コラム『動点』(週一回の連載)   2002年1月〜12月 

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目次

 

2002年1月〜

1月  『ブローバック・アメリカ帝国への報復』  〇『アインシュタインに絵を送った小学生たち』
        〇『世界がもし100人の村だったら
2月 〇『学力はことばの獲得から』 〇『職なくば人間の尊厳もない
  〇
NTTの11万人リストラに異議有り』  〇『駅伝大会に12回連続出場しました
3月 〇『第一生命の「サラリーマン川柳」』 〇映画「ロード・オブ・ザ・リング」鑑賞記
  〇『介護福祉士の国家資格を取得した先輩
4月  〇『4月1日に迎えた4つの「式」』  ○日本育英会の奨学金制度を守ろう』
   ○『新規採用職員に座右の1冊を推薦』 ○『芥川・鯉のぼりフェスタ』
5  『組合委員長が指名解雇』 映画『蝶の舌』感想記  定期健康チェックは大事
   ○サッカーワールドカップを観よう  ○
ウイルスに注意 インターネットセキュリティ
6月  クレズウイルスに感染  ○地域体協主催のソフトボール大会
   ○注目の東大阪市長選挙
7月 ○朝は畑へ早朝出勤  二宮厚美教授の講演から
   ○11桁の番号は名前の替わりになる
軍隊をすてた国コスタリカ  ○『被写体』読後感  ○今城塚古墳発掘の意義
9月 一人一台のパソコンへ  ○イラク・湾岸戦争の子ども達  ○映画『折り梅』上映会
   〇最悪のシナリオへの審判
10月 三十年来の友との会食 〇駅伝と異世代交流  〇三王朝交代説と今城塚古墳
   〇学区運動会と樽ころがし  〇ホームページ管理者の責任
11月 『山を楽しむ』の読後感   〇フィルタリングソフト導入の是非
   〇ワンディ・ウォーキング
12月 今城塚古墳の埴輪群は語る

1月       『ブローバック・アメリカ帝国への報復』 

 新年明けましておめでとうございます。『五百字の缶詰』(開けて見ないと中身が分からない)よろしく、適度な批評精神と遊び心で気軽に綴りたいものと念じておりますので、本年もよろしくお付き合いの程お願います▼さて、今日は印象に残った言葉『ブローバック』について。CIAの用語だそうで、CIA要員が外国で流したデマなどが本国に逆輸入されることを意味するとあります。この『ブローバック』と題する著作が出版されたのは二〇〇〇年。著者は「米日本政策研究所」所長のチャルマス・ジョンソン氏です。氏は同書の中で米国でのテロ発生を警告しています▼「私は米国人への警告の書として書きました。特にソ連崩壊後の米国の対外政策はブローバックを自ら招いていると警告したかった。テロ攻撃されたのは米国ではなく、米国の対外政策です」。「ブッシュ政権はテロ攻撃が過去の米対外政策のブローバックであることを認めず、ガン細胞のような悪人の行為だと描いています。個人の責任が問われないからです。」「米国は、宇宙への兵器配備をめざし、ローマ帝国の現代版になりつつあります」▼邦訳は『アメリカ帝国への報復』。新年お勧めの一冊です(M)2002.1.9 掲載

 

 『アインシュタインに絵を贈った子どもたち』   

高槻地域のコミュニティー新聞の一つに『みなさま新聞』がありますが、その一月一日号を読んでいて、ある記事に目が止まりました。受け売りで恐縮ですが、概要を紹介します▼高槻小学校は創立一三〇周年を迎え、現在PTAが中心になって『記念誌』を編集しています(三月完成予定)。その記念誌を飾る絵がいま話題になっています。時は一九三八年。当時の高槻小学校大塚分校での話。アインシュタインを尊敬するある先生が子どもたちに彼の業績の素晴らしさを教え、皆で何か贈り物をしようということになった。といっても当時のこと贈るものは何もない。そこで、運動場の砂で何回も絵の練習をしたのち、貴重なクレヨンを使って絵を完成させました▼アインシュタインは一九二一年にはノーベル物理学賞を受賞している著名な物理学者。当時はアメリカへ亡命し来日もして日本を気に入っていたのこと。日本の子どもからの絵の贈りものに大喜びして大事に保存していました。最近NHKがそのことを取り上げ、高槻小学校のPTAに感動が広がりました。そこで、冒頭の話のように絵のコピーを入手して記念誌を飾ることになったのです▼何かほっと暖まるようなエピソードです(M)2002.1.16掲載

 

 『世界がもし100人の村だったら』   

『世界がもし一〇〇人の村だったら』(マガジンハウス社)がよく読まれています。世界を駆けめぐるEメールから生まれた全く新しいかたちの絵本です▼五二人は女性です 四八人が男性です。七十人が有色人種で三十人が白人です。三十人が子どもで七十人が大人です そのうち七人がお年寄りです。十七人は中国語をしゃべり九人は英語を八人はヒンディ語とウルド語を六人はスペイン語を六人はロシア語を四人はアラビア語をしゃべります。これでようやく村の半分です▼二十人は栄養がじゅうぶんでなく一人は死にそうなほどです。でも十五人は太り過ぎです。全ての富のうち六人が五九%を持っていてみんなアメリカ合衆国の人です 七四人が三九%を 二十人がたったの二%を分け合っています。全てのエネルギーのうち二十人が八十%を使い二十人が二十%を分け合っています。自分の車を持っている人は七人のうち一人です。村人のうち一人が大学教育を受け二人がコンピューターを持っています けれど十四人は文字が読めません▼「アフガン復興」が議論されている今、この本が意味する「全く新しい世界の見方、考え方」を是非体験してほしいと思い紹介しました(M) 2002.1.23掲載

 

『学力はことばの獲得から』 

 立春を過ぎて私学入試が始まっています。これから公立高校入試まで、受験生の親にとっては何とも気の休まらない時期。本番で日頃の実力が発揮されることを願うのみです▼さて、十代の受験生が学力を伸ばすために奮闘しているさなかですがどうしても「きしょい」とかの「若者ことば」が気になっています。今日はことばの話題。ある識者の意見を紹介します▼学力の基礎となるものはことばです。ことばによってものを認識し、ものを考え、ものを表現します。他人とのコミュニケーションも自分内部での対話もことばです。学力の基底をなしているそのことばが危ういことが問題だ。一つは、ことばが自らの生活体験に根ざしているかということ。自然との触れ合い・友達との遊び・家族と一緒の労働などによって獲得されたことばは具体的で豊かです。生活に裏打ちされたことばの獲得の必要性。二つは、小さい頃から肉声による口承文化に触れ、共感・感動できる機会をどれだけつくることができるか。三つに、日記など事実を丁寧に綴ることの大切さ。学力問題は子どもの人間的諸力を形成する生活全体の改革の中で考えることが必要と結ばれています▼全く同感・賛成です(M)      2002.2.6掲載

 

 『職なくば人間の尊厳もない』  

小泉内閣になっていい話は一つもありません。経済問題では株安の中、三月の企業決算を控えて三月経済危機説が語られています。「構造改革」という言葉が意味するのは、要は「バブルの負の遺産の清算」のことです。バブルを積み上げた当の張本人には公的資金を導入して支援し、被害者である国民には更に「痛み」を強要する構図です▼私は特に、産業空洞化による国内産業の弱体化や、倒産、リストラによって、勤労者が生活の糧である賃金を獲得できなくなる不安が蔓延する社会というのは、社会として異常だと思う。「職なくば人間の尊厳もない」のが勤労者です。人間として普通に生活できる社会を維持できなくなる政治とは一体何でしょうか。地域住民の生活の危機は、税収や行政需要などに反映して自治体行政の危機でもあります▼「構造改革」が次の経済社会をどうするかは全く語っていないなかで、『政治が出来ることは、年金・医療・社会福祉サービスなどの社会保障や教育・環境などの分野へ積極的に公的資金を導入して、雇用を創出し、国民生活を全体として豊かにすることが有効な経済政策だ』という主張が説得力を持っていると思うのは私だけでしょうか。(M) 2002.2.13(水)掲載

