コラム『動点』(週一回の連載)  2007年1月 〜12月 

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目次


2007年1月
 ○尾木直樹さんの教育講演会   ○映画「武士の一分」鑑賞記  ○緊急参集訓練とプロフ

 『生活保護物語』を読んで  「あるある大事典」放送打ち切りを考える
2月
 ○福祉を守る対抗軸  ○映画『それでもボクはやっていない』鑑賞記  ○最低賃金を時給1,000円に

3月
 ○
新型交付税でどうなる?  ○最新作『片眼の猿』を読む  送別会でのことば
4月
 ○
就職おめでとう  いっせい地方選挙前半戦  ○「逆立ち」政治の検証  ○東洋町民の選択
5月
 ○ワラビ採り  ○改憲手続き法と安倍内閣  ○人間らしい生活の条件  ○春野菜のお裾分け
6月

 ○大事件が次々と  ○ウェブ社会をどう生きるか  ○若者の格差・貧困を考える
7月
 ○びわ湖の深呼吸  ○休息時間の廃止  ○参院選挙の投票率アップを  ○ハスの花が見ごろ
8月
 ○トマトジュースで夏バテ防止  ○積極的休息法  ○郊外型大型店舗の駆け込み出店
9月
 ○自給率40%と自給率80%  ○「生きる」を問う一日  ○夕張の破綻と再生
10月
沖縄県見大集会  ○後期高齢者保険制度  再任用制度  ○地デジには多額の費用が

今年の私の推薦図書
11月
ゴルフ考  ○ネット検索と職務専念義務  ○名ばかりの管理職  ○従業員はコストか財産か

12

大戸川ダムは必要か?  ○自治体財政の「火の車」度  ○年忘れ何でもベスト3

 

 

(上記以前のコラム 新着順)


年忘れ何でもベスト3 2007.12.26掲載

  今年最後の動点。私が選ぶ何でもベスト三です▼政治 @参院選で自民が歴史的惨敗(政治と金・多数暴走・年金で怒り爆発)A防衛省不祥事(トップの事務次官があれでは)B消えた年金(政治不信の極み)▼社会 @食品偽装が相次ぎ発覚(不二家・ミートホープ・赤福・船場吉兆などなど)A格差社会とワーキングプア深刻化(労働法制の再構築が必要)B地球温暖化と記録的猛暑(「不都合な真実」のあらわれ)▼スポーツ @中日ドラゴンズ五三年ぶりの日本一(オレ流を通す)A大相撲力士急死事件(角界の古い体質が噴出しました)B浦和レッズアジアチャンピオンに(ACミランとの公式戦の夢が現実に)。以下はもっと勝手に選んだベスト三です▼映画 @それでもぼくはやっていない(もしも自分だったら‥‥)Aブラッドダイヤモンド(アフリカの内戦とデカプリオの熱演)Bあなたになら言える秘密のこと(スペイン映画)▼読書 @文章のみがき方/ 辰濃和男A先を読む頭脳/羽生善治Bラットマン/道尾秀介▼家庭菜園 @じゃがいもを五種類栽培(見分けられますか)Aヤーコンが職場で好評(サラダでも掻き揚げでも)B白菜・大根が豊作(一個三キロ超)来年もよろしく。よいお年を(M)

自治体財政の「火の車」度 2007.12.12掲載

  年末一時金の支給がありました。どうでしたか?▼さて、苦しい経済状態を「火の車」といいます。過日、総務省が財政健全化法に基づく四指標の数値を定め通知しました。難しい言葉が並んでいますが、四指標を家計に例えると話が分かり易いかも▼世帯主の収入から使ったお金を差引いたら赤字だというのが「実質赤字比率」。世帯主だけでなく家族全体の収入・支出で赤字を見るのが「連結実質赤字比率」。世帯主の収入で毎年どれだけの借金を返済しているかを見るのが「実質公債費比率」。また、家族全員の借金のうち世帯主が面倒を見る分を世帯主の収入と比較する「将来負担比率」です▼どれかひとつでも基準を超えると早期健全化計画を策定することが義務付けられ、将来負担比率を除くどれかひとつでもさらに悪化して基準を超えると破綻をみなす。夕張市の破たんが契機となって昨年制定された新法に、今回具体的な数値が定まったことで、各自治体の財政運営には大きな枠がはめられたことになります。詳細な数値は省略しますが、各自治体は平成19年度会計の決算から数値を公表し、20年度決算から適用を受けることになります▼自治体の会計が『火の車』と言われない財政運営が待ったなしです(M)

大戸川ダムは必要か 2007.12.5掲載

  「凍結」と提言されたはずの大戸川ダム(滋賀県)が「復活」しています。その淀川水系河川整備計画原案について住民意見交換会が地元で開催され、参加しました▼近畿整備局から説明があったあと質疑の時間。私は三回発言しました。要旨は次のとおりです。@「洪水調節施設」として大戸川ダムを建設するプランだが、それでも下流の一部地域は洪水に見舞われることが明らかになった。A大戸川ダムが担うとする計画数値が明らかでない。B予定されている洪水調整専用ダム(穴あきダム)は全国に例が無い実績のないダムで未解明な部分が多く不安である。C代替案は淀川本線上流の三河川における各々の対策の複合案として検討されるべき。D大戸川の浸水対策代替案は建物耐水化・遊水地・河道改修の複合案が検討されるべき。E某協会理事長が審議会で「個人的な意見」を表明したことが、方針転換の背景にあったのではないか▼長良川河口堰問題の反省にたつ改正河川法は、住民意見の反映をうたい、淀川流域委員会が生まれました。そして四年前「五ダムの凍結」を提言して国と対立しました。その後整備局の活動休止宣言を経て、今は新・委員会が発足しています▼改正河川法の趣旨が試されています(M)

