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授業案内(平成22年度)
天野恵
特殊講義 | ベンボ『俗語論』第3巻に見る《規範》の具体像 | 通年 4単位 金4 対象:院生 |
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概要・ 目的 | イタリア文学語のあり方を決定づけたと言っても過言でない16世紀の文人ピエトロ・ベンボの著作を可能な限り厳密かつ正確に読解すると同時に、この著作の成立過程にまで立ち入って、特にペトラルカとボッカッチョの言語に関する著者の考え方の変遷を跡づける試みを行なう。 | |
計画と 内容 | 前年度にひきつづき、ベンボの『俗語論』Prose della volgar lingua (1525)に見られる文学用イタリア語の規範を確かめながら、それが16世紀以後のイタリア語およびイタリア文学に及ぼした影響を検証する。執筆年代が遅く、最も具体的な指針を含み、かつ手稿 (Vaticano Latino 3210) 上に推敲の跡が豊富に残されている第3巻が対象である。本文のみならずペトラルカ作品を中心とする引用例についても、手稿―初版 (1525) ―第2版 (1538) ―決定稿ではありながら問題を含む第3版 (1549) と、それぞれの異同を厳密に確認していく。また、ペトラルカとボッカッチョからの引用例についてもそれぞれVaticano Latino 3195およびHamilton 90をはじめとする関連写本や揺籃期本との比較検討を行ないつつ読み進める。 | |
テキスト・参考文献 | プリント配布(Debenedetti版 Prose della volgar lingua)。 |
演習 | イタリア詩の読み方(メトリックとリズム) | 通年 4単位 火4 対象:学部3回生〜 |
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概要・ 目的 | ソネット、カンツォーネ等の伝統的詩形を取り上げて、イタリア詩の韻律法と形式を踏まえた読み方を習得することにより、《詩を詩たらしめているもの》を認識する能力を養う。 | |
計画と 内容 | イタリア文学の中で大きな比重を占める詩は、外国人にとって極めて受容の困難なジャンルである。単に一読者として鑑賞するだけならば、心の中に喚起されるイメージに身を任せて創造的な(?)読書をするのも自由であるが、研究者として作品と向き合うに当たっては詩人の意図を正確に捉える能力が求められる。本演習においては、まず音節、アクセントなど、詩行を構成する基本要素の把握から始めて、押韻による詩節の構築へと認識を深めながら、段階を追って詩を分析する訓練を行なう。各段階ごとに、まず教員が実作品を例に挙げて具体的な説明を行ない、それに続いて、個々の学生に実作品の分析をしてもらう予定。 | |
テキスト・参考文献 | プリント配布。 |
講読 (演習) | イタリア史概説講読 | 通年 4単位 水4 対象:学部2回生〜 |
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概要・ 目的 | 文学作品ではなく歴史書を講読することより、イタリア文化研究をめざす学生に要求される知識を提供しながら、様々な専門分野の学術論文をはじめとする知識人向けに書かれたイタリア語文献を読解・理解する能力を育成する。 | |
計画と 内容 | ルイジ・サルヴァトレッリによるイタリア史概説書から近代史の章のいずれかを選んで講読する。歴史書の場合、当然ながら日本人によって執筆されたものとは史観が異なるうえ、前提として読者に要求される知識や価値観もイタリア人を念頭に置いたものであることから、これを読むことは語学の訓練にとどまらず、イタリア文化そのものとダイレクトに接触することを意味する。従って、本講読の目的は学生の語学力を充実させることにあるものの、イタリアに関する文化的な興味を抱いていることが当然の前提となる。なお、具体的にどの時代についての記述を講読の対象とするかについては、実際に履修する学生の要望に応じて決定する。 | |
テキスト・参考文献 | プリント配布。 |
講義 | イタリア文学史講義 | 通年 4単位 火2 対象:学部1回生〜 |
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概要・ 目的 | イタリア文学にアクセスするための準備と基礎を理解させると同時に、イタリア語学イタリア文学専修を選択する学生に対しては研究の道への導入を行なうことを目的とする。 | |
計画と 内容 | はなはだ当然ながら、イタリアの文学作品はわれわれ日本人読者を想定して創られてはいない。とりわけダンテをはじめとする古い時代の作品は、われわれ現代の日本人とは大きく常識を異にする人々によって、またそうした人々を念頭において産み出されており、従ってこれらにアクセスするためには単にイタリア語を習得するだけでは不十分である。本講義においては、外国文学の受容に潜むさまざまな問題点から目を逸らすことなく、一歩一歩イタリア文学の本質に近づいていくことをめざす。言語と文学の関係や作品成立の背景となった社会や文学形式、さらには研究方法などにも言及しながら、イタリア文学を包括的に解説していく予定。学生と教員のコミュニケーションを最も重要視し、質問や要望には可能な限り応じる。 | |
テキスト・参考文献 |
