上(かぎゅう
かくじょう)の争い
つまらない争い。狭(せま)い世界でのこせこせした小さな争
い。「蝸牛」はかたつむりのことで、蝸牛の角(つの)の右と左
にいる者が戦って多くの死者を出したという寓話(ぐうわ)か
ら。
学者の取った天下な
学者は学問の上では政治を論じるが、実際にはうとくてみずか
ら政治を行うことはできない。
学問に王道なし 学問というものには、手軽(てがる)に身につける特別な近道
はない。
楽屋から火を出す 自分で災(わざわ)いを引き起こす。
籠(かご)で水くむ いくらやっても無駄(むだ)なこと。
河清を俟(ま)つ にごっている黄河(こうが)の水が澄(す)むのを待つように、
いくら待っても無駄(むだ)なこと。
風吹けば桶屋(おけ
や)が儲(もう)かる
何かが起こったことによって第三者が得をすることで、 由来
(ゆらい)は 風が吹(ふ)くと土ぼこりが目に入り目の病気にな
る人が増え、目の見えない人の使う三味線(しゃみせん)の需
要が増え、三味線(しゃみせん)の材料になる猫(ねこ)の皮
が必要になり、その結果ねずみが増えて桶がかじられ桶屋が
儲かるといった具合。
火中の栗(くり)を拾
他人の利益のために、あえて無理をして危険なことをする。
勝って兜(かぶと)の
緒(お)を締(し)めよ
勝負に勝ったり、事業などで成功したりしても、油断(ゆだん)
せずに気を引き締(し)めよということ。
河童(かっぱ)の川流
本来得意なことなのに、油断(ゆだん)して失敗してしまうこ
と。
勝てば官軍、負けれ
ば賊軍
勝ったほうが正しいとされ、負けたほうが悪いとされるのが世
のならわしである。
瓜田(かでん)に履
(くつ)をいれず
瓜(うり)の畑でくつがぬげても、かがんでくつをはくことはしな
い。瓜を盗(ぬす)んでいると疑(うたが)われるから。疑われ
るようなまぎらわしいことはしない。「李下に冠をたださず」の
句と対。
かにの横ばい かにの歩き方のように、他人から見ると不自由なようでも、当
人にとっては自然なこと。
かには甲羅(こうら)
に似せて穴を掘る
人は自分の身分や力量に応じた言動をするものだ。
金持ち喧嘩(けんか)
せず
ケンカをしても得するものがない上に失うものは多いので金持
ちはケンカをしない。軽はずみなことをしないという意。
金を貸せば友を失う 友人同士の金の貸し借りは、返らない場合必要以上のトラブ
ルになって友を失うことになりかねない。むしろ断るほうがよ
い。
壁(かべ)に耳あり障
子(しょうじ)に目あり
どこでだれが聞いているか、どこでだれが見ているかわから
ない。密談(みつだん)や秘事(ひじ)はとかくもれやすい、とい
う意。
果報(かほう)は寝て
待て
幸運はあせらずに、静かにその時機の来るのを待つがよい。
上(かみ)に交(まじ)わ
りて諂(へつら)わず
下(しも)に交わりて驕
(おご)らず
身分や地位の高い人に接してもへつらうことがなく、逆に、低
い身分の人に接しても、いばったりすることがない。そういう
人は、事を成す人物である。
亀(かめ)の甲(こう)
より年の功(こう)
高齢者の長い年月の経験は、とても尊いということ。
鴨(かも)の水掻(み
ずか)き
水に浮かんだ鴨はゆったりしているようでも、水面下では絶え
ず足で水を掻(か)いている。よそ目にはわからないが、本当
は苦労や心配が絶えないこと。
 借りる時の地蔵顔
(じぞうがお)済(な)
す時のえんま顔
借りるときにはにこにこして喜んだのに、返すときには渋(し
ぶ)い顔をする。
枯れ木も山の賑(に
ぎ)わい
枯れ木でも山の景観(けいかん)をにぎやかにするのに役立
つ。つまらないものでもないよりはましである。
彼(かれ)も人なりわ
れも人なり
彼も我も同じ人間、彼にできることが自分にできないはずはな
い、と自分を叱咤激励(しったげきれい)する言葉。
可愛い子には旅をさ
せよ
可愛い子には苦労の多い旅をさせて、世の中の苦しみやつら
さを経験させたほうが、その子の将来のためになる。
可愛さ余って憎(に
く)さが百倍
可愛いと思う心が強かっただけに、いったん気持ちが変わっ
て憎いとなったら、非常に憎しみが増すこと。
川向(かわむかい)
の火事
自分には直接何の関わりもないことのたとえ。
閑古鳥(かんこどり)
が鳴く
人影がなく寂(さび)しいようす。非常にさびれたようす。商売
などがはやらないことに言う。
勘定(かんじょう)合
って銭足らず
計算に間違いはないのに、現金が不足する。理論と実際とが
伴わないこと。
肝胆(かんたん)相照
らす
互いに真心(まごころ)をもって交わる。お互いの気持ちがぴっ
たり合う。
肝胆(かんたん)を砕
(くだ)く
知能のある限りを尽くして思案(しあん)する。
艱難(かんなん)汝
(なんじ)を玉にす
人間は苦労を重ねて、はじめて立派な人物になることができ
る。
完璧(かんぺき) 完全で欠けたところがないこと。藺相如(りんしょうじょ)が璧
(たま)を無傷のまま持ち帰ったことから。「璧(たま)を完(まっ
と)うす」とも言う。
菅鮑(かんぽう)の交
わり
菅鮑は、中国の春秋時代の菅仲(かんちゅう)と鮑叔牙(ほう
しゅくが)のことで、二人は少年時代から生涯変わらない友情
をもって交際したということから、信頼しあう友としてのつきあ
い。