従業員はコストか財産か 2007.11.28掲載

 先週のコラムに「労働者はコストか財産か」と書きました。すると、過日の「朝日」夕刊に興味ある記事がでていました▼潟Jミテという会社の紹介です。十和田湖の西にある従業員29名の小さな会社ですが、構内には託児所があって社員の子どもの面倒を見ています。従業員が病気・看病・通院などに対処しやすいよう有休休暇は時間単位で取得できます。上手康弘社長のことばです。「従業員をコストと考えるとこんな取り組みはやれません。しかし人は財産=人財と考えると話は一変するのです」▼ホームページによると、企業理念として「少数精鋭主義」「社員と会社双方の発展、幸福の追求」を掲げていて、男女問わず職場内外の各種講習を受講させ、定期的な仕事のローテーションを行って多能工として育成しているとのこと。多能工の育成は個々人のスキルアップと欠員のカバーにも役立っている、と。記事は「仕事の需給変動に応じて人減らしがしやすい雇用方式を好都合だと考える経営者は多い。だが、本当は仕事と人生を両立させるために、雇用は長く維持し、日々の働く人の変動に柔軟に対応するカミテのような姿をめざすべきなのだろう」と結んでいます▼全く同感です(M

名ばかりの管理職 2007.11.21掲載

 「現場がラベルを張り替えた」と大阪で会見。福岡の販売店は責任者がパートであとはアルバイトです。彼女らに責任を押付ける船場吉兆の企業姿勢に唖然とします▼一昨日のNHK「クローズアップ現代」は「名ばかりの管理職」の実態を告発していました。非正規労働者から正規労働者となった20代30代の若者が勤務2〜3年で店長=管理職とされ、チェーン店を任される。管理職だからと時間外・深夜などの諸手当がカットされ賃金は大幅にダウンする上に、パート以外の部下も権限もないのにノルマを課せられ残業に次ぐ残業、果ては商品の自己購入まで追い詰められる。身体や心を病んで休職となり「私は使い捨てか」とつぶやいていました▼一連の労働法制の改悪は、一方で大量の非正規・パート・派遣労働者と劣悪な労働環境を生み、他方で正規労働者の長時間・過密・低賃金労働を生んでいるのです。名ばかりの管理職はその典型です。労働者を資産ではなく費用と見なして人件費を極限まで削減する企業が横行して、他方では商品の売り手としては買い手である労働者に揉み手で望む。そんな都合のいい話が一国の経済全体で長く通用するはずはないと思います▼労働法制に若者の未来がかかっています(M)

ネット検索と職務専念義務 2007.11.14掲載

 ネットの普及によって庁内ランとメールが主要な情報伝達手段となり職場の労働環境は随分と変化しています。ネットによって必要な情報が瞬時に入手できるようになりました▼さて、今は一人一台使用可能な(全ての職場ではありませんが)パソコンですがこれは市から貸与されたものです。業務に必要な範囲でのみ使用が許される性質のものです。貸与側は不正操作や情報漏洩を防ぐために操作ログを取得します。使用ソフト・ネットアドレス・時間など操作の全てが記録されています。一方ネット社会では、必要な情報はネットに溢れています。業務上必要な情報を得る大切なツールであることは論を待ちません。問題は「業務上必要な情報」の収集であるという線の引き具合です▼私たちには地方公務員法によって勤務時間中には職務専念義務が課せられています。瞬時のホームページ閲覧と喫煙のため席を離れることとの比較など程度問題も含めて「職務専念義務」には運用側に正義が必要なことはもちろんですが、利用者側も誤解を招く行為は厳に慎むべきでしょう。今までは灰色だと思う人も含めてこの際きっぱり白色に塗り替えることをお勧めします▼私は先週より作業が終了するごとにログオフすることを実行しています。(M)

ゴルフ考 2007.11.07掲載

 LPGAツアーで優勝した上田桃子選手の試合は手に汗握る展開でした。ゴルフは「見るスポーツ」としても面白いものです(この大会には一昨年まで現場に出かけていました)▼ゴルフは誤解が多いスポーツです。「ブルジョアの遊び」と言われるほどプレイ代が高い時がありました。企業が企業利益を実現するため「接待」の場として利用してきました(20年も接待を受け続けた張本人が国家公務員のトップだったとは心底情けないし恥ずかしい)。バブル時代には会員権高騰を背景にゴルフ場乱開発が横行しました(高槻では「ポンポン山ゴルフ場開発反対」の市民運動が起きました)。今はどのゴルフ場も閑古鳥が鳴いています▼バブル期の10年余は自然破壊に嫌気が差してプレイを中止していましたが、今は「するスポーツ」として楽しんでいます。値段もだいぶ落ちてきています。私流の楽しみ方は @小遣いの範囲内で A気の合った仲間と一緒に Bノータッチで Cカートは利用せずに通しで歩く(10q弱)こと。昼食とお風呂付で一日6時間緑の中をハイキングすると思えばそんなに悪いものではありません。スコアは自己申告でとりあえずの相手は自分自身というのもいい▼ 80台で回ることが目標です(M)

