Atlas あとがきのこと。

 これを書いていたのは確か結婚する前だった。バイト先の本屋で、私は一応人に作業を分担するような立場にあったから、さっさと自分の仕事を終わらせて、防犯を兼ねてフロアの作業台で書いていた覚えがある。このバイトでは4年働いて、実に様々なことを学ばせてもらった。そのときの友達とも細々続いているし、夫とも結婚した。それはさておき、この小説はあくまでフィクションであり、アノグループともアノ大学とも一切関りはなく、架空のものである。というとなんだか嘘っぽいので白状すると、モデルはお察しの通りのゴスペラーズである。当時は知っている人もいなかったし、説明しなくても「そういうもの」だと読んでもらえたと思うのだが、もう私の中では完結した一つの話なので(つまり過去なので)こういう風に話を進めることができる。読んでいてつくづく思ったのが、私は私の為に小説を書いているのである。過去も未来も。私だけが面白いと思えばそれはそれとして成立する。だから主観意外ありえない。しかし主人公の近くの女が私かと云えば、勿論決してそうではない。しかし時にそれは私であり、私の一部でもあるのは紛れもない真実である。面倒だが、そういうことで説明がつく部分というのは多くある。
 個人的にもっと遊びたかったのが、那沖というキャラクタだ。那覇の那に沖縄の沖「那沖」。私はルビがキライなのでどれにも敢えてつけなかったが、勘違いされて読まれている名前も多々見受けられると思う。それはそれで構わない。小説は活字であり、朗読するものではないので字面でニュアンスを汲めば充分だ(たまに名前の重要性が判らなくなる時がある。人の名前を間違えたり省略したりするのはとても失礼な行為であり、私の大嫌いなことのひとつである。だがふと、名前なんて便宜上あるもので本質とは無関係であることを考えて、どうでもよくなる。それは私にニックネームが幾つもあることとは関連していないが、どうしてもその名前に相応しい人格が与えられそうで落ち着かないことがある)。完結したとはいえそれは本編だけで、リンク小説の3本をまだ書いていない。ちなみにタイトルは殆ど「なつのひと」である。苦手な一人称での展開だが、時期的には彼らの夏休みにあたる。なくてもいいけどあった方が色々しっくりくる、程度で書き始めて、結構本編よりも気に入っている。ネームはできているが、まだ打ち込んでいない。人ひとり産んでいるので感性が代わっただろうし、何よりシナプスが息途絶えているだろうからそれは仕方ないが、それにしても「アタシどうしちゃったの?」である。気長に更新を待っていただきたい。
 それと決定的に考え方が変わってしまったことがある。恋愛に対する姿勢がそれであるが、十代ではない私にはプラトニックなんて在りえない。肉であり欲である。今リハビリを兼ねて(失われたシナプスを蘇生する悪あがき的訓練として)肉と欲を書いている。面白いが、肉と欲が希薄な今の私には中々難しい。下品にならない表現というのも難しい。挑み甲斐は多いにある。まあそれはそのうち、どこかで。

(2001年6月20日 記)

第一章  SOUL MAN
第二章  GOD BLESS YOU
第三章  今日が終わる前に
第四章  それでも恋はやってくる

Atlas リンク小説

     夏祭ナツマツリ
2     なつのひと
3     夏の神
4     ナツノヒト
5     夏の男
6     夏の女
7     サマーピープル
8     サマーバケーション


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