コラム『動点』(週一回の連載)  2006年1月〜 
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目次

2006年1月〜 
1月
 ○高校サッカー野洲高優勝  ○保育所運営費の「超過負担」  ○
ホリエモン逮捕と内橋克人氏のコメント
2月
 ○映画『スタンドアップ』鑑賞記  ○格差社会を斬る  ○松野迅コンサートへの誘い
 ○トリノオリンピック観てますか  ○迷惑メール対処法
3月
 ○健康づくりに必要な運動所要量  ○映画『シリアナ』鑑賞記  ○日本の高等教育は今  ○ブログの勧め
4月
 ○新入社員を迎える言葉  ○団塊世代の平和主義は本物か  ○
映画『ホテル・ルワンダ』鑑賞記
 ○高遠菜穂子さんの講演から  ○辻井喬氏の講演
5月
 ○自治会の定期総会  ○早朝散歩の効用  ○組合委員長の挑戦 
6月
 ○高齢者の年金課税と市民税  ○岩波新書と私  ○コラムと私  ○テレビ中継と日本代表

7月
 ○首長選挙の底流  Mさんの職場復帰を祝う会  ○ジニ係数が表わす格差社会  ○三位一体の改革の評価
8月
 ○新型交付税の影響分析  ○キュウリのきゅうちゃん漬け  ○結婚できる賃金を  ○ペットは家族の一員

9月
 WEB2.0と情報公開  ○枚方テーゼと公民館  ○闘鶏(つげ)山古墳のデジタル写真
 ○新幹線新駅での仮線工事の起債は違法
10月
 ○「不運のすすめ」の読後感  ○地域親睦に役立つ運動会  ○ホラーサスペンス大賞受賞作家の最新作 
 ○「リーグ優勝と日本シリーズ」
11月
 ○安倍教育再生シナリオに恐怖  ○文部科学省の「やらせ質問」  ○北九州市餓死事件の現地報告
 ○ヤーコン芋の効用  ○デジタル化でテレビが観られなくなる
12月
 ○ワーキングプアと法人税減税  ○住民税が増税となる  ○あて先表記の変更

 

 

今週のコラム

尾木直樹さんの教育講演会  2007.1.10掲載

新年おめでとうございます。今年も気軽にお付き合いをお願いします。過日、教育評論家の尾木直樹さんの講演を聴く機会がありました。いじめ・教育基本法などで積極的に発言され、テレビのコメンテーターとしてお馴染みの尾木さん▼渋谷で起こった悲惨な事件は、社会病理の反映と見る必要があると尾木さん。今、格差社会が市民を直撃している。ワーキング・プアが10.8%、400万家族、生保は104万世帯を越えている。非正規労働者が三人に一人の状況。東京都の小学5年生の国語のテストで、就学援助児童数と学力との相関関係を調査した結果、相関係数は0.88という高い数値だった。子どもの学力と親の経済力が一体化している▼今の教育は、できない子(無才・非才)をできるようにするなどとは考えない。習熟度学習といって達成感、充実感だけを与えて、子どもにのぞみ・ひかり・こだまを作っている。そうした中で「勝ち組」から落ちるという危機感が、子どもと親を異常な受験勉強に駆り立て、病理現象を生んでいる。教育の原点は現場=子どもの目線・教師の目線、を強調される尾木さんの話は説得力がありました▼話が大変上手で、たちまち引き込まれました。機会があればぜひ聴講を(M)

あて先表記の変更  2006.12.27掲載

 今年最後の動点となりました。今日は「あて先表記」の話です▼過日、総務部長名で「申請書等の様式にあらかじめ敬称を表記しているが、今後は(あて先)市の機関名」に改める(例(あて先)○○市長)」旨の通知がありました。変更内容に異議はありません。時機に叶っていると思います。ちょっと気になるのは誰の発案か、ということです。確か何処かで同じような内容を読んだような気がするのです。調べて分かりました。二年前の職員提案です▼そこでは「本来、敬称の使用は提出者の任意によるものであること、はじめから敬称が印刷されていることに違和感を感じる市民がいること」を指摘し、東京特別区ではすでに変更していることにも触れて、「○○市長あて」に改めるよう提案しています。全く同趣旨に読めます。この提案はその時はどうも採用されなかったようです。匿名で提案者も分かりません。二年後であっても採用されて喜んでいるのか、今回採用する旨話はあったのか、提案時にそのことの説明はあったのか、老婆心ながら気になりました▼来年もよろしく(M)

住民税が増税となる  2006.12.20掲載

 住民税が変わることを知らせる手紙が届きました。私の住む市では納税者全員に封書で知らせているようです▼主な改正点は「国から地方へ税源移譲のため、住民税率が一律10%に、所得税率は5〜40%の六段階になる」というものです。税源移譲が目的だから「所得税+住民税」の合計負担額は変わらない、と説明されていますが、なかなか分かりにくい。原因のひとつは、所得税は当該年所得であるのに対して住民税は前年所得というふうに、両者では対象となる課税所得が一年ずれていることだと思います。従って毎年課税所得が変わらないことが説明の前提となっています(現実はそうならない)▼税額としては、定率減税(平成11年の税制改正で小渕内閣が導入)が18年半減・19年全廃されたことが大きい。定率減税の廃止で、年収600万円・夫婦と子ども二人の家庭で年約5万円の増税(2年間で)となります。同じ時期法人税も34.4%から30%に軽減されましたが、これは据え置いたままです(何たる不公平!)。住民税額が増額となると、税額を制度認定に用いている福祉・教育分野でその影響が大きいと思う▼庶民はドンドン先細っていく一方で法人のみが優遇されるのが「美しい国」ですか(M)

 

ワーキングプアと法人税減税  2006.12.13掲載

 NHKスペシャル『「ワーキングプアーU』を見ましたか(12月10日放送)。小学生二人を育てるため昼間のみならす夜もかけもちでアルバイトする30代の女性は、午前一時過ぎの帰宅で、やっと月18万円を稼いでいます。過酷な労働と家族の日常。そんな母子家庭に今支給されている児童扶養手当(約4万円)がまた減額されるといいます。親が資格をとる「再チャレンジ」には助成しますと。そのためには夜間のバイトを止めねばならず、生活できません。資格を取らない私に「自助努力が足りない」と言うんでしょうかと彼女は番組に語っていました。別の女性は調理師の資格を取ったが時間給が10円上がったのみだと証言していました▼一方の税制調査会。減価償却制度の拡充が検討されています。減価償却費を沢山損金に算入できるようにして法人税を減税しようというのです。損金に算入された減価償却費全金額の6割は資本金10億円以上の大企業が算出しています。典型的な大企業優遇です。その規模7,000億円といいます。また、ホワイトカラーの残業時間を撤廃する新労働時間法制=ホワイトカラー・エグゼンプションが検討中とか▼昨年の総選挙で自民党が圧勝したツケはとどまる所を知らないかのようです(M)

デジタル化でテレビが観られなくなる  2006.11.29掲載

『2011年、テレビが消える』(黒田充著・自治体研究社)を興味深く読みました▼現在のテレビ放送は電波法によって2011年7月24日にアナログ放送が終了します。あと「5年もある」のか「5年しかない」のか。各種審議会、国・自治体、放送・通信業界等の動向を丹念に追いながら、テレビを視聴する権利の立場から2011年アナログ停波に警鐘を鳴らしています▼テレビ放送は50年間にわたる努力によって現在のユニバーサルサービスが築かれてきました。それがデジタル化とアナログ停波方針によって大きく揺らいでいるのです。テレビの買い替え・デジタルチューナ購入・アンテナ交換・カーナビ変更・共同受信施設改修・中継局デジタル化・放送局デシタル化等のために膨大な費用が発生します。しかも現在のエリアを100%網羅することは不可能で、停波後テレビを観られない地域が生まれるのは必然といいます▼国のIT戦略は、前述の膨大な費用を需要創出と見る産業政策に立脚しており、テレビ放送事業に何の義務も権限もない市町村が、補助金をにらんで自ら光ファイバー敷設事業を行うことは市町村と住民に過大な負担を強いると批判します▼テレビ・パソコン事情に関心ある方必読の良書として推薦します(M)