今年の私の推薦図書 2007.10.31掲載

 読書週間が始まっています(10月27日〜11月9日)。秋の夜長を読書でという意でしょうか。皆さん読書してますか。一概に「本を読む」といっても分野・読み方・時間など個人によっていろいろです▼私流でいえば「通勤電車の往復一時間」が貴重な読書タイムです。雑誌とノンフィクションと小説と読みかけの本がいつも三冊あるのが特徴かも知れません。読むスピードは片道30分で小説だと25頁〜30頁、論文関係だと20頁〜25頁くらいです。朝は論文かノンフィクション、帰りは小説か雑誌のパターンが多い。年間50冊が目標で今まで40冊読了しました▼最近読んだ本に『桜庭一樹読書日記』(東京創元社)があります。桜庭さんの読書は半端ではありません。作家だから当然の域を超えています。古今東西のミステリーはむろんのこと歴史小説・詩集・自伝・ドキュメンタリー・エッセー・学術書までとにかく広い。「本を買ってもらって日々の糧を得てるのだから」と全ては購入した本ばかりで、月平均二五冊の読書感想が載っています。湯船に浸かって一冊とか、読書技術が高く読むスピードが違うと思います。そして読んだ本の感想をしっかり書き留めておく作業が一冊の本になっています▼ 今年の私の推薦図書です(M)

地デジには多額の費用が 2007.10.24掲載

 「地デジ」という言葉を知っていますか。地上デジタルテレビ放送のことです。今のテレビは「アナログ」放送で4年後(2011年7月)に終了して、地デジのみにするとのこと。今日はこの話題です▼地デジを見るための方法は、@デジタルテレビを購入 Aチューナーを購入 Bケーブルテレビに加入 の三ケースが考えられます。四年後ですのですぐのことではありませんが、どのケースでも視聴者には少なくない費用がかかります。また、アンテナも馬鹿にできません。個人宅では、@とAはUHFアンテナが必須で方向調整が必要な場合があります。マンションなどの共聴アンテナは改修費用がかかります。難視聴地域の共聴アンテナも同様です。一方、放送局や電波中継局も地デジに対応するために膨大な設備投資を余儀なくされています。そうしても、4年後山間部中心に30万〜60万世帯には電波が届かない見込みと総務省が発表しました▼それならば、と自治体が率先して光ファイバーを敷きケーブルテレビ放送を計画している所もあります。膨大な公共事業です。結果、自治体は大きな借金を背負い、住民は有料テレビを見ることになります。外国では補助金制度がある国があると聞きました▼今のままでは高齢者に厳しい 政治の一例です(M)

再任用制度 2007.10.17掲載

 再任用制度に関する職員アンケートの結果が公表されています▼それによると、高槻市では今後5年間の定年退職者が630名いることがわかりました(消防・外郭除く)。昭和40年代後半から50年代初め、人口急増都市特有の都市問題を解決するために大量に採用された世代に当たります。職員数のおよそ4分の1を占めています。役職でいえばおよそ課長以上の7割、課長補佐・係長の3割、一般職の2割に相当します▼これらの数字が示す意味を考えました。その一、他市と比較して塊が大きい分だけ、仕事をうまく継承・継続させていく工夫が求められます。再任用制度は一義的には年金支給年齢が段階的に引きあげられたことに対する補償制度で、希望する職員には保障されるべき制度です。その側面と同時に、過去に培った経験と能力を発揮して後輩にバトンタッチする仕事継承のソフトランディング期間ともいえないか。その二、人件費の自然減という劇的変化が起こること。「JFK」といって「人件費」「扶助費」「公債費」の固定費が問題とされる中、平成18年度決算で人件費は歳出合計比27.7%ですが、5年後には定数同じで24%台になると予想。経常収支比率が改善され自由度が増加します▼昨年度末より「2007年問題」はすでに始まっています(M

後期高齢者保険制度 2007.10.10掲載

 来年4月スタートを前に『後期高齢者保険制度』の凍結・撤回の声が大きくなっています。 昨年小泉政権が成立させた新しい保険制度。75歳以上の高齢者は世帯から独立して個人で保険証を持つことになります。この制度の目的は、@高齢者にも応分の負担、A医療費の抑制、の2点です▼今まで被扶養者で保険料がかからなかった人も含めて75歳以上の全員に保険料支払いが義務づけられます。しかも年金天引き。徴収は市町村の仕事です。保険料は標準年62,000円/年とありますが県ごとに決められます。応益と応能が50:50で応益が強調されています。また2年ごとの見直し規定があります。新たな診療報酬体系は未だ検討中ですが「身心の特性にふさわしい医療」が強調されていて抑制方向は明らかです(医者が高齢者を診察しても点数が上がらない仕組み?) 窓口では今と同じ1割負担ですが、未納者の保険証を取り上げる問題が残ります。公費投入はおよそ5割でそれを国:県:市=4:1:1で負担するとしています▼総じて、独立型の保険創設で高齢者に一層の財政負担と治療抑制を求める制度だと言えます。高齢者は懸命に生きて来た国の宝物なのか、金のかかる厄介者なのか▼ 国家の思想の根本が問われる問題です(M)

