労働組合法違反!
 本四海峡バス(本社:神戸市中央区海岸通)において、1999年の夏以来5年に及ぶ労働争議が続いています。会社の違法行為はとどまる所を知らず、2004年6月10日、全港湾神戸支部は神戸地方検察庁に対して、川真田社長ら会社幹部を刑事告発しました。
 全港湾結成(1999年8月)以来「全港湾を認めない」として団体交渉を拒否し続けた会社に対して、兵庫地労委と中央労働委員会は「全港湾との団体交渉に応じなさい」という行政命令を下しました。
 会社は、これを不服として命令の取消を求める行政訴訟を起こしましたが、東京地裁と東京高裁は相次いで会社の訴えを棄却。そして2004年2月26日、ついに最高裁が「上告棄却」の決定を下し、会社側の敗訴が確定しました。これによって、「労働委員会命令が確定判決によって支持された」ということになり、会社に残された道は、全港湾との団体交渉に応じる以外になくなりました。
 ところが、会社はその後も団体交渉拒否を続行。これは明らかな法違反であり、労働組合法(第28条)の罰則が適用され、会社責任者には刑事罰が科される事態です。全港湾神戸支部は、会社のこのような違法が正されないままでいることは、まさに「違法の放置」に他ならず、あまりにも社会正義に反することと考え、刑事告発に至りました。
 川真田社長をはじめとする会社幹部のみなさん。これ以上の暴走はやめてください! この会社は公益バス事業を営む会社であることを思い出し、「法律を遵守する」という最低の企業モラルを取り戻してください!
 そして、会社の筆頭株主(全株式の55%所有)である全日本海員組合の幹部のみなさん。あなた方はこれまで、「会社から“縄付き”が出てもかまわん!」などとウソぶき、会社の違法行為をあおってきましたが、いよいよその責任をとる時がやって来ました。会社のこれ以上の暴走をやめさせ、労働組合らしく、会社の経営から撤退しなさい!
労働組合法 第28条(罰則)

 労働委員会の命令の全部又は一部が確定判決によって支持された場合において、その違反があったときは、その行為をした者は、一年以下の禁こ若しくは10万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
刑事告発記者会見
恥を知れ、罰金企業!!
 東京地裁は、労働委員会命令を無視し続ける本四海峡バス(株)に対し、「(行政訴訟の)判決確定までの間について、全港湾との団体交渉に応じなさい」という「緊急命令」を交付していました(03年1月15日付)。
 ところが会社は、この緊急命令も同様に無視。この無法会社に対して、神戸地裁は本年5月24日、労働組合法第32条を適用して「過料50万円」の支払いを命じました。労組法32条を適用した罰金命令は全国で8年ぶり、神戸では実に40年ぶりとのこと。本四海峡バス(株)は、とうとう“罰金企業”の仲間入りを果たしてしまいました。
 労働委員会や裁判所の再三の警告を無視して暴走を続けた会社幹部。その最大の犠牲者は会社の従業員です。悪質企業の汚名を着せられた上、この罰金まで負担させられたら、たまったものではありません。50万円の営業収益を上げるために、どれだけバスを走らせなければならないでしょう?
 ところが、「会社幹部の責任はどうなる?」と詰め寄られた会社幹部の一人は、「あんた方が『違法』『違法』と騒ぐから罰金が出たんですよ(!?)」と開き直る始末。まったく、この人たちはいつになったら悔い改めるのでしょうか。
 本四海峡バス(株)は、乗合路線バスという公益事業を営む会社。企業倫理が問題にされ、CSR(企業の社会的責任)が叫ばれているなか、この会社はどこまで暴走を続けるのでしょうか。
告発にいたる労働委員会・裁判の経過
 この団体交渉拒否をめぐる労働委員会と裁判経過は以下のとおりです。
 私達は、1999年(平成11年)8月に全港湾本四海峡バス分会を結成しました。ところが本四海峡バスは「全港湾を認識できない」として、労働組合の最も重要な基本活動である「団体交渉」について、一切応じないことを表明しました。私達は、会社の団交拒否は不当労働行為にあたるとして1999年9月20日、兵庫地労委に救済申立をおこないました。

2000年6月20日
兵庫地労委(救済命令)

 会社は全港湾との団体交渉に誠意をもって応じなければならない。
2002年1月9日
中労委(再審査命令)

 会社の再審査申立を棄却、地労委命令を支持。
2003年1月15日
東京地裁(行政命令取消訴訟)

 会社の行政命令取消請求を棄却すると同時に、「判決確定までの間、全港湾との団交に応じよ」とする緊急命令を発した。(2004年5月24日、会社の緊急命令不履行に対し、過料50万円が科せられている)
2003年8月20日
東京高裁(控訴審判決)

 地裁判決を支持、会社控訴を棄却。
2004年2月26日
最高裁(最高裁決定)

 上告棄却及び上告不受理決定。

 上記「最高裁決定」により、兵庫地労委の「団交応諾命令」が、確定判決により支持され、完全に確定しました。
本四海峡バスを刑事告発!

労働組合であるはずの海員組合は、「会社から縄付きがでてもかまわん」などと言い放ち、本四海峡バスの労働組合法違反を是認し、55%所有の筆頭株主(海員組合)として、違法不当行為をあおってきました。2003年12月大阪高裁において「使用者」とされた海員組合(筆頭株主)は、本四海峡バスにおいて、かかる事態を招いた責任の重大さに気づかなければならない。
 まもなく海員組合の「使用者性」について最高裁決定が下される。座礁への針路をとる海員組合は、舵を切ることができるのか。

beacon ― 労組法違反を是認する海員組合 ―
 現行の労働組合法は、「使用者」に対する処罰をもって法の遵守を強制するという立場をとらず、労働委員会の行政命令により、法違反によって生じた事態の原状回復をはかる、という考え方をとっています。ところが本四海峡バス(株)及び海員組合(55%所有の筆頭株主)は、「最高裁まで争う」などとして、労働委員会命令を受け入れる意思がないことを公然と表明してきました。まさに労組法の弱点を見抜いた「確信犯」に他なりません。
 労組法における唯一の罰則規定である「労働組合法」第28条は、「労働委員会の命令の全部又は一部が確定判決によって支持された場合において、その違反があったときは、その行為をした者は、1年以下の禁こ若しくは10万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とし、会社をしてかかる違反をおこなわせている者について、禁錮刑を含む刑事罰を科することを定めています。すなわち、かかる違反は、たんに行政命令に対する違反ではなく、実質的に確定判決に対する違反あるいは無視であって、極めて強い反社会性をもつという観点から、行政上の秩序罰たる「過料」ではなく、刑事罰をもって法秩序を維持し違法の是正をはかろうとするものです。
 最高裁決定により労働委員会の「団交応諾命令」が、確定したにもかかわらず「団体交渉拒否」を表明し、違法を続ける本四海峡バス(株)の行為を放置することは、裁判制度を否定するものであり、あまりにも社会正義に反し、権利侵害を受けた労働組合が、労働組合であることを放棄するのに等しいことです。労組法を守る社会的責務においても刑事告発を含むあらゆる手段によって、本四海峡バス(株)の違法行為を正していかなければなりません。
 
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