コラム『動点』(週一回の連載)  2008年1月〜2009年12月 

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目次


2009年1月
人に優しい経済理論が必要  〇派遣労働は禁止を  〇岩波新書と私  〇正社員化と消費税率引き下げを


2月
インフルエンザにご注意を  〇第2回乙訓地方自治研究集会  〇アカデミー賞の楽しみ方

3月
花粉の飛散がピークに  〇シイタケの菌を植え付ける  〇企業・団体献金は全面禁止を
「ガリ版文化」世代の退職

4月
新規採用職員へのエール  〇映画『戦艦ポチョムキン』と東大闘争 〇初夏の陽気と夏野菜の植付け
健全化団体への危惧と守口市職労の挑戦

5月
憲法のつどい  〇新型インフルエンザ  〇ホタルが舞う季節

6月
GMは「対岸の火事」か「他山の石」か 〇カローリングが面白い  〇短編アニメ「つみきのいえ」の魅力
いのちの記録−小林多喜二 29年の人生−を観て

7月
大阪府立弥生文化博物館を見学  〇剣岳 点の記 鑑賞記  〇道州制は究極の構造改革


8月
総選挙の選択基準

9月
国民の意思と新政権  〇日本映画を面白くした人たち


2008年1月
サブプライム・ローンと米の信用バブル  〇苦難をのり越え、歓喜へ! 〇自治体アウトソーシングの新段階
2月
新聞の切り抜き記事  〇軽トラ町長の挑戦  〇映画『母べえ』鑑賞記
3月
『ルポ貧困大国アメリカ』を読む  〇テレビ小説『ちりとてちん』鑑賞記  〇大阪自治労連駅伝競走大会

潮目が変わった
4月
後期高齢者医療制度  〇桜見物とジョギング  〇「クローズアップ現代」  〇天満天神繁昌亭とちりとてちん

バーク堆肥とワラビ
5月
「すてきな田舎元気なふる里」感想記  〇『橋下改革』批判のビラを読む

6月
投機マネーの世界的規制を  〇秋葉原無差別殺人事件に思う  〇夏野菜への早朝出勤
大戸川ダム建設と大阪維新プログラム
7月
なばなの里へバス旅行  〇七夕とサミットと  〇ゆるキャラ  〇「クライマーズ・ハイ」鑑賞記

8月
公務労働者論と自治体学校  〇財政健全化法と秋の報道  〇ペシャワール会の活動

9月
三笠フーズの汚染米転売事件  〇リーマンブラザーズの経営破綻

10月
減反強制と汚染米流出事件  多趣味のライフスタイル  淀川水系流域委員会の最終意見
第9回地方自治研究全国集会  読書週間

11月
ツタンカーメンの豆  〇愛と死をみつめて・終章  〇考える人を育てる教育

12月
労働市場の規制と社会的保護を  今城塚古墳の謎  今の異常を読み解く

 

 

今週のコラム

日本映画を面白くした人たち
 
2009.9.9

『日本映画を面白くした人たち』何とも魅力的なタイトルです。今年8回目を迎えた中津川映画祭2009。日本映画の魅力にこだわり、今年も『おくりびと』『剣岳 点の記』『鴨川ホルモー』『鶴彬こころの軌跡』など13本が上映されました。その中の企画の一つがみだしのシンポジウムでした▼3名限定であなたなら誰を挙げますか。パネラーの神山征二郎監督(『ハチ公物語』『郡上一揆』)は、山本薩夫・木下恵介・今井正・新藤兼人の四人の監督を上げました。理由はブレない。世界観がないものは作家ではないと明快でした。本木克英監督(『釣りバカ日誌』『ゲゲゲの鬼太郎』)は山田洋次・伊丹十三・亀山千広(映画プロデューサー)をあげました。若い監督らしくより現代的に映画を見渡していました▼活弁士の澤登翠さん(今年上映の無声映画『生まれてはみたけれど』の弁士)は溝口健二・小津安二郎の両監督と女優の田中絹代さんでした。名監督と名女優の名前があがりました。討論では木下恵介監督の性癖やお客さんが入らない名画など率直な話が飛び出して熱気を感じました▼1969年に全日本フォークジャンボリーを開催した文化の街に根づいた映画祭に二日間だけ浸かって幸せでした(M)


国民の意思と新政権 2009.9.5

政権交代を生んだ今回の総選挙結果をどうみてますか▼選挙民の意思が明確に示された選挙。子どもが学生が若者が母子家庭が障がい者が高齢者が各々ごく普通に暮らしたいというささやかな願いを実現するのが大変な今の日本。政治は「国際競争力」のためにあるのではなく国民の生活や願いに光を当てるためにあるということです。それが、十年続いた自公政権に対する国民の不信任として、自公の議席数の劇的な減少という形で示されました。それは1955年以来続いてきた自民党政治が終焉を迎えたということかも知れません▼さて、これからの話。やがて民主党主導の新政権が発足して政策を実行することになりますが、変革と不安は表裏一体です。民主党マニフェストにある「子ども手当・年132,000円」「高速道路料金の順次無料化」「農業・畜産・酪農・漁業の個別補償制度」「ガソリン税等の暫定税率の廃止」などは今後国会などで議論を呼ぶことは必死です。また「国家予算の全面組み替え」「特別会計のゼロベース見直し」「中央省庁の政策立案・決定は政府が担う」等が明記されていますので、官庁の予算の立て方・決め方が大きく変化しそうです▼12月の来年度予算編成に最初の真価が試されます(M)

(上記以前のコラム 新着順)

総選挙の選択基準 2009.8.21

総選挙が始まっています。四年間かけてやっと回ってきた有権者が意思を示す機会です。今後の日本のあり方を問う大事な選挙、あなたの選択基準は何ですか▼私は「勤労者が普通に働けば普通に暮らせる社会」の再生です。若者が普通に結婚し子どもを生み育てることがこれだけ困難な日本は異常です。人口減少社会に未来はありません。身内や周りの若者はどうですか。そうした若者の困難の原因を探っていくと大抵「低賃金」に突き当たります。何故低賃金か。それは非正規だから。非正規雇用者が全雇用者の三分の一、一七〇〇万人を占め、年収三百万円未満が過半数を占める(若者の割合はもっと高い)のが日本の現状です。その非正規雇用者が不況の調整弁に利用され職を失う事態まで起きています▼「正規は首切りが困難だから非正規が増えた」と勤労者を経費としか見ない竹中氏が国務相だった政権の責任は大変重いと思う。勤労者を犠牲にして何が「グローバル」ですか「国際競争力」ですか。根本に労働者派遣法の制定・改悪があるのは明らかです。労働者派遣法を根本的に改正して「非正規労働は臨時的・例外的とする」ルールを確立すること▼若者の未来が開かれる選挙であって欲しいと切に望みます(M)

道州制は究極の構造改革 2009.7.22

総選挙日程がやっと決まりました。昨年から延びて延びての「政治の季節」です。ところで今、橋下知事が「道州制」を叫んでいることが気になります▼道州制は、究極の「構造改革」といわれています。なぜか。端的にいえば、都道府県は「二重行政」で無駄だから無くして公務員と議員を削減して行政効率化をめざすとしているからです。受け皿の基礎自治体は現在の市町村を三百位に合併させることが望ましいとしているからです。国と地方の役割分担=地方分権改革の名のもとに、市町村合併と県の廃止をうたうのが道州制です。そのような国のあり方に未来はあるでしょうか。現在知事職にある橋下氏が自らよって立つ基盤=府を無くすよう主張するのはいかがなものでしょうか▼同じような主張を見ました。経団連です。今回の選挙で与野党のマニフェストに道州制導入に向けて「道州制推進基本法」を制定するよう求めています。何故熱心か。福祉や教育など本来国がやらなければならない仕事を地方に押し付けておいて、地方の公務員と予算はさらに減らし、そこで浮くと試算する7.3兆円を産業基盤のために使えるようにするのが道州制だからです。あからさまな主張です▼8月30日、有権者の眼が日本を決めます。(M)

『剣岳 点の記』 鑑賞記 2009.7.10

映画『剣岳 点の記』を観ましたか。カメラマン暦50年の木村大作氏が初めて監督した作品です▼明治40年、陸地測量部は、日本地図で空白となっている立山・剣岳に三角点を設置する計画を立てます。白羽の矢は浅野忠信扮する柴崎に。彼は山の案内人に地元の村人香川照之を指名します。一方、山岳連盟も初登頂のプランを立てたことで競争の様を呈して……▼厳しくて圧倒的な大自然の映像美を楽しむ映画です。人間ドラマも大自然の中では小さく見えます。ブリザードや雪崩など全て本物を撮影した映像に圧倒されます。立山から遠く富士山までも望むことができるのです。そうした秘蔵のワンカットが映画に散りばめられています。今では立山黒部アルペンルートで室堂まで接近すれば、剣岳山頂へ日帰り登山が可能だそうですが、それは現代の話。明治時代に山の案内役として生きた香川照之の自然な演技は特筆ものです▼この映画で思い出したのが木村大作氏がカメラを担当した『八甲田山』(1977年)です。大ヒットして、私も参加していた市職員映画研究会で百枚以上の鑑賞券を斡旋しました。当時「天は我を見放した」が流行語になりました▼映画館でこそ鑑賞したい映画です(M)

大阪府立弥生文化博物館を見学 2009.7.1

過日の日曜日は市労組バス旅行でした。泉佐野方面へ犬鳴山温泉で昼食をとり、青空市場とりんくうタウンアウトレットで買物を楽しみました。その紹介は別の機会に譲ってここでは「学び」の時間の話です▼和泉市に大阪府立弥生文化博物館があります。米作が始まった弥生時代。大阪府の学芸員の熱心な案内で弥生文化を丹念に辿ることができました。定住が始まった頃のすみかは竪穴式住居です。内部の柱構造が分かるように再現されていました。田起こし・収穫・脱穀など米つくりの様子と木鍬・石製穂摘具などの農具が展示されていました。米作りは近親感を覚えます。また卑弥呼の時代の建物群が復元されていました。広くアジアに開かれた弥生文化の展示であることがこの博物館の特徴だと説明がありました(今橋下府政のもと存立の危機に立たされています)▼隣りには池上曽根遺跡があり見学しました。大規模な弥生時代の環濠集落跡で、高槻市でいえば安満遺跡に相当します。中央に巨大な掘立柱建物(いずみの高殿)が復元されていて目をひきます。高床に乗って高さを確かめました▼安満遺跡は芝生公園整備の方向性が議論されていますが、保存・整備・活用できる方途がうまく見つかるでしょうか(M)

「いのちの記録−小林多喜二 29年の人生」を観て 2009.6,24

今年の文化庁芸術祭賞・大賞の作品『いのちの記録―小林多喜二 29年の人生―』がNHKBS2で放送され、観ました。2008年に放送されたドキュメンタリー番組から選ばれた大賞で、制作は北海道放送でした▼戦争へひた走る国家に抵抗したが故に、逮捕されたその日に国家権力によって拷問・抹殺された上、家族は非国民の扱いを受けました。番組は小林多喜二の生涯を映像や証言によって丁寧に辿りながら、彼の余りにも短い29年の生涯を追っていました。中でも、小林多喜二の母を描いた三浦綾子の小説『母』を舞台女優・河東けいが熱演していて、息子を思う母の立場から人間・多喜二に迫っていました。母の実写フィルムも挿入されていました。中国で小林多喜二シンポジウムが開催されたことを初めて知りました。また最近『小林多喜二』(岩波新書)を著したノーマ・フィールドさん(シカゴ大教授)が出演していたことも印象的でした▼小林多喜二という人物とその作品については、黙殺・無視という傾向と神格化・英雄視という傾向と評価の二極分化の時代が長い間続いたと思います。昨年来の『蟹工船』ブームがそうした固定観念を打ち破り、小林多喜二という作家と作品を再評価するきっかけになって欲しいと思いました(M)