『沖縄県民大集会』 2007.10.3掲載

 29日に開かれた沖縄県民大集会は世論を動かし始めました(上掲)▼来年度の高校歴史教科書の検定で、文部科学省が沖縄戦の「集団自決」から日本軍の命令・強制・誘導などの記述を削除したことに抗議する集会です。参加者は11万人(島を含めると11万6千人)。実に県民の10人に1人が参加しています。集会の様子はネットの『沖縄タイムズ』に詳しく載ってます(是非一読を)▼「軍命による『集団自決』だったのか、あるいは文科省が言う『自ら進んで死を選択した』とする殉国美談を認めるかが問われている。全県民が立ち上がり、教科書から軍隊による強制集団死の削除に断固として『ノー』と叫ぼう」(県議会議長)「沖縄はまたも国の踏み台、捨て石になっている」(住民)「うそを真実と言わないで」「あの醜い戦争を美化しないで」(高校生)。日本復帰後最大の集会となった背景には、県議会と全四一市町村議会で検定意見撤回を求める意見書が採択されたことがあります。高嶋琉大教授は、「問題の根本原因が検定制度の構造的欠陥、特にきわめて非民主的な強権性と密室性にある。検定制度を抜本的に改善させる歴史的な一歩に」と語っています▼沖縄県民に連帯して、次世代の子どもたちに真実を伝えよう(M)

『夕張の破綻と再生』 2007.9.26掲載

 北海道を旅行する機会があり夕張のドライブインに留まった折り、バスガイドさんが「夕張で何を思い浮かべますか」。「夕張メロン」の声(私は映画祭でしたが)。「よかった、破綻でなくて。夕張は今、市営の銭湯を二日に一回にするなど大変です」▼赤字隠し・放漫な財政運営・ヤミ起債等一斉の「夕張たたきキャンペーン」は「見せしめ効果」と「再建法改正」の地ならしに十分な役割を果たしました。しかし夕張問題の根本を見ていますか▼「国策で繁栄し国策で衰退した」石炭の町・夕張は炭鉱閉山後の処理のために市が膨大な財政負担をしています。炭鉱会社の所有だった土地・住宅・病院などを買い取り、市営の住宅・浴場・水道・学校・道路などに583億円を使ったといいます。標準財政規模の10倍、市債は332億円で、毎年20億円前後の償還負担を強いられてきました。閉山後の地域振興策「産炭法」は夕張市の窮状を解決できなかったのです。その意味で国と北海道の責任は重いと思います。詳細は『夕張の破綻と再生』(自治体研究社)に詳しいので是非お読みください▼高齢化率が40%を越え、55%の市民が市営住宅に住む町で浴場が制限される「大変さ」をガイドさんは語っていました(M)

『生きる』を問う一日 2007.9.12掲載

 九日に遭遇した「生きる」に関する三題▼先ず夜に放映された二時間ドラマ『生きる』。三〇年間無遅刻・無欠勤の市民課長が「ガン」を宣告されて公園建設に命を賭けるヒューマンストーリーです。同名の黒澤明監督作品のリメイク版です。鑑賞して感じたのは原作の完璧さでした。脚本・構成・演技、どれをとっても原作に近づくことはあっても抜くことはできていません。一九四九年の作品が私の中で光り輝いていました▼次に九日読了した北野武著『生きる』。今年五月発行された刊行本です。一種独特の毒がある言い回しながら病気・絵・仮装・教育・映画・ヨーロッパなどのテーマで縦横に語っています。漫才・司会・絵描き・小説家・俳優・映画監督など多芸な著者です。私は彼の映画が好きなわけではありませんが、映画監督・北野武が一番彼を表現していると思います。今年ベネチア映画際に冠賞が新設されました▼最後に病気と格闘して『生きる』。九日母校の小学校のミニ同窓会がありました。最近病気が見つかりしかも手術が叶わないとの診断を受けて闘病している同窓生を励ます趣旨で開かれた同窓会。当時のクラスのおよそ半数が参加しました。話はいつまでも尽きることはありませんでした▼「生きる」を問う一日でした(M

自給率40%と自給率80%  2007.9.5掲載

 『ナントカ還元水』に『ばんそうこう』、そして今度は『在任6日』ですか。また農水相が辞任しました。自ら会長を務める農業共済組合が国の補助金を不正受給していました。会計検査院が指摘しても返さず再指摘のオマケ付きです。食料自給率40%の日本の現状を見れば農政が担う課題は大きいはずなのに、自民党族議員が国庫補助制度を食い物にしている構図がまた明るみに出ました。何とも情けない話です▼十日召集される臨時国会では「政治とカネ」が再浮上して与党は防戦一方の様相です。日頃見かけない某衆議院議員が急に選挙区に現れてあいさつ回りを始めたのは「年内解散」を嗅ぎ取っているのでしょうか▼さて、わが家の「農政」は今秋野菜用の種蒔きの真最中です。白菜・大根・蕪・人参・キャベツ・ブロッコリー・ほうれん草・ミズナなど20種類余の野菜に挑戦しています。春からの野菜も合流して一年のうち最も多くの種類を収穫できるのが秋の収穫の特徴です。小遣いの範囲内で種を買い肥料を購入して、収穫から消費まで楽しみながら面倒をみる市民農園。野菜自給率80%をめざすわが農園に、国はおろか家計からの補助金もあてにできませんが、自立の農政めざして楽しんでいます▼ 趣味の秋はそこまで(M)

郊外型大型店舗の駆け込み出店  2007.8.30掲載

ショッピングモールなど大型商業施設の郊外立地を原則禁止する都市計画法の改正がなされたのが昨年五月です。中心市街地に商業・公共施設・住宅など都市機能を集めてにぎわいを取り戻すのが狙いで、延べ床面積1万uを超える店舗の郊外出店は原則できなくなりました▼この改正都市計画法が完全施される11月末を前に、全国各地で大型施設の駆け込み出店が相次いでいるといいます。その一例が草津市に予定しているイオンモール。敷地面積17万u、店舗面積6万u、駐車台数4300台、売上目標300億円と、いずれもケタ違いに大きいモールです。付近住民中心に『イオン出店とまちづくりを考える集会』がありました▼記念講演された和歌山大の足立准教授は、中心市街地は伝統や文化の集積地であり、高齢化社会に向けてコンパクトシティが主張されているとき、郊外型店舗がその破壊要因であってはならない。商店街と郊外大型店が共存しているイギリスを例に、歩いて楽しい・教育機関がある・産業がある中心市街地を創りだすために実行できることから取り組もうと強調されました。大型店問題は自分の住む街が5年後10年後どうなるかというまちづくりの問題であることを実感しました▼街を見直す機会(M)