ヤーコン芋の効用  2006.11.22掲載

  「ヤーコン」という野菜をご存知ですか。南米アンデス山脈地方原産の根菜類のひとつで、丁度ダリアの芋のような形をしています。昨年初めて二株植えたのに味を占めて、今年は自家製株で二十株まで増やし、今収穫時期を迎えています。里芋のように五月に植えて今収穫できる野菜です。未だ、市場には余り出回っていないようですが、機能性食品として注目されています▼ヤーコン芋には貯蔵栄養素としてフラクトオリゴ糖とポリフェノールが大量に含まれていることが分かっています。フラクトオリゴ糖はビフィズス菌の餌です。腸内にビフィズス菌が増殖することで善玉菌であるビフィズス菌の効能(整腸作用・コレステロール分解等)が発揮されます。便秘対策に効果抜群です。またポリフェノールには活性酸素除去作用(老化防止)があります。農村の地域起こしの特産品にしようとする動きもあるとのことです▼ヤーコンの芋は皮を剥いて短冊状に切りそのままサラダに入れて食べられます。甘味とシャキシャキ感があって梨に近い食感があります。「土中の果物」といわれる所以です。加熱料理にも利用でき、ゴボウのようにキンピラや掻揚げなどが美味しくて、重宝します▼新しい野菜へのチャレンジは楽しい(M)

北九州市餓死事件の現地報告  2006.11.15掲載

  過日、大阪地方自治研究集会・全体集会があり参加しました。深く印象に残ったのは、北九州市の男性餓死事件に係る現地報告でした▼門司区の男性(五七歳)が二度に渡って生活保護申請を申し出たが受理されず、今年五月ミイラ化した状態で発見された事件は、全国に大きな衝撃を与え、マスコミも相次いで特集を組んでいます。報告者は「こうした取材の広がりの背景には、小泉構造改革の負の遺産である『格差社会』が社会問題化しつつあり、『格差社会』の重要課題の一つが生活保護行政のあり方であり、その生活保護で最も矛盾が表面化しているのが北九州市という構図があるからだ」と指摘しました▼政令指定都市で生活保護率を下げつづけているのは北九州市だけです。他都市と何が違うのか。報告者は、歳出抑制の数値目標の設定と巧妙な人事管理である、と指摘します。年度当初に申請率の努力目標とケースワーカー一人五件の廃止ノルマを課して、随時報告させ、それを基準に人事考課が査定されます。いわば「切ったやつが出世する」仕組みです。報告者はこうしたシステムが、市民を見下す意識を醸成し人権侵害が日常化することを告発していました▼福祉の「三池」闘争の様相を帯びつつあります(M)

文部科学省の「やらせ質問」2006.11.08掲載

  教育基本法改悪法案の委員会採決日程が提示されるなど、国会審議は緊迫しています。過日明らかになった「やらせ質問」には驚きました。青森県教組などが記者会見して明らかにしたものです▼舞台は内閣府が主催する「教育改革タウンミーティング」。「教育基本法案の是非など国民の忌憚のないご質問やご意見を期待したい」と目的にあります。青森県八戸市ではそのタウンミーティングが9月2日に大臣を迎えて開かれ、400人が参加しました。その前に内閣府が「やらせ質問」の依頼文書「タウンミーティング八戸質問案」を作成し、PTA関係者まで依頼がなされました。そして「当日の受付で本人を確認し、文科省依頼の発言者については文科省の担当者が後を追っていき、座席の位置を確認します」。発言の仕方まで指南。「できるだけ趣旨を踏まえて、自分の言葉で(せりふの棒読みは避けてください)」等。そして実際、極めて類似した質問がなされたとのこと▼行政担当者として思います。行政が開く公聴会・説明会などで、主催者が 事前にその内容をコントロールするような策動をするなど言語道断の行為です。今回、仕掛けた文部科学省には日頃強調する「規範意識」など皆無だと実感します▼文部科学省は猛省が必要です(M)
 

安倍教育再生シナリオの恐怖2006.11.01掲載

  いじめによる中学生の相次ぐ自殺、高校における必修科目の未履修など教育が社会問題化しています。ときあたかも国会では教育基本法「改正案」が審議されています。あなたは一連の事件をどうみてますか▼学校教育の主人公は生徒と教師であるはずです。その教師は管理が強調されて集団としての力が弱まっている上に多忙を極めています。一方の生徒はストレスが溜まってそれがいじめという最悪の形で表面化しています。生徒のストレスは大人社会の反映です。雇用の劇的変容が生んだ日本の格差社会。勝ち組となるための競争が教育にも反映して、親の収入格差が子どもの教育機会の不平等を生み出している事実。そして教育に「評価」が導入されて、いじめ自殺ゼロ報告を生み、履修虚偽報告を生んでいるのです▼安倍政権が次に準備している「教育再生シナリオ」を聞いてぞっとしました。全国的な学力調査を実施し結果を公表する・国の監査官による学校評価制度を導入する・父母が学校を選べる教育バウチャー制を導入する・教員免許を十年にして能力や実績のない教師の免許更新を認めない、等々▼我が高校時代、日本史の授業が明治維新から始まった驚きと感動。こうした個性派先生が今の教育で生まれるでしょうか(M)

リーグ優勝と日本シリーズ2006.10.25掲載

 互角の争いを展開している中日対日本ハムのプロ野球日本シリーズは、ナゴヤドームで1勝1敗を受けて今日から(執筆時)札幌ドームで3連戦です▼  NHK『クローズアップ現代』は、「日ハム優勝に秘密あり」と題して、就任4年目のヒルマン監督がアメリカ流ベースボールから日本流全員野球に切り替えて、送りバンドがパ・リーグ一位となり守備力はリーグ一・二にアップしたこと、球団側も選手の能力を数値化するシステムを開発して新戦力獲得の武器とすることで若手発掘に成功していることを取り上げていました▼一方中日は3年目の落合監督の「オレ流」野球がチームに浸透して、守備から入る「負けない野球」を展開し、送りバンドと堅い守備力、投手力の厚さで一点差ゲームを勝ち抜いてきました。終盤では阪神の驚異的な追い上げを振り切る形でリーグ優勝して「悲願の日本一」をめざしています▼タイプが似ているチーム同士の試合でいずれも接戦となっています。一戦目は日ハム投手の守備ミス、二戦目は中日の送りバンド失敗が勝敗を分けました。いずれも「チームらしさ」がほころんだ時、相手につけこまれて失点しています。北海道と中京地区は高視聴率です▼中日ファンですが接戦を期待しています(M)

ホラーサスペンス大賞受賞作家の最新作2006.10.18掲載

 家族ぐるみで付き合いしている二家族は、夫も妻も医学部の同級生で子どもも小学校の同級生です。小学生鳳介の母が癌で亡くなるところから物語は始まります。その数日後、小学生亜紀の母が夫の大学の研究棟の屋上から身を投げるという事件が起こります。そして亜紀が交通事故に遭います。鳳介の父までもが様子が変になります。鳳介の周りでは何故これほどまでに事件が続いて起こるのか‥‥▼ミステリー小説『シャドウ』(道尾秀介作・東京創元社)が9月30日刊行されました。「物語性豊かな作品世界の中に伏線や罠を縦横に張り巡らす巧緻な作風」と紹介されているように、今回は、日常生活の不穏な雰囲気を描きつつ、子どもの視点をたくみにとり入れています。最後に明かされる「驚愕の真実」▼作家・道尾秀介さんは茨城県在住の31才。一昨年『背の眼』(幻冬舎)でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞してデビューしました。受賞第一作『向日葵の咲かない夏』(新潮社)が本格ミステリ大賞候補作に、短編『流れ星のつくり方』(小説新潮)が日本推理作家協会賞候補作になりました。今年になって『骸の爪』(幻冬舎)に続く第四弾の長編です▼私的なことながら私の甥です。是非読んでください(M)