短編アニメ「つみきのいえ」の魅力 2009.6,17

アカデミー賞受賞で話題になった12分の短編アニメ『つみきのいえ』が高い評価です。前年にはフランスの国際アニメフェスティバルでクリスタル賞を受賞しておりアート系・ギャグ系とアニメの毛色が異なる欧と米で共に認められたことに意義があると「キネ旬」に掲載された文で読みました▼塔のような家に住む老人が水位の上昇に対応して煉瓦を積みます。ある時、愛用しているパイプを落としてしまいます。意を決して潜水服で探しに行きます。階下にはベッドがありました。使用している生前の妻がよみがえります。降りると今度は家具がありました。娘と妻との暮らしがよみがえります……▼アクションもギャグも会話もなく淡々と進む静かなアニメ。CG全盛時代にあって手書きの線が新鮮で温かい。上昇する水位に何を感じるかは、観る人の心に委ねられています。ある人は「この水は洪水ではない、まして地球温暖化の水位上昇でもない。満々とたたえつつ音もなく呑み込む『時』なのだ」とその文は書いています。卓見だと感心しました▼余談になりますが、出丸町にあるお好み焼き屋『あそこ』へ行く機会がありましたら、是非、監督・加藤久仁生さんを話題にしてください。濃い縁者の方だと聞いています(M)

カローリングが面白い 2009.6,10

ニュー・スポーツと呼ばれるスポーツを楽しんだことはありますか。PTAや学区体育協会などで「誰もが気軽に楽しめる」スポーツとして、インディアカ・ペタンク・ターゲットバードゴルフ・ソフトバレーボールなどの「ニュー・スポーツ」が取り入れられています▼過日、その一つ「カローリング」を体験しました。冬季オリンピックで注目を浴びた氷上のチェス=カーリングがヒントとなって、室内の床上で気軽に楽しめるスポーツとして考案されました。競技は、三人一組の対抗戦。一人2個、合計6個の高性能ベアリングを装備したハンドル付きジェットローラーを交互に投球して、11m先のポイントゾーン(3点・2点・1点)に止めます。全12個の投球が終わった時点で最も中心にジェットローラーを置いたチームが勝ちとなり、得点が計算されます。これで1イニング。過日は相手を変えて合計7イニングを競技しました▼自らのジェットローラーをどこに配置して、味方を守り敵を妨害するか、計算とチームプレイが全ての競技です。慣れていないため思い通りに投げられないことも手伝って、一投ごとに場面が変化し歓声が上がりました▼参加選手・観衆がこれだけ熱くなる競技を久しぶりに経験しました。面白いです(M)

GMは「対岸の火事」か「他山の石」か 2009.6,3

GMが破産法申請したニュースどうみていますか。サブプライムローン破綻に端を発した金融危機=経済不況は、昨年の証券大手・リーマンブラザーズの倒産に続き、米自動車第三位のクライスラー、そして遂に最大手をも飲み込むに至りました。製造業としては最大、負債総額16.4兆円の倒産です▼破産法11条申請によって、今後、経営再建計画を立て承認・許可を得る手続きに入ります。その内容は、従来の雇用・出資・融資契約は白紙に戻して新生GMとし、株の60%を米政府(約500億ドルの支援)が、12%をカナダ政府など(95億ドルの融資)が保有する「国有企業」となります。シボレーやキャデラックなど四車種を残し、サターンやサーブなどの不採算部門は閉鎖・売却・清算の道へ。そうした生産の特化と販売網の縮小によって、世界に散る24.3万人従業員の解雇や部品メーカー・ディーラーなどの連鎖倒産が心配されています▼新生GMの今後の課題として「売れる車が再建へ不可欠」と新聞見出しにありました。小型車・環境車へのシフトが成功するか、政府は財務を支援できても、営業=商品力は今後の経営陣の手腕にかかっています▼日本経済にとって「対岸の火事」か「他山の石」か(M)

ホタルが舞う季節 2009.5,27

5月24日に桂川河川敷でヒメボタル観察会が開かれたと新聞にありました。ホタルが舞う季節がやってきました▼高槻市に「ホタル保護条例」があるのをご存知ですか(今は「高槻市緑地環境の保全及び緑化の推進に関する条例」の中に一本化されていますが)。全国に先駆けて昭和50年に条例化されたと記憶しています。毎年、観察会が開かれています。全国的には37市町が条例をつくるなど町おこしや市民と協働でホタル保護をすすめる動きが盛んです▼10年ほど前の話ですが、私の住む所では「ホタルダス」という市民参加の取り組みがありました。近くの川・水路附近でのホタルの出没状況を調査・記録するもので、提出したデータは全県的に集計・分析されて『私たちのホタル』と題した報告書になってかえってきました。当時、家族揃って夜に出かけるのが面白いと子どもたちは喜んでいました。この取り組みは十年ほどで終わりましたが、現在でも6月になると我が家の近くの川でゲンジホタルやヘイケボタルを確認することができます▼新聞には6月20日に大山崎町で『第12回ヒメボタルサミット』が開催されると紹介が載っていました。成功してほしい取り組みです(M)

新型インフルエンザ 2009.5,20

新型インフルエンザの感染が兵庫・大阪に拡大して、休校をはじめとして教育・福祉など市民生活に大きな影響が出てきました。刻々変化する状況に対して行政には的確・迅速な情報提供と対応が求められています▼感染力と病原性の解明がすすんで「従来の季節性インフルエンザと同等」と発表があり、ヒト・インフルエンザに効くタミフル・リレンザなどの治療薬が有効との話にちょっとホッとしています。感染拡大をどう防止するかが最大の課題であることは変わりませんが、「鳥インフルエンザ」相当の対応基準は修正されていく模様です。危険なのはウイルス遺伝子の突然変異が起こることです。ただこればかりは誰も予測不可能ですので、無いことを祈るばかりです▼さて、今年一月に私も「季節性インフルエンザ」を体験しました。咳と急な高熱が特徴です。自己診断は風邪でしたが「念のために」町医者で簡易検査を受けた結果「A型」と判明しました。どの型かは不明でしたが「タミフル」処方で土日を含め五日間病休となりました。息子がたぶん通勤途上で感染し、私は息子から家族感染のようでした。息子がすぐに検査を受ければもっと早く発見できたはずと反省した所です▼「念のため」が大事です(M)

憲法のつどい 2009.5,13

今年の黄金週間はどうでしたか。片道千円を活用して遠出した人も多かったのでは。我が家は専ら家庭菜園でしたが、憲法記念日には「憲法のつどい」に出かけました▼講師は脚本家のジェームス三木さんでした。NHKテレビ小説『澪つくし』や大河ドラマ『独眼流政宗』『八代将軍吉宗』などが知られています。「憲法と私」と題した講演は軽妙な語り口で会場を沸かせる楽しい時間でした▼ 私は脚本家だが、最初に書いたのはドラマ『七人の刑事』最終回。誤字が多くて脚本「ジュース三本」となっていた。言葉はあいまいでいい加減な所がある。日本国憲法は押し付けという人がいるがアメリカが三本柱のモデル案を作った。戦争の放棄と基本的人権の尊重と国民主権と。世界の憲法のいいとこ取り。日本人の90%以上が大歓迎した。62年間、一度も戦争していない一人の人も殺していない。素晴らしいことではないか。今後38年、100年続いたら世界中から尊敬される。私たちは中継ランナー。のちの世界のあり方を示す今の憲法とりわけ第九条をしっかり子孫にバトンしなければならない▼健康は大切だが行き過ぎては大怪我する。健康は手段であっては目的ではない。私は廊下では必ず帽子を被るようにしている(爆笑)(M)

健全化団体への危惧と守口市職労の挑戦 2009.4,22

大阪・守口市は普通会計と国保会計の実質赤字が累積して早期健全化団体への転落が危惧されています。そんな中「地域住民の繁栄なくして自治体労働者の幸せはない」と守口市職労は今、取り組みを強めています▼守口市は大企業と中小企業が混在する企業集積地であるため、大企業の海外移転等によって産業構造・就業構造が大きく変化しました。そこへ構造改革が加わって市民生活が疲弊、貧困化が進行していると分析。国保会計は市民のおよそ40%が加入していますが、無職者が50%を越え年収200万円以下の加入者が80%を占める状況で、37億円の累積赤字になっています(07決算)。所得階層の下層へのシフトにより福祉関係経費が増大する一方で、三位一体改革によって実質的な地方交付税総額が約50億円削減されたことなどにより、一般会計は39億円の実質赤字となっています(同前)▼組合は地域に入ってアンケート調査活動を展開、住民生活の実態を追いました。その結果、職住接近の職場に通勤して長く定住したいと考えているものの、隣近所との付き合いが希薄になってきたことを心配する一方、定住志向は高くなっている、と▼「働き住む成熟都市」を模索する組合の挑戦は続きます(M)

初夏の陽気と夏野菜の準備 2009.4,15

桜が満開の週末は初夏を思わせる陽気でした。菜園に出て夏野菜の準備に余念のない人を多く見かけました。私もその一人でした▼菜園で今元気に生長しているのは昨年十一月に種まきした冬越し野菜です。ソラマメとエンドウの株が張り茎が五〇センチ位伸びて花を付け始めました。タマネギは青みが増して茎が太り始めました。苗を植えマルチングしたイチゴは葉っぱが横に広がって日を浴びています。ニンニクも同様です▼さて、夏野菜は果実を収穫する野菜が多いため出来、不出来がはっきりします。今年こそと決意新たに先ず畝つくりから始めました。牛ふんとバーク堆肥を撒いて小型耕運機で土と混ぜます。そしてスコップで畝と溝を切っていきます。四本出来ました。そのうち苗を購入して植付する畝はマルチングを施しました。これで準備完了です。第一弾としてトマト八本とパプリカ・ピーマン・万願寺トウガラシ・シシトウ・タカノツメを植え付けました。例年より二週間早い作付けです。それとトウモロコシの種を蒔きました。四月は自治会役員の交代時期でもあります。その自治会の話や体育協会の話などが隣りの畑の人から声がかかります。骨休めのひとときです▼日の入りまでが長くなってよく働きました(M)

映画『戦艦ポチョムキン』と東大闘争 2009.4.8

活動弁士をご存知でしょうか。サイレント映画上映スクリーンの横で映画内容を語る弁士のことです。最近、映画『戦艦ポチョムキン』を活動弁士付き・ピアノ伴奏付きで鑑賞する機会がありました(中津川市にある歌舞伎ホールにて)▼27歳のエイゼンシュテインが1925年に監督した作品。1905年に起こった戦艦ポチョムキン号の乗組員反乱事件を扱っています。古典的名作。サイレント映画で時折挿入される字幕はロシア語。そこに柳下美恵さんの即興ピアノ伴奏が入り、澤登翠(さわとみどり)弁士の説明が入ると映画内容がストレートに観客に伝わってきます。感動の五五分でした▼この映画を初めて見たのは丁度40年前1969年1月のことでした。当時、バリケード封鎖されていた図書館の隣りにある東大教育学部を封鎖から守ろうと赤門附近には全国から沢山の学生が集まっていました。東大闘争の天王山である秩父宮ラグビー場での大学側と学生代表団による全学集会が開催される少し前です。夜になると集まった学生のために広場にスクリーンが立てられ映画『戦艦ポチョムキン』が上映されました。無声映画を自分で解釈しての鑑賞。上映終了とともに拍手喝采の嵐でした▼名画は時と場所を選ばないのかも(M)