 

  『NTTの11万人リストラに異議有り』 

 NTTの十一万人リストラ計画は何ともひどい内容です。五十歳以上の全員に本体に残るか、退職して賃金三割カットの子会社再雇用かの選択を一月末を期限に迫りました。しかし、実際は残る道はほとんどなくて退職が強要されました。その際、子会社の経営情報は全面公開されず、ある子会社は「昼食宅配」や「墓地の清掃、献花、管理等」への事業拡大が計画されているというのです。これでは「会社が提示した条件を信じた社員へのだまし討ちである」と通信労組委員長は厳しく批判しています▼もう一点は、来年以降も五十歳の「退職・再雇用」を計画していることです。これは事実上の「五十歳定年制」です。労働者雇用安定法で六十歳を下回る定年は違法とされている中でのこの無法。「五十歳退職・賃下げ再雇用制度は年齢差別による人権侵害であるとともに定年法違反であり制度を廃止せよ」と委員長は言っています▼旧国鉄の清算で味をしめた会社分割法と持ち株会社制度がこの無法を支えています。いわば労働者が積み上げてきた労働条件を一気に清算してしまう手法がまかり通っているということです。この問題は今後の企業に大きな影響を与えるだけに重大です(M)   2002.2.20掲載

 

『駅伝大会に12回連続出場しました』

 大阪自治労連の駅伝競走大会が開かれて参加しました。会場は堺市の大泉緑地。公園内に設けられたジョギング用の回廊が一周で丁度三qのため、タスキの受け渡しが同じ場所でできる利点があり、毎年会場に選ばれています▼二三日(土)は快晴で暖かな日和でした。正午の号砲に合わせて現地集合。公園内のあちこちに青のビニールテントが張られています。昨年より明らかに増えています。水と便所を確保できることが増えた理由かと推測するものの、各々のホームレス事情を思うと複雑です。さて、全体の参加チームは二八で、例年よりも少数精鋭でした。一方、我がチームは走者五人の平均年齢五一才となる熟年チームです。年に一度の参加が積もり積もって十二回連続出場となりました。「順位よりも楽しく走ろう」が今年の目標となりました▼ウォーミングアップでゆっくり一周すると、白梅・紅梅が綺麗な花をつけて、散策する人やカメラマンを集めていました。今年は第二走者で出場。陽気につられて気持ちよく走れました。昨年の記録には及ばなかったものの十二分四二秒のタイムに満足でした。チーム成績は二五位でした▼帰路、梅田での「祝杯」が格別の味でした(M)2002.2.27掲載

 

『第一生命の「サラリーマン川柳」』

第一生命の『サラリーマン川柳』があります。今年で十五回目。すっかり定着した感がありますが、今年の作品は現在選考中ですので、過去十年間の当選作品から、私撰分類して紹介します。当世世相気質をお楽しみください▼会社 『ああいえばこう言う奴ほど偉くなり』『上役の命令ファジー僕ビジー』『ようやった!事情が変ったなぜやった!』『コストダウンさけぶあんたがコスト高』『仕事しろ残業するな成果出せ』▼夫婦 『未だ寝てる帰ってみればもう寝てる』『いい家内十年経ったらおっ家内』『耐えてきたそういう妻に耐えてきた』『できるなら女房初期化してみたい』『プロポーズあの日にかえってことわりたい』▼生活 『一戸建手が出る土地は熊が出る』『宝くじ馬鹿にしながら根は本気』『ゴハンよと呼ばれて行けばタマだった』『貯金なし証券もなし被害なし』『妻だから運転できる火の車』『気分良く100円ショップでムダ遣い』▼風俗 『SMAPをどこの地図だと聞くおやじ』『Tバック俺にもくれと湯飲み出す』『ナタ・デ・ココどこを切るのと聞くオヤジ』『胃じゃなくてチョーがムカツク女子高生』▼最後に駄句を一句『外務省わだちクッキリ・ムネオカー』(M) 2002.3.6掲載


高槻南高校の卒業式 

卒業式のシーズンです。昨年八月突然の統廃合対象校となり、在校生たちが中心になって十六万名余の反対署名を集めた高槻南高校の卒業式を新聞記事から紹介します▼『忘れないでください。私たちは先輩方に恥じないよう後を受け継ぎ、高南の伝統を守り発展させていくことを誓います』(送辞)『毎日、不安とたたかいながらのつらい日々でしたが、多くの人たちの頑張りの中で私たちは力づけられ、励まさせてきました。新しい環境の中でつらく苦しい時を迎えた時、私たちはこの高槻南高校での生活がどれだけ役に立つものだったか気づくと思います』(答辞)▼『忘れもしない昨年の八月三十日。それからのあなた達は頼もしくてとても大きく見えました。今どきこれほどにも母校を愛し、母校のために自分たちで考えしっかり行動する高校生はどこにもいないと誇りに思っています。そんなあなたたちと先生方と一緒に心を一つにして運動した数々のことは、私たちにとって大きな心の財産となりました。気がかりなのは、この子たちには三年後には帰る母校がなくなることです。私たちみんなのたくさんの思い出が詰まっている校舎、グラウンド、高南が大好きです』(卒業生保護者代表)▼熱い思いが伝わります(M)2002.3.13掲載

映画『ロード・オブ・ザ・リング』鑑賞記

「アカデミー賞」発表・授賞式は三月二五日です。今年は未見作品が多くて予想は不謹慎。そこで、今日は作品賞にノミネートされている『ロード・オブ・ザ・リング』の観賞記とします▼勉強不足でしたが、この映画には『指輪物語』という原作(作者・トールキン)があって、二〇世紀を代表する冒険・ファンタジー小説の名作だといいます。三部作が発表されたのは一九五三年です。スターウオーズやハリーポッターなどに影響を与えたといえば、やはりすごいと思う。物語が壮大すぎて映画化は困難と言われていた中で、今回映画化され、注目されています▼強力な魔力を持つ「指輪」。その指輪を預かったホビット族の若者が、仲間と一緒に協力者を得て、魔の山にある火口への旅を続ける物語です。冒険・ファンタジーの映画化は難しいといわれていますが、最新のSFXは魔界描写や心理描写を可能にしました。そうした描写と実写とを楽しく観賞する映画です。ロケはニュージーランドといいますが、大変に美しい。今回映画化されたのは三部作の第一部「旅の仲間」編で、次の冒険を予感させるラストシーンとなっています▼アカデミー賞が好きなテーマではありませんが最優秀作品になるかも知れないと予感(M)
2002.3.20掲載

 

介護福祉士の国家資格を取得した63歳の先輩 

同じ団地の隣組に住む方から手紙をいただきました。十年ほど先輩。ゴルフの誘いも「ノーサンキュー」でこのところお付き合いが途絶えていましたが、その理由が分かりました▼定年後、一年間の充電期間を置いて、社会福祉専門学校に入学されていたのです。自分の子どもよりも若い十代の生徒と一緒に、体育や音楽も習った。予習、復習を欠かさず、授業は一日も休まなかった。福祉施設での実習では、私のようにお年寄りと年代が近い人材も、現場に求められていると知った。そして、この三月八日、二年間の学業を無事卒業、六三才にして介護福祉士の国家資格を取得した、という内容でした▼大手電気メーカーの人事・労務が中心だった方の転身。「人が好きで、長く人事に携わってきた。今後も人の役に立ちたい」と。今後、シルバー人材センターから派遣を受けての在宅介護・施設介護各サービスのほか、各郵便局に駐在しての介護相談業務や介護機器・用品展示場での説明員などの仕事で多忙になるとか。「還暦を過ぎた私でも、世の中から必要とされお役に立てることは、無上の喜びであり幸せなことであります」▼退職の皆さん、第二の人生も『生涯青年』の心意気とチャレンジ精神を(M)2002.3.27掲載