地域親睦に役立つ運動会2006.10.11掲載

 連休となった体育の日快晴に恵まれて運動会が多かったのでは▼運動会は日本特有の行事らしい。保育園や幼・小・中・高の教育機関、高齢者など階層別、あるいは学区などの地域社会や職域でと幅広い。体育教育に有効と始まった運動会が地域社会の親睦・交流に役立つ行事になっています。カメラやビデオカメラの小型化・手ぶれ防止機能などの普及にも一役買っている気がします▼さて、私の住む学区の大運動会は来週です。39回目を迎える伝統行事で、18自治会が参加します。玉入れ・綱引き・樽ころがし・二人三脚・風船割り・年齢別リレーなど十の競技が予定されています。今年は自治会の当番が当っていて、出場者の依頼・弁当飲み物の手配・テントや敷物などの調達など、他の役員さんの協力を得て今が忙しい時期です。高齢化が進行した自治会で10代・20代の人数確保が大変ですが、町内の皆さんが一日楽しみながら交流できる日だから、しっかり準備を。晴れるのが一番と神頼みしています▼(追伸)先週触れた米長邦雄氏が、秋の園遊会で「日本中の学校で国旗を掲げ国家を斉唱させることが私の仕事」と発言し、天皇から、強制はよくないとたしなめられた人物であることを後から知りました。付言しておきます(M)

『不運のすすめ』(米長邦雄著)の読後感2006.10.03掲載

 『不運のすすめ』(米長邦雄著・角川書店)を興味深く読みました▼「叩かれるだけ叩かれた私としては人生最大の不運というよりほかはない」「不運と幸運はまさに表裏一体の関係にある」「名人戦そのものにとっても将棋界全体にとっても非常な幸運をもたらした」。日本将棋連盟会長の米長邦雄さんの言葉です。米長氏が会長に就任したのち、アマチュア名人の瀬川晶司さんがプロ入りを嘆願した問題は明るい話題を提供しましたが、三月沸き起こった名人戦の主催移管問題は日本中で注目される出来事となりました▼「毎日の名人戦を守ります」と毎日新聞はキャンペーンを展開、理事会批判、会長批判が行われました。その時会長は「毎日さんが怒るのも当然です」という姿勢で反論も釈明もいっさいしませんでした。現在は、棋士総会で確認された「両新聞社が共催する案で、毎日・朝日・連盟が三者協議する」という方向に進んでいるようです。耐え忍んできた会長がこの件について初めて触れたのが本書というわけです▼「不運に見舞われ、不遇をかこっている時は、桜の木が土の中に根付こうとしている時期、やがて芽を出し、驚くほど豊かな花を咲かせる」など、棋士の人生訓は独特の説得力があります。参考に(M)

新幹線新駅での仮線工事の起債は違法2006.9.27掲載

 新幹線新駅の「仮線工事の起債は違法」という大津地裁の判決どうみていますか。私は「凍結」を掲げた嘉田知事が7月に誕生して以来の新幹線新駅問題の大きな転換点になると見ています▼ 昨年六月栗東市が起債を議決したのに対して、今年の一月、八人の栗東市民が起債差し止めを求めて提訴、その判決が二五日あったものです。判決では「仮線路工事は駅舎建設には必要だが、道路拡幅工事と一体不可分とはいえない」「栗東市が仮線路工事の費用を起債で負担することは地方財政法に違反する」と明快です▼数値を整理すると、新駅建設費用240億円(全て地元負担)、うち仮線路工事費101億円(県と栗東市折半)、1950mの仮線路の道路工事費用は約6億円・残りは仮線路費用。仮線路工事が、地方財政法で起債できる要件としている公共施設の建設事業であるかどうかが焦点でした。「工事は本来の目的である道路工事費と比べ余りに巨額」と判断、「地方財政法の趣旨に反する」と結論しています。人口6万人余の栗東市は裕福で不交付団体ですが、起債現在高が平成16年度一般会計で379億円もあります(市民一人60万円)▼栗東市はこの際自律した街づくりへ転換してほしい(M)

闘鶏(つげ)山古墳のデジタル写真 2006.9.20載

高槻市氷室町六丁目にある闘鶏(つげ)山古墳(国史跡)の石室にカメラを入れて室内を撮影することに成功、その写真が公開されました▼古墳は全長84.6m前方後円墳で4世紀前半の築造と推定されています。初期の古墳です。二つの石室は埋葬後密封され原型のままおよそ1700年の時を経て現代に姿を表わしました。木棺は腐食していますが、床には頭骨のほか副葬品として三角縁神獣鏡二面、方格規矩鏡一面、短剣、鉄刀、腕飾りなどが写真から確認されています。また、石室が床面から天井まで頂点が三角形になるように積み上げた「合掌形」であることも注目されています▼今後は「保存と公開」という難問に答えが必要になります。例えば02年の発見時85%だった湿度が、試掘調査等で今は98%になって、結露や菌糸が発生しているとか。劣化の原因と心配されています。 今、高松塚古墳の壁画保存方法がどうだったか問題になっていますが、「本体を傷つけず副葬品も損なうことなく保存する方法」は簡単ではありません。今回のデジタル写真は「三島古墳群の成立ー初期ヤマト政権と淀川」と題して市立しろあと歴史館で展示されます▼ヤマト政権初期、高槻市域は淀川右岸流域における重要拠点だった(M)

枚方テーゼと公民館 2006.9.13掲載

 隣りの枚方市で「公民館を廃止して有料化し市長部局へ移管する」市の方針に対して「公民館の存続、廃止は市民で決めよう」と、「公民館存続の賛否を問う住民投票条例の制定を求める」直接請求署名が取り組まれ、法定数が確認されて九月議会で審議されようとしています▼枚方といえば「枚方テーゼ」のまちです。「社会教育は国民の権利である」「社会教育の主体は市民である」等を枚方市教育委員会が宣言したのは一九六三年でした。枚方市は社会教育のまちとして全国発信、公民館は類似施設ともで八館あり、年間三六〇〇団体・八四万人が利用する市民に身近な施設となっています。その公民館を生涯学習センターとして再編しようという計画です▼私には、なぜ枚方市の公民館が廃止か、という疑問が消えません。公民館が培ってきた地域の拠点としてのネットワークは貴重なものです。一朝一夕では育めるものではありません。その市民=主体者=権利としての利用である公民館が、「貸し館」化によって、市民=利用者=応益負担に後退してしまわないか。ネットワークを破壊しないか▼福祉に持ち込んだ「応益負担」制度が障害者を苦しめているのと同様に、今度は社会教育に「応益負担」かと感じます(M)

WEB2.0と情報公開 2006.9.6掲載

 次の言葉をご存知ですか。ブログ・ポッドキャスト・ウィキペディア・グーグルマップ・アマゾン・コム。解答は順に、日記風のウエブサイト、音声発信、参加型百科辞典名、グーグルサイトが提供する地図、オンライン書店名、を表わす言葉です。十年前には考えられなかったインターネット環境の進展です。こうした新しいウェブのあり方を総称して『Web2・0』(ウエブニーテンレイ)と呼んでいます。九月四日放送のNHK「クローズアップ現代」はこのことを取り上げていました▼映画『ホテル・ルアンダ』を観ましたか。この映画は当初日本での配給予定はありませんでした。アカデミー賞ノミネート作品(主演男優賞等)が日本で鑑賞できないのか、と上映を求める声がネット上で急速に広がりました。それが配給会社を動かし、今年の初め日本公開が実現しました。ユーザの評価がサービスを動かした事例です▼WEB2・0とまではいきませんが、行政の情報公開も進んでいます。今日の市労組ニュースで取り上げている「人材マネジメントに関する報告書」の全文(184ページ)は平成18年8月10日公表分として経済産業省のホームページから入手できます▼「成果主義は構造的な欠陥」という報告書を是非読んでください(M)