新規採用職員へのエール 2009.4.1

新規採用職員の皆さん、就職おめでとうございます。在職する先輩として歓迎のエールを送ります。皆さんは難関の職員採用試験を見事合格して、本日高槻市職員となられました。初心を忘れず、36万高槻市民のために、地方自治を生涯の仕事として奮闘されることを期待します▼さて、昨秋のリーマンブラザースの破綻に端を発した世界金融危機=世界同時不況が各国を襲っています。日本の自動車・家電等の大企業は生産減を理由に派遣労働者等の非正規労働者を解雇・雇い止めにして大量の失業者を生み、「年越し派遣村」がテレビ放映されるなど社会問題となっています。2004年の法改悪によって製造業に派遣労働が解禁された結果ですが、今「労働者は部品ではない」「生きさせろ」と非正規労働者の反撃が始まっています▼労働組合の全国組織である全労連は、彼らの取り組みを全面的に支援し、各々の場所で「非正規ユニオン」など労働組合の組織化を呼びかけています。一人では弱い立場だからまとまって労働組合として団結して交渉するのです。幸い高槻市にはすでに先輩が結成した労働組合があります。望めば一人ぽっちになることはありません▼市労組は皆さんの参加を心待ちにしています(M)

「ガリ版文化」世代の退職 2009.3.25

「読みやすい文字ですね」「ガリ版刷りのアジビラの名残りかな」「ガリ版?アジビラ?」25才の女性新聞記者との会話。家族新聞のことで取材を受けた際、過去の手書き新聞を見て感想を述べたくだりです。今はガリ版が分からない世代が第一線で活躍する時代です▼正式には謄写版印刷。ロウを塗った原紙をヤスリの上に置き鉄筆で文字を書き込みます。その時出るガリガリという音からガリ版ともいいます。木枠に原紙を張ってその下に印刷用紙を置きインクの付いたローラーで押さえると文字部分のインクが通過して印刷される仕組みです。小学校のテストは専ら学級担任の先生がガリ版で手作りしたものでした。そして、『アジビラ』とは学生時代にキャンバスに乱舞していた「アジテーションビラ」の略で学生運動が高揚していた時期の話です。ヤスリ目の加減で活字のような四角い文字を書いていました▼団塊の世代は「ガリ版文化」の世代といえるのかも知れません。今年の定年退職者は150名と聞いています。高槻市の成長・発展・成熟とともにあった30数年間の勤務、本当にご苦労様でした。再任用の方を除けばお顔を会わす機会もあと少しです▼時はめぐり4月には170余名の新規職員とバトンタッチです(M)

企業・団体献金の全面禁止を 2009.3.18

西松建設の違法献金事件、どうみていますか。西松建設がダミーの団体を使って迂回献金していたことを小沢氏・二階氏両氏が承知していたのは明らかだ、と疑惑は深まるばかりです▼この事件の真相究明は当然として、焦点は「企業・団体からの献金を全面禁止するか」どうかです。なぜなら、かって政界のドンと呼ばれた金丸信氏が脱税で逮捕され自宅から数10億円の不正蓄財が発覚した事件がありました。1993年のことです▼この時「政治改革」と称して政治資金規正法改正とセットで、小選挙区制と政党助成金制度が導入されました。政治家個人への企業・団体献金は禁止するが、政党・政党支部・政治資金団体なら可能と抜け道がありました。その結果、小選挙区制で民意が反映されにくくなった上で、年間300億円を超える税金を投入しながら、相変わらず企業・団体献金は続くという構図でした▼はっきりしているのは企業に選挙権はなく、支出するお金は全て営業用ということです。見返りがあるから出すのです。そうでなければ企業に対する背任になります。従って、競争相手が抜け駆けするから問題であって全面禁止なら企業も喜ぶでしょう。選挙を前に今回だけはいい加減な決着は許されません(M)

シイタケの菌を植え付ける 2009.3.11

玄関のプランターでは昨年11月に植えたチューリップ球根から緑の芽が出て伸びてきました。春の訪れ間近です。過日、クヌギの原木を切り出す作業をしました▼我が自治会館の近くを高圧線が通過している関係で関西電力が樹木の伐採を行いました。その中にクヌギが含まれていましたので、所有者の許可をもらって有志で原木を一mずつ切り出す作業を行いました。私には十本が当たりました。それで次の日シイタケの菌を植え付ける作業をしました▼ホームセンターでは棒状の種駒菌を販売しています。200個入りを購入。専用ドライバーは知人から借り直径8・5ミリのドリル先端部は購入しました。一本当たり20個を目途に千鳥状に穴を空けます。そして種駒を木槌で打ち込んでいきます。出来上がった原木は日の当たらない所に運んで少し頭を上げて横に並べました。仮伏せです。上から散水して十分に濡らします。これで出来上がりです▼我が家の庭にある金木犀の下には以前作ったホダ木が縦置きに20本ほど並んでいます。今が春の開花時期。傘がネット状にヒビ割れした肉質の厚いシイタケが採れています。シイタケは天然・無農薬の典型的な食物▼また十本加わりました(M)

花粉の飛散がピークに 2009.3.4

三月に入ってスギ花粉の飛散がピークを迎えています。今年のスギ花粉は昨年よりも多いとか。鼻がムズムズ、眼がショボショボ、クシャミを連発する花粉症の人にとっては最悪の時期です。今や五人に一人の割で花粉症の症状が出るといいます。電車では十人に一人位はマスク姿です。私もこの時期、治療薬とマスクが手放せません▼私がスギ花粉症にかかったのは三〇歳位の時でした。私の田舎は杉の木に囲まれて生活していたようなものでしたが、それでも全く平気でした。それがなぜ花粉症に? 結婚して食生活が変わり体質が変化したことと、盆地に転居したことでディーゼル排ガスによる大気汚染がひどかったこととの複合作用ではないかと自己分析しています▼それに加えて、最近黄沙との相互作用を指摘するテレビ番組がありました。中国大陸の砂漠で発生した黄沙が偏西風で東進して中国沿岸部の大気汚染を通過する中で汚染微粒子を漂着させて、韓国・日本に飛来してくるというものです。空気を瞬間冷凍したことになる樹氷を溶かして汚染度を検証していました。今の時期、花粉と黄沙とディーゼル微粒子が束になって人を襲う構図でしょうか。原因はともあれ辛い季節です▼桃の節句が過ぎて次は桜です(M)

アカデミー賞の楽しみ方 2009.2.25

映画『おくりびと』がアカデミー賞外国語映画賞を『つみきのいえ』が短編アニメ賞を受賞したニュースが日本中を駆け、授賞式の様子はBSで放映されました▼脚本・音楽・編集・衣装など沢山の受賞部門ごとにノミネートと受賞者が順次発表されていきました。映画は総合芸術であることを実感する場面でした。日頃注目されるキャストだけでなく、映画を裏方で支えるスタッフにしっかり光が当てられるのがいい。受賞者のスピーチが一番の楽しみです。今年はショーン・ペンが光っていました。日本映画の受賞以外で嬉しかったのは助演男優賞にヒース・レジャーが選ばれたこと▼映画『ダークナイト』で今回の悪役=ジョーカーはサーカスのピエロ姿に身を包んでいます。ジョーカーは鬼に迫る演技で主役のバットマンを圧倒しています。ヒース・レジャーと言われるまでは誰であるか全く分かりません。昨年一月に急性薬物中毒で急死する不幸に。故人として受賞するか注目されていました。それと、五人のノミネート俳優をかって受賞した五人の俳優が一人ずつ紹介するという今回の趣向が楽しかった。ソフィア・ローレンやゴールディ・ホーンの姿が見られました▼厚生大会の映画券は三月までが使用期限です(M)

第2回乙訓地方自治研究集会 2009.2.18

隣りの京都府に乙訓地域があります。向日市・長岡京市・大山崎町。かっては乙訓郡と呼ばれた地域です。その大山崎町で過日『第2回乙訓地方自治研究集会』が開催されました▼昨年『全国地方自治研究集会』が京都で開催された際、受入地元としての取り組みの中で生まれた通称『まち研』。自治体労働者と住民が参加する組織です。京都では乙訓のほかに舞鶴地域と宇治地域で活動しているとのこと▼記念講演は岡田知弘氏(自治体問題研究所理事長)の『道州制で乙訓はどうなる−自治と地域の力を高めるために−』でした。道州制は現在の都道府県を全て解体して役割分担論に基づき国・州・基礎自治体と統治機構を再編するもので、究極の構造改革と呼ばれていると、麻生政権の動きと財界の提言に触れ平成大合併の検証も踏まえて具体的に批判。とんでもない自治の破壊であると警告されました▼昼休み休憩を利用して地元大山崎の真鍋町長と岡田氏のビッグ対談がありました。当選二年間は「継続と継承」によって積み越し課題を整理・修正・処理・実現してきた。後半は「共働」、共に働く、町民との自治的な運営に集中していくと話されました▼午後からは財政分科会に参加して中身の濃い一日でした(M)

インフルエンザにご注意を 2009.2.7

インフルエンザがピークを迎え猛威をふるっています。受験シーズンを向かえ神経を使う家庭も多いのでは。日頃の防御対策は万全ですか▼喉が痛くて熱っぽいため念のため帰宅途中に町医者の診断を受けると「A型です。」インフルエンザに感染していました。早速処方してもらって帰宅。夜から熱が上がり始め、翌日は朝食べて薬を飲んで寝て、昼食べて薬を飲んで寝て、夕食食べて薬を飲んでまた寝ました。よく寝られるものと自分でも感心する位。頭痛が辛い。幸い「タミフル」が効果を発揮して熱は下がりました。職場は土日をはさんで3日間の休暇となりました。初めての経験でした▼今年はAソ連型とA香港型が混合流行していて、Aソ連型にはタミフル耐性型があると指摘されています。簡易検査では型までは判別できないとのこと。薬投与のタイミングは「発熱後48時間以内が有効」と言われていますから、熱には敏感に対応したいものです。ウイルスを蔓延させないための最小限の咳エチケットが紹介されていました。@マスクの着用A咳・クシャミ時には顔をそむけ口と鼻をティッシュ・ハンカチ等で覆う B使用ティッシュは蓋付きゴミ箱へ▼ 映画『感染列島』が身近に感じられる時勢です。ご注意を(M)

