学思塾  ー学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆しー (「論語」為政より)

 

学習論




<1>効率的勉強とは


 興味のない科目の勉強はやりたくないものです。つい、試験問題を解くための最低限の“効率的な”勉強をしてしまいます。すると、その後で習う内容も興味がわかなくなる悪循環にはまります。『学問に王道なし』勉強に近道はないのです。
 ただし、「嫌なことでもコツコツやらなければいけない」ではありません。内容に興味のある生徒は、試験に出ない余計なことも含めて頭の中でストーリー化しています。それで“楽しく”勉強してさらに興味がわく好循環になります。最短コースを通るのではなく逆に関心を広げること、それこそが本当の効率的な勉強です。

 


<2>論理的に考える?


 直感で考えるとよく間違います。それで「筋道を立てて論理的に考えなさい」という指導がよくあります。「SVOCやスラッシュを書き込んで英文を読む。」「公式に従うように現代文の問題を解く。」「問題文や解答をしっかり確認しながら数学の問題を解く。」「単位をつけて計算する。」などの方法です。
 しかし、こういった機械的勉強法は直感の働きを妨げてしまいます。
 本当の論理的思考とは「直感で考え、論理で確認する」ことです。直感が過去の全ての知識や経験から使えそうなものをみつけ出し、それが適切かどうかなどの判断は論理で行います。論理は“確認”に使うものなのです。
 ところが、直感は無意識に働くので、問題を解ける人は自分が直感で考えていることに気づかず「論理的に考えている」と勘違いし、生徒に「論理的に考えろ」と指導しがちです。
 論理で確認しながら素直な思考で問題を解き、解けなかったら論理的な考え方を見聞きして学び、また素直な思考で解き直す。これを続けると直感的に論理を使えるように少しずつなってきます。

 文部科学省も「小学校段階から論理的思考を育成する」という方針ですが、それでいいのでしょうか。
http://jnsg.jp/?p=1960
 頭がいい子ほど直感が優れています。「多様な体験」と「自由な発想」が『直感』を育てます。その『直感』を使うときに様々な失敗を経験することで『論理』で確認するようになります。直感を使い続けた先にあるのが本当の論理なのです。小学生に論理を求めれば『直感』は育たなくなり、結果的に『論理』も育たなくなるのです。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=302678
https://hideyukiriha.com/archives/11162
 中学・高校・大学と進む中であわてず少しずつ論理的思考力を育てることこそが重要なのです。

 


<3>忘れることの大切さ


 エビングハウスの忘却曲線を利用した忘れない勉強法は効果的なのでしょうか。
https://chico-shikaku.com/2017/08/28/ebbinghaus/
 世の中には「忘れられない病気」の人もいます。その場合、覚えた知識が既存の知識とつながらず孤立した状態で覚えるので、その知識を使いこなすことは困難です。
http://karapaia.com/archives/52209144.html
 新しい知識は脳の中の既存の知識と融合すると輪郭がぼやけて思い出すのが難しくなり、それが忘れるという現象です。脳のなかの知識のつながりによって人は思考します。つまり、人は忘れるときにこそ賢くなるのです。
https://ddnavi.com/news/317459/a/
 人は成長につれて「単純暗記の脳」から「理解暗記の脳」に移り、単純暗記が苦手になるのが普通です。しかし、小さいころから忘れないための「過剰な単純反復学習」や「過剰な復習」を繰り返すと「理解暗記の脳」になれなくなり、理解力・思考力が育たなくなります。
https://www.kgk-net.com/blog/2009/01/07/暗記型の勉強はなぜいけないの? ~その1~/

 


<4>無知の知


『学びて然る後に足らざるを知る』
https://ameblo.jp/teamfever/entry-10524718651.html
 一般に「わかることが増えると、わからないことが減る」と思われています。しかし、人は全くわからないことに疑問を感じません。もう少しでわかりそうなことに疑問をもち「わからない」と感じます。“知れば知るほどわからないことが増える”のが真の学びです。
https://www.mag2.com/p/news/425682
 「ここがわからない」とたくさん感じられるほど学びはうまくいきます。「わからないといけない」「間違わないように」という雰囲気では子どもは伸びません。
http://www.hmt.u-toyama.ac.jp/chubun/ohno/muchi.htm
http://education.mag2.com/osusume/2008/08/151.html
https://note.mu/amorphous180131/n/n9245eebd5420