積極的休息法  2007.8.21掲載

 茹だるような暑さという形容がピッタリの日が続いています。夏の甲子園は今日が準決勝。今年も楽しませてくれました。開会式当日試合・延長再試合・延長戦と、佐賀北の戦いぶりが印象に残っています▼ところで、『積極的休息』という疲労回復法があります。身体を積極的に動かす運動を取り入れることで、睡眠等の完全休息と組み合わせて、回復効果をより上げようというものです。私の場合は、この夏はソフトボールの試合がそれに該当しそうです。何しろ日程が混んできて、八月の日曜日四回のうち三回が公式試合で残り一回が練習試合です。九月第一週も試合です。一日二試合のうち一試合の先発・完投がノルマです。ここまでチームは四勝五敗の成績でマアマア。炎天下の試合ですから過信は禁物で、充分な水分の補給と適度な休憩が不可欠です▼帰宅後さっそくシャワーを浴びて、汗でびっしょり濡れたユニフォームを着替えると、身体全体に心地よい疲労感が漂います。夕食までビールを我慢して、午後九時頃になると瞼が勝手に閉じてしまいます。そのまま寝室へ移動して眠るか、途中一時間位起きるかして、朝五時頃まで眠ります。スポーツは精神的にも積極的休息法のよい例です▼自分にあった休息方法を(M)

トマトジュースで夏バテ防止  2007.8.9掲載

 暑い日が続いています。今日は自家製トマトジュースの話です。収穫籠に緑色のキュウリやオクラなどに混ざって赤いトマトがあると、色だけで元気が出そうです。洗えばすぐに食べられてリコピン色素が活躍してくれます▼さて、ミニトマトならプランター栽培が可能ですし、家庭菜園ではトマトを夏野菜栽培の中心にすえている人が多いと思います。露地栽培で「あなたは何段ですか」と聞けば栽培の腕が分かります。成熟トマトが収穫できる段数を数えて、素人では三段収穫で初心者、四段で中級、五段まで収穫できれば上級です。プロだと六段以上は行きます。私は四と五の中間くらいの腕でしょうか▼我が家では、トマトが収穫できる七月中旬から八月下旬までの期間、朝食に一品が加わります。『トマトジュース』です。早朝収穫してきたトマト四〜五個を水洗いして、四等分したのちジューサーにかけます。絞ったジュースに氷と食塩少々を加えて完成です。毎朝、大型コップに二杯分つくってコーヒーとともに食卓に並べています。甘みがあってのど越しが美味しい、元気のもとになりそうなジュースです。それに『トマトとタマネギの胡麻酢和え』が添えてあれば最高です▼夏バテ防止は先ず美味しい飲み物(食べ物)からです(M)

ハスの花が見ごろ  2007.7.30掲載

 蓮(ハス)の花が今見頃です。近くでは、びわ湖・烏丸半島のハスの群生地が有名です。早朝・6時頃がお勧めとありましたが、9時頃に到着しました▼琵琶湖博物館の隣りにその群生地はありました。その広さ9.3f、自由に見物できます。湖面一面がハスに覆われています。水中の地下茎から茎が伸びて水面や水上に円形の葉っぱを沢山広げています。その緑の合間に、大きな薄いピンク色の花弁を付けたハスの花が咲いています。ゴム鞠位の大きさも珍しくありません。早朝だと花が開く「ポン」という音を聞くことができるといううわさ。早朝に咲き昼には閉じるといいます。湖岸に立って、葉っぱに溜まった水玉やピンクの花を眺めていると、仏教に縁が深い花だとの思いも重なって独特の雰囲気になります。地下茎は食用のレンコン。種子は長く発芽能力があり中尊寺ハスは800年前、大賀ハスは2000年前の種子から発芽しました▼隣接する「草津市立水生植物公園ーみずの森」では、折りしも『ハスまつり』を開催していました。葉っぱと茎がストロー状になっているのを利用して、葉っぱにお酒を注いで1m近い茎に口を付けて飲む「象鼻杯」サービスがあり、見学者が列をなしていました▼選挙が終わって夏本番を迎えました(M)

参院選挙は投票率アップを  2007.7.19掲載

 参議院選挙の真っ只中です。「年金選挙」と呼ばれる今度の選挙どうみてますか▼安倍自公政権は「暴走内閣」とヤユされています。多数をタテにブルドーザーのように法案を成立させました。消えた年金・定率減税廃止・住民税増税・格差・貧困・憲法9条・事務所費・問題発言など争点は一杯です。それに加えて消費税の論議は「秋以降」と争点から回避しています。自公が勝てば消費税を増税するのは既定路線なのに「秋以降」で逃げるのはズルイという世論が圧倒的です。最悪の大衆課税である消費税は、導入時も税率アップ時も選挙の洗礼を受けていません▼さて、私は投票率アップを期待しています。三年前は56.6%でした。ここ3回はいずれも50%台です。それが一挙に飛躍して70%台になってほしいと思います。過去最高は1980年の75.5%です。今回そこまでいくと様相は必ず一変します。有権者はざっと1億人です。そのうちのおよそ1500万人〜2000万人が今回新規に投票行動することになります。たぶんほとんどが無党派層といわれる人たちでしょう。今まで黙して語らなかった無党派層の人たちが大挙して政治にモノ申すこと。思いの丈を一票に託すこと▼今回は是非ともそうしてほしいと願っています(M)