社員化と消費税率引き下げを 2009.128

「内需拡大のために何が必要か」山家悠紀夫さんの話です▼日本の景気が急激に悪くなったのは米への輸出ができなくなっているから。輸出頼りから内需拡大への転換が必要。内需=設備投資・個人消費。特に個人消費を増やすこと。個人消費を拡大するには家計の所得を増やすことが必要。首切りをどんどんやったら所得ゼロの人が増える。雇用を守り正社員を増やすこと▼どうやって雇用を維持し賃金を切り上げるか。大企業は蓄えをもっています。社内留保金です。好景気時に貯めた分です。今まで海外投資していましたが今は投資先がなく使い道がありません。その内部留保の一部を、賃上げ・正社員化に回せばいいのです。「経営者よ、首切りするなら切腹せよ」(1999年トヨタ自動車会長)と10年前には言っていましたが、今は景気が悪化するとすぐに雇用から切っています。政府がルールを作ることも重要。最低賃金を引き上げ、非正規雇用を原則禁止に近い状態にもっていく。税制面では、生活必需品の消費税率を引き下げるなどの家計を応援する減税をする▼これら方策によって家計所得→消費→企業売り上げ→利益といういい循環を作る▼理路整然としていて説得力のある話です(M)

岩波新書と私 2009.122

本屋さんで『図書』を見かけました。岩波新書が創刊されて70年を迎えた記念号でした。著名人が3冊の新書と推薦理由をあげています。新書ブームと言われ一か月に百数十点の新刊が発行されています。以下は個人的で恐縮ですが「岩波新書と私」の小文▼「岩波新書を読みなさい。その分野の第一人者が素人にもわかるようにしかも200頁で分かりやすく説明している本だ。」学生時代のゼミの先生の言葉が契機となって意識的に岩波新書を読むようになりました。色分けすると赤版・青版・黄版・新赤版と変遷しています。高校・大学時代は青・黄版でした。市役所に入って、出入りしていた本屋さんと親しくなり「岩波新書を取りますから届けてください」と申し出て、職場に岩波新書が届くようになりました。第一号が黄版の100番「法とは何か」(渡辺洋三著・1979・10月発行)でした。月3冊発行でした▼その後、本屋さんが廃業する2004年の新赤版の884まで購入しました。ちょうど25年間購入したことになります。多義にわたる分野が網羅されていますが、タイトルが気に入った順にとにかく最初の50頁を読んで見るのが私の読書法です▼今も新書版の本はなぜかよく手が伸びます(M)

派遣労働は禁止を 2009.115

「派遣労働」の実態を知っていますか。新聞で読んだ例です▼募集広告では「収入25万以上・寮完備」でしたが実際の月収は20万円が限度。そこから家賃より高い寮費と光熱費が引かれ、部屋の電気製品・布団はリースだからと使用料が請求される、手取りは10万円ほどになる。生活維持が精一杯です。契約で職場を転々とさせるため技能や知識の習得は不可能でまるで消耗品です。派遣先が雇い止めになると「仕事はない、自分で探せ、寮を出ろ」と派遣会社。当然の義務であるべき社会保険への加入も怠っているため雇用保険も出ない。そこで派遣を切られると即ホームレス状態になってしまうのです▼労働者派遣業は現代の手配師、労働者の口入れ稼業とタコ部屋商売だ、というその新聞の指摘は的を得ています。派遣労働は日本と韓国位しかありません。中間搾取を無くすという戦後労働政策の原則を政府自らが崩壊させた結果です。今、定額給付金が問題になっています。例えば、「派遣切り」された人や失業者に生活保護並みの月12万円を支給したらどうですか。100万人に一年間で1兆4400億円です。そして製造業への派遣労働を禁止するのです。2004年以前に戻すこと▼すぐに実現可能な話と思います(M)

人に優しい経済理論が必要 2009.1.8

新年おめでとうございます。年末年始はどうでしたか。私は「日比谷年越し村」の映像が写し出されるたびに深く考えさせられました。米国発の金融危機と世界的大不況の嵐が何故起こったのか、そして経済はどうあるべきなのか。学生時代に経済学を学んだ者として思いを馳せています▼資本主義の信号機を壊してカジノに変えた市場原理主義=新自由主義の考え方は終焉を迎えています。推進者は「百年に一度」の経済危機をもたらしたことを猛省すべきでしょう。変わってケインズ主義の復活か。政府が金融・財政政策によって「総需要」を管理する考え方です。一九二九年の大恐慌から資本主義を立ち直らせるニューディール政策の理論的基礎となりました▼経済危機への緊急策としてケインズ主義は今も有効かも知れません。しかし軍需=戦争による絶対的消費は問題外としても大型公共事業による財政支出政策がどこまで許されるか。多国籍企業が台頭して産業構造がグローバル化している問題があります。IT技術の進歩・地球環境の課題もあります。緊急避難的であったとしても王道とはなり得ない▼二一世紀の資本主義が提起する新しい課題を正面から解明する人に優しい経済理論が求められています(M)

今の異常を読み解く 2008.12.24

 今年最後の動点です。米国発金融危機の嵐が世界経済を覆い、市場収縮の話ばかりがニュースに流れています。一年を振り返るのが定番かも知れませんが、もう少し大きなスパンで考えてみます▼社会は進歩発展するものであり、親より私たちがそして子どもたちがより良い生活を送ることができると信じてきました。今の日本の現状はその確信が揺らぐ状況であることが何より残念です。生活の便利さが格段に向上したのは誰もが認めます。そのために産業があり、成果は商品に結実しています。一方、勤労者の私たちは労働力を発揮することで賃金を入手しそれらの企業が生産した商品を購入して生活します。そうして社会は成り立っています▼賃金はコストであり少額ほど良いと全ての企業が行動した時(自公政権はそれを後押しし労働組合はそれを阻止できなかった)世界は一変してしまいました。景気の調整弁であるかの如く扱われる非正規労働が蔓延し、セーフティネットは粗く、福祉・医療・年金が危機に瀕する社会となってしまいました。そこに出現した金融危機。一度に日本社会の矛盾が噴出しています。どこかが異常です。その異常さを見極める所から将来が見えてくるはずです▼来年こそいい年でありますように(M)

今城塚古墳の謎 2008.12.17

今城塚古墳の謎に迫る本が相次いで刊行されています▼一冊目は『継体天皇の時代』(高槻市教育委員会編 吉川弘文館)です。昨年は継体天皇が即位して千五百年ということで高槻市教育委員会が「シンポジウム継体天皇とその時代」を企画しました。そこでの講演と討論をまとめたものです。もう一冊は『継体天皇二つの陵墓、四つの王宮』(森田克行他著 新泉社)です。NHK大阪文化センターが主催した講演会「継体天皇即位千五百年−発掘成果と考古学に学ぶ』を元に編集し直したものとあります▼現在の天皇につながる最初の天皇となった継体天皇は、六世紀の始め越前の国から出てきて即位しましたがすぐに大和に入ることはできませんでした。その陵墓とされる今城塚古墳は、現在唯一市民の立ち入りが許された天皇陵です。その発掘調査によっていろいろなことが解明されてきています。淀川での鵜飼の話、埴輪祭祀の話、船形埴輪の話など興味が広がります。その今城塚古墳を史跡公園として整備する工事が進み、歴史遺産の展示と体験学習ができる古代歴史館の整備が検討されています▼今年を締めくくる漢字は『変』でした。辛い浮世からしばし離れ古代ロマンに想いをはせる時間も大切かも(M)

労働市場の規制と社会的保護を 2008.12.3

雇用情勢が急速に悪化しています。内定が取り消される新卒者が相次ぎ、非正規労働者の雇止めは三万人にもなろうとしています。金融危機の大津波が全く責任がない日本の勤労者を直撃しています▼今、日本の雇用者の33.5%が非正規雇用です。労働者とは「労働力」以外に生活の糧を持たない階級をいいます。その労働力が使い捨ての扱いを受ければ、即刻その日の生活の糧を失い、路頭に迷うことになります。労働者の首が景気の調整弁の役割をさせられるのは日本では初めての事態です。労働組合の組織率の低下や労働者派遣法の改悪がここまで勤労者を追い詰めています。これは政治問題です▼国際労働機関(ILO)は「ディーゼントワーク」を提唱しています。「働きがいのある人間らしい仕事」という意味です。安定した雇用・公正な所得・労働者の権利保障・男女平等などがその内容です。国の政策目的の中心となるべき内容です。政策立案者には、労働市場の規制と社会的保護によって勤労者を安心させる政策と寮を追い出された人の住宅と生活を緊急支援することを今すぐに実行してほしい▼党首討論を見てがっかりしました。予算か解散かに明け暮れている時ではないと思う(M)

考える人を育てる教育 2008.11.19

「過去を踏襲できない頻繁に生起する未曽有の事態」読めますか。首相の原稿読み違いが話題となりました。「コミック」の漢字にはルビがあるとの陰の声も聞こえました▼今年のノーベル物理学賞の受賞者・益川敏英京大名誉教授の「教育汚染」発言を思い出しました。発言の主旨は、本来みんなが持っている好奇心が選択テストの受験体制の中ですさんで考えない人をつくっている。親も教育熱心ではなく教育結果だけに熱心になっているというものでした▼共通一次試験(今はセンター試験)が実施されるようになって30年になります。マークシート方式に答えは一つです。条件反射的思考で深く考えるゆとりのない試験です。先生は「知らない問題はパスしろ」と指導します。一方欧州では、例えば「トルストイの人間観について述べよ」で二時間です。採点者は大変です。しかし解答に至る思考過程のジグザクが生む効果を大事にしている教育です。本を読もうとする意欲や読書力が必須の条件となります。昨年、日本で学力テストが実施されましたが、見本としたイギリスは中止しました。点数が一人歩きする「結果熱心」が大阪でも議論を呼んでいます▼その前に「考える人を育てる」教育のために今なすべきことは沢山ある気がします(M)

愛と死をみつめて・終章 2008.11.11

インターネットには時間と距離がありません。ホームページやブログを公開すると瞬時に世界を駈け巡ることになります。以下はブログに関わるささやかな体験です▼図書館の開架室で偶然『愛と死をみつめて 終章』(河野実著)と題する本を見つけました。1963年に出版された『愛と死をみつめて』は160万部を越えるベストセラーとなり、映画・ドラマ・レコード化され、当時大変な話題となりました。私は未見ですが2006年に再度テレビドラマ化されたそうです▼本書はその一方の当事者である河野実さんが40数年の時を経て、当時18歳から22歳の心の証言を書き綴った本でした。私が印象に残ったのは大島みち子さんのイメージの変化。薄倖のか弱き美少女という固定イメージがありましたが、播州・西脇の機織工場の経営者の長女として同志社大学に合格した身長163pの才女、「将来の夢は独身を通してジャーナリストとして悪い世の中の膿をあぶりだしたい」と夢が随分と具体的なのが印象的でした。そうした感想を私のブログに綴った所、当の河野さんから私のブログにコメントをいただきました。ジャーナリストとして活躍されていることも知りました▼ブログが持つ大きな効用のひとつでしょうか(M)

ツタンカーメンの豆 2008.11.5

文化の日を含む三連休はいかがでしたか。幸い好天に恵まれました。私は大津市合唱連盟の『合唱のつどい』を聞きに行った以外は、専ら畑に出勤して冬越し野菜の準備をしました▼先ずは「エンドウ」。実エンドウ・スナップエンドウ・絹さやエンドウに加えて今年は「ツタンカーメンのエンドウ」を栽培の予定です。ご存知ですか。古代エジプトの墳墓から黄金のマスクなどの埋葬品とともに発見され、発芽に成功、日本にも渡ってきました。昨年友人から分けてもらって初めて栽培しました。花はワインレッドで大変美しく、さやは紫色です。実も薄い紫。エンドウ豆ご飯を炊くと最初は普通の色ですが保温すると赤いご飯に変わります。古代ロマンを感じませんか。昨年収穫した中から種を仕舞っておきました。畝を作って30cm間隔で一箇所に3粒ずつ蒔きました。発芽が楽しみです▼そして「そら豆」。家族みんなの好物です。一袋に10粒位しか入っていません。広めの畝を作ってこれも30cm間隔で種を一粒ずつ蒔きました。次は「玉ねぎ」。こちらは苗は購入しますので畝の準備です。広めの畝を作って穴の空いたマルチシートを敷きました。「イチゴ」は移植を完了しています▼4種類の冬越し野菜を準備して冬支度が完成です(M)