<5>何のために学ぶのか


 勉強の本来の目的はテストや受験のためではありません。様々なことを知り考えることで、自分の世界を広げ人生を有意義なものにすることです。

http://english.onenine.biz/2019/09/27/なぜ勉強するの?①/
 例えば、数学の勉強はあらゆる分野に役立ちます。古代ギリシャの哲学者プラトンも天文学・生物学・数学・政治学・哲学など様々なことを学ぶ学校を作り、門に「幾何学を学ばざる者、入るべからず」とかかげました。

http://staff.miyakyo-u.ac.jp/~m-yasu/semi/sub/p5.html
 ただし、子ども達には何のために学ぶのかを説明してもあまり意味はありません。自分を成長させるような充実した勉強をさせていれば、子どもに勉強する目的を教える必要などないのです。
https://web.archive.org/web/20180107122702/https://harunoblog.wordpress.com/2014/12/23/study-3/


<6>確実に解ける問題を増やす?


 通塾率が高い県ほど無解答率が高くなります。
http://blog.livedoor.jp/mineot/archives/52083512.html
 多くの塾が、試験に出そうな問題の解き方を教え、解けるようになるまで勉強させます。丸暗記ではすぐ忘れるので、“考える力を育てる”という方針のもと「こう考えなさい」と説明して思考過程までも覚えさせます。それで確実に解ける問題を増やしていきます。試験の時にその場で考えずに覚えたことを使う方法を“考え方”(実態は“考えない方”ですが…)と呼んで教えているのです。こうして「見たことある問題=解ける」を目指すと、実は「見たことない問題=解けない」の習慣をつけているのです。
 見たことのない問題こそワクワクしながら考える子どもに育てたいものです。
http://ugaijuku.com/?p=635

 難関大の入試問題では典型問題は少ないのですが、初見の難問をその場で解くのは大変です。それで、難関大の難問すら見たことのある問題になるまで超大量演習するという勉強法まで出てきました。
http://news.livedoor.com/article/detail/11772541/
 この勉強法は、ついていけるのが普通の勉強でも難関大に受かる天才だけであるという矛盾があります。筑駒・開成などの名門校ではこんな超大量演習塾に通う生徒が激増したのに合格実績は良くなってないのが実態です。

http://u2takada.hatenablog.com/entry/20110629/p1

 


<7>数学の勉強


 数学の勉強法には大きく2つあります。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12105068252
①数学は暗記だ。
 さらに分類すると、
(ア)公式・解法・答えを丸暗記する。
(イ)解法を理解して暗記し、それを使って応用問題を考える。
②公式は自分で導けるようにし、わからない問題は諦めずに何分でも考える。

 (ア)を推奨する先生や塾はないでしょう。
 (イ)の方法は多くの塾で推奨されています。
 ②は学校の数学教師や一部の塾で推奨されています。

 

 (ア)の勉強法の生徒はわからないから仕方なくやっているので、支援が必要です。
 (イ)の方法は一見合理的にみえますが、もともと頭がとてもいい生徒でないと大量の解法を覚えきれず、覚えられても応用問題で解法を使えるようになりません。

https://atarimae.biz/archives/4922
 ②の方法がうまくいくのは超天才だけで、普通は「公式を導く」といいながら導き方を丸暗記し、「問題を考え抜く」といいながら手を止めてただ悩んだり、でたらめな作業をたくさんやるだけになります。
 結局、(イ)も②も最初から頭がいい生徒だけが成功する方法ですし、そんな生徒達もバランスのとれたいい勉強をすればもっと能力が伸びます。