ペットは家族の一員 2006.8.30掲載

 直木賞作家である坂東眞砂子さんが「子猫殺し」告白のエッセーを新聞に掲載して論議を呼んでいます。今日はこのペットの話です。皆さんの家では、犬・猫・小鳥・魚などペット飼っていますか。人と比較して寿命が短いペットとは別れが不可避であるため嫌だという人もいます▼いつも何かがいる我が家では、最初は犬でしたが、今は猫を飼っています。十姉妹、ウサギ、金魚が同居した時期がありました。今年の春に初代の猫が18歳で天寿をまっとうしました。最後は重い糖尿病(猫にもあります!)でした。今は二代目・三代目の猫二匹です。中学校の帰りに長女が拾った三毛猫8歳・雄と、今年の春、一代目が亡くなって1ヶ月でまた長女が拾った白色猫0歳・雌。いずれも「拾った猫」であるため、出生、種類等は不明です。二匹はじゃれあいながら一緒に生活しています▼猫の場合、餌とトイレの問題があるため、家の中で飼うか外出を許すかは大問題です。三毛猫は外出自由にしています。苦情があれば外出禁止にしますが、今のところセーフです。白色猫は家の中だけです。猫は家の壁を爪で掻く習性があるため、内装の壁紙がボロボロになります。壁の中の板までが剥き出しになって、壁紙を張り替えるかどうか、決断を迫られる羽目になっています▼それでも猫は家族の一員です(M)

結婚できる賃金を 2006.8.22掲載

 家族旅行で泊まった旅館の女将と世間話をする機会がありました。最近あった特徴的な話。「夫婦が一人の子どもを連れて泊まり、夫婦の各々の親御さんも一緒に旅行している」。つまり6人の大人に1人の子ども。一方の親の場合も多いそうですが、一人っ子同士が結婚した場合のパターンだそうです。これはどう見ても縮小再生産です▼「1.57ショック」と呼ばれたのは1989年でした。丙午(ひのえうま)の1966年の合計特殊出生率である「1.58」を下回ったのです。その後「エンゼルプラン」等の「少子化対策」がありましたが、2005年には「1.25」まで落ち込んでいます。日本統計史上初めて日本の人口が「自然減」となったニュースもありました(05年12月)▼ハイペースで少子化が進行する要因として、子育てにお金がかかる、親の精神的肉体的負担が大きい、女性が働きにくい職場・社会、家庭の共同生活の仕方などいろいろ指摘されています。しかし根幹にあるのは雇用問題だと思います。労働時間がヨーロッパと比較して年間700時間も長いうえに、労働市場流動化によって不安定雇用(非常勤・アルバイト)が増え、青年にとって、土台である『生活』ができるかというところが非常に不安定になっているのです▼「結婚できる賃金を」のスローガンは今も生きています(M)

キュウリのきゅうちゃん漬け 2006.8.9掲載

 今年は長雨の影響で野菜が高騰しているようですが、我が家庭菜園では毎朝キュウリが10本以上収穫できています。三時間ほど漬け込むヌカ味噌味の即席漬けを職場に持ち込んで、昼食時に出したりしています。そこで今日は、キュウリを美味しく食べる自家製「キュウリのきゅうちゃん漬け」のつくり方を紹介します。沢山のキュウリをまとめて調理できる利点があります▼@先ず、材料のキュウリ10〜15本を沸騰した湯の中に入れてすぐに火を止め、入れたまま自然に冷まします。これを3回繰り返します。A出来上がったキュウリを千切りにして布巾で固く絞ります。B次にしょうゆ・みりん・酒・酢を合わせて火にかけ、沸騰したら、千切りにした人参・土しょうが・昆布とキュウリを入れて、火を止めます。すぐにザルに上げて具と汁に分けて冷まします。C冷えたら、Bの手順を三回繰り返します。冷めたら、具と汁を合わせて完成です。密閉容器に入れて冷蔵庫に保存すれば、しばらく食べることができます▼我が家では布巾で固く絞るのが私の役目です。夏バテなどで食が進まない時、ちょっとあったらいい漬け物として、大変重宝しています(M)

新型交付税の影響分析 2006.8.2掲載

 地方交付税の学習会の続き。総務省がいう「新型交付税」について▼基準財政需要額は行政項目ごとに単位費用×測定単位×補正係数で算定されますが、総務省のいう「新型交付税」は「簡素化」と称して、そのうちの測定単位を人口と面積のみにしてさらに補正係数をなくすものです。07年度より、国の基準付けのないものから順次拡大して、三年間で五兆円規模をめざすとしています▼この「簡素化」は各自治体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。計画の詳細は現時点では不明ですが、行政項目のうち「企画振興費」と「その他の諸費」を取り上げ、前者は人口のみで後者は人口と面積で単純配分した試算があります。結果は小規模自治体ほど大きな影響を受け、人口数千人の村では数億円単位の影響額が予想されます。ケタが違う金額です。とても予算が組めなくなります。一方、都市自治体では増加試算となっていますが、これとは別立てで「人口20万人以上の自治体の半分」を「不交付団体」とする計画があります▼結局、現在の測定単位・補正係数とも個別自治体の状況を反映する合理的なしくみであって、その「簡素化」はそうした現状を踏まえない極めて乱暴な議論である、ということです(M)

三位一体の改革の評価 2006.7.28載

  地方交付税の学習会に参加する機会がありました。その中から「三位一体の改革」の名で04年〜06年と実施された地方財政改革の結果をどう見るかを紹介します。詳細は『都市自治体から問う地方交付税』(自治体研究社)を参照下さい▼この間、国庫補助負担金は税源移譲対象分として三・一兆円、スリム化として一・三兆円が廃止・削減されました(これはおよそ二〇兆円あった国庫補助負担金の1/5にあたります)。一方、地方に税源移譲されたのは三兆円でした。次に地方交付税ですが、地方の税収に合わせて所要の一般財源を保障する機能をもつので、単純な増減で評価するのは的を得ていないため、一般財源総額がこの間どのくらい変化したかをみると、02年からは約三・四兆円のマイナスとなっています▼以上をまとめると、税源移譲が三兆円なされた一方で、国庫補助負担金と一般財源との合計で七・八兆円が削減されたため、差し引き四・八兆円もの財源が地方から国へ吸い上げられたことになります。しかも、税源移譲されたのは義務教育・国民健康保険・児童手当など住民生活に欠かせないものばかりで自治体の自由裁量を高めるものとなっていません▼地方分権を是とするものからは失敗の評価(M)

ニ係数が表わす格差社会 2006.7.20掲載

 ジニ係数をご存知ですか。18日公表された『経済財政白書』が「ジニ係数の上昇の動きに留意」とこの係数に触れています▼イタリアの統計学者ジニによって考案された係数で、格差の広がり具合を表わす指標に使われています。係数の範囲は0から1まで、1に近づくほど格差が大きいことを表わします。三年ごとに公表される日本の 「当初所得」ジニ係数は1981年に0.3491だったものが2002年には0.4983まで上昇しています(厚労省発表)。2005年数値は未だですが、0.5を超えると予想されています。ジニ係数0.5とは、上位25%の所得階層が全所得の75%を得ていること、逆に言えば下位75%の所得階層は所得全体の25%しか得られていないことを意味します▼白書は若年層での上昇に触れています。ニート・フリーターに加え、派遣・請負など雇用の不安定化によって正規と非正規の格差が広がっているのです。また、97年から02年へかけて最近の上昇幅が大きいことも指摘しています。構造改革=労働法制の規制緩和によって、企業リストラと雇用多様化が進み、非正規雇用の増加や成果主賃金の導入などで、労働者にしわ寄せが来ていることを示しています▼ジニ係数が表わす格差社会(M)

Mさんの職場復帰を祝う会 2006.7.12掲載

 この週末「Mさんの職場復帰を祝う会」がありました。Mさんも夫婦で参加、十数名による和やかで楽しい会合でした▼Mさんが整理を理由に突然解雇通告されたのは平成 14年3月でした。不当解雇とは断乎闘うと決意したMさんは、地裁に仮処分を申立て、12月には本訴を提起しました。会社が社員を解雇する際の4要件(@人員整理の必要性  A解雇回避努力 B選定基準 C解雇手続きの妥当性)のいずれも該当しないと全面的に対決、平成15年10月の地裁判決は、整理解雇無効と賃金支払いを命じる勝訴判決でした。しかし会社は控訴するとともに再び解雇通告をしてきました。裁判中に再度解雇する暴挙です。Mさんはひるむことなく「支援する会」中心に闘いを続け、平成 18年5月には控訴棄却の高裁判決をかち取りました。ここに至って会社は、上告断念と原職復帰をM氏に回答してきました。4年越しに職場復帰が実現した日です▼日焼けして真っ黒となった顔で経過を語るMさんの口調は穏やかでした。県労連事務局長の仕事を続けながら、復帰職場後、労働環境をよくするよう取り組みたいと抱負を述べると、学生時代の知人の集まりから拍手が起きました▼天の橋立の早朝散歩がすがすがしく感じ られました(M)