読書週間 2008.10.29

今年の標語は『おもわぬ出会いがありました』。10月27日から読書週間が始まっています(11月9日まで)。本を読んでいますか?▼私は電車で通勤していますが、ケータイを触っているか音楽を聴いている人はよく見かけます。が、以前と比べて新聞を読んでいる人や読書している人を余り見かけなくなりました。最も今は『ケータイ小説』がありますから外見だけでは判断できませんが。私の場合は、往復一時間の電車の中が誰にも邪魔されない貴重な読書時間です▼読む本は購入もしますが多くは図書館です。地元図書館では「三週間十冊以内」の規定どおり目一杯借ります。読めなくても期限を守って返却すればいい。開架式なので作家別・映画・農業・将棋・政治・経済・法律など回る所が決まっていて一時間もあれば十冊選べます。三冊以上の分野が異なる本を常に鞄に入れておいて同時平行的に読んでいくのが私流です。ミステリーの分野では甥の道尾秀介がきっかけとなって横山秀夫や森見登美彦などの作品に読書が広がってきています。私のルールは読了したら必ず感想を書くこと。ブログに読書欄を設けて綴っています。今年1月から47冊になりました▼金融危機を分かり易く解明した本と出合うことが今の課題です(M)

第9回地方自治研究全国集会 2008.10.22

この土・日京都で『第九回地方自治研究全国集会』が開催されました。自治労連が住民組織とともに二年に一度開いている全国的な自治研集会です▼土曜日は京都会館で全体集会。記念講演は佐高信さんの『信号機壊した構造改革』でした。反権力の辛口評論家、「週刊金曜日」編集委員です。構造改革は信号機=最低のルールを全部取り払い元のジャングルにもどした。民営化とは会社化のこと。警察や消防署を赤字だからなくすとは言わない。パブリックとはそういうもの。辛口の人物評を交えながら笑いが絶えない話に聞き入りました▼二日目は分科会。私は財政分析講座に参加しました。午前は初村講師の講義で午後からは事例発表。私も『安心して暮らせる街・高槻をめざして』と題して報告しました。1980年〜2007年の決算カード分析から見えてくる財政の特徴、財政健全化法による健全化判断比率の説明と分析、事業仕分けである高槻の「業務精査」の特徴と今後の成り行き、指定管理者制度の適用状況と今後の課題、など。多くの課題を入れた欲張った報告となりました。ほか日野町や静岡市は住民の会が主体となった分析活動を報告。大阪府職労による「対案」の説明もありました▼頭の中が一杯になった土日でした(M)

淀川水系流域委員会の最終意見 2008.10.15

時の人・宮本博司さんの講演を聴く機会がありました。過日『最終意見』をまとめた淀川水系流域委員会の元委員長。河川行政一筋の人の話です。印象に残った点に触れます▼淀川水系流域委員会について。改正河川法のもとで七年前に設置され、委員選定も事務局も行政から独立して徹底した情報公開と発信を行ってきたこと、行政原案から出発しないで現状と課題の共有化を徹底してこれまで六〇〇回の会合を重ねてきたこと、その委員会の「最終意見」はそれだけの重みがあること▼流域委員会が強調しているのは被害を最小にする「減災」の考え方、護岸・堤防の強化です。今回の三ダムの効果は非常に限定的だから緊急性は低い。それより十mの堤防が決壊すれば壊滅的な人的・物的被害が発生します(カトリーナの例)。土饅頭となっている堤防を強化・することが今「人命」を守る緊急性があると▼整備局はこうした「最終意見」を待つことなくダム建設を盛り込んだ計画案を公表しました。あくまでもダム建設が唯一の洪水対策という頑なな態度はどこからきているのでしょうか。今後は大阪・京都・滋賀の知事が共同で意見を提出する段階になっています▼負担金支払いを伴う知事の意見は重みがあります。注目です(M)

多趣味のライフスタイル 2008.10.7更新

『地方公務員等ライフスタイル協会』という財団法人をご存知ですか。総務省の外郭団体で地方公務員共済組合連合会などが出捐している団体です。生涯設計に関する企画・研究・コンサルティングなどを行っているとのこと。個人的な話題で恐縮ですが、その協会の方から私に原稿を執筆してくれないかと連絡がありました▼「ホビー&スポーツ」のテーマで内容は自由。四千字〜六千字程度。当協会が隔月に発行している機関誌『アルプス』十月号(二万部発行)に掲載するとのこと。なぜ私に白羽の矢がの疑問にはHPやブログを拝見して是非お願いしたいとの話でした。東京から出向いての話を快く引き受けました▼私のホビーといえば先ずは家庭菜園です。スポーツといえばソフトボールとゴルフかな。これにコラム執筆とブログの運営を加えて何とか一文にまとめました。自ら追い求めているライフスタイルを見つめ直すいい機会となりました。タイトルは協会の薦めで「多趣味のススメー団塊世代の挑戦ー」としました。趣味一覧には読書・映画・旅行・家族新聞・ホームページが加わりました。確かに多趣味かな。機関誌は各市に二〜三部の配布。本文は協会のHPに掲載される予定です▼興味のある方はどうぞHPで(M)

減反強制と汚染米転用事件 2008.10.1更新

今日から10月です。週末に、近くの米生産組合の方から「自治会の皆さんに配って下さい」と沢山の枝豆をいただきました▼家の近くには農地が沢山あります。耕地整理が実施され田一枚が1ヘクタール以上もある大きな田んぼばかりです。所有者の農家の方々が自ら生産組合を組織して、農機具を共同管理、稲の田植えから刈取りまで共同で作業されています。そうした耕地整理後の田であっても減反の割付は強制されます。五月になっても水を張らない田は今年作付けがありません。その休耕田を利用して今年は大豆が栽培されていました。そこで収穫された枝豆の一部を相伴に預かったという次第です▼米生産者から見て今度の輸入汚染米転用事件は怒りがおさまらないでしょう。農家には減反を強制する一方で外国からは輸入する米政策の怪、汚染・カビで食用に使用できないような米を輸入する怪、工業用が食用に転売されていることが「分からなかった」農水省の怪、そしてメラミン混入事件といい「儲かれば良い」の一行為が食の安全を根底から揺るがす重大行為であると思いが及ばない怪▼土手の草刈・水路掃除など生産組合が共同で作業する姿をよく見かけます。農家が流す汗が報われる農業であってほしいと枝豆を味わいながら切に思いました(M)

リーマンブラザーズの経営破綻と「閉塞経済」 2008.9.17更新

米証券大手のリーマン・ブラザーズが破産申請したことで世界に衝撃が走っています。米証券四位の大手。サブ・プライムローン問題の深刻さと根の深さを示す事件の一つです。米経済を覆う金融不安はどこまで行くのでしょうか▼「サブ・プライム危機はなぜ起きたか」を解明している本があります。『閉塞経済』(金子勝著 ちくま新書)です。さわりのみ紹介します。1970年代以降は金融資本主義の時代といわれています。その中で1987年・ブラックマンディ 1998年・LTCMの経営破綻 2007年・サブプライム危機と、ほぼ10年ごとに繰り返されるバブルとバブル崩壊の連鎖。その根源に金融自由化があると見ています▼バブル崩壊から生まれる金融革新が新たなバブルを生みそれがまた崩壊していると。住宅ローンを担保にした証券や金融デリバティブ手法によるローン担保証券はグローバル化によるリスク分散という金融革新が生み出したものです。そのため一旦危機に陥ると世界的に影響が及ぶことになるのです。しかも損失が確定できない。世界の主流経済学が自らの教科書では説明できない事態です▼難しい話ですが、日本の構造改革批判も盛り込まれた良書です。ノートをとって学習しました(M)

三笠フーズの汚染米転売事件 2008.9.9更新

非食料用の事故米を買い付けて食用に転売していた三笠フーズのあくどい事件が明るみに出て「食の安全」が深刻なダメージを受けています。どうみていますか?▼残留農薬メタミドホスが中国ギョウザ事件であれ程騒がれていた時、同じ農薬による汚染米を転売していた三笠フーズはどういう心境だったのでしょうか。ニュースによると、三笠フーズはこの四年半で政府の売却総量の四分の一を買付けたことになるといいます。しかも工業用ノリとしては採算度外視の破格の値段で購入していました。ということは最初から転用目的、利ザヤ稼ぎ目的なのは明らかです。ミニマル・アクセス米の管理責任者である農水省の責任が問われる点です。何故見破れなかったのか、あるいは知っていて見逃していたのか▼米の流通ルートは複雑なため、影響は多大です。事故米が混入した疑いのある焼酎と日本酒が自主回収に追い込まれています。米菓子製造や米穀店にも流通しているとなると消費されて特定は極めて困難となります。十年以上転売が続いていたとなると回収は不可能です。ことは日本の主食に関わることですから根本から「食の安全」が脅かされる事態です▼最近の食料品値上げに頭を痛めている人にダブルパンチです(M)

ペシャワール会の活動 2008.8.29

 『誰もが行きたがらない所へ行き、誰もがやりたがらないことをする』ペシャワール会のモットーだそうです。アフガニスタンの辺境の地で農業支援のボランテァ活動中だったNGO「ペシャワール会」の伊藤和也さんが拉致・殺害された事件は日本中に大きな衝撃を与えています▼ペシャワール会は、1984年に現地に赴任した中村哲医師のパキスタンでの医療活動を支援する目的で結成され、現在1病院と2診療所を運営して年間約87000人(2006年度)の患者診療を行っている(HPより)、草分け的なNGO団体です。そうした民間職員が標的になるまで治安が悪化しているということでしょうか▼会の現地代表者である中村哲氏が書いた『医者・井戸を掘る』という本を読んだ記憶があります。会は、医療活動の一方で干ばつに見舞われたアフガニスタンの村々で、全て自ら調達した資金で、1600以上の水源確保工事を行い、今は灌漑用水路を工事中といいます。米がアフガニスタンで報復戦争を始めた2001年、最も事情に詳しいとして中村哲氏を参考人質疑した衆議院テロ対策委で『自衛隊派遣は有害無益だ』と発言して注目されました▼伊藤さんの志が報われることを祈って(M)
 

財政健全化法と秋の報道 2008.8.19

 お盆が過ぎました。猛暑が続いていますが、この夏予定した計画は実行できましたか▼堅い話で恐縮ですが、私はこの秋話題となるだろう「財政健全化法」を理解するために『財政分析連続講座』に参加しました。財政の役割の原理・予算決算制度・地方税・地方交付税・地方債・歳出・公営企業会計・財政健全化法といった内容で、自治体の財政のしくみを体系的に理解し「決算カード」を読み解く力がつけば成功です▼さて、財政健全化法ですが19年度決算より数値が公表されます。今は財政課で算定が終わって監査委員が審査中、9月議会に報告・公表の予定となっているでしょう。講師の話では、新聞記者も健全化法の研修会を開いているとのこと。財政の健全化度を示すという4指標+1の各々について公表されると一斉に自治体のランク付けが行われ、報道が過熱することが予想されます。数値が一人歩きして自治体丸ごとのレッテル貼りになることを恐れます。自治体には持って生まれた個性がありやり方があります。「イエローカード」になると財政健全化計画の策定が義務付けられていますが、そこまで行かない数値は警鐘以外の意味を持たないはずです▼自治体の財政運営が新段階を迎えたことは確かです(M)