 いい勉強法はもっと“自然”な方法です。
 公式はわかる範囲で理解し、わからない場合はとりあえず覚えて使います。使っているうちに理解が進んできます。
 考えてもわからない問題は、まずわかる所まで自分で解きます。最後まで解けなさそうでも最初からあきらめてはいけません。行き詰まったら問題を読み直し、何も思いつかなかったらあきらめ、解説を見聞きして理解します。無理に理解しようとせず、わかる範囲で理解します。わからないことも様々な問題を経験する中で少しずつわかってきます。
 これを続けると知識と思考力が少しずつついてきます。暗記と思考の一方に偏った勉強法はどちらも将来伸び悩みます。

 


<8>英語の勉強


 英文の読解法には大きく2つの方法があります。
①構造分析型:SVOCや修飾関係などを分析して読む。
②フィーリング型:構造を詳しく分析せず、数多くの英文を読むことでなんとなく意味を読み取れるようにする。

 ①は昔から推奨されてきた方法で、今でも英語塾ではこの方法の所があります。
 ②を推奨する学校が増えています。最近では、この方法を推奨する塾も増えてきました。

 
 ①の方法は、構造を読み取るのに高い思考力が必要です。細かく分析していて全体が見えなくなり、文章の意味を見失うこともあります。文が長くなると、何度も文を返り読みするようになる生徒も多くいます。その影響で他の教科の問題文も一度で読み取れず、何度も読み直すことが増えます。
 ②の方法は、単語の意味を並べかえて意味の通じる日本語にしているだけの生徒がほとんどです。勉強しているつもりでも、何の勉強にもなっていません。文が長くなると、とたんに意味がわからなくなります。その影響で他の教科の問題文も読み飛ばすようになります。そのため、一つの読み取り間違いでも答えが違ってくる数学・化学・物理に意外なほど大きな悪影響があります。

 ①②どちらも「中学では英語ができたのに、高校になってできなくなった」ということがよくあります。
 ①では試験で時間が足りなくなります。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1044753955
 ②では文の意味がわからなくなります。
http://juken-benkyou.info/English/koukoueigo.html
 ①②の問題点を解決する方法が次の③の方法です。
③スラッシュリーディング:スラッシュで短く区切って読むことで構造をある程度分析しながらも返り読みせずに速く読む。

 ③は①②の欠点を見かけ上は解決しますが、能力は伸びません。区切ることで文全体は見えなくなります。その影響で他教科でも問題の意味が深く読み取れなくなります。
 結局、①②③のどれもよくありません。能力のつく読解法は次の方法です。
④直感で読み、論理で確認する読解法:文の構造を自然に感じながら返り読みせずに前から読み、和訳するときには和訳する順に単語を見て構造通りに一語一語直訳する。間違いやわからない所があった場合は、後で疑問点を論理的に分析する。この読解法を続けることで直感的に構造分析ができるようになれば、他の教科も含めて能力が大きく向上します。
http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20120621/1340236256

 

 日本人にとって英語4技能とは、知識(文法・語彙)を学び、その上に知識を使うリーディング・ライティングがあり、それを頭の中で高速処理するのがリスニング・スピーキングです。
http://english06.com/43/
 基本レベルではリーディング・ライティングは行き来しながら対等に学ぶものです。高度な内容のライティングは易しい文に言い換えて表現すればよく、ライティング力は基礎レベルで十分ですが、リーディング力は高レベルまで必要です。
 読めない文は聞き取れないので、リスニングには速くて正確なリーディング力が必要です。書けない文は話せないので、スピーキングには速くて堅実なライティング力が必要です。

 日本人は外国語である英語を「音」だけで理解するのは困難です。「スペリング」を見て「音」が自然に浮かび、「音」を聞いて「スペリング」が自然に浮かぶようになれば英語が上達します。そのためには、文法・語彙→リーディング・ライティング→高度なリーディング→実践的ライティング→リスニング・スピーキングの順に、必要に応じて前に戻りながら学ぶことが大切です。
 最近よく聞く「4技能をバランス良く学ぶ」方法では「スペリング」と「音」が分離してしまいます。この方法だと「観光客に道案内したり、友人に手紙を書く英語」は身についても、「社会で役立つ高度な内容を扱える英語」は身につきません。

 


<9>学習タイプ


 学習姿勢をタイプ分けすると大きく2つに分かれます。
①堅実型:自力で考えるより、習ったことを完璧に身につけようとするタイプ
②自由型:与えられた正解に従うのは好まず、自力で考えることにこだわるタイプ