首長選挙の底流 2006.7.5掲載

 日曜日投票があった滋賀県と東大阪市の首長選挙の結果どう見ていますか▼滋賀県では、事実上、東海道新幹線「南びわ湖」駅の建設の是非を問う住民投票となり、凍結・中止を掲げた嘉田氏が現職を破って当選しました。東大阪市では、七割の市民が「現市政に不満」と答えるなか「公正・清潔な市政」を掲げる元市長の長尾氏が四年前に失った民主市政を取り戻しました▼私は選挙の底流に、「構造改革」による所得格差の拡大と国民負担増に対する住民の激しい怒りを感じます。年金生活世帯など高齢者を襲っている所得税・住民税増税の嵐は、今後、国民健康保険料・介護保険料・医療費の負担増へと連動していきます。また、障害者自立支援法によって今年四月から利用者一割負担が導入され、作業所でもらう賃金以上の自己負担を強いられる障害者にとっては、働く権利さえ奪う悪法となっています▼昨年夏、「郵政民営化」だけを争点に突きつけた総選挙は、本当に日本が抱える課題の最優先事項だったのか。世界の中の日米同盟の考え方、憲法改正、とりわけ憲法九条を巡る攻防、教育基本法改正の動きなど、その後の政治は「白紙委任」事項なのか。住民が生活の場で直面している事態は日本の将来と直結しています(M)

テレビ中継と日本代表 2006.6.28掲載

 サッカー・ワールドカップ・ドイツ大会、楽しんでいますか。決勝トーナメントに入って一発勝負となり、スイス対ウクライナ戦がPK戦になるなど、一段と白熱した熱戦が続いています。日本代表は予選リーグ一分二敗の成績で、予選敗退となりました。それに関連する新聞報道で気になる記事を読みました▼「テレビ優先の試合設定」で「体力奪われた日本代表」というものです。日本代表の三試合のうち二試合が午後三時(現地)開始でした。抽選当初は午後九時と午後六時の予定でしたが、放映権の販売を委託された広告代理店の介在(?)によって「テレビ放送のため、当初の予定から各国の時差を考慮した」(FIFA)変更がなされたというものです▼今のドイツの日没は午後十時頃で、午後三時といえば真昼の状態。両日とも三〇度を超える暑い日でした。日本で午後十時からテレビ中継するために、夕方の試合が真昼に変更されたということです。よく話題にされる日本代表の「残り十分の闘い」を考える時、三〇度を超える猛暑の中で八〇分間プレイしたあとの十分間であったことを考慮する必要があります▼サッカーに「たら・れば」はありませんが、当初時間どおりの試合だったらと考えずにはいられない話です(M)

コラムと私 2006.6.21掲載

  連載コラム「動点」について話す機会がありました。図書館から生まれたある読書サークルから「十七年もコラムを連載している秘訣について話してほしい」と依頼されたものです。週一回水曜日に掲載しているこの五百字のコラム。火曜日の夕方まで懸命にテーマ探しをやって、仕事のあとパソコンに向かって直接執筆するスタイルは最初から変わっていません。コラムは「アップ・ツー・デート」なテーマが生命線です。説教調・紋切り調になると押し付け的で読みづらい。可能な限り経験を共有しながら共感を広げるように書くのが秘訣と思っています。生活の中にアンテナをいかに伸ばし、張り巡らすか▼そこで『生活の中のコラム』と題して、家庭・地域・職域の三方向の座標軸に、同じような長さと時間が配分できれば理想という私の生活信条から、家庭菜園・家族新聞・ホームページ・ブログ・読書・映画鑑賞、体協役員・ソフトボール・ゴルフ・ジョギング、組合の活動等について各々の「取り組み」を一時間くらい報告しました。そのあと、話題の映画『ダヴィンチ・コード』の感想から、高槻市における九〇年代の財政危機の原因まで、率直な意見交換をしました▼読書サークルの活力はなかなかのものです(M)

岩波新書と私 2006.6.14掲載

 今ちょっとした新書ブームです。岩波・中公・講談社の御三家に、新潮・光文社・ちくまの新御三家が加わって、『バカの壁』『下流社会』などベストセラーも出ています。そんな中で老舗岩波新書が発行2500冊を迎えています▼今は普通名詞のように使用される新書版ですが、最初に出た岩波新書の大きさから来ているとのこと。その第一冊目は1938年11月に発行された「奉天30年上・下」です。岩波新書は「現代人の現代的教養」を謳い「各分野の専門家が、素人である読者に向かって自分の専門に属することを分かり易く語る啓蒙的な新書」と説明できると思います▼私的経験で恐縮ですが、私は学生時代の恩師に「岩波新書を読みなさい。その分野の第一人者が素人にもわかるようにしかも200ページで分かりやすく説明している本だ。是非読むように。」と勧められて関心を持つようになり、一時期「取っていた」関係で、購入は全体の半分弱、1200冊を越えています。刊行の歴史が自分の読書の歴史と重なることもあって、最近発行された『岩波新書の歴史』(鹿野政直著 岩波新書)を興味深く読んでいます▼年間3000点以上が刊行されている新書本の世界。売れ筋は必ずしも良い本ならず。自らの目で選択を(M)

高齢者の年金課税と市民税 2006.6.7掲載

 平成18年度の市・府民税納税通知書が発送されて、一斉に電話が鳴り、窓口には沢山の市民が訪れています。どこの市町村でもきっと同じ光景でしょう▼今回の税制改正は高齢者を直撃しています。65歳以上の高齢者の場合、@老年者控除(48万円)が廃止され、A公的年金等控除の最低控除額が 140万円から120万円に引下げられ、さらにB合計所得金額125万円以下の非課税措置が廃止されました。その結果、昨年に比べて何倍もの増税になる人や、年金収入は減っているのに計算上の所得が増え、今までの非課税から新たに課税になる人が高槻市で数千人も生まれたのです▼それ以外にも均等割と所得割の非課税限度額が引下げられたため新たに課税される市民がいます。それらを合計すると、高槻市で新課税者は9,000人に上ります。付言すれば、所得税についてはすでに同様の年金課税強化が昨年度より実施されています。市民にとっては二年連続のダブルパンチに写ります▼改正理由は、基礎年金の国庫負担引上げに必要な財源を確保するために世代間、高齢者間の「不公平」を是正するためだと。この説明で納得する市民がどれだけいるか。担当職員には説明責任が押しつけられています(M)

組合委員長の挑戦 2006.5.31掲載

 滋賀県の普通科高校入試が今年度からこれまでの「六学区制+調整」から「全県一区制」に変更になっています。全国的にも数県しか実施例がない制度を、性急に導入した国松県政に批判が広がっています▼「全県から膳所高校をめざす人の流れが生まれ、湖北地方では彦根東高校へ向かう流れが生まれる」「その結果どうなるか、大津の子どもが大津の高校から締め出されて京都の私学へ、県下でいくつかの高校がつぶれ遠距離通学が増え、高校別の入試制度が導入され、中学校の先生は進路指導ができなくなり、塾だよりとなることが目にみえています」「多感な高校生をいま以上に過酷な競争に巻き込んで何が生まれるのか」「私たち大人が何か間違いを犯していないかと自問の日々です」▼紹介したのは『くもりのち晴れ』(辻義則著・萌文社)の一節です。著者は元滋賀県職員組合委員長・県自治労連議長で、組合の機関紙に十二年にわたって掲載してきたコラムが一冊の本にまとめられました。著者の正義感・反骨心、労わりの心情、季節への気配りが感じられる本です▼その辻よしのりさんが六月十五日告示の滋賀県知事選挙に「民主県政の会」から立候補することを表明して話題になっています(M)