 

4月1日に迎えた4つの「式」

4月に入って汗ばむような陽気。すでに桜がピークを迎えています。新年度を迎えました。今日は、四つの「式」の話▼入学式。大学の入学式が行われました。オープニングがブラスバンドとチアリーダーの歓迎式。一時間ほどの文化式典のあとが入学式だったとか。随分と様変わりしています。大学と学部選択の初心をあくまでも貫いてほしい▼入社式。長く厳しい就職戦線をくぐり抜けて、初めての出社です。金融不安と長引く不況、諸君の前途は保証されたものではない、と厳しい訓辞だったとか。早く社風に慣れて自己の確立を▼入園式。新しい園児と保育士を迎えた園は文字通り慌ただしい。クラスが落ち着くまでは昼休みもトイレの時間も難しいとか。たまたま商売を営む保護者が多くて、ついつい不況に話が及ぶと言います▼辞令式。600人弱の職員に対して文書を止めて口頭発令。昇任や新しい職場への異動は本人にも職場にも新鮮な風を起こすと言います。しかし、市民生活の危機が深く進行している中で、地方自治の担い手たる職員の肩にかかる荷は重いと思う。一日も早く仕事を覚え職責を果たすことが求められていると自覚▼四者四様で迎えた今年の新年度。新たな旅立ちが始まりました。2002.4.3掲載

 

日本育英会の奨学金制度を守ろう

草津の大学に中・高時代の同級生の長男が進学、家探しを手伝いました。久しぶりに再会。大手電機メーカーを三年前に退職してコンピューター関係会社を起業しています。零細ゆえ長女は学費免除が受けられているが、これから始まる長男の仕送りが大変だと話していました▼日本育英会の奨学金は、一九四三年の創立から今まで延べ六二〇万人が貸与を受けてきています。二〇〇二年度の利用者は八十万人です。小泉内閣が昨年、特殊法人改革のもとに日本育英会の廃止と独立行政法人化を閣議決定しました。今、「若者や弱者の夢をつぶすな」と育英会奨学金の存続と拡充を求める請願署名が急ピッチで集められています。奨学金が銀行の教育ローンのようになれば、親の収入が低いと借りられないという、制度の趣旨と正反対の内容になってしまうからです▼振り返って我が身も、育英会奨学金にこの上ない恩恵を受けてきました。月五千円の仕送りに月八千円の奨学金がどれだけ有り難かったことか。学生にとっては、教育の機会均等が真に保障されるとても切実で大事な制度だと実感していました▼「教育保障」という最も手を付けてはいけないところに国の行革が行われようとしている逆立ち政治はノーです(M)2002.4.10掲載

 

新規採用職員に座右の1冊を推薦

 新規採用職員の六五人に対して、座右の書を一冊だけ推薦するとしたら、先輩のあなたはどんな本を選びますか? 私が推薦するのは『自治体・住民の法律入門』(兼子仁著・岩波新書)です▼それは、自治体職員に必要な能力のうち、法務(法的事務取扱い)能力もまた大事だと思うからです。法務は一般には裁判に関わる訟務や条例・規則の条文整理に関わる法制執務がありますが、分権の時代では、法令解釈でさえ中央照会型法務の時代は去り、自治体による自主解釈型法務が必要と言われています。職員に必須の能力の一つ▼本書は「実例」が十分に盛り込まれています。具体事例は実は「法」最先端でもあり難しいのですが、特に五章「自治行政のしくみと住民の権利」の章は、許可・免許申請、給付・助成申請、契約と損害賠償責任、物の管理と自己責任、違反行為の取締、即時強制と行政、などの具体事例を上げて、法的問題点を検討しています。行政法の第一人者の一人である著者の意見です。メモを取ってじっくり勉強したいテーマが沢山盛り込まれています▼少し堅い本の推薦になりましたが、自治体職員をめざして実現した皆さんの初心は尊いものです。常に努力向上する初心を忘れることなく。(M)2002.4.17掲載

芥川・鯉のぼりフェスタ

 芥川の櫻堤に鯉のぼりが泳ぎ始めました。その数ざっと九百匹。川の両端に支柱を六本立て、およそ百bの川幅に二十一本のワイヤが張られています。新緑の高槻の風物詩になりつつあるこの「鯉のぼりフェスタ」。快晴と保育園児の歓声がよく似合います▼日本で最初の鯉のぼりイベントを始めたとされるのは群馬県万場町の神流川です。八百匹が泳ぎ全国から五万人が集まるとあります。数が多いのは熊本県小国町の杖立温泉の杖立川。八百bに渡って二五〇本のロープが張られ、三五〇〇匹が泳いでいます。龍神ダムには七〇〇匹が、相模川には一二〇〇匹が泳いでいます。まだまだありそうです▼端午の節句は五月に入って初めての午(うま)の日という意味だそうで、我が家も庭にアルミ製ポールを立て、吹き流し・矢車・三匹の鯉のぼりを上げた記憶があります。中国に古くから伝わる登竜門の伝説(竜門の滝を登り切ると鯉が龍になる)になぞらえ、健康に育ち大きく出世してほしいという親の願いが込められているとか。昔は和紙。それが木綿となり今は軽くて丈夫な合成繊維製に▼高槻の利点は芥川の河川敷が丁度水遊びスポットとなっていて、親水と鯉のぼりがマッチしていることでしょう(M2002.4.24掲載

 

組合委員長が指名解雇

 今日はメーデーです。過日もらった学生時代の友人からの手紙の中に新聞の切り抜きが入っていました。『リストラ反対で見せしめ解雇 仲間に支えられ元気に出勤闘争』のタイトル。ドキッとして記事を読むと何と同窓生の名前があります▼コンクリートの二次製品を製造販売している会社が今年の一月に経営不振を理由に十人程度の人員削減計画を発表しました。組合は経理状況とリストラ計画は矛盾すると、白紙撤回を求めて団体交渉を重ねました。パンフレットを作って普及するなどの活動も。そうした中、突然、組合委員長を呼びだして指名解雇を通告したのです。彼が不当解雇されたのち会社は人減らし計画を凍結しました。根拠のなさを証明した格好です▼彼はパートの奥さんと高校三年生の息子の三人暮らし。毎朝工場の門前に立って、ゼッケン姿で組合ののぼりを手に「仕事をさせてください。職場へ戻してください」と訴えているとあります。優しく、人なつこい彼が組合の委員長として指名解雇と断固闘っている姿は本当にまぶしい。大変だろうと心から思う。そして頑張れとシンから応援する気持ちで一杯です▼先週のコラムの中で、芥川に泳ぐ鯉のぼりの数を「千匹」に訂正します(M)2002.5.1掲載

 