休息時間の廃止  2007.7.11掲載

 「休息時間を廃止したい」旨の組合協議が提出されました。わが市の現行では12時から12時15分までが休息時間ですが、これを廃止することを意味します。拘束時間は変わりませんから、一日15分の労働時間の延長提案です▼この震源地は、昨年三月の人事院規則の一部改正です。曰く「昭和24年以来、職員の休憩・リフレッシュについて、休憩時間(無給)及び休息時間(有給)の制度が設けられてきたが、民間では休息時間に相当する制度はほとんど普及していないこと等を考慮して、今般休息時間を廃止し‥」。57年の歴史を持つ制度が一片の公布で廃止され、全ての公務員の労働時間を延長するのですか。そんな簡単な問題ではないと思う。そもそも休息時間を有給と銘打って、働いていないのに給料が出ているという議論の立て方自体が批判のための整理の仕方です▼このしわ寄せは、拘束時間の延長か昼休み時間の短縮かの二者選択を迫ることになります。退庁時間の延長は育児・介護などに支障が出る心配があります。昼休みを45分に短縮すると、外食に出るゆとりがなくなります。他市では付近の飲食店が一時間の昼休み復活を陳情したという話もあります▼確定闘争時期には議論が沸騰するでしょう(M)

びわ湖の深呼吸  2007.7.4掲載

 「びわ湖の深呼吸」という言葉を知っていますか▼深呼吸とは、普段は酸素が少ないために弊害が出ている所も含めて、年に一度、全てに酸素が供給されることによってびわ湖全体の水がよみがえる様を命名したものです。このびわ湖の深呼吸=びわ湖深部も含めて酸素が供給される仕組みを解明しようというのが市民の自主サークル「酸素の会」の研究テーマです。対湖面から2mおきに75m地点まで36ポイントについて一日2回測定している一年分のデータ(1998年度)が研究対象です。酸素・水温・濁度の3項目で約8万。これに流入河川データを含めて10万余が相手▼会の研究は、副産物も生み出しました。びわ湖の水深10m〜30mの層で酸素濃度が他の3分の2位になる所があることが分かったのです。この層がプランクトンの死骸を一手に引き受けて分解し、湖底に蓄積することを防いでいるのです。この「深呼吸」と「酸素極小層」と。成果は最近刊行された『湖底の酸素はいま−びわ湖深底部酸素の動態をさぐる』という本に収められています。普通の主婦や公務員やサラリーマンなどが県のデータ提供を受け、5年間かけて研究・解析したことに大きな意義があると思います▼一読をお勧めします(M)

若者の格差・貧困を考える  2007.6.27掲載

 過日のNHKの討論番組『あなたの働き方』見られましたか。特に若者の労働・所得格差が深刻であることを浮き彫りにしていました。格差問題を考える参考に、大阪自治研集会の記念講演『貧困・格差の急拡大と労働組合運動の課題』のさわりを紹介します。講師は後藤さん(都留文化大教授)でした▼就業構造基本調査を元に推計した結果、貧困世帯(4人世帯賃金年総収入463万円、その他316万円以下)数は1,105万世帯。生活保護世帯を加えると1,192万世帯となり、これは総数4,960万世帯の実に24%となる。最近5年間の変化では、高齢者ではなく子育て世代の貧困世帯が142万世帯増加して増加の中心となっている▼貧困が急増した背景として、@大企業がリストラを行い長期雇用の規範を解体した A正規雇用から非正規雇用へ置き換えた B新卒定期一括採用方式の大幅な後退 などが指摘できる。その結果、正規雇用と非正規フルタイムとが競合して、企業規模で賃金格差が拡大し低処遇正規が急増している。日本型雇用が崩壊した今企業内労働運動の限界は明らか。最賃引上げと社会保障拡充を組合運動の柱にする必要がある▼私は子育て世代への支援策がその試金石だと思っています(M)

ウェブ社会をどう生きるか  2007.6.13掲載

   情報という言葉が氾濫しています。その情報を学問的に「生命情報」「社会情報」「機械情報」という概念で整理してウェブ社会に警鐘を鳴らす本に出会いました▼情報とは、生物にとって意味のあるパターン=「生命情報」として存在します。敵・異性・食物など生物種ごとにパターンがあってその大半は人間は認知できていません。そこに人間という観察者が介在して、人間の社会で通用する情報にすると「社会情報」に転化します。さらに、効率的な伝達・蓄積のため記号だけを独立させたものが「機械情報」です。古代文字からデジタル信号までいろいろありますが、私たちがウェブで検索できるのはこの機械情報だけです▼グーグル社などの検索エンジンは非常に便利ですが、エンジン自体が人間にとって重要な情報を選別することはできません。機械的に集合智が得られると思うのは楽観的すぎます。検索エンジンに頼り過ぎると思考力や想像力が衰える恐れもあります。しかも全ての情報が検索サービス業者に集中管理されてしまうのです▼『ウェブ社会をどう生きるか』(西垣通・岩波新書)は情報の基礎から解きほぐして現代ウェブ社会を「生命情報」を基軸として転回することを展望しています。一読をお勧めします(M)