早朝散歩の効用 2006.5.24掲載

 今日の日の出時間は大阪で4時50分です。午前5時半に起床しても既に太陽は昇って久しく、早起きとは言えない時間かも。朝は畑への散歩からスタートします▼この時期、ナス・トマト・キュウリ・シシトウ・ピーマン・ヤーコンなど黄金週間に植えた夏野菜の苗の面倒を見る必要があります。といっても今年は雨が多い上に一部マルチしている所もあり水遣りの必要はありません。添え木を立てて転倒を防いだり、枯れ草を敷いたりする程度です。種を直播きした夏野菜では、トウモロコシ・オクラ・ゴーヤ・インゲンなどが発芽したか、成長しているかを確認しています。葉野菜はすでに収穫期に入っていて、ミズナ・ホウレンソウ・小松菜・ルッコラ・レタスなどを帰りに少しづつ収穫しています。イチゴは今が旬、6月の声を聞くと、エンドウ・ソラマメ・タマネギの収穫期を迎えます▼里山の若葉が眩しい朝ですが、畑ではジャガイモが花を付け、エンドウの花が咲き誇っています。ということで、にぎやかな我が家の家庭菜園ですが、早朝散歩の特典は、@畑まで歩くことできっちり目覚めるA小鳥のさえずりを聞けるA露に濡れた瑞々しい野菜を収穫できることでしょうか▼ひとときの散歩がもたらす効用(M)

自治会の定期総会 2006.5.17掲載

 14日(日)に自治会の定期総会がありました。64世帯のうち42世帯が出席、女性・男性半々くらいでした。頼まれて議長役を引き受けました。懸案事項では、自前の自治会館(延べ床約60坪)を所有していますが、底地が売買されて新所有者と賃貸契約が締結できず、賃料未払い状態が続いていること。事態打開に向けて内部に通年の対策委員会を設置することになりました。二時間ほど審議して役員会の提案が全て承認されました▼その時知ったのですが、今は自治会が法人格を得て自治会名義で不動産登記ができるようになっているとのことです。具体的には市長に認可申請を行い「認可地縁団体」になることによって、法人登記(市長の告示行為)と不動産登記ができるようになりました(平成三年地方自治法一部改正)。我が自治会館の場合底地が未解決のため今後の課題となりました▼さて、あなたは所属する自治会等の地縁団体を大切にしていますか。隣りに住む知人がしみじみ語っていました。「退職して名刺から肩書きが全くなくなった。一人の人間の感じ。職域の知人は段々と疎くなる。最後に残るのは同じ地域に住む知人たちだ。」▼地域に広がりを持つには先ずしっかり行事に参加することから(M)

辻井喬氏の講演 2006.5.10掲載

 一雨を契機に新緑の若葉が一斉に吹き出しています。今年のゴールデンウイークはどうでしたか。計画どおり過ごせましたか。私は農(夏野菜の植付・種蒔き)遊(春祭り・家族旅行)学(憲法の集い等)がミックスされた休みでした。そのうち「学」の紹介を▼講演者は詩人・作家の辻井喬さん(七九歳)でした。経済人としての顔・堤清二氏としては西武流通グループの元オーナーでもあります。「憲法を再生させる文学の力-真実の言葉を求めて-」と題する講演では、改憲と護憲、あれかこれかの二者選択ではなく、両者の間の広い部分=今の憲法があってこそ安全に暮らすことが出来るという圧倒的多数の声が表に出ていなくて、あたかも改憲勢力が中心であるかのようにニュースになっている▼私は憲法の問題は思想・イデオロギーではなく生活の問題であると確信している。憲法側の情報発信が少ない。憲法の側が生活上の自分の言葉を持つこと。そのためにはタブーを一つ一つ解除して、伝統・共同体・人間の美しい力を持ち、敵を味方にする共感を広げよう。「私はこう思う」と発言しよう。これこそ本質的に多数派だから出来ることだ▼静かな語り口に秘める確信に共感の輪が広がる講演でした(M)

高遠菜穂子さんの講演から 2006.4.26掲載

 高遠菜穂子さんの講演を聴く機会がありました。2年前の4月イラクで人質となった一人です▼彼女がイラクの路上に寝る子供たちのために靴下を買って配っている時、彼女の靴下も破れていることを見つけた少年が「僕、就職が決まって給料をもらったらナオに買ってやる」と言った。人質事件前の話です。そして事件のあと、ヨルダンにいた彼女のところにその少年から小包が届いた。中には初給料で買ったストッキングが入っていたといいます▼映像を交えて彼女が伝えたかったことは次の言葉に集約されています。「私たちが目撃した事実、目の前で進行中のとんでもない蛮行、狂気の絶望的な許し難い残虐行為、罪もないつぶらな瞳の子供たちの涙と苦悩、そんな現実を世界の人々が何も知らずにいる。報道さえされない。そのことが耐えられないのです。幸か不幸か私が目撃してしまった事実を、しっかりと世界の人たちに、ありのまま知らせる努力をする責任があると 私は考えている」。「憲法は変えるべきだ」「米軍や自衛隊のお陰で日本は守られている。幸せで平和なんだ」と考えている人たちにこそイラクの状況を知ってほしいと願っていると話を結びました▼5月は全国16ヶ所で講演予定とか(M)

映画『ホテル・ルワンダ』鑑賞記 2006.4.19掲載

アフリカ大陸のビクトリア湖の西方にルワンダ共和国があります。余り馴染みのない国かも知れません。その国で十年前「ルワンダの虐殺」と呼ばれる凄惨な事件があったことをご存知でしょうか。上映中の映画『ホテル・ルワンダ』はこの事件を描いています。以下は映画鑑賞記です▼一九九四年四月、ルワンダの首都キガリの高級ホテル、ミル・コリンで働く支配人ポールは家族四人と暮らしている。街には不穏な動きや噂が流れていた。そんな時、ラジオ放送で大統領機が墜落して暗殺されたことを知る。機を同じくして、フツ族の民兵がツチ族や穏健なフツ族を襲い始める。彼はフツ族だが妻はツチ族。家族が危ない。彼のホテルは平和維持軍や外国のジャーナリストなどが泊まっていて手を出せないでいた。ホテルには家族も含め次々と住民が避難してくる。頼りとしていた国連軍は外国の要人を避難させるためにのみ動いた。西側諸国が見捨てた瞬間だった。自らの命は自ら守るしかない‥‥▼テーマは悲劇であっても、ドキュメンタリー風ではなく、情緒豊かに描いているのが特徴の映画です。日本でこの映画を公開するために、若者がインターネットで署名運動を行いました▼未見の人は是非鑑賞を(M)

団塊世代の平和主義は本物か 2006.4.12掲載

団塊の世代が一斉に退職するインパクトを二〇〇七年問題と言うそうです。戦後を走り抜けて、六〇歳近くにならんとする団塊の世代は今自らを振り返る時期を迎えています▼一言でいえば、平和の時代を生きることのできた者としての責任だと思います。大阪万博前後に就職して、世は高度経済成長時代でした。バブルとその崩壊を経験したもののクビまでにはならず、その後の失われた十年の中で息苦しくはなったが、退職金位は確保できる世代と思います。比較的恵まれた世代。その団塊世代が培った価値観は、経済第一主義と私生活主義でした。その裏側で、私生活を超えた社会の不条理に対する問題意識は刻々と希薄化していないでしょうか▼寺島実郎氏(日本総合研究所)は「『戦争を知らない子供たち』を口ずさんだ団塊の世代が不条理な戦争に加担する空気に傍観者の役割しか演じないならば、平和な時代を生き得たことの価値など、何ほどのものでもない(四・四朝日新聞)」と指摘されています。平和主義が本物か真価が試されています。また、私生活主義に埋没したまま後代の重石となるか、老成を気取ることなく社会の一隅を支える力になる覚悟があるのかも問われています▼一度自問を(M)