映画『蝶の舌』感想

 天候には比較的恵まれた今年の連休はどうでしたか。私は畑仕事と映画の日々でした。「ビューティフル・マインド」「あの頃ペニーレインと」「コレリ大佐のマンドリン」「ワイルドスピード」など十本以上を観ました。今日はその中でビデオ観賞となった『蝶の舌』の感想記です▼一九九九年制作のスペイン映画。八歳の少年モンチョは学校でグレゴリオ先生と出会います。先生から自然の知と人生を学んで成長していきます。蝶は普段は巻いている舌を伸ばして蜜を吸う。ティノリンコという鳥はメスに蘭の花を贈る。先生の話にモンチョは感動します。退職の日グレゴリオ先生は「自由に飛び立ちなさい」と語ります▼少年と先生の交流を情感たっぷりと誠実に映し出していきますが、時は一九三六年の冬の終わりから、夏の初めにかけて。時代は人民戦線派が選挙に勝利したのち、フランコ将軍の軍事クーデターによって悲劇的な「スペイン内乱」へと突き進んで行きます。ラストシーンで八歳の少年が叫ぶ「ある言葉」をあなたはどう受け止めますか。映画はそう問いかけています▼日本公開は関西では神戸のみでしたが、広い世代から支持されて感動を与えた作品です。私の現在の一押し作品のひとつ(M)2002.5.8掲載

 

 

定期健康チェックは大事

 来週から「春の健康診断」がはじまります。同僚が倒れたなどの話を耳にするにつけ、しっかりと健康チェックする機会にしたいものです。そう言えば、過日配布された健保組合の「ふれあい」には、高槻・溝口さんの作として『血糖値気にするよりもウオーキング』が一等として紹介されていました。言い得ています▼あなたは、健康に対する日頃の心掛けでは何を重要視していますか。やはり運動と食事と休息がベスト三か。中でも自分の体力に応じて継続的に運動する習慣をもつことは自分への自信にも繋がってきます。職場環境が変わって気軽なジョギングとまでは行かなくなりましたが、「エレベーターは使用しない」と決めることで随分と歩く量が増えている気がします。とはいえ、運動は「職」より「住」で追求する方が実りが多いと思う。夕方や夜間、早朝に早足で手を振りながら歩くグループをよく見かけます。「三十分があなたを変える」気概でぜひ挑戦を▼一方「ノン・アルコール」は節酒に変わって決意は半ばです。物事、四角四面に行かないところが面白いとも言えますが、食事も大事なチェックポイント。無養生は自慢できることではありません▼定期健康チェックは大事な取り組み(M)2002.5.15掲載

 

サッカーワールドカップを観よう

サッカーワールドカップを心待ちにしている人は多いと思います。地区予選を勝ち抜いた三二カ国の選手が続々日本や韓国入りしています。五月三一日のリーグ戦開幕から、六月三〇日の横浜での決勝戦まで一か月はサッカーの話題で世界中が埋め尽くされると言っても過言ではないでしょう。以下は私的楽しみ方▼私は『劇映画』のように観戦しようと思っています。丁度『七人の侍』を観ていると思えばいい。一チーム二三名の選手が四年に一度、国の代表として優勝を争う晴れ舞台です。リーグ戦四八試合、決勝トーナメント一六試合合計六四試合(日本開催は半分の三二試合)の全てが真剣で最高のプレーが楽しめる試合だと思います。四五分+四五分の一時間半の劇映画。敵・味方のイレブン同士が陣地を張って攻めて守っての攻防。結果が判ればそれでお仕舞いなら、『七人の侍』」を繰り返し観る人はいないはずです。そうしたプレーの連続を楽しめるのがワールドカップなのだと思う▼もちろん、日本チームや知っている選手のいる国に肩入れして観るのはより楽しい。日本を含めどの国も決勝に残る一六カ国をめざしています。一 勝一分けが分岐点。▼六月一四日は国民の休日になる(?)(M)2002.5.22掲載

 

ウイルスに注意 インターネットセキュリティ

 過日、ネットワークセキュリティに関する講演がありました。ネットワーク環境がクローズドシステムから、オープンな通信路・汎用プロトコル・汎用pc・wsを使用するオープンシステムへ変化することによって、不特定多数の利用が前提となる中で、安全性と信頼性の確保が非常に大切な課題となっているという話でした▼中心はサーバー上のセキュリティと取扱基本方針に関する話でしたが、リスク例としてのウイルスの話はエンドユーザーとして具体的で有益でした。ウイルスは電子メールを媒体とした感染ルートが主流で、メールの添付ファイルで感染するケース急増しています。ミムダやトロイの木馬などが有名です。▼五月二二日、沖縄県石垣市役所のパソコン四百台うち十七台台以上がコンピューターウイルスに感染していることが分かりました。外部接続を遮断し、庁内通信網を完全停止して、一斉駆除作業を行ったとあります。大変な労力と損失です▼見知らぬ相手から来た添付メールは厳重注意です。削除するのが一番。そのためには、家のパソコンでメールソフトを利用している方は、ワンクリックでオープンしないように、せめてファイルの自動ビュアをハズすことをお勧めします(M)2002.5.29掲載

 

『クレズウイルス』に感染

 『how are you』とタイトルがあって発信人は友人のアドレス。添付ファイルが付いている。友人とはファイルのやりとりの経験は無い。さて、あなたならどういう行動を取りますか。@友人であっても覚えがないので開けずに削除する。A開けて見て要らないものなら削除する。正解は@です。Aの方は大変です。何故なら利用しているパソコンが開けた時点で『クレズ』というウイルスに感染してしまったからです。これが昨夜我が家で起こった出来事です▼奇数月6日にある拡張子のファイルを上書きしてしまうウイルスで、Aランクの注意が出されています。我が家が取った対策は、まず無料ウイルス検索ソフトをダウンロードして感染ウイルスを特定し(これでクレズと分かった)次にネット上でウイルス駆除ツールを入手して、実行しました。夜中の一時半を回っていました▼教訓としてはメールはむやみに開けないこと。タイトルが英語や空欄は先ず疑ってかかること。自分を格納した添付ファイルがあることも特徴。すぐに対策を取ること。なぜならメールアドレスを勝手に読んで自身を自動送信するからです。友人に大迷惑▼追伸、日本・ベルギー戦は全く惜しい引き分けでした。次こそ頑張れ!(M)2002.6.5掲載

 

地域体協主催のソフトボール大会

 ワールドカップサッカーで盛り上がる毎日です。梅雨入り前のこの時期、何かスポーツしてますか▼過日の日曜日は快晴でしたが、私の住む学区では、春のスポーツカーニバルが開催され、町対抗のソフトボール大会・バトミントン大会・卓球大会が開催されました。二五〇〇世帯・八五〇〇人が住み、学区としては大きい方かも知れません。町は全部で十六町あり、農村集落と新興住宅が同居しています。スポーツを通じて親睦を図る学区体育協会の主催行事です▼ソフトボールは一町を除く十五町が参加しました。小学校のグランドに二面取り、リング方式で一チームが二試合対戦して、勝数・得失点差で順位を決めます。そして上位四チームが決勝戦へ。全部で十七試合もする超過密スケジュールでしたが、各町が弁当と飲み物持ち込みで試合の合間にはあちこちに円陣ができていました。元甲子園球児が豪快なバッティングを披露したり、三十代の女性がウインドミルの華麗な投球で三振を取ったりして喝采を浴びていました。地域体協に参加して五年になりますが、今年は盛り上がっていた気がしています▼我が町は一勝一敗でした。子ども世代が参加してくれたのがよかった。交流も進みました(M)2002.6.12掲載

 