 ①は真面目な子に多く、「ちゃんと勉強してえらいね」と周りから褒められます。堅実すぎる場合は自分の思考を鍛えないのでどこかで伸びどまります。すると、不安な顔で勉強するようになります。
 ②は頭がいい子に多く、「よくできてえらいね」と周りから褒められます。自由すぎる場合は井の中の蛙状態で成長せずどこかで伸びどまります。すると、怒ったような顔で勉強するようになります。

 

 さらに2つのタイプをあげると、
③作業型:自力でしっかり考えたり、習ったことを完璧に身につけようとするわけではないけれども、作業としての勉強をするタイプ
④無関心型:勉強以外のことに価値を置き、勉強にはあまり興味がないタイプ

 ③は、①②でうまくいかない状態が長く続きつつも勉強を義務としてやっているか、能力をこえる大量の勉強を強制された場合に多くみられます。無表情で勉強するようになります。
 ④は、周りが勉強に価値を置いていない場合によくみられます。勉強するときは嫌々な表情ですが、たいてい普段は明るく生活しています。
 もちろん①②③④はどれも理想的な学習ではなく、理想は次のタイプです。
⑤バランス型:まず自力で考えてみたうえで人の意見も聞き、自分の知識と思考を少しずつ向上させるタイプ

 本当の実力とはゆっくり徐々につくものなので、たいてい急激な得点上昇は伴わず、結果が目にみえにくいものです。このタイプになるには、周りが勉強は大切であるという価値観をもってはいるが点数などの結果を性急に求めないことや、学習を支える先行体験を勉強以外の生活の中でつむことなどが必要となります。

 子どもがどんな学習を得意かで学習タイプを分類する方法もあり、各タイプの最適な学習方法も研究されています。
https://ddnavi.com/news/275695/a/
https://matomake.com/I0001794
https://shingakunet.com/journal/exam/39729/
 しかし、このように得意タイプを決めつけることは子どもの成長の幅を狭めてしまいます。子どもが自分なりに得意な能力を多く使って学習することは仕方ありませんが、周りが子どもの学習の型を限定することはやめるべきでしょう。
https://gigazine.net/news/20180412-are-learning-styles-real/



<10>音声化


 音読すると内容がよく理解できますが、読むのは遅いので普通は黙読します。
https://www.excite.co.jp/News/woman_clm/20170715/Mamatenna_68929.html
 実は、黙読時に頭の中で音声化する人と、視覚中心で読む人がいます。
http://mubou.seesaa.net/article/454156992.html
 視覚読みは読むのは速いのですが、たいてい飛ばし読みになっています。それでも簡単な文なら理解できているように感じますが、難しい文は意味がわからなくなります。
https://www.bonnoutaisan.com/entry/2016/02/28/134354
 英語でも同じです。
https://ayumirakuru.jp/blog/20180208-504/

 

 思考するときも、頭の中で思考を音声化しながら考えるものです。
http://q.hatena.ne.jp/1248933527
 「|p|=3」を見て「絶対値ピーイコールサン」と頭の中で音声化する人は意味を理解しますが、音声化しない人は意味をよく取り違えます。また、音声化しない人は用語を覚えることができなかったり、論理的な文を書くことができなかったりします。

 頭の中で文章を音声化しない子どもが増えてきています。「単純反復学習」「過剰な復習」「過剰な定期テスト対策」「スモールステップ・満点学習」「わかりやす過ぎる解説」「ノートを取らない授業の増加」「スマホ・タブレット・イヤホン」などが原因だと思われます。
 何をすれば解けるかがすでにわかっている問題演習を繰り返すと、脳内で音声化して意味を読み取ろうとしなくなってしまうのです。つまり、理解力・思考力・判断力が低下します。
 どう解けばいいかが適度にわからない問題演習こそが頭を良くするのです。
 ぶつぶつ言いながらの勉強も、音声化には効果があります。
https://studyhacker.net/columns/hitorigoto-susume
https://blog.kobetsuroots.com/2016/04/14/post-0-12/