公務労働者論と自治体学校 2008.8.7

 過日の「自治体学校」で聞いた宮本憲一氏の記念講演が印象に残りました。自治研活動が本格化する頃の「自治体労働者論」の話です▼自治体労働者論とは、自治体に働く公務員は、憲法弟十五条に定める全体の奉仕者であって時の政府や政党の奉仕者でない。公務員は労働者であるが社会的責任を担う労働者である。国民の安全・安心を守るという社会的責任を持つ労働者であるというものです。職務を通じて国民に奉仕するという立場の労働者です。自治体学校の原点ともいえる考え方です。今聞いて当たり前、と何の違和感もありません▼しかし一九七〇年代当時は、自治体労働者と言えども労働者だと労働者としての権利を強調する自治労の労働運動が、公務員の特殊性を主張する考え方を厳しく批判していました。そうした批判にも関わらず自治体学校は「地方自治を住民の手に」をスローガンに、職場自治研活動を通じて「地域開発の夢と現実」を提起し、公害問題の摘発などを通じて住民運動と連携していきました。そうした広範な住民運動がやがて革新自治体を生みその後の画期的な公害対策と福祉行政を生み出しました▼五〇回を迎えた自治体学校が一貫した考えで運営されていることに誇りを感じました(M)

『クライマーズ・ハイ』鑑賞記 2008.7.30

 真夏日が続いています。冷房がよく効いた空間を求めて夫婦で出かけました。目的は上映中の映画『クライマーズ・ハイ』の鑑賞▼谷川岳の岩場を登るクライマーは悠木と彼の友人の息子。かって友人と一緒に登る約束をしていたその日に日航機墜落事故が起きたのでした。北関東新聞の遊軍記者だった悠木は社長から「事故の全権ディスク」を命じられ、特集記事の編集に全てを賭けて臨むのですが、新聞社内部の様々な流れ・思惑が渦巻き、悠木の思うようにことは進みません‥‥▼未曾有のジャンボ機墜落事故を題材に新聞記者たちの格闘を描いた映画。大事件を追い駆ける記者たちの緊迫感・臨場感があって映画の長さを感じさせません。一気に最後まで引っ張っていきます。ワンマン社長と社内人脈を巡るドロドロした争いが陰を落とす地方新聞社。騒然とした編集局に指示と怒号と本音が飛び交います。主人公を演じる堤真一がハマリ役で体当たりしています。原作は横山秀夫氏の同名小説。新聞記者だった著者の迫るような筆力にワクワクしながら読んだ記憶があります。映画も劣らない出来でした。▼『崖の上のポニョ』や『花より男子』など最近は邦画が元気で人気もあり、映画館が楽しくなっています(M)

ゆるキャラ 2008.7.16

 「ゆるキャラ」という言葉をご存知ですか。企業などのイメージキャラクターに対して自治体などが公募等の方法で作り上げるキャラクターを指すらしい(NHK「クローズアップ現代」が取り上げていました)▼「ゆる〜いキャラクター」の略か。どこか未完成で独特の毒気があったりするのが特徴です。その筆頭格なのが「ひこにゃん」。彦根城400年祭のキャラクターとして活躍し、作者が起こした使用中止問題でも話題になりました。 ネットで検索すると、全国の自治体には「ゆるキャラ」が随分と沢山あることが分かりました。イベント用のマスコットであることが多いですが、行政が施策をアピールする際の象徴的存在としても使用されているようです▼この話で思い出したのが、高槻市のまんが「教えて☆たかちゃん」。市の仕事を説明するまんがに市職員「たかちゃん」と「田中さん一家」が登場しています。これも「ゆるキャラ」です。キャラクター化することで親近感と連続制が生まれます。もう一つ、高槻市の下水道のキッズページには「げすい侍」が登場しています。「げすい道場のみならい剣士」や下水の道をきわめる剣士たちは担当職員の制作です▼なかなかの出来具合だと思いました(M)

七夕とサミットと 2008.7.9

昨夜は七夕でした。早朝、河川敷まで若竹を伐採にでかけました。我が家用ではなく妻が「子育て支援センター」で使用するためとのこと。自家用車で運搬できる程度の竹を取り込みました▼七夕の短冊には願いごとを書くといいます。開催中のサミット参加国は短冊に何と書いているでしょうか。「温室効果ガスの排出規制で具体的成果を(日本)」「食糧支援・原油価格高騰対策を(アフリカ諸国)」「燃料エネルギー・穀物食糧問題・金融不安に対策を(G8)」など。私なら「貧困者を苦しめる投機マネーに世界的規制を」。 それぞれ思いは沢山あるでしょうが、政治ショーでないのですから具体的成果が上がってほしいと思っています▼さて、「大阪維新改革プログラム」は舞台を府議会に移して論戦が始まっています。「PT案」発表以来、数え切れない府民の「短冊」が請願署名の形で寄せられた結果一部手直しされたものの「900億円削減」と基本は変わっていません。 知事選挙では財政問題は争点になっていませんでした。それが就任直後から職員を「破産会社の従業員」と呼び「1100億円削減」が宣言されました▼「道州制を見越した大阪府解体プラン」とする批判が現実味を帯びてきた感がします(M)

なばなの里へバス旅行 2008.7.2

組合の「なばなの里バスツアー」に参加しました。出発は8時50分と遅め。大山崎から京滋バイバスを大津に向かい、草津から先頃開通した新名神を走りました▼バスの中では自己紹介。職場の同僚・夫婦・子ども連れ・お孫さんも一緒など多彩な組み合わせでした。今話題となっている淀川四ダムの一つ「大戸川ダム予定地」を下に見て南下し土山サービスエリアで休憩。ここまで一時間です。上下線共用で真新しい建物があって沢山の人が休んでいました。バスでは恒例のクイズ大会。「板東太郎が○○川なら筑紫次郎は○○川で○○三郎は吉野川」といった問題です。「M-1グランプリに三次予選まで残った高槻市職員のコンビ名は?」の事実には驚きました▼現地には11時に到着。入場して先ずは早めの食事でした。園内にある中華のコース料理に舌鼓を打ちました。後はフリータイム。紫陽花まつりでは沢山の品種が展示され、花広場は紫陽花と花しょうぶで埋まっていました。程よい散歩の後は長島温泉に入浴して露天風呂に寝転び極楽ゴクラク。帰りにバスで「アウトレットモール」に立ち寄りましが、店に出入りする若者たちの数の多さにびっくり。こういう形態の店が流行るんですか▼ゆったりした旅行でした(M)

大戸川ダム建設と大阪維新プログラム 2008.6.25

大戸川ダム建設」を盛り込んだ整備計画案を公表した近畿整備局。諮問機関の意見を無視してまで「方向転換」したのに「なぜ大戸川ダム建設が必要か」が説明できていません▼大阪府民は「大戸川ダムがないと淀川堤防の水が最大19p増水して洪水になる」との説明で納得しますか。しかも10mの堤防のうち7mまで増水してあと3mの余裕がある中での19pです。対象堤防は3.6q。諮問機関が「対象堤防を強化する概算工事費」の公表を求めたのは当然の流れです。しかし整備局は「堤防強化がダムの代替になるという誤解」と無視しています。概算工事費1080億円という大戸川ダムは国の直轄事業ですが、地元には負担金を求めます▼最も負担が大きい大阪府は今「大阪維新プログラム案」で揺れています。職員人件費をバッサリ削る一方で国直轄事業負担金は「聖域」化され手付かずの状態です。20年度予算のうち直轄事業に係る道路・河川・港湾関係負担金は410億円にもなります。問答無用の国に対して唯一「改正河川法」は知事意見の反映を求めています。大戸川ダム建設計画は知事が「NO」なら凍結される可能性があります▼「不勉強」を理由に素通りすることは許されません(M)

夏野菜へ早朝出勤 2008.6.18

一年で最も日の長い季節を迎えています。有効に活用していますか。私は5時半起床で畑に出勤しています▼今は、エンドウ豆・そら豆・玉ねぎの収穫が終わり、次はジャガイモが収穫を待っています。そして、ゴールデンウイークに植え付けした夏野菜が成長の途上にあります。最も手を必要とするのがトマトです。成長して花芽が出るたびに支柱に紐で括ってうまく誘導してやります。脇芽を摘むことも大切です。キュウリは芽を上に誘導します。脇芽は摘んでやります。ボツボツ収穫できるようになりました▼我が家の「緑のカーテン」ゴーヤはまだまだ小さくてこれからです(余談ですが昨年のゴーヤの種が弾けて畑に苗が自生しています。入用な方ご連絡ください。ついでにヤーコンに挑戦したい方も苗あります。)ナス・シシトウ・ピーマンは草取りくらいで成長を見守る段階です。今年は近くで大麦の栽培がありましたので麦わらを分けてもらってマクワウリの下に敷き詰めました。一通り畑を回って今度は収穫作業。リーフレタスとサラダ菜とちんげん菜は今が盛りです。ズッキーニとインゲン豆は収穫が始まっています。それらをバケットに詰めて帰宅の途へ▼足を運ぶほどに成長の過程がいとおしくなるのが野菜です(M)

秋葉原連続殺人事件に思う 2008.6.11

 秋葉原で起きた無差別殺人事件は何とも衝撃的な事件です。テレビや新聞の報道で知る範囲でしかありませんが、偶然現場に居合わせたために犠牲となった人たちの深い無念さを感じます▼使用されたダガーナイフと同型をテレビで写していました。戦争の戦闘用に開発された両刃ナイフで先は鋭角に尖っています。そのナイフを構えた人に不意を襲われ体当たりされたのでは誰であってもひとたまりもありません。貨物車で歩行者天国に突っ込むのも異常なら車で轢いた被害者を介抱している人まで襲うとは全く信じられない行動です。それでいて、駆けつけた警官にわき道に追い詰められ拳銃を構えて「武器を捨てろ」と警告されると凶器のナイフを手放したといいます。拳銃で撃たれるのが怖いからでしょう▼ここに犯人の計算があります。車で人を轢いたり出会った人を無差別にナイフで刺して殺すのは平気でも自分が拳銃で撃たれるのは怖い。何とも身勝手な行動です。「幸い」生きて逮捕されたのですから、真相を語り遺族と怪我人に謝罪し犯した罪の重さを思い知るのが唯一残された道か▼二五歳の派遣社員が起こしたことに現代的特徴があるとはいえ二度と起きてほしくない事件の典型のような事件です(M)