夏野菜日記

W杯が終わって七月。暑い日が続いています。昨日配布された『春の健康診断結果』を見て一喜一憂しているのでは。健康管理は早期チェックと自己コントロールが基本と言われています。私は、自分を知って年相応の付き合い方をすることが大事と思っています▼さて、今日は早朝出勤の話。夜が早く開ける今は、起床とともに先ず畑に出勤しています。歩いて五分ほどの所ですが、近所の人と随分出会います。皆さん散歩の人です。梅雨時期は雑草の成長が旺盛で、草抜きは大仕事です。日が高く上がらないうちが勝負。キュウリとナスは収穫が始まりました。トマトは青い実が大きくなると野鳥が狙います。網掛けが必要です。シシトウとピーマンはやっと大きくなり始めました。支柱を立ててやる必要があります。トウモロコシは花が咲いて実が成長中。倒れないように囲いが必要。インゲン豆は順に収穫。等々▼畑作業は終わりがありません。成長を確認しながら楽しんで作業することが長く続くコツです。それと失敗しても「また来年」と気軽に考えています。三〇分程度の出勤ですが気分転換には最適。収穫物を家に運んで朝食を取ると、さて、本物の出勤の時間です▼健康管理面で成果があれば一石二鳥(M)2002.6.19掲載  

 

注目の東大阪市長選挙

 先週は所要で失礼しました。さて、現在闘われている東大阪市長選挙、どう見てますか。清水前市政は汚職と腐敗のデパートといわれました。ヤミ献金疑惑・職員の不正採用事件・下水道談合事件。さては自身の年金詐取事件まで発覚してついに市長逮捕となりました。こんな市政は金輪際ごめんだという市民の思いが、現長尾市政を生み出したといえます▼それから四年。私の注目は四点です。第一は「東大阪方式」といわれる職員採用制度(希望すれば不合格者が成績の通知を受けられる)の採用です。第二に予定価格と最低制限価格を事前に公開するという入札制度の改革がなされました。第三に三万を超える中小企業の全事業所を二年がかりで幹部職員が訪問して実態調査を行いました。その大変な労力がその後の『技術交流プラザ』など中小企業対策に生かされています。そして第四に、職員・弁護士・ケースワーカーが介護サービスの現場に出かけて調査を行い、改善に生かすという取り組みがなされました(「クローズアップ現代」で取り上げられる)▼「二一世紀の自治体づくりは住民のみなさんと市役所職員が信頼で結ばれてお互いに高まっていく市政だと考えています」(演説より)得心(M)2002.6.26掲載

 

朝は畑へ早朝出勤

 W杯が終わって七月。暑い目が続いています。昨日配布された『春の健康診断結果』を見て一喜一憂しているのでは。健康管理は早期チェックと自己コントロールが基本と言われています。私は、自分を知って年相応の付き合い方をすることが大事と思っています▼さて、今日は早朝出勤の話。夜が早く開ける今は、起床とともに先ず畑に出勤しています。歩いて五分ほどの所ですが、近所の人と随分出会います。皆さん散歩の人です。梅雨時期は雑草の成長が旺盛で、草抜きは大仕事です。日が高く上がらないうちが勝負。キュウリとナスは収穫が始まりました。トマトは青い実が大きくなると野鳥が狙います。網掛けが必要です。シシトウとピーマンはやっと大きくなり始めました。支柱を立ててやる必要があります。トウモロコシは花が咲いて実が成長中。倒れないように囲いが必要。インゲン豆は順に収穫。等々▼畑作業は終わりがありません。成長を確認しながら楽しんで作業することが長く続くコツです。それと失敗しても「また来年」と気軽に考えています。三〇分程度の出勤ですが気分転換には最適。収穫物を家に運んで朝食を取ると、さて、本物の出勤の時間です▼健康管理面で成果があれば一石二鳥(M)2002.7.3掲載

 

11桁の番号は名前の替わりになる

住民基本台帳ネットワークの稼働まで一ヶ月を切りました。種々の問題点が指摘されています。私的見解を以下に▼制度導入のネライは、いままで基礎自治体が把握・管理していた個人情報を国が「利用」できるようにする点が最も大きいと思っています。十一桁のコードは個人認識の基本という意味では国民総背番号と同義です。今は入り口で「利用制限」がいろいろあったとしても、国にとって非常に便利なこの住民票コードを他に「活用」しない手はない、と必ず拡大が議論されます▼先ず課税・納税情報とのリンクの話が出るでしょう。また、治安を口実にした身体情報(指紋・声紋・外貌等)とのリンクが出ることも考えられます。民間も黙ってはいない。「規制緩和・開放」が時間の問題となるかも。そして、住基ICカードを発行することによって、福祉や医療や保健や教育、印鑑証明、施設利用、などへの活用が出てきます。一方民間のクレジットカード・キャッシュカード・電子マネーなどの相乗りは住基コードによる個人認証がベースとなる気がします▼というわけで、身体に打ち込まれた十一桁の番号が確かな個人認証手段という、SF映画並みの時代が到来するかも知れません(M)2002.7.17掲載

 

神戸大二宮教授の講演から

神戸大学の二宮教授の話を聞く機会がありました。新自由主義の市場原理を公共性の憲法原理から鋭く批判している同氏の講演から印象に残った話を二点ほど紹介します▼日本企業が輸出型から多国籍型に転換した結果、企業立地はどこでもよいことからアジア地域と競争することになる。地域が生き残りのために支援型の施策を競争する中で漁夫の利を占める多国籍企業。県政に新自由主義的手法を採り入れてきた三重県北川知事が県九〇億円、亀山市三〇億円、合計一二〇億円を提供して亀山市にシャープの工場を誘致すると決定。行政評価など行政のスリム化によって浮いた税金が、行き着くところ企業に流れる構図▼二点目は、官民のコスト比較論との対抗は公共性と専門性であるという指摘。自治体が担う領域は@地域住民の共同・共通の利益にかなう仕事A法律・条例により確立された住民の権利は遵守されなければならないB住民は公平・平等である、という三つの方向から発展させる必要がある。専門性とは、安全性・継続性・政治的中立性に裏打ちされた知的熟練度ともいえるもの。現場だけが証明できる公共性と専門性の根拠が委託化への対抗軸▼一時間半が短く感じられた講演でした(M)2002.7.24掲載

 

 『軍隊をすてた国コスタリカ』

コスタリカという国をご存知ですか。中米パナマの隣りにあって人口三八〇万人、九州と四国を合わせた位の面積の小国です。この国は一九四九年に憲法第十二条によって当時あった六万人の常備軍を廃止しました。以来五二年間、永世中立国として一度も軍事費を持たない国です。八〇年代隣国ニカラグアの内戦時には、「中米の消防士となる」と宣言して、非武装を武器にして積極的に中米和平に貢献しました。当時のアリアス大統領は一九八七年にノーベル平和賞を受賞しています▼その国コスタリカを知ったのは、実はドキュメンタリー映画『軍隊をすてた国』を観たからです。作家早乙女勝元氏の企画により娘早乙女愛さんが制作した映画。コスタリカの子どもたちがとにかく輝いているのが印象的な映画です。早乙女勝元氏の話から、ニカラグアからの移民・難民を受け入れて今は人口の一割にも達していること、国家予算の四分の一が教育予算であること、国土の四分の一が自然保護区であることが分かりました▼「軍隊不保持」の憲法を持つ二つの国の一方の国日本では、有事法制三法案は「廃案」でなく「継続審議」となって、秋の臨時国会で再度息を吹き返すか。憲法の軍隊不保持が泣いている(M)2002.8.6掲載

 