Daniela Shalom Vagata
外国人実習 | Esercitazioni di lingua italiana | 通年 2単位 火3 対象:学部3回生〜 |
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概要・ 目的 | Lettura e analisi testuale di alcuni brevi racconti o favole italiane. (短編小説その他の講読とテキスト分析に基づく会話練習) | |
計画と 内容 | Ogni settimana verrà consegnata una guida alla lettura con alcune domande volte a saggiare la comprensione del testo da parte dello studente. Sono previste alcune lezioni di grammatica, con esercitazioni scritte e orali. A seconda del livello complessivo della classe verranno svolte alcune lezioni di introduzione all'analisi del testo letterario (analisi narratologica e stilistico-retorica). | |
テキスト・参考文献 | Verrà distribuita una dispensa settimanalmente. |
特殊講義 | La poesia italiana | 通年 4単位 水3 対象:学部3回生〜 |
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概要・ 目的 | ・Alda Merini e Amelia Rosselli: due poetesse italiane del Novecento ・La "Gerusalemme Liberata" di Torquato Tasso | |
計画と 内容 | Lettura e analisi della produzione poetica di Alda Merini e Amelia Rosselli. Le opere delle due poetesse verranno studiate sia in relazione all'evoluzione poetica delle due, sia in rapporto all'ambiente storico-letterario in cui sorgono. Verrà dato ampio spazio alle relazioni della poesia di Merini e di Rosselli con le arti visive e musicali. Lettura integrale della "Gerusalemme Liberata". Verrà affrontato lo studio del pensiero dello scrittore e del contesto storico-letterario in cui prende vita l'opera. È prevista una lettura parziale della critica sul capolavoro di Tasso. | |
テキスト・参考文献 | Dispense consegnate settimanalmente in classe. |
語学 | イタリア語会話(中級) | 通年 2単位 火5 対象:学部2回生〜 |
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概要・ 目的 | Il corso si propone lo sviluppo delle quattro abilità base della comunicazione (parlare, scrivere, leggere e ascoltare), con una particolare attenzione alla comunicazione orale. | |
計画と 内容 | Attraverso lo studio di alcuni temi vicini ai bisogni reali della vita in Italia si applicano le nozioni grammaticali precedentemente studiate e si acquisisce gradualmente il nuovo lessico rilevante ai fini del tema trattato. Verrà dato spazio anche alla conoscenza di alcuni aspetti preponderanti della cultura italiana attraverso l'ascolto di canzoni, la visione di film, e la lettura di brevi articoli dai principali quotidiani italiani. | |