 き か行   

奇貨(きか)居(お)く
べし
よい機会は、うまく利用するべきだというたとえ。珍しい品は買
っておき、時機を見て高く売ってもうけるべき、という意味。
気が置けない 遠慮(えんりょ)がなく、心から打ち解けることができる。(気を
許せない、油断ができないの意に用いることがあるが、これ
は誤り)
木から落ちた猿(さ
る)
頼るものを失ってどうすることもできない。
聞くは一時の恥聞か
ぬは一生の恥
知らないことを聞くのは、その時は恥ずかしいが、聞かなけれ
ば一生そのことを知らないで、最後まで恥ずかしい思いをしな
ければならない。
雉(きじ)も鳴かずば
撃(う)たれまい
キジも鳴かなければ居場所を気づかれず、人に撃たれること
もあるまい。無用な言葉を出さなかったら、災難(さいなん)に
あわずにすんだろう。不必要な言葉は慎(つつし)まなければ
ならない、という意。
木で鼻をくくる ひどく無愛想(ぶあいそう)な態度をとる形容。
木に竹をつぐ つりあいがとれないたとえ。ふさわしくないこと。
木によりて魚を求む 方法が間違っているので、得ようとしても得られない。
昨日の淵(ふち)は今
日の瀬
世の中は変転きわまりなく無常であるということ。
義を見てせざるは勇
無きなり
正義が何かを知りながら、それをしないということは勇気が無
いことだ 。
杞憂(きゆう) いらざる心配。取り越し苦労。昔、杞の国に天が落ちてきたら身
の置き所がないだろうと心配し、寝食もできなかった者がいた
という話。
九死に一生を得る ほとんど死ぬかと思われるほどの危険の中から、やっと助か
ること。
窮(きゅう)すれば通
困難だからといっても簡単(かんたん)にあきらることなく解決
法を考えていると、道が開かれる。
窮鼠(きゅうそ)猫(ね
こ)をかむ
ネコに追い詰められたネズミは、反対にかみつく。追い詰めら
れて逃げ場がなくなると必死に抵抗(ていこう)するから、弱い
者がかえって強い者を負かすことがある。
窮鳥(きゅうちょう)懐
(ふところ)に入れば
猟師も殺さず
追い詰められて逃げ場を失った鳥が、猟師(りょうし)の懐に
飛び込んでくれば、猟師でさえ殺しはしない。まして、逃げ場
を失った人が来て救いを求めれば、どんな事情があったとして
も助けるものである。
兄弟は他人の始まり もとは仲のよい兄弟でも、成長するとそれぞれ家庭を持ち、配
偶者(はいぐうしゃ)や子の愛に引かれて疎遠(そえん)にな
り、ことに利害がからむと他人のようにいがみ合うものだ。
漁夫(ぎょふ)の利 両者が互いに争っているのにつけ込んで、第三者が骨折らず
にその利益を横取りすること。シギがハマグリの肉を食べよう
として貝にくちばしを入れると、はさまれてしまい、互いに離さ
ず争っているうちに、漁師が来て両方とも捕らえてしまった、と
いう中国の故事による
麒麟(きりん)も老い
ては駑馬(どば)に劣
一日に千里を走るほどの駿馬(しゅんめ)も、年を取ると足の
遅い駑馬にさえ負けるようになる。いかに優れた人でも、年老
いてしまうと愚鈍(ぐどん)な人にもかなわなくなる。
勤勉は成功の母 成功は勤勉によって得られる。
金蘭(きんらん)の契
きわめて仲のよい友だちの交わり。交わりの堅さは金をも断つ
ことができ、その美しさは蘭(らん)が香りを放つようだという
意味。