今城塚古墳発掘の意義

  最近、今城塚古墳に関する記事を読む機会がありました。今城塚古墳発掘の意義を再認識した次第です▼宮内庁が陵墓・陵墓参考地としているのは全国五百一ヶ所。発掘はおろか立入も禁止です。明治政府が江戸時代の国学者松下見林の見解を受け、茶臼山古墳を継体天皇陵としました。その後新池埴輪製作遺跡(一九八八年から発掘)で今城塚古墳用に焼かれた埴輪が六世紀前半であったことが判明し、継体天皇が亡くなった五三〇年とほぼ一致することが分かりました。▼昨年の発掘調査では家形・武人・巫女・力士・馬など大量の埴輪が発見されています。家形埴輪は一七〇pもある立派なものです。注目されるのは船が描かれた十二種類の埴輪。船絵は淀川水系を押さえて大王となった継体天皇に相応しいトレードマークか▼また、遺体を入れる石棺のふたの破片が二百点ほど発見されています。熊本・奈良・高砂産の三種類の石が使用されているとのこと。継体天皇と同時期に太子・皇子が亡くなったことと関係あるか、興味があるところです。今後、横穴式石室が発掘されることによりもっとはっきりしてくるでしょう▼発掘と整備であと十年くらいはかかるとして、全国注視の遺跡であることには間違いありません(M)2002.8.30掲載

 

『被写体』読後感

  お盆中に読んだ本から。『被写体』(マガジンハウス社)。ほぼ二十年という長期間に渡って四六時中追われ続けた体験を持つ人は希有と思う。「追われ続ける妻を持った男」とも著者は言い換えています。被写体とは写真・映像等を撮られる側をいう言葉です。その一言に込められた著者の感情を本書から読み取ってほしいと思う▼著者は俳優の三浦友和氏。一九五二年生。八〇年の結婚と山口百恵の引退頃から、ワイドショー・芸能週刊誌・写真誌などが私生活にジョーズのように襲いかかります。長男誕生-妻の運転免許-国立への転居-義母との同居-長男の幼稚園入園式-運動会など、私たちが結婚とともに普通に通ってきた生活の節目の楽しみな出来事が、彼にとっては「膨大なエネルギーを費やすことになる大きな障害」と一緒でしか迎えられない苦悩、想像できますか。取材される側、被写体という生身の人間の正論が、時には激しく綴られています▼引退して一市民となった往年の映画女優原節子さんの「近況」を、盗撮して掲載した写真週刊誌があって腹立たしく思ったことがありますが、著者の家族は二〇年間も続いたのです▼一生活人である俳優の心の軌跡(M)2002.8.20掲載

 

一人一台のパソコンへ

 係長級以上とキーパーソンに対してパソコンの貸与が始まっています。設定上の変更点は、セキュリティの強化、ログイン資格の明確化、ファイルサーバーの提供などです。仕事の上で必須のツールとなりつつあるパソコンですが、あくまでも業務の効率をアップする手段であることを忘れないように▼ところで、二か月ほど前から週一回、初級の人を対象にした地域のパソコン教室でボランティアを始めました。普段、何気なく使っている「ワード」ですが、これがなかなか優秀な機能を沢山包含していることを再認識しています。ちょうど自分の学習になっているということ。読めない漢字・人名・異文字などの入力から始まって、最初は報告文が打てればという話から、出来れば五段組のニュースが作りたい、まで発展してきています。ワードアート・オートシェイプ・テキストボックスなどを活用した見栄えのあるレイアウトの仕方など▼今後、メール形式による事務報告が主流になることは避けられない状況の中で、日本語入力・ワード・エクセルが一通りこなせるようになりたいと誰もが思っています。不明な点は「どうしたらよいか」職場で気軽に聞くことが大切と思う▼来年は確実に一人一台です(M)2002.9.4掲載

 

イラク・湾岸戦争の子どもたち

 米国によるイラク攻撃が心配です。米大統領は今年の一般教書の演説でイラクを『悪の枢軸』と決めつけ、戦争の準備をすすめています▼一九九一年のイラク・湾岸戦争時に、多国籍軍が劣化ウラン弾を大量使用したことは知っていましたか。その量は三〇〇d〜八〇〇dともいわれ、広島に投下された原爆の一万四千倍から三万六千倍の放射能原子がペルシャ湾一帯にばら撒かれたことになります。それから十年。写真家・森住卓氏は一九九八年から四回にわたってイラクの取材を行い、白血病やガンに苦しむ子供たちの姿や先天性障害が生まれ死んでいく姿をカメラに収めました。イラク南部のバスク市内ではガンの死亡者が以前の十七倍にも達してします。各地で開催されている森住卓・個展が大阪では昨日まで開催されていました。今後の予定など詳しくは森住氏のHPで▼同様に、三五年にわたってパレスチナの写真を撮ってきた写真家・広河隆一氏(『パレスチナ・新版』岩波新書〇二年五月発行の著者)の写真展が同実行委員会の主催で九月二一日〜二三日の間、高槻市生涯学習センターで開かれます▼「一番この写真を見せたいのはブッシュ(現大統領)」(森住卓氏の言葉より)(M2002.9.11掲載

 

映画『折り梅』上映会

 私の住む地域で「高齢者と子どものふれあい施設をつくろう」という運動が起こって一年半余りになります。敷地は市有地の提供を受けて、今年度に保育所建設の県申請を、来年度には特別養護老人ホーム建設の県申請を目標にしています。何とか成功しほしいものと思っています。今は、地域高齢者の憩いの場としてふれあいサロンを会が開設しています▼その『つくる会』が主催して、週末に映画会がありました。映画は『折り梅』。三回の上映で延べ千名を越える入場者があって上映会は成功。我が家は家族四人で鑑賞しました。映画は、アルツハイマー病を発病した同居の母(吉行和子)と家族とのぶつかり合い、特に義母と妻との葛藤を軸にして「老い」を描いています。義母の生い立ちや心の悲しみを知り理解を深める妻巴(原田美枝子)の姿が印象的でした。「老い」の悲しみとともに豊かさを語る映画です▼タイトルとなった『折り梅』とは、生け花の言葉で、枝を折って枝ぶりを変更しても、皮で養分を吸収するために枯れずに綺麗な花を咲かす、という意味です。映画のテーマとなっている老人性痴呆症と重ねて、梅の木のたくましさを表現しています▼松井久子監督作品です。是非観賞を(M)2002.9.18掲載

 

最悪のシナリオへの審判

 経済政策に「万人のため」はありません。誰を支援するか、誰からその財源を集めるか、です。そう考えると、低迷する日本経済に対して政府が取ろうとしている政策も少しは判ってきます▼@株価対策。日銀が銀行保有株を買い取る計画。中央銀行は民間株を保有できないのに、あえて禁じ手を使って行う新たな銀行支援策です。A不良債権の「最終処理」。金融機関の体力は相当低下しているとして新たな公的資金の導入も検討。しかし、この一年間の「対策」にも関わらず不良債権は約十兆円も増加する悪循環。B二・五兆円規模の「先行減税」。研究開発減税・法人税率引き下げなどが検討されています。その財源は、所得税の控除見直し(配偶者特別控除・特別扶養控除の整理等)、消費税の免税点引き下げ、赤字企業にも課税する外形標準課税の導入などが計画されています。すでに医療・介護・年金・雇用の分野では、今年から来年にかけて三兆二千億円余もの負担増が決まっています。また、厚生年金の支給時期を更に改悪する検討が始まろうとしています▼どう見ても庶民には最悪のシナリオだとは思いませんか。十月二七日投票で行われる衆議院補欠選挙は、そうした小泉政権への審判だと思う(M)2002.9.25掲載

 