テキスト・参考文献 | Il materiale verrà distribuito in dispensa settimanalmente. |
特殊講義 | Narrativa italiana del Novecento | 通年 4単位 水5 対象:学部3回生〜 |
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概要・ 目的 | ・Pier Paolo Pasolini: tra cinema e letteratura ・Lettura di "Quer pasticciaccio brutto de via Merulana" di Carlo Emilio Gadda | |
計画と 内容 | Corso monografico sull'opera di Pier Paolo Pasolini. Verrà presa in esame la produzione poetica, narrativa e saggistica e cinematografica di Pasolini, con particolare attenzione agli atteggiamenti e alle posizioni dello scrittore e cineasta nei confronti della società italiana e dei mezzi di comunicazione di massa. È prevista la proiezione di alcuni film di Pasolini. Lettura e analisi testuale di "Quer pasticciaccio brutto de via Merulana". Sarà dato ampio spazio allo studio del plurilinguismo gaddiano e all'analisi dei generi del romanzo, nonché allo studio della fortuna critica e al conflitto delle interpretazioni che hanno investito il romanzo. | |
テキスト・参考文献 | Dispense consegnate settimanalmente in classe. |
天野恵・Daniela Shalom Vagata
演習 | イタリア文学研究の諸問題 | 通年 4単位 隔週木3・4 対象:学部3回生〜 |
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概要・ 目的 | 研究論文執筆のための訓練と準備を目的とする演習である。《勉強》と《研究》の相違を明確に認識することから始めて、問題の設定と論証のプロセス、それらの表現方法、そして文献目録の作り方等の細部に至るまでを、学生の行なう実際の研究に沿って学習する。 | |
計画と 内容 | 学部生の場合は卒業論文、大学院生の場合は修士論文ないし研究報告や学術専門誌への投稿を念頭においた研究論文等の計画段階から、各自の研究テーマについて順次発表し、これに対して教員が具体的な指導を行なうと同時に、他の学生もまた自由に意見を述べつつ具体的な検討を加える。多くの場合、個人作業が中心となる文学研究においては、ともすると個々の学生・研究者が孤立しがちであるが、これは客観性を欠かすことのできない研究にとって決して好ましいことではない。また、他人の研究を適切に論評することは、自分の研究能力の向上にダイレクトにつながる、研究者を志す者ならば、学部学生からODまでキャリアの長短を問わず、誰もがそれぞれ得るところの多い演習である。 | |
テキスト・参考文献 |
堤康徳
特殊講義 | イタロ・カルヴィーノとその非人間中心的な思考 | 集中 2単位 対象:学部3回生〜 |
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概要・ 目的 | 20世紀イタリアを代表する作家、イタロ・カルヴィーノの初期の短篇を精読する。レジスタンスから戦後へといたる時代背景を考慮しながら、その自然観と非人間中心的な世界観を検討したい。また、イタリア語の読解力を高めることを目標とする。 | |
計画と 内容 | カルヴィーノは、ダンテからガリレオに継承されたイタリア文学の使命は、文学の言葉を通して宇宙のイメージをさぐることにあると述べている。また、評論集『アメリカでの講義』のなかでも、「軽さ」、「多様性」といった斬新な切り口によって、「偏狭な人間中心主義」を脱却して無限の多様性のなかに世界をとらえる認識と表現の方法を一貫して追求している。本講義では、短篇集『カラスが最後に来る』、『イタリア民話集』から数篇を選んで精読し、カルヴィーノの非人間中心的な思考を彼の作品世界のなかでたどりたい。 | |
テキスト・参考文献 | 上記の作品の一部をコピーして配布する。 |
河合成雄
講読 | ピランデッロ『Novelle per un anno』を読む | 通年 4単位 木5 対象:学部2回生〜 |
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概要・ 目的 | イタリア現代文学の重要な作家ピランデッロの作品に親しむとともに、イタリア語の基礎的な読解力を習得すること。 | |