 く か行   

君子は豹変(ひょうへ
ん)す
行いの立派な人は、悪い点や誤っているところに気がついた
らすぐに改めるものだ。現在では、主義・主張をドライに変え
る、好ましくない意味で使うことが多い。
君子危うきに近寄ら
教養のある立派な人は、危険なことは避(さ)ける。「虎穴に入
らずんば虎子を得ず」はこの反対。
暮れぬ先の提灯(ち
ょうちん)
日が暮れる前から灯している提灯。必要もないのに手回しだ
けよくて、間が抜けている、という意味。
暗がりから牛 物事の形や色の区別がはっきりしないこと。
国破れて山河あり 杜甫(とほ)の詩の一部。戦乱によって国都が破壊(はかい)さ
れても、自然の風物だけはもとのままだ、という感慨(かんが
い)の言葉。
国乱れて忠臣あらわ
国が乱れると誰(だれ)が忠臣(ちゅうしん)であるかはっきり
する。国が平穏(へいおん)なときは、家来の誰が忠臣で誰が
不忠の臣かわからないが、国が乱れた時にその違いがはっき
りする。
唇(くちびる)滅びて
歯寒し
互いに助け合う間がらの者の一方が滅びると、他の一方も危
ういということ。
口は災(わざわ)いの
門(かど)
災いの原因は口である。うっかり言った言葉から失敗を招くこ
とがある。
口に針(はり) ことばにとげがあり皮肉(ひにく)がこめられていること。
朽木(くちき)は柱に
ならぬ
朽ちた木、腐(くさ)った木は柱には使えない。根性の腐った人
間は使い物にならない。
腐(くさ)っても鯛(た
い)
たとい腐っても鯛は魚の王である。よいものはどんなに悪くな
っても、あるいは落ちぶれても、それだけの価値は失わないも
のだ。



 け か行   

鶏群(けいぐん)の一
鶴(いっかく)
多くのつまらないものの中に一つだけすぐれたものがまじって
いること。
鶏口(けいこう)とな
るとも牛後(ぎゅうご)
となるなかれ
大きな団体に入って人の後ろについているよりも、小さな団体
でそのトップとなるほうがよい。
傾国(けいこく) 絶世(ぜっせい)の美女の意味。「国を傾(かたむ)ける」、すな
わち国を滅ぼすほどであるということ。
蛍雪(けいせつ) 苦労して学問に励(はげ)むこと。
 芸は身を助ける 習い覚えたことが生活するのに役立つ。
下衆(げす)の後知
下衆(身分の低い者・心がいやしい者)は肝心(かんじん)な
時に案が出ず、事が終わってからいい案を出すものだ、と言う
意。
毛を吹(ふ)いて疵
(きず)を求む
毛を吹き分けてかくれているきずを探し出すように、他人のさ
さいな欠点を探し出したり追及すること。
犬猿(けんえん)の仲 非常に仲の悪いこと。
犬馬の労 主君や信頼する人のために力を尽くして働くこと。