三十年来の友との会食

 学校を出て三十年間便りがなかった旧友が訪ねてきました。杯を重ねながら聞いた彼の話を紹介します▼会社が県別に十二に分社化されて独立採算制となったことが契機になって、経費節減が強調され、退職強要等の話が出てきたとのこと。そこで今まで組合がなかったところに十三名で組合を結成したのが五年前。今年の春闘時には、会社側の退職募集に経営分析を入れた職場資料を作成し反撃しました。そこで出てきたのが組合委員長である彼の指名解雇▼今は、地位保全の仮処分を求めて法廷闘争中であり、この十月には決定が出る予定といいます。この間の法廷闘争の中で、本社が子会社に対して貸付金の支払い利息名目で年四・五%もの高利で利益を『上納』させているため経営が圧迫されている実態を明らかにさせたと語っていました。学生時代は穏やかだった彼。「絶対に勝つ」と言い切る日焼けした今の彼の顔には、この半年間の慌しい活動(守る会結成・要請署名・要請行動・支援のお願い行動など)の汗が刻印されていました。雇用保険の仮払いと奥さんのパート収入で何とか生活を賄っていると笑う彼の明るさに学生時代の面影が残っていました▼久しぶりに熱い突風と出会った会食でした(M)2002.10.02掲載

 

駅伝と異世代交流

十月に入って本格的なスポーツシーズン。学区の運動会などが催されます▼さて過日は貴重な体験をしました。「第二回びわ湖男女駅伝大会」。浜大津のびわ湖ホール前から木ノ本町伊香体育館まで九五・五qを十三人(うち三名は女性)で一人六q〜十qを走る本格的な駅伝大会です。私の住む学区でチームを組みました。現役陸上部の大学生や箱根駅伝を走った猛者から市民駅伝で鍛えられた勇者に混じって五十歳以上が六名もいる文字通りの混成チーム。出場は一般八十チーム・学生六チーム・高校生七チームの合計九三チームでした▼私の十区は彦根から長浜まで十・二qの最長区間で、左にびわ湖を眺めながら車道を北上する快適なコースでした。十一時二二分出発と高温の中、他のチームのエースには左右されずに、`四分三〇秒のマイペースを守って何とか完走できました。現役と猛者はやはり強くて一区二位、二区三位の好成績。それ以降は若者の貯金を熟年が食い潰す形になって、トータルタイム七時間十二分、八十チーム中五六位でした。ゴール地点に全員集合して記念撮影のあと焼肉で打ち上げ▼「たすき」をつなぐという連帯感から実力差があっても楽しく異世代交流ができるスポーツです(M2002.10.8掲載)

三王朝交代説と今城塚古墳

今城塚古墳にまつわる耳寄りな話を読みましたので紹介します▼天皇家の系譜を歴史学的に解明した『三王朝交代説』(水野祐・早大教授・一九五四年発表)が、大要においては学会の支持するところとなっているといいます。日本列島の中心の最初の支配者は崇神天皇で、三輪山嶺に巨大古墳を造り、「古王朝」と呼ばれる。四世紀中頃、九州遠征に失敗して滅んだ後、九州から列島の中心に進出して河内平野に王朝を築いたのが仁徳天皇で「中王朝」と呼ばれる。その後王家の内部争いで衰退し、六世紀の初頭、北陸・近江の豪族をまとめた継体天皇に倒され、「新王朝」が誕生する。この新王朝こそが現在の天皇家の祖先である、という要旨の学説です▼その後、古王朝は三輪王朝、中王朝は河内王朝、新王朝は継体王朝または近江王朝と呼ばれるようになって、学会の支持するところとなったといいます。今城塚古墳が「天皇陵」から外れて、発掘が可能となったことで古代史解明の重要な手がかりを提供してくれていますが、指定から外れたその今城塚古墳が、実は現在の天皇家の直接のルーツとなる継体天皇の墳墓であるとは、何とも歴史の皮肉のような気がします▼「闘鶏山古墳」の発掘が楽しみです。(M)(2002.10.16掲載)

 

学区運動会と樽ころがし

私の住む市には三一の学区がありますが、何処とも市民運動会が盛んです。二十日は私の住む学区で第三五回運動会がありました。全部で十六の自治会がありますが、平均すると百名は参加します。それに小学生が二百名・幼児が三百名。合計二千名を超える大きな行事です▼走力を競うリレーは二種目のみで、大縄跳びや綱引きや玉入れなど誰もが参加しやすいプログラムに工夫されています。小学生には障害物競走、幼児にはみやげを準備する配慮もありました。中でも楽しかったのは『樽ころがし』▼内径と外径が異なる樽を、二本の棒を操って上手に転がして旗を回って来るリレー競技です。誰でも出来てしかも大人でもなかなか難しい、良くできた競技だと思います。綱引き・玉入れと並んで当初からある伝統競技となっています。一人で片道二十bを往復する十名の選手で競いました。この日のために樽を借りて練習する町もあったりして白熱したレースに。結果は経験に勝る旧町が新興の町を圧倒した形になりましたが、拍手喝采に包まれました▼私は用具準備を任されて、二時過ぎからの雨に後片づけが大変でしたが、何とか仕事を全うしました▼春の鎮守祭りと秋の運動会が地域の時を刻みます(M)  2002.10.23掲載

 

ホームページ管理者の責任 

物事について知りたい時、最も身近で早い手段がホームページ(HP)検索です。何時でも誰でも何処からでも閲覧が可能です。それだけにHPの運営には細心の注意が必要です▼過日、私のサイト宛に二人の弁護士連名で「通告」なるメールが送付されて来ました。その要点は「○○を支援する会」の名称で掲載している文章の中に「不当解雇」など会社を誹謗・中傷している部分があるので、四八時間以内に削除すること。そうしない場合は法的手段等を検討する、というものです。会社を指名解雇され裁判闘争している当人が『不当解雇』と言わずしてどうすると思いますが、検索は相手を選びませんから会社のHPに先んじて「○○は不当解雇を撤回せよ」のHPが並んではたまらないというのが実状かも知れません▼掲載内容の責任の一切はサイト作成者にあります。彼と相談して、今までの「試用版」から、内容を検討の上、正式サイトとして独立することで、直接『会』が設置・運営するHPとして発展させることになりました。通告を受けての変更は気分的にはいやですが、サイトに直接責任を持つと言う意味では、この方が自然だとは思います▼HPの運営には細心の注意が必要と実感した次第です(M)2002.10.30掲載

 

  『山を楽しむ』(岩波新書)の読後感

読書週間に入っています。人気の『ハリーポッター・炎のゴブレット(上下巻)』は千百二十頁を超す大部。家族で回し読みしていますが、未だ順番がきません。最近の読書から『山を楽しむ』(田部井淳子著 岩波新書)の読後感を以下に▼女性世界初のエベレスト登頂、また女性初の七大陸の最高峰踏破など、日本を代表する登山家です。六三歳の現在も海外に出かけています。そんな著者のエッセー集。すごいことをやってのけているのに、全く飾らない文章は好感が持てます。海外の山々と並んで磐梯山や白神山地など日本の山も紹介されています。著者は山岳環境保護団体・HATーJの代表を務めていて、環境保護の活動も幅広い▼『私の好きな道は何といっても山の中の自然道。稜線をわたる風が汗ばんだ体に心地よく通り過ぎてゆく時のあの爽快さ、ささいなことに気をとられトゲトゲした気分になっていたことがつまらないことに思えてくるのもこういう時だ。山の道は人をやさしくさせてくれるところなのだ』何とも味わい深い文です。今年は国際山岳年。WE ARE ALL MOUNTAIN PEOPLEがそのスローガンです▼今年は山の民の一人としてせめて里山を散策する機会を多く作りたいものです(M)2002.11.6掲載

 