大事件が次々と  2007.6.6掲載

   大事件が相次いでいます▼枚方市のゴミ焼却場建設工事を巡る談合事件は逮捕者が十人になりました。府警の現職警官が絡んだ前代未聞の事件は、予定価格を十七億円引き上げた上で九八・五%で落札するという異常さに、トップ中司市長が関わったかどうかが今後の最大の焦点となっています。大型官製談合事件の様相を呈してきました。枚方市の名前がこんなことで全国に有名になるのは悲しいことです▼そして「公的年金記録五千万件」が宙に浮いていることが明らかになった事件。公的年金の信用を失墜させる大事件です。十年前に基礎年金番号制度が導入された際、二億件あった年金番号のうち一・五億件は統合できたが五千万件残ったということらしい。半端な数ではありません。納めた人がいるのに納めたことにならないなんてとんでもない話です。自分の年金納付期間がしっかり繋がって登録されているのか国民全てが不安になりました。こんなことは初めてです▼年金履歴は本人が一番よく分かっています。社保庁に登録されている個々人の年金納付期間の詳細を各納付者に封書で開示することがどうしても必要です。そこで疑問な所を社保庁と話合って埋めていくのです。そうした作業なしに年金不安は解消されません(M)

春野菜のお裾分け  2007.5.29掲載

   5時過ぎに起床すると太陽は昇っています。この時期、着替えて畑へ早朝出勤しています。すでに散歩している人もいます▼畑に着くと、先ず夏野菜の面倒から。トマトはワキメを掻いたのち紐で括って支柱に誘導します。キュウリも紐で支柱に誘導します。ナスは時折水遣りします。シシトウ・ピーマン・オクラ・ゴーヤは今は力を蓄える時期です。インゲン豆・ニンジン・トウモロコシの芽には毎日水遣りしています。カボチャと冬瓜も同様です。ジョウロを持って畑をほぼ一回りします。ヤーコンが順調に成長していることを確認▼次に収穫作業。先ずはエンドウから。鞘が白く変色しつつある実を鋏で切っていきます。中腰作業はちょっと大変です。今年はソラマメが順調。鞘が黒くなって硬そうな下向きのものを鋏で取ります。タマネギは日曜日に半分収穫しました。苗床の葉野菜がベビーリーフに最適な大きさに。レタス・ルッコラ・春菊・ミズナ・イタリアンパセリなどを適当に収穫します。野菜は手をかけると応えてくれるのがうれしい。足跡が野菜を育てるとの名言もあります▼持ち帰っても家で処理できない分は、時折職場や組合事務所に持ち込んでお裾分けしています。当たるといいですね(M)

人間らしい生活の条件  2007.5.22掲載

   『豊かさとは何か』(岩波新書・1989年)の著者暉峻淑子(てるおかいつこ)さんが「人間らしい生活の条件」と題して語っています▼今の景気上昇は、働く人たちを散々搾りあげて払うべきものも払わないで企業が富を溜め込んだ結果であり、ワーキングプアが再生産されようとしている。同じ資本主義であってもドイツ・フランス・オランダ・北欧などいろんなあり方があるのに、日本はアメリカ型のみを志向している。社会がこれほど格差拡大で分裂すると国民をまとめる哲学が必要となるが、安倍首相は愛国心でまとめようとしている。本当は人権や福祉国家の理想、環境、平和であるはずだ。ドイツではマルクスとフロイトは高校生の教養の必読書となっている。マルクスは社会機構の改革をめざした。フロイトは人間は弱い者であることを指摘している。小泉首相のワンフレーズに踊らされ、イラク戦争にいち早く賛成してしまう日本人の、強い者への依存心が自分の心のどこから出てきているのか冷静に見つめることが必要だ。労働組合など対抗勢力が健全でないと個人の権利は守られない、等々▼詳しくは雑誌『経済』6月号に載っています。人間らしい生活を取り戻すために何が必要か考えるヒントが詰まっています(M)

改憲手続法と安倍政権  2007.5.15掲載

   改憲手続法(国民投票法)が成立しましたがどうみていますか。一昨年の総選挙では、郵政民営化一本に争点を絞って与党が議席の多数を占めました。他の政策について政権に白紙委任したわけではない。この「虚構の多数」の力を借りて教育基本法「改正」を強行し、さらに図にのって多数であるうちに憲法「改正」をやってしまおうとねらっているのが今の安倍政権だと思います▼安倍氏は政治一家の三代目(岸信介・安倍晋太郎)、戦前の侵略戦争を肯定する「靖国」派であり政権も「靖国」派で固めています。一方で、イラクへの自衛隊派遣を継続することで自衛隊がアメリカと一緒に海外で戦争できる解釈改憲をねらいながら、他方で手続法のあと国会に憲法審査会を設置して四年後に明文改憲をねらうという二本立て作戦を敷いていると見てとれます▼ところがどっこい、今年還暦を迎えた憲法は、安倍首相が薄ら笑いを浮かべるほど、軽いものではありません。焦点となる第九条は日本国民の宝であり世界の平和のシンボルです。草の根に広がった九条を守る運動もあります▼「戦後レジームからの脱却」を唱える安倍政権の野望を打ち砕く最初の機会が参院選挙だと思います。護憲の意思表示を(M)