新入社員を迎える言葉 2006.4.5掲載

四月三日は黒基調の服装と真新しいネクタイの新入社員が駅でも電車の中でも目立った気がします。多くの企業・官庁で入社式が行われました。高槻市では今年度、百八人が新規採用されて、緊張した面持ちで配属先を訪ねていました。職場の先輩として迎える言葉を考えていたら、昔聞いた四つの袋を大切にする話を思い出しました。これを新採諸君に送る言葉とします▼最初の袋は『知恵ぶくろ』です。いつもふくらませる努力をして下さい。担当業務の法体系など地方行政について学ぶことは沢山あります。憲法を暮らしに生かす仕事に誇りを持って、焦らず系統的に追求してください。二番目の袋が『胃ぶくろ』です。暴飲暴食は若さの特権ではありません。「肝臓完全週休二日制」など胃や肝臓とよく相談して、健康な身体を保ってください▼三番目の袋が『堪忍ぶくろ』。地位や権力を傘にきた不正や横暴には義憤の心を持って下さい。一人ひとりでは弱いから労働組合があります。高槻市労組はあなたの参加を歓迎します。四番目の袋が『おふくろ』です。親父も含めて、諸君の全てを見守ってくれている近親者がいるはずです。かけがえのないものですから大切にしてください▼奮闘を期待しています(M)

ブログの勧め 2006.3.29掲載

読者の中で「ブログ」を楽しんでいる方はどの位いるでしょうか。個人で情報発信できる新しいメディアとして注目されています▼ブログとは「ウェブ・ログ」の略です。大胆に定義すれば「日記型のホームページ」といったらいいでしょうか。一般のホームページと違う点は、インターネットに接続可能な環境ならばパソコンを選ぶことなく何処からでも自分のブログにアクセスできて、記事の更新や変更が可能なことです。また、単なる「ウエブ日記」と違う点は、記事に対してリンクを張ったり、コメントを書き加えたりすることができることです。そして説明は省きますが殆どがRSSにも対応していることです。プロバイダーやポータルサイトが無料でそうしたブログの場所を提供しています▼ブログは、日記型のものから、意見表明型や写真掲載型、テーマ特化型などいろいろあります。自分流に気に入ったように構成すればいいと思う。私の場合は、毎日更新をモットーに、読書・映画・スポーツ・畑作業などを気ままに綴っています。昨年正月から始めて、記事数520、一日平均アクセス数500まで成長してきました▼誰でも気軽に始められる情報発信手段である「ブログ」、あなたも始めませんか。最近、妻も始めました(M)

日本の高等教育は今 2006.3.22掲載

 某私立大学の卒業式に参列する機会がありました。キャンバスごとに午前・午後に分けて、私が出たのは二学部二千人余の卒業式でした▼社会の要請でしょうが、大学あるいは大学院の大衆化が進んでいると聞きます。現在、国公私立大学数は716、学生数は285万人、教員数は16万人といいます。数でいえば圧倒的に私学が多いのですが、私学学生の50%が東京圏に、80%が三大都市圏に集中しています。その私学ではコスト上の理由もあって人文・社会科学系が63%を占めています。かって医学・薬学・工学・理学・農学・法学・文学・経済などの学部でしたが、今はおよそ300種類の学部があって、専攻名でいえば500にもなるとか。その私学の3分の1が定員割れをおこして全入時代を迎え、学生獲得をめぐる競争が熾烈を極める様相を呈しています▼一方、公的支出をみると、日本はGDP比0.5%しかなく最低で、授業料が異常に高くなっています。日本の私費負担は韓国・米国についで高くなっています。その中で、国立大学は独立法人化によって、補助金が毎年1%削減される波にさらされています(数値は雑誌『経済』4月号より)▼日本の高等教育に「市場経済」なる怪物が徘徊しています(M)

映画『シリアナ』鑑賞記 2006.3.15掲載

 今上映中の映画『シリアナ』の鑑賞記です▼元CIA工作員ロバート・ベア氏が著しベストセラーとなった『CIAは何をしたか?』が原作。『トラフィック』を脚本したスティーブン・ギャガンが脚本・監督しています。複数の物語が並行して進行、先が読めない迷路のようなストーリーが最後絡み合って、石油利権・CIA・テロが白日のものとなります。骨太なこの映画、十分に楽しむには少し予備知識が必要です▼中東の某国の王子ナシールは米企業コネクス社にあった天然ガスの採油権を中国に供与しようとする。エネルギーアナリスト・ブライアンはその王子の相談役となる。阻止したい米国はCIA工作員ボブを派遣するが、途中で彼は組織にスケープゴートされたことを知る。一方カザフスタンの採油権を獲得したキリー社とコネクス社との合併を巡って司法省と法律事務所が動き出す。パキスタンから出稼ぎでコネクス社の油田で働くワシームは人員整理でクビになる。これら、王家・国際スパイ・巨大石油企業・政府調査官・油田労働者など、ドキュメンタリー風に複眼から中東の石油利権を暴く政治サスペンス映画です▼ジョージ・クルーニーがこの映画で今年度のアカデミー助演男優賞を受賞しています。(M)

健康づくりに必要な運動所要量 2006.3.8掲載

 啓蟄を過ぎたうららかな陽気に誘われ、ジョギングを再開しました。時間を見つけて夕方、芥川堤防を走っています。しっかり手を振って歩いている人に沢山すれ違います。およそ6kmを35分かけてジョギング。程よい汗をかくことができます▼さて、生活習慣病の予防に役立つとされる基準値が提案されています(厚生労働省)。日常生活の場合週23METを確保すること、そしてより強い運動では週4METを確保すること、と。METとは1時間当たりのエネルギー消費量の単位です。歩行は3METありますから、一日一時間(歩数換算で1万歩)で週21METとなります。健康づくりの目安は一日一万歩ということになります▼より強い運動では、早歩きは4MET、ジョギングやテニスは7MET、サッカーやスキー8METなどとなっていますから、早歩きなら週一回一時間を、ジョギング・テニスなら週30分を確保しなさい、ということになります。この基準値に達する運動習慣を持つ人は国民の3分の1以下とされていますが、わが身はどうですか▼歩くことは時間を見つけることで誰でも挑戦できる運動です。生活習慣病の諸数値を目に見える形で改善する楽しみは、歩くことから始まります(M)

迷惑メール対処法 2006.3.1掲載

 「ライブドア」事件が示す株価至上主義の危うさ・警鐘の解明を送金メール問題が台無しにしています。耐震偽装・BSE・官製談合も含め四点セットの解明はどうなったのか、国会が泣いています▼さて、そのメールの話ですが、迷惑メールで困っていませんか。訳の判らぬ外国系やアダルト系からべつ幕無しに送付されて来るメールが毎日20〜30もあって、本当のメールがその中に埋もれています。削除作業だけでもうっとうしい。そうした人に朗報です。無料でダウンロードできる「サンダーバード」というメールソフトがあります。モジラ財団が提供しています。このソフトには迷惑メールフィルタという機能があります▼最初は迷惑とするメールにマークを付けて判断基準を学習させていく学習型で、慣れてくると、一括して別フォルダに入れるようにします。誤作動が心配なら作ったファイルを覗けばいい。大部分の人が「アウトルック・エクスプレス」だと思いますが、そこからの乗り換えも、指示に従えば簡単にできます。また、そのモジラ財団は軽量ブラウザ「ファイヤーフォックス」も提供しています。私は愛用していますが、快適です▼マイクロソフト一辺倒では、と思う人は是非トライを(M)

トリノ・オリンピック観てますか 2006.2.22掲載

 トリノオリンピックの競技がテレビを通じて毎日入ってきます。観て楽しい私の推薦はスノーボードクロスとカーリングです▼先ず、スノーボードクロス。スノーボードの滑降競技で、四人一緒に滑って順位を争そう単純明快な競技で、しかもトーナメント方式なので勝負がとにかくはっきりしています。そしてアクシデントも多い。接触して転倒することが頻繁にあって後ろの選手が勝ったりします。二位までが勝ち上がります。女子の決勝では、勝利を確信した米選手がゴール直前に転倒してスイスの選手に抜かれました。日本の藤森由香選手が七位入賞で大健闘でした▼そしてカーリング。静かな競技ながら氷上の頭脳競技です。ストーンと呼ばれる円形の石を約四〇m、四人が二投づつ合計八個交互に投げ合って得点を競います。得点は最も中心に石を置いたチームが相手のトップの石より内側に置いた石の数を数えて得点にします。十回戦まで闘って合計点を競います。先行より後攻が有利なため、攻め方守り方の駆け引きが面白い。日本チームは小野寺選手中心にここまで四勝四敗。優勝候補スウェーデン戦は延長戦にもつれ込む大接戦でした。最後のスイス戦に予選突破の可能性を賭けます▼頑張れニッポンチーム(M)