 こ か行   

金輪際(こんりんざい) あくまでも。絶対に。断じて。もと、仏教で厚い大地の最下底の
金輪のある所の意。
子を持って知る親の
子供のときはいろいろと不平をならべて親を困らせるものだ
が、自分が親になり我が子を世話してはじめて親の恩がわか
るものだ
子を見ること親に如
(し)かず
子供のことをいちばんよく知っているのは、いっしょに暮らして
いる親である。
転ばぬ先の杖(つえ) 何かにつまずいて転ばないように、杖をついて用心する。失敗
しないようにあらかじめ十分に準備しておく意。
転(ころ)がる石に苔
(こけ)は生えず
急流の石は流されて転がるので、水ゴケが生えない。一つの
所にとどまりっぱなして努力しないと、何も身につかないとい
うこと。
ごまめの歯軋(はぎ
し)り
無力なごまめがくやしがって歯ぎしりをする。力のおよばない
者が、やたらにいらだたしげに憤慨(ふんがい)する意。「ごま
め」はごく小さいイワシを素干しにしたもの。
子は鎹(かすがい) 子は、夫婦の仲をつなぎとめる鎹(材木を堅くつなぐための両
端が折れ曲がった釘)である。子に対する愛情のおかげで、仲
の悪い夫婦間の縁(えん)がつながり保たれることが多い。
姑息(こそく) 一時の間に合わせ。その場逃れ。
五十歩百歩 似たりよったりである。少しの違いだけで大差のないこと。戦場
で退却(たいきゃく)する時、五十歩退却した者が百歩退却し
た者を臆病(おくびょう)だと笑ったが、こわくて逃げたというこ
とでは両者とも変わりがない、という意味。
虎穴(こけつ)に入ら
ずんば虎子(こし)を
得ず
危険をおかさなければ成功は収められない、という意。虎(と
ら)の住む穴に入らなければ、虎の子を生け捕(ど)りにするこ
とはできない。
紺屋(こうや)の白袴
(しろばかま)
人のことはあれこれするけれど、自分にまでは手が回らない
こと。紺屋(染め物や)は染めることを仕事としているのに、自
分は忙しくて白いままの袴をはいていることから言われるよう
になった。
弘法は筆を選ばず 書の名人である弘法大師は、字を書くのに筆を選り好みなど
しない。ほんとうに技(わざ)のすぐれた人は、どんな道具を使
っても立派な仕事をするものだ。
弘法にも筆の誤り 天下の名筆家・弘法大師にも書き損じはある。学問や技芸が
非常にすぐれた人でも、時には失敗することもある。
郷(ごう)に入っては
郷に従う
田舎(いなか)にはいったら、その田舎のやり方に従う。人
は、住んでいる土地の風習に従うのがよろしい。新しい環境
に移ったら、それに逆らわないのが世渡りのコツである。
巧遅(こうち)は拙速
(せっそく)に如かず
上手で遅(おそ)いのよりは、たとい下手でも速いほうがよい。
後生(こうせい)畏
(おそ)るべし
年少の者は努力次第で将来どんな偉物になるか分からない
ので、侮(あなど)ることはできない。
巧詐(こうさ)は拙誠
(せっせい)に如かず
上手に偽(いつわ)るのは、下手でも誠実なのに及ばない。
好事(こうじ)魔(ま)
多し
よいこと、うまくいきそうなことには、えてしてじゃまが入りやす
いものである
孝行のしたい自分に
親はなし
親の元気なうちは、親孝行をしなければならないとわかってい
ても、なかなかできないもの。とかく親が死んだ後で、きちんと
親孝行をしておくんだったと後悔する人が多いものだ。
後悔(こうかい)先に
立たず
事が終わってから、そのことについて悔(く)やんでも取り返し
がつかない、前もってよく考えなさいということ。
光陰(こういん)矢の
ごとし
月日が過ぎるのは非常に速いということ。
紅(こう)一点 多くの男性の中に、ただ一人の女性がいること。緑の草むら
の中に、ただ一輪赤い花が咲いているという意味
恋は思案の外(ほ
か)
恋に落ちてしまうと人は理性を失うから、常識でははかれな
い。