『フィルタリングソフト導入の是非』

フィルタリングソフト」をご存知でしょうか。インターネット関係のソフトの一つで、簡単に言えば選択した特定のカテゴリーに属するURLへの接続を規制するものです。規制対象となったカテゴリーにはアクセスできなくなります。サーバ対象のソフトで、コスト削減とセキュリティ対策として官公庁も含めて導入が増えてきているといいます。三〇億〜四〇億もあるホームページはまさに玉石混交。最適なHP活用法を見つけるためには導入が必要か否か、議論のあるところです▼同時にこのソフトには、アクセスログ分析ツールが付属しています。全てのアクセスをログファイルに記録することによって、社内のアクセス状況が一目で分かる。特定ユーザのWEBアクセスの詳細が一目瞭然となると「あなたのWEBアクセスは常時監視されている」と言えます。職員管理ツールとならないとも限らない。ここも議論のあるところでしょう▼高槻市の庁内ネットにどこまで導入されているかは不詳ですが、私的見解としては、業務上でのWEB利用は自らに「フィルタリング」を設定して自己規制のもとで大いに活用するのが最適と考えますが、いかがでしょうか(M)2002.11.13掲載

 『ワンディ・ウォーキング』

健康ウォーキングが盛んです。かねてからやってみたいと思っていた『ワンディ・ウォーキング』に挑戦しました。リフレッシュ休暇の一日を利用▼選んだのは琵琶湖の南湖を一周するコースです。地図で大丈夫だろうと目安を付けての選択です。瀬田の唐橋を午前七時四五分に出発しました。東周りでいくと、近江大橋から先は湖岸に沿って湖周道路が整備されています。広い歩道があり、対岸は比叡の山並み。色づいた葦の群生地が所々にあります。一qごとに距離表示があって便利。矢橋の帰帆島を過ぎて、琵琶湖博物館へと進みます。ハスが群生している水生植物園もあります。その先にはエリの定置網がありました▼琵琶湖大橋を渡って道の駅までで約二四q。約四時間で到着できました。帰りは湖西側を国道一六一号線に沿って歩きました。琵琶湖を離れたことで単調な歩きに疲れが溜まってきて、腿の付け根が痛くなりました。何とか浜大津に到着。ここまで四〇qの距離です。休憩の後、なぎさ公園の湖岸を足を引きずりながら歩いて、午後五時前に最初の瀬田の唐橋に到着しました。全行程四六qを九時間で踏破できました▼浜大津から東周りで琵琶湖大橋まで、全三〇qのコースがお勧めです(M) 2002.11.27掲載

 『今城塚古墳』の埴輪群は語る

『クローズアップ現代』が今城塚古墳から出土した埴輪群を取り上げました(二日)▼番組が注目したのは次の点だったと思います。@出土埴輪の量が多い(一一三体)A家形埴輪などが大型である(一・七m)B祭祀区が広い(長さ六二〜六四m)C埴輪の配列が四区分されているD埴輪は新池遺跡によって焼かれたものであるD埴輪は副葬品ではなく展示品であることから様々な推測ができる、等。六世紀前半の大王墓であることは学説としての紹介に留めていました。人形埴輪の破片からコンピューターグラフィックを利用して人物像を合成していました。大王級で騎馬民族の片鱗もあったりして興味深いものでした▼個人的には巫女の埴輪は当然あるとして、チョンマゲを横結いした力士埴輪があるのには驚きました。当時も力士がいた。墳墓のいわば「展示コーナー」である埴輪祭祀区の埴輪配列から何がわかるのでしょうか。馬と武人・力士が第一区画、巫女・座人が第二区画、家などが第三・第四区画の配列。番組は、今後埴輪の向きも含めた詳しい復元が進むことによって六世紀に大王が司っていた政権の何かが解明されると期待を述べていました▼今城塚が陵墓古墳指定される日がくるのでしょうか(M))  2002.12.04掲載

 『今年一年を表す漢字一文字』

今年の世相を表す漢字一字は「帰」でした。北朝鮮に拉致された被害者五人が帰国したニュースから来ています。清水寺のお坊さんは「住み難い世の中だから人間、原点に帰る」という意味だと。漢字一字を加えて今年を振り返ります▼利。ムネオハウスの鈴木議員が収賄容疑で逮捕。言ある所に利権ありの議員は塀の中へ。食。雪印食品・日ハム等トップメーカーが起こした食への不信。牛肉偽装の疑惑は未決着。貧。デフレの進行。株価が最安値を更新し失業率も最悪水準。賭。通信大手のワールドコムの倒産。アメリカ経済が株至上主義=カジノ資本主義に陥っているとの警告。熱。サッカーw杯の日韓開催は一大イベントでした。一ヶ月間、中継に熱中▼賞。ノーベル賞初の日本人ダブル受賞は明るい話題でした。会社員の受賞。漏。住基ネットが稼動。防衛庁など個人情報の恣意的利用が問題に。脱。脱ダム宣言の田中康夫知事が再選されました。県民の目の高さで行政を。爆。モスクワの劇場占拠・米の連続狙撃・バリ島の爆弾テロなど物騒な世の中に。学。学校が完全週五日制に。教育基本法改正に乗り出すなど教育に暗雲。愛。最後にアザラシのタマちゃん出没▼来年の漢字は『輝』になってほしい(M)2002.12.18掲載

『特養ホームをつくる会・奈良の経験』

奈良市西大寺に1年半前にオープンした特別養護老人ホーム『こがねの里』の建設運動の経験を聞く機会がありました▼入所50床・ショートステイ20床。全室個室で食堂は15人×4カ所。土地代二億円強を市民の募金で確保する五年間にわたる「つくる会」の血のにじむような運動が成就した施設です▼「住み慣れた町で安心して暮らせる施設を」の願いから「つくる会」が発足したのは1995年7月。介護保険もなく、特養の認知がない中でのスタートだったといいます。地域での宣伝や集会、シンポジウムを開催しながら、一口2万円×1万人からの募金という気の遠くなるような金額。募金の多寡では入所決定しないという「命の平等」をあくまでも貫いたと講師の伊藤さんは強調されていました。転機になったのは市内の医者230名中110人のアピールと弁護士10数名のアピールが出たこと。「会」がそれだけの働きかけをしたということの証左です▼月14万円しかない職員給料など施設運営は厳しく、課題は山積していますが、延べ3000人を越える人たちのネットワークが財産だと話されていました▼「住み慣れた町に高齢者と子どものふれあい施設を」次は我が町の番です(M) 2002.12.11掲載

『今年一年を表す漢字一文字』

今年の世相を表す漢字一字は「帰」でした。北朝鮮に拉致された被害者五人が帰国したニュースから来ています。清水寺のお坊さんは「住み難い世の中だから人間、原点に帰る」という意味だと。漢字一字を加えて今年を振り返ります▼利。ムネオハウスの鈴木議員が収賄容疑で逮捕。言ある所に利権ありの議員は塀の中へ。食。雪印食品・日ハム等トップメーカーが起こした食への不信。牛肉偽装の疑惑は未決着。貧。デフレの進行。株価が最安値を更新し失業率も最悪水準。賭。通信大手のワールドコムの倒産。アメリカ経済が株至上主義=カジノ資本主義に陥っているとの警告。熱。サッカーw杯の日韓開催は一大イベントでした。一ヶ月間、中継に熱中▼賞。ノーベル賞初の日本人ダブル受賞は明るい話題でした。会社員の受賞。漏。住基ネットが稼動。防衛庁など個人情報の恣意的利用が問題に。脱。脱ダム宣言の田中康夫知事が再選されました。県民の目の高さで行政を。爆。モスクワの劇場占拠・米の連続狙撃・バリ島の爆弾テロなど物騒な世の中に。学。学校が完全週五日制に。教育基本法改正に乗り出すなど教育に暗雲。愛。最後にアザラシのタマちゃん出没▼来年の漢字は『輝』になってほしい(M)2002.12.18掲載

 

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