<11>学習の仕組み

https://berd.benesse.jp/berd/center/open/kou/view21/2003/04/img/02toku09.gif
 誰もがもっている「学習とはこんなものだ」という考えが『学習観』です。やる気を起こす源が『学習動機』です。その『学習動機』に支えられて『学習行動』があります。『学習行動』によって『学力』が身につき、その目に見える結果が『学業成績』です。『学力』や『学業成績』は『自己効力』を通じて『学習観』『学習動機』『メタ認知』に影響を与えます。
 『日常生活における多様な経験』や『学習行動』によって『メタ認知』が発達します。『メタ認知』とは、自分の学習を見守っている「自分の中に無意識に存在する学習の指揮者」のようなものです。学習を効率よく行うための作戦が『学習方略』ですが、『メタ認知』が発達していないと『学習方略』をうまく使えませんし、『学習観』や『学習動機』によっては有効な『学習方略』であっても使おうとしません。
https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/1034126/picture_pc_684a0f8f1e8500313d3f0e3813b99b29.jpg



<12>やる気


 保護者や先生たちの多くが「子どもがやる気さえ出してくれれば」と考えています。ところが、理由もなく「エイヤッ」とやる気を出しても長くは続きません。やる気(学習意欲)が続くには動機が必要です。
https://blog.goo.ne.jp/hk1006/e/721156ed043ac8c1081e22fc9ec7ef77
 内発的動機が理想ですが、それだけで意欲を保つことは難しいので外発的動機も必要です。
http://www.katekyo-sakura.com/benkyou-girai/20150708/
 ただし、外発的動機だけを強めれば弊害が強くなります。
http://zero-biz.com/what-is-exogenous-motivation

  無理にやる気を高めた状態が長期間続くと、学習効果も落ちてきます。

http://hysmrk.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-e1cc.html
 子どものやる気を無理やり引き出すことは、長い目ではやる気を奪うことになりかねません。安定した意欲を保つには、「安心して自己表現できる環境」や「適切な睡眠・食事」や「勉強以前の幅広い体験」が大切なのです。
http://happylilac.net/eikoh/sk1707131037.html


<13>学習方略

 学習方略とは、学習するための工夫や作戦のことです。
 学習方略は作業的方略と思考的方略に分類できます。学習方略といえば作業的方略を思い浮かべる人が多いですが、作業的方略は思考的方略をともなって初めて効果を発揮します。
 生徒が使う学習方略は、学習観・学習動機・メタ認知の影響を強く受けます。適切な学習観と学習動機をもち、メタ認知の発達した生徒こそが有効な学習方略を使うことができるのです。つまり、学習方略を生徒に指導しても学力向上はほとんど期待できません。また、学習方略の機械的使用は長期的に学力を低下させます。
①作業的方略
 ・反復…繰り返し学習する
 ・過剰学習…できるようになった内容をさらに習熟するまで学習する
 ・焦点化…内容を絞って学習する
 ・マーク…重要点や疑問点にアンダーラインや印をつける
 ・反すう…学習したことや覚えたことを、書物を閉じて思い出す
 ・概観…学習内容の全体像を考える
 ・図解…図や表を書いて、考えたり理解したりする
 ・語呂合わせ…適当な文にこじつけて覚える
 ・音読…声に出して読む
 ・攪乱…問題の順序をばらばらにしてテストする
②思考的方略
 ・体制化…構造を考えて知識を整理する
 ・有意味化…ものごとの意味を考えて理解する
 ・イメージ化…単に言葉のままで考えたり理解したりせず、イメージを浮かべる
 ・比喩…もともと知っている内容に置き換えて理解する
 ・一般化…具体例から一般的な法則や教訓を導く
 ・具体化…抽象的な内容の具体例を考える
 ・物語化…学習内容に物語のような流れをもたせる
 ・教訓帰納…間違えた問題の原因を分析して教訓を引き出す
 ・説明…学習した内容を自分の言葉で説明してみる
 ・自己診断…「わかっているか」「覚えたか」などを自分で随時判断する
 ・計画…いつ、何を、どれだけ学習するかを自分で計画する


戻る