計画と 内容 | ルイージ・ピランデッロの短編小説集『Novelle per un anno』を読む。ピランデッロの戯曲は、もともと短編小説に描かれていた題材を多く扱っているので、必要に応じて戯曲も読みながら、『Novelle per un anno』から4、5編を精読かつ鑑賞する予定である。とりわけ今年度は、ピランデッロ的な主題の一つである「現実の多層性」がどのように小説と戯曲で書き著されているかを考察していきたい。 | |
テキスト・参考文献 | テキストはコピーして配布。 |
村瀬有司
演習 | Tasso『Gerusalemme liberata』講読 | 通年 4単位 火2 対象:学部3回生〜 |
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概要・ 目的 | 16世紀のイタリアの詩人、トルクァート・タッソの『エルサレム解放』を精読する。後期ルネサンスを代表するこの傑作を丁寧に読みながら詩作品の読解力を養成すること(重要)、また基本的な文学史の知識を習得することが、授業の目的となる。 | |
計画と 内容 | 『エルサレム解放』の第一歌冒頭から読み始める。詩作品特有の語順に目を慣らしながら、文法に従って、内容を性格に把握することが最初の目標となる。また適宜タッソの創作理論を紹介しながら、『エルサレム解放』の構成、エピソードの内容と配置、文体の特色に対する理解を深めていく。 作品はそれなりに難しい。前期はゆっくりとテキストを精読し、後期から少しずつ進度を上げる予定である。当面の努力目標として1回の授業で10スタンツェを読むことを目指す。講読主体の授業なので予習が必須。テキストはしっかり精読してもらいたいが、読み間違いをしても構わない。自分でしっかり予習をしてどこが間違っていたかを確認することが重要。毎回簡単な小テストを行なって予習の成果を確かめる予定。 | |
テキスト・参考文献 | コピー配布。 |
長谷川信弥
語学 | スペイン語初級 | 通年 2単位 火4 対象:学部2回生〜 | |
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概要・ 目的 | スペイン語の初級文法を教科書に沿って学習する。授業は文法事項の解説と練習問題からなる。初級文法を一通り学習するので進度が速く、そのため予習は必須である。 | ||
計画と 内容 | 第1週: オリエンテーション、文字と発音 第2ー4週: 第1ー2課[名詞、冠詞、主語人称代名詞、動詞現在形など] 第5ー7週: 第3ー4課[ser・estar・hay、所有詞、指示詞など] 第8ー11週: 第5ー6課[目的格人称代名詞、gustar構文など] 第12ー15週: 第7ー8課[点過去、比較表現、疑問詞、感嘆文など]と試験 第15ー18週: 第9ー10課[線過去、時刻表現、現在完了、過去完了など] 第19ー20週: 第11ー13課[未来形、接続法の活用、使役の構文など] 第21ー24週: 第14課[命令形、接続法] | ||
テキスト・参考文献 | 中岡省治・他著『スペイン語への架け橋』(白水社) 辞書:小学館「ポケットプログレッシブ西和・和西辞典」または、白水社「現代スペイン語辞典」 |
語学 | スペイン語中級 | 通年 2単位 火5 対象:学部2回生〜 |
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概要・ 目的 | スペイン語の初級文法を終えた学生を対象とし、比較的容易なスペイン語のテキストを講読する。新聞記事や小説など様々な種類の文章を読み、読解力の向上を目指す。 | |
計画と 内容 | 授業では、まずスペイン語初級文法を復習するため、初級文法の参考書を参照しつつ、平易なスペイン語文を読み、これまでの文法知識を確認していく。 そのうえで、比較的容易なスペイン語テキストを講読していくが、履修者は毎回の授業で、与えられたテキストを日本語に訳すこととする。そのため、毎回の授業前の予習は必須である。 講読するテキストは受講者の希望も取り入れるが、容易なテキストから始め、新聞記事や短編小説を中心とした文学作品も講読の対象とし、さまざまな種類の文章に慣れるように努力する。 | |
テキスト・参考文献 | プリントを配布。 |
渋江陽子
語学 | イタリア語4時間コース | 通年 4単位 火5・木2 対象:学部2回生〜 |
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概要・ 目的 | イタリア語の基本的な文法をひと通り学習する。文章の読解と会話のための基礎力を身につけることを目標とする。 | |
計画と 内容 | 以下の文法項目について、1項目あたり1〜3回の授業をする予定である。 1.アルファベート/発音 2.名詞と冠詞 3.直説法現在 essere/avere 4.形容詞 5.直説法現在(規則動詞・不規則動詞) 6.人称代名詞 7.再帰動詞 8.命令法 9.直説法近過去 10.直説法半過去・大過去 11.直説法未来・先立未来 12.受動態 13.比較級・最上級 14.関係詞 15.ジェルンディオ 16.条件法 17.接続法 | |
テキスト・参考文献 | 『CORSO D'ITALIANO』(杉本裕之著、朝日出版社) 辞書:『伊和中辞典』(小学館)、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館) |
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