松野迅コンサートへの誘い 2006.2.15掲載

 ヴァイオリンの名器ストラティヴァリウスが高槻にやってきます。3月3日開催の『松野迅コンサート』です。歴史の蓄積と人類のなせる業が凝縮した名器は無限の価値があると云われます。トリノと同じ北イタリアの都市クレモナの工房で18世紀初頭にストラティヴァリによって制作されたヴァイオリンは、300才にして音色の多彩さも音量も衰えることはない音の宝箱だと、奏者・松野迅さんは語っています(『しなやかにフェルマータ』松野迅著より)▼モーツアルトが35年のうち10年を旅したように、松野さんの演奏活動も旅の中にあります。ソウルのコンサートホールでは17歳のピアニスト、イ・ヒアと共演。両手合わせて四本の指と少しだけ伸びた足で演奏する彼女のお父さんは、ベトナム戦争に参加して枯葉剤を浴びたという。タイ王国の「ハッピーホーム」でのチャリティコンサートではエイズ孤児52名が懸命に応えてくれた▼知覧では特攻隊員が弾いたピアノに接して、ソナタ「月光」の音を第一楽章から第三楽章まで、ゆっくり目で鍵盤をたどってみたという松野さんは、勧められ『シンドラーのリスト』の音楽をヴァイオリンとピアノのために編曲しています▼コンサートが楽しみです(M)

格差社会を斬る 2006.2.8掲載

 「格差社会」という言葉をご存じですか。国会でも議論されています▼大企業の凄まじいリストラと日本型雇用の破壊によって、最近7年間で正規労働者が461万人も減少する一方で、非正規労働者は417万人も増えています。半端ではない変化です。その結果「労働者の3人に一人、若者の2人に一人、女性の2人に一人が非正規労働者(パート・アルバイト・派遣・請負)で、その8割が月収20万円未満となっている」日本の現状ー「所得格差社会」が問題になっています。非正規労働者は正規の3分の1程度の安上がり賃金であり、契約期間が2〜3ヶ月と短期で、自由に契約解除できる、資本にとって実に都合が良い雇用形態です▼その結果、100万ドル以上の金融資産を持つ134万人の日本人の対極として、ワーキング・プア呼ばれる収入が生活保護基準以下で最低限度の生活が困難な勤労者世帯が急増しているのです。そうした現状は自治体施策に直結しています。多国籍企業がみなし控除で法人市民税を減らす一方で、国民健康保険料・介護保険料が納められない、就学援助世帯が増加し、授業料免除生徒が増加するなど▼今こそ労働の正当な報酬を明示できる政治が求められている(内橋克人氏)と思う(M)

映画『スタンドアップ』鑑賞記 2006.2.1掲載

 今公開中の映画『スタンドアップ』を鑑賞しました▼夫の暴力から逃げて両親が住むミネソタへ帰って来たジョージー(シャーリーズ・セロン)は、二人の子どもを育てるために、収入が良い炭鉱で働くことを決意する。父親は反対する。炭鉱はきつい労働と「男社会」の職場だ。女性はホンの少数だった。自分の稼ぎで子どもを育て、家を購入して、シングルマザーながら働く誇りを持ったジョージーだったが、嫌がらせが横行している。私物を汚されたり、落書きされたり、レイプの危険さえある。子どもがいじめにあう。ついに、ジョージーが職場で声を上げる。「やめてください」。それは、孤独で厳しい闘いの第一歩だった‥‥▼主役のシャーリーズ・セロン が作業服姿で全身汗とドロにまみれて渾身の演技をしています。 「親はどんなことをしても子どもを守る」と子どもを抱きしめるシーンは、彼女の実生活が投影しているようで重みがありました。労働組合の集会で発言する場面があります。彼女の震えながらの訴えに、セクハラの野次で応える組合員、発言を制限する組合幹部。発言を求めた父親が心の底から叫ぶ「お前たちは最低だ」。これから物語は展開し出します▼炭鉱の女性労働者が集団訴訟で会社を訴え、セクハラを禁止させる勝訴の判決を勝ち取った実話に基づく物語です。未見の人にはお勧めの一作品(M)

ホリエモン逮捕と内橋克人氏のコメント   2006.1.25掲載

『堀江社長逮捕』どうみていますか。数あるコメントの中で内橋克人氏(経済評論家)を紹介します▼堀江貴文氏と小泉政治はウリ二つの「合わせ鏡」だ。「努力したものが報われる社会を」と叫び続けた怪しげな政治スローガンの真意が、実は一獲千金の成金や富裕層優遇を正当化するレトリックに過ぎなかった。「グローバル・スタンダード」なる和製英語が、社会規範や節度、倫理を足蹴にする免罪符として使われた。「人の心もカネで買える」「社会保障など不要」と選挙戦のさなかに公言する「怪しげな錬金術師」に、自民党は「若者の模範」と言い、破格の市民権を与えた▼堀江流錬金術は、九〇年代初頭、「血に飢えた鮫」「紙くずを札束に変えた狐」と蔑称されたレバレッジド・バイアウト(LBO)の発明者、マイケル・ミルケンを彷彿とさせる▼働いているのに、生活保護世帯の給付水準を下回る「働く貧困者」が激増し、「限界過疎地」は国土の五三%にも達している。マネーゲームのつかの間の勝者に国民の敬意を凝集させるような政治でなく、労働の正当な報酬とは何かを明示できる政治こそ、二一世紀日本のものでなければならない▼耐震偽造とBSEとホリエモン、そのどれもが「市場至上主義」の行き着く先を暗示(M)

保育所運営費の「超過負担」   2006.1.18掲載

保育所運営費が〇四年度に一般財源化されたことは皆さんご存じ?ですね。今は所得譲与税と地方交付税でカバーされています。この一般財源化に絡んで『保育の超過負担』問題に前進があったという話を聞きました。今日は難しいこの話題です▼地方財政計画で自治体に保障した公共事業費を実際には使っていないからその分を削減すると財務省が主張しました。対して総務省は一般行政経費はその逆で福祉や衛生はきちんと財源措置されていないと主張。その一つとして保育所運営費を上げました。その結果〇五年の地方財政計画では公立保育所運営費として今まで厚生省が認めなかった超過負担解消を理由に一七五〇億円の増額が図られました▼分かりやすい単位費用(人口十万人の標準団体)でみると、五八六円上がっています。三五万人に換算すると一億七五八〇万円になります。他の条件が同じなら地方交付税がそれだけ増加したことになります。このことは超過負担を理由に民営化を提案する根拠が揺らいでいることを意味すると思います。もちろん超過負担の全てが解消できていないし、一般財源化は指定されないフリー財源ですから保育に回る保障はありません▼新しい事態に対応した運動が求められています(M)

高校サッカーで野洲高優勝   2006.1.11掲載

 新年おめでとうございます▼冬は観戦するスポーツが沢山あります。サッカー・ラグビー・スケートなど。中でも、九日に開催された高校サッカー選手権大会決勝戦は延長戦も含めて二時間半テレビの前に釘付けでした。連覇を狙う常連・鹿児島実業対2回目出場の野洲高の対戦。野洲は自陣でもパスを回し、二人に囲まれてもドリブルを仕掛けるチームカラー。野洲の最初の一点は初めてのセットプレイからの得点でした。一方、長いパスで起点を作る鹿実の攻めは沢山のシュートを生みますが決定できない。後半の猛攻によってやっと一点返しました▼そして延長十七分。リターンパスからドリブルで切れ込みヒールパス、それを右サイドへパスしてMFのセンタリングをFWがボレーシュート。美しい流れ。決勝点は野洲がめざしたサッカーの結実でした▼ところでこの冬、南米最高峰アコンカグア(六九五九m)登頂をめざしていた職員がいます。六日朝、無事登頂に成功との第一報が彼から家に入りました。一昨年のキリマンジャロ(五八九五m)登頂に続く快挙です。半年を越える厳しいトレーニングの賜物。五十歳を過ぎた若者もいるのです。詳細は追って▼思いのままに綴るコラム動点。今年もよろしくお付き合い願います(M)


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