『投機マネーの世界的規制を』  2008.6.4掲載

 六月になってガソリンの小売価格が170円を突破しています。「200円時代が来る」と予測する人すらいます。とんでもない原油価格高騰に加えて今、世界的な食料価格の高騰も異常です(三年前との比較で小麦価格が3.5倍、とうもろこしが3倍!)。時あたかもローマで三日から「食料安全保障サミット」が開催されています▼食料価格高騰の背景に@中国・インドなどの食料需要の高まり Aオーストラリアが干ばつで小麦が不作 Bバイオ燃料の需要の高まりなどの要因があることは確かですが、全ての根本にヘッジファンドと呼ばれる投機マネーがあることはよく知られています。ITバブルの崩壊、その後のサブプライム住宅ローンの破綻によって投機マネーが行き場を失い、原油・穀物市場に流入したという見方です。ペーパー取引である先物市場で架空の需要を起して物価を高騰させ、価格が上昇すれば投資を増やすという投機手法に走っているのです▼資本主義が生み出した妖怪=投機マネーは、モノづくりをベースとした産業経済とは対極の存在です。机上の売買で儲ける資本主義の妖怪が各国の国民には飢餓などの苦難を強いているのです▼投機マネーの世界的規制がサミットの焦眉の課題です(M)

『橋下改革』批判のビラを読む 2008.5.21掲載

 朝、本庁の門前で配付されていた『橋下改革』批判のビラ読まれましたか。財政再建と府民サービスの維持が両立できることを示し、よく整理された内容でした 。内容を再現します▼なぜ大阪府財政を立て直すのか、それは府民の生命と暮らし、福祉や教育を守る財源を確保するためです。それが「お金が大変だから」と真っ先に府民サービスを削るのでは順序が逆だということです。ではなぜ財政危機になったのか、それは国が三位一体改革で地方交付税を削減してきたこと(大阪府の4年間で2千億円以上)と借金を大幅に増やす大型開発を進めてきた歴代府政の失敗の結果だということ。福祉や教育が多すぎたからではありません▼では どうするのか、七五〇億円赤字の健康都市建設や高速道路・ダムなどのムダな公共事業を見直すこと・一社一五〇億円もの誘致補助金を見直すこと・国は交付税を削る一方で大企業には五兆円も減税しましたからその両方を元にもどすこと。「橋下改革案」については、なぜ千百億円削減なのか、本当に大阪府が夕張市のようになるのかのまともな説明は何もないこと。「情報を公開し財政再建と府民サービスを守る改革の道を府民参加で探求すべき」と結んでいます▼高槻でも請願署名が始まっています(M)

『すてきな田舎元気なふる里』感想記 2008.5.14掲載

『すてきな田舎 元気なふる里』(かもがわ出版)という本を興味深く読みました。著者は長野県・木曽町長の田中勝巳氏▼経歴がすごい。30歳で当選以来8期30年に渡って町議を務める。区切りの60歳で晴耕雨読の生活を夢見ながら、実際は木曽福島町長選挙に出て当選。二期8年弱勤め、四町村が合併した木曽町長選挙で当選して現職。この地方自治一筋に歩んで来た著者の波乱の半生記が最終章に綴られています▼前半は広報等に綴られた町長の町づくり日記。木曽町は面積478平方km、人口1.3万人余、95%が山林等の山あいの町です。「町長や議会の権限を出来るだけ小さく、町民・住民の権限を出来るだけ大きく」が町長の哲学。四町村の合併協議と平行して、町民参加で「町づくり条例」がつくられました。また、幹線バス・循環バス・乗合タクシーを組み合わせた新しい交通システムを四町村の住民参加で実現させています。33回を数える夏の木曽音楽祭は定評があります。木曽馬・開田高原・御嶽山・木曽駒ケ岳・木曽義仲と話題は尽きません。町長が自分のHPとブログを作成・公開しているのも親しみが持てます▼軽くゆったりと読めて著者の人となりが伝わってくる本です。推薦です(M)

バーク堆肥とワラビ 2008.4.30掲載

ゴールデンウイークを迎えています。計画はいかがですか。ナスやトマトやキュウリやピーマンなど夏野菜の植付作業を予定している人も多いのでは▼最近、剪定樹木を発酵させたバーク堆肥が注目されています。道路の街路樹や公園の樹木などの剪定した枝等は焼却処分か埋立処分されていますが、それをチップ化して堆肥としてリサイクルしようという取り組みです。正確には肥料ではなく土壌改良材です。畑の土と混ぜることで保水性・通気性が高まり柔らかい土が出来上がります。大津市では産業廃棄物最終処分場でチップ化した剪定樹木を水と空気で発酵させる作業が行われています。そして一年がかりで製品化したものは「完成堆肥」として無料配付しています▼自家用車に肥料袋を積み込んで処分場に向かいました。現地にはスコップが置いてあってセルフサービスで袋詰めします。発酵で暖かくなっています。車に積み込んで畑まで運びます。実はこの時期には別の楽しみがあります。この場所への道すがらはワラビの生息地です。今はワラビが取れる季節です。車を止めて山の中を歩くこと二時間、沢山のワラビが収穫できました。今年のワラビは成長が早めです▼連休はバーク堆肥で畝つくりから始めます(M)

天満天神繁昌亭とちりとてちん 2008.4.24掲載

ようこそのお運びで」発せられる一言によってその場がガラっと塗り替えられて新しい世界が広がり始めます▼高座とは不思議な空間です。舞台の中央に大きな座布団が敷いてあって、見台・膝隠し・子拍子木を使う人とない人と。舞台右に出演者の名前が寄席文字でくっきりと示されています。たった一人の出演者が座布団に座り、衆目を一身に浴びて噺を始めると、江戸時代の長屋だったりお伊勢参りの道中だったり場面は一度にタイムスリップします▼旦那が誕生祝いのお酒を一緒に飲もうと喜いさんを呼びます。酒の肴が出るたびに珍しい・うまいと褒めちぎります。そのベンチャラが楽しい旦那。一方裏に住む竹は知ったかぶりが激しくて愛想がない。そこで二人が結託して竹に一泡ふかせてやろうと、水屋にあった豆腐を持ち出します。既に腐って異臭を放つ豆腐。元祖・長崎名物「ちりとてちん」と命名して竹を呼ぶことに‥‥▼大阪天満天神の定席・繁昌亭を初めて体験しました。土曜日の昼席は立ち見が出る満員御礼で、八人の落語と二人の色物を堪能。「天神山」「野崎参り」など春の題目や「ガマの油売り」「ちりとてちん」が印象に残りました▼心から笑った三時間、上方文化に触れた思いでした(M)

『クローズアップ現代』 2008.4.16掲載

NHK『クローズアップ現代』は興味あるテーマを素早く取り上げていてよく観る番組です。平成五年に始まって十五年も続く長寿番組、月〜木の週四回放送で、原則生放送といいます。キャスターは最初から国谷裕子さんでした▼今週のテーマは十四日『崩壊するリサイクル』十五日『本物の文化財が消える』十六日『最後の医療が揺れている(後期高齢者医療制度)』。『崩壊するリサイクル』では、官民が作り上げてきたリサイクルシステムが新興中国のマネーパワーによって空洞化の危機に陥っていることを、再資源ごみである紙とペットボトルを例にして紹介していました。コメンテーターは、中国は自然資源に対する再生資源と考えており再生資源を買い集め人海戦術をテコにして製品化しており、資源争奪戦によって日本のリサイクルシステムが危機に陥っていると指摘▼そのペットボトルの紹介場面に高槻市が登場しました。市庁舎がアップされ、ペットボトル回収風景が写り、職員が登場して売渡業者が変更になった理由を説明し、契約書の金額アップが示されるという内容、四カットでした。特定事業者以外への売渡が中国に輸出されている事例紹介でした▼シャープな切り口で「今」を解説する番組です(M)

桜見物とジョギング 2008.4.8掲載

新規採用職員が職場に配属されて、新しい年度のスタートです。 体力維持で始めたジョギングは今とっておきの季節を迎えています▼夕方、職場で着替えていつものコースである芥川の堤防へ出ます。城西橋と芝生大橋の間1qが歩行者専用となっていて最適のコース。ウオーキングの人と沢山すれ違います。眼下に平行して流れる新川の堤防に植えられた桜並木が今満開です。こちらも1q続いています。桜の下や堤防で沢山のグループが輪になって弁当を広げています。夕方の宴会が始まっているグループもあります。通り過ぎるだけで楽しくなる光景。そんな中ゆっくりと堤防を二往復します▼花といえば、薄ピンクの桜並木に混じって雪柳の株が点在しています。株からは沢山の枝が伸びて枝ごとに無数の白い花を咲かせています。風に揺れる噴水のようです。そして、堤防のうち所々に作られた石積み部分には赤紫のシバザクラが今を盛りに一面を覆っています。上からは絨毯のように見えます。目を反対側に転じると、堤防に沿って西洋カラシナの黄色い花が咲いています。野生化した菜の花です。 薄ピンクと白と赤紫と黄色と、春だけの贅沢を楽しんで職場に帰ると汗びっしょり▼この週末、納めの桜を愉しみましょう(M)

後期高齢者医療制度 2008.4.1掲載

 新規採用職員の皆さん、就職おめでとうございます。先輩としてエールを送ります▼さて、皆さんが選択された自治体職場は今、嵐の中にあります。今日『後期高齢者医療制度』が発足したことをご存じですか。七五才以上の人を今の健康保険や国保などから強制的に脱退させ、新しい保険制度に囲い込むことです。対象者は千三百万人。対象者に保険証が届き、問い合わせや苦情が急増しています。何故でしょうか▼第一に保険料は今まで子どもなどの扶養家族のためからなかった人も含めて個人単位に全員から徴収します。均等割と所得割があり所得ゼロでもかかります。第二に年金収入額が月一万五千円以上の人は保険料が年金から天引きされます。第三に保険料は二年ごとの見直しですが自動的に値上げする仕掛けがつくられました。第四に外来治療に上限を設けました▼今七五才以上と言えば戦中に生まれ戦後の困難を必死の思いで切り抜けて来た人たちです。そうした高齢者に「早く死ねというのか」と憤慨させている制度です。二五円のガソリン暫定税が今問題になっていますが、高速道路が無くても人は死にませんが、医療は待ったなしです。二五円は高齢者医療に回したらいい▼新採の皆さん、奮闘を祈ります(M)

潮目が変わった 2008.3.26掲載

「潮目が変わった」という言い方があります。今まで優勢的であったことが衰え始め今まで劣勢であったことが勢力を増すことをいいます。厚生労働省が所管する団体が発表した 『勤労生活に関する調査』の結果を読みながらそう思いました。今日はこの話題です▼その一。一つの企業に定年まで勤める日本的な「終身雇用」を支持する人の割合が 86.1%と9割弱となったこと。一時7割台まで落ちていました。その二。「一企業キャリア」の働き方が一貫して5割を維持していること。その三。フリーターという働き方について「生活を不安定にする働き方」と 88%の人が否定的にとらえ「自由で多様な働き方である」と考える人は少数になりました。その四。日本がめざすべき社会のあり方について「貧富の差が少ない平等社会」が 43.2%と多数意見となって「意欲や能力に応じ自由に競争できる社会」は23.4%に低下したこと▼これらの結果を総じていえば、勤労者の生活を益々「格差社会」に変貌させてしまった元凶が新自由主義とよばれる市場万能主義の考え方にあることに勤労者が気づき始め、これでは駄目だとその修正を求め始めたことだと読めませんか▼勤労生活をめぐる考えは潮目が変わりました(M)

大阪自治労連駅伝競争大会 2008.3.19掲載

先週から一変して春の陽気に。週末に『大阪自治労連・駅伝競走大会』が開催され参加しました▼場所は堺市の『大泉緑地公園』。一周がちょうど3`の周回コースがあって車は禁止、安全に走ることができます。正午のスタートする頃には温度が上がって快晴、絶好のコンディションでした。今年から一チーム4人制になり、我が組合からは親睦チーム・2チームが参加しました。無理せず力量に応じたスピードで完走することが目標。一人3`×4人で競います。速いチームは41分位で走り終わりますが、我がチームは一`5分ペースで1時間、6分ペースで72分完走を目標にしました▼特筆なのは、減量に挑戦してスリムとなった身体の成果を確認しようと今年初めて3`に挑んだ人が我がチームにいたこと。そして大方の予想を裏切って見事18分(!)で帰ってきました。驚きと拍手で迎えられていました。2チームともタスキは無事最後までつながりました。そのあと梅田に移動してビアホールで乾杯しました▼今年で第18回目。途中3回ほど抜けましたがあとは毎年参加しています。年齢ととともにスピードは落ちますが続けることが大事、継続は力なりです▼年中行事がひとつ終わって春闘本番です(M)

テレビ小説『ちりとてちん』鑑賞記 2008.3.12掲載

NHK大阪放送局製作のテレビ小説『ちりとてちん』が好調です。三月一杯の放送です。人気の秘密を私流に分析しました▼一つは、主人公がひょんなことから上方落語の門を叩いて女流落語家を目指す物語ですが、彼女は「B子」と呼ばれてドジで引っ込み思案で失敗ばかりを繰り返して、今までの主人公のようにちっとも颯爽としていません。その喜代美が、福井・小浜の箸職人家族の深い愛情と大阪・古典落語家一門の伝統の個性に揉まれてみごと成長していきます。その生き方への共感と応援があると思います▼二つは、脚本が巧みであること。順にスポットが当る登場人物に毎回ハラハラさせられます。落語の小噺が下敷きになっているのではと思わせる人情と笑いとオチがあります。そこが旨い。個人的には和久井映見さん演じる喜代美の母・糸子が好きです。無鉄砲で無頓着ですが家族への愛着は人一倍。エプロン姿の行動力が幾度も喜代美の危機を救います。そしておじいちゃんの『喜代美、ぎょうさん笑うて生きや』という言葉が全編を支えています。ちょうど、六〇年ぶりに大阪に落語専門の定席である「天満・天神繁昌亭」が復活してその応援歌ともなりました▼上方しゃべくり漫才もあるが上方落語もいい(M)

『ルポ貧困大国アメリカ』を読む 2008.3.5掲載

読み進むうちに強烈な印象を残す本に出会いました。『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書)です。ジャーナリストである著者が現地アメリカの肉声を通して深化する二極化現象の現状を報告しています。キイワードは国家の「民営化」。大変説得力があります▼ハリケーン・カトリーナによって千名以上の死者を出し、生き残った市民の半数が帰還できていない現状は自然災害ではなく人災だと告発しています。それは連邦緊急事態管理庁が予算削減と業務民営化により非常時に機能しなかったことによるといいます。復興予算も民間委託され復興は全く進んでいません。さらにサブプライムローンは、アフリカ系やヒスパニック系などの経済的弱者を食いものにした貧困ビジネスのひとつといいます。甘い言葉で購入した家のローンの高金利が払えず家を差し押さえられ追い出された彼らに残ったのは膨大な借金と二度と這い上がれないだろうという絶望でした▼患者は世界一高額な医療費を払い医師は過重労働の連続で民間保険会社だけが肥え太る医療の実態や、若者を軍隊に追いやる高額な教育費、はてはイラク戦争自体が民営化されている実態なども明らかにしています▼日本でも進んでいる市場主義への警鐘の一冊です(M)

映画『母べえ』鑑賞記 2008.2.20掲載

 映画『母べえ』が好評です。戦争下、昭和十年代の日本の家族を描いた山田洋次監督作品です。戦時中の庶民の暮らしを描いた映画は意外と少なく『二十四の瞳』位しか思い浮かびません。『母べえ』が新鮮に映りました▼ドイツ文学者野上滋は妻・佳代と初子・照美の二人の子どもの四人家族。互いに「べえ」を付けて呼び合っていた。滋の論文が特高の目に触れ拘束され、家族の生活は一変する。治安維持法違反。佳代は代用教員の職を得て必至に暮らしを支える。教え子山崎が現れて何かと家族を助けるのだが、戦争は町全体を包み込んで‥‥▼「戦争反対」の考えを持つことが逮捕の対象となる時代。夫を尊敬し周りの圧力に凛として動じることなく、子どもを育てるために身を粉にして働く母の姿を描いています。どの家族にも丸いちゃぶ台があって、叔母さんや叔父さんがいて助け合いの輪がありました。隣組みの会合や国防婦人会による「ぜいたくは敵だ」の街頭指導や小学校の御真影や出征兵士の見送りやの日常がありました▼原作は黒澤明監督のスクリプター(記録)を長く勤めた野上照代さんが実話を綴った『父へのレクイエム』とのこと。次女の照美とダブります。夫婦や家族で観に来ている人が多い気がしました(M)

軽トラ町長の挑戦 2008.2.13掲載

 滋賀県・日野町長の話を聞く機会がありました(自治体政策セミナー)。日野町では、合併をめぐって住民投票を求める請願署名1回、直接請求署名2回が取り組まれました。それでも拒否されると町長リコールに発展して、町長選挙となり、藤澤新町長(元県職組副委員長)が誕生しました。合併を拒否し「自律の町」を選択した面積117ku、人口2万3千人の町です▼三位一体の改革は町財政を直撃しているといいます。日野町では交付税が03年の22億円から06年12億円と10億円削減、税収の伸び3億円を考慮しても7億円の削減です。『軽トラ町長(百姓出身で愛用車)』は、そんな中で、自分たちの町のことは自分たちで考え行動するという町づくりの理念を実現するために、個人の自助、地域社会の共助、自治体等の公助が支えあうことを大切にしたいといいます。地域コミュニティの再生、83の集落の顔が見える関係をつくりたいと▼「合併しないとやっていけない」と合併しても財政の危機的状況は変わらず、住民サービスは一番低い所に合わせ、庁舎は支所になって住民の声はより届かなくなった、というのが平成大合併がもたらしたもの、という話は印象的でした▼町長の挑戦は続きます(M)

新聞の切り抜き記事 2008.2.6掲載

 我が自治会では月に一度古紙回収の業者が車で各戸を回ってくれます。紐で縛って玄関
に出しておくと収集してくれ、重宝しています。過日古新聞を整理していて、最近の新聞がきれいなままであることを発見しました▼新聞は情報の宝庫だと思います。テレビ社会あるいはネット社会と言われても、やはり新聞記事は再読や保存性において大変優れています。我が家は二紙購読していますが、新聞で知ることがやはり大きい。朝、タイトルにざっと目を通すだけでも世の中の動きが少しは分かります▼このコラムを担当するようになって「新聞切り抜き」を始めました。気になる新聞記事に出会ったら、日付と新聞名を記してナイフで切り抜きます。そうしてノート(A4・30枚綴)に時系列に貼り付けていきます(テーマ別は私の経験では長続きしませんでした)。そして一か月に一冊のノートを一杯にすることを目安としました。一冊にほぼ百の記事が貼付け可能として、一か月で百本の新聞記事を選択する作業ともいえます。ノート一冊を満杯にするまで新聞を精読したかとも言い換えることができます。今150冊以上のノートが書棚にあります▼きれいな新聞は切り抜きが滞っている証拠です。また「切り抜き」を再開しました(M)

自治体アウトソーシングの新段階 2008.1.23掲載

 矢継ぎ早に発表された法律・指針が地方自治体の様相を劇的に変化させつつあります。自治体アウトソーシング(外部的民間化)と呼ばれるこれらの動きは主権者である住民に幸せをもたらすのでしょうか▼公共サービスをアウトソーシングするために国が指導する法的ツール(手段)を列挙します。 @市場化テスト(まとまった業務を入札・落札する。究極の市場化) A指定管理者制度(公の施設の管理を第3者に委ねる) B業務委託(中身の民間委託) CPFI法(公の施設の企画・建設・運用を民間で) D地方独立行政法人(組織ごと別法人に) E地方公営企業法の全部適用(独立採算制の強化) F構造改革特区(社会的規制の撤廃)など▼いずれも住民は顧客ないし消費者であって人件費はコストと把握し、コストを削減して価格に見合った品質の公共サービスをめざすという考え方に基づいています(ニューパブリックマネジメント)。 「事業仕分け」という名で公共サービスを被告席に座らせ前述のツールを導入する動きもあります。コスト削減とは、結局のところ公務員によって担われてきた領域を民間の不安定雇用によって代替することにほかなりません。行政が雇用流動化を促進している?▼人件費は組織の財産であることを再認識すべきです(M)

苦難をのり越え、歓喜へ! 2008.1.16掲載

 ケア・マネージャー(介護支援専門員)は要介護者の依頼を受けてケアプランを作成・管理する仕事をします。要介護者にとって最も身近な相談相手です。もうすぐ古希を迎える私の知人が昨秋受験して見事合格しました。今日はこの話題です▼彼は六十歳で民間企業を定年退職しました。一年間は自宅で休養。よく図書館で見かけました。その後、介護福祉士をめざして二年制の社会福祉専門学校介護福祉科へ入学しました。二百万円の授業料を払い、十八才の若者と一緒に二年間勉強しました。そして国家資格「介護福祉士」を取得しました(新聞の地方版に話題として紹介されました)▼六三才の就職先は近くの「グループホーム」のパートでした。日勤・夜勤のシフトに入って職務をこなしました。しかし一年を過ぎた頃、赤字・高齢を理由に解雇されました。それでもめげずに転職して介護の仕事を続けました。新しい職場からはパワーハラスメントを受けましたが、ついに「五年且つ実務経験日数九百日」の受験資格を得ました。職場からはまた解雇通知。今度は泣き寝入りせず、解雇無効の労働審判を申し立てて闘い、完勝しました。「苦難をのり越え歓喜へ!(ドイツ語で)」彼の年賀の言葉です▼彼の心意気に拍手です(M)

サブプライム・ローンと米の信用バブル 2008.1.9掲載

 新年おめでとうございます。天気予報が外れて(?)年末・年始は意外に良い天候に恵まれました。家族揃って見るテレビはいつもと勝手が違い、年末は「紅白」が「Kー1」になり、年始は「のだめカンタービレ・イン・ヨーロッパ」を二夜連続で見たりしました▼さて、昨年末から経済をめぐる不穏な動きがあり、今も続いています。ドル安・株安・円高・原油価格高騰・食料品値上がり等々です。どうもその根元にあるのはアメリカ経済の信用バブルらしい。サブプライムローンが話題となっています。住宅用のローンは債務者が返し終わるまで銀行が保有するのが普通ですが、それを証券として売払ってしまうと、銀行は現金を回収できて大変有利です。そうして世界に証券がバラまかれました。そのローンが返済されず不良債権化すると最後の保有者がババを引くことになります▼いままで公表されたサブプライム関連の損失額は約8兆円です。これでも十分にすごい金額ですが、最終的には約60兆円に達するといわれています。米GDPの3.5%に相当します。米経済が景気後退局面となり長引くことは必至の状況です▼今年は総選挙もあります。世の中が良くなる方向に変わることを願って。今年もよろしく(M)

 

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