ワラビ採り  2007.5.09掲載

   今年の黄金週間は好天に恵まれ、したいと予定していたことがきっちり実行できたのでは。私は夏野菜の植え付けなどをしましたが、ここでは体験的山菜採りの話を▼今の時期は「ワラビ」採りが楽しい。長い地下茎を持つワラビは毎年同じ場所に群生します。生え場を見つけることがポイントです。いい生え場さえ確保できれば、他人との競争にはなりますが収穫が期待できます。ただ、猪が地下茎のデンプンを狙って掘り返してしまうと荒れてしまいます▼初日の28日午後に自動車で出発、家から15`ですからちょっとした距離です。私の狙い目は廃茶畑です。信楽から宇治田原にかけてはお茶の産地です。茶の木は根が張っていて廃止になっても後から樹木は暫く育ちません。赤土が多くワラビに適しています。人が入った跡はありましたが誰にも会いませんでした。さっそく探し始めました。ある、ある、20センチくらいのワラビが頭をもたげています。少し小さめ。ビニール袋にほどほど収穫しました。全部採らないのは保存のため。普通より二〜三週間は遅いこの辺では一雨来たあとの黄金週間後半がもっとも収穫できる時期でしょう▼灰汁抜きして一晩置き、醤油と花かつおで食べると旬を実感できます(M)

東洋町民の選択  2007.4.25掲載

   地方自治体に住む住民が、自らの首長と議員を選ぶ一斉地方選挙の後半戦が終わりました。新顔はむろんのこと全ての当選者が、心機一転気を引き締めて、信託に応えるべく活動を開始したのでは思います▼さて、私はそのうち高知・東洋町長選挙に注目していました。結果は高レベル放射性廃棄物最終処分場の立地調査応募に反対する沢山さんが70%という圧倒的支持を得て当選しました。この件で三度目の住民意思の表明となりました。一度目は前町長が応募したことに対して「応募反対の請願署名」が有権者の60%を越えて署名が集まったこと、二度目は「核持ち込み禁止条例」の直接請求署名が有権者の半数近く提出されたこと。そして今回。これで東洋町は白紙に戻るでしょう。東洋町に母親を残し大阪に住む私の知人が「核廃棄物から古里を守るという町民の思いが結実した」と喜んでいたのが印象的でした▼それにしても、核処分場選びという国家の重大施策がなぜ公募制か、理解できません。担当部署が主体的に適地を探し、自治体と住民の理解を得るという方法をとるのが普通のやり方では。財政危機にあえぐ地方自治体の頬を交付金という札束で張るやり方は何とも無責任です▼根本的に見直しが必要です(M)

「逆立ち」政治の検証  2007.4.18掲載

   一斉地方選挙は後半戦の真っ只中です。ここでは自公・安倍政権の「逆立ち政治」の内容を税制から検証します。政権の根幹である税制度に政権の特徴がよく表れるからです▼ 1999年に、法人税率引き下げと所得税の最高税率引き下げととも所得税の20%・住民税の15%が減税されました。いわゆる定率減税です。一昨年、前二者の減税は据え置いたままで、定率減税のみ廃止が決定されました。半減となった昨年6月窓口に市民が殺到したのは記憶に新しいところです。今年は全廃です。大企業・大資産家は減税のままで庶民のみ増税となった額は二年でおよそ3.3兆円です。これが第一の「逆立ち」政治▼定率減税全廃はこの6月の住民税に反映します。その際地方への税源移譲分も加味されます。ビックリする額となります。国保料や介護保険料等が連動してアップすることが懸念されます。一方、今年の税制改正で減価償却制度見直し(減税)と証券優遇税制の延長によって、およそ1.7七兆円を減税しました。何のことはない、定率減税廃止で今年庶民増税となったおよそ1.7兆円は、丸ごと大企業と大資産家に減税しているのです。これが第二の「逆立ち」政治▼地方政治の選挙であっても怒りの一票は可能です(M)

いっせい地方選挙前半戦  2007.4.10掲載

   桜が満開です。花びらを寄せ合った塊が鈴なりになって咲いている桜の木を見上げると、華やいだ気分になります。今年の桜前線は平年より早いと言われながら、途中寒さが戻ったりして、ちょうど小・中学校の入学式に重なりました。いっせい地方選挙の投票日だった過日の日曜日、花見に出かけた人も多かったのでは▼さて、前半戦の選挙結果、どうみていますか。私は滋賀県議会議員選挙を注目していました。昨年六月に誕生した嘉田県政が掲げる「新幹線新駅凍結」方針が議会議員選挙でどう評価されるか。知事誕生の母体が『対話でつなごう滋賀の会』を結成して公認・推薦候補を擁立したことも注目されました。結果はご存知のとおり、定数47のうち「新駅推進」の自民党は議席を27から16に減らして完敗、無所属9の幾人かを加えても過半数割れとなりました。一方「凍結・中止」派は民主13(8)・共産3(2)・対話4と躍進しました。『もったいない』の風が再び吹き、民意が二度示される結果となりました▼後半戦はより身近な市長・市議選挙です。社会的弱者に冷たい逆立ち国政から、地方自治体が市民の生活・福祉・医療を守る防波堤となり得るか、真価が問われる選挙戦です▼必ず投票を(M)

就職おめでとう  2007.4.03掲載

  新規採用職員のみなさんへ。就職おめでとうございます。今日は連帯のメッセージを送ります▼さて、『地域住民の繁栄なくして自治体労働者の幸せはない』と主張するのが私たちの労働組合です。自分の仕事が市民のいのちや暮らしを守り豊かにすることに役立っていると思う時、職員としての誇りを感じるでしょう。しかし、自治体職場は今、激動の中にあることも確かです。輪島市ではジャージ姿の新採職員がテレビに映っていました。夕張市では赤字再建団体として職員を半減して復興をめざしています。総じて、一昨年の自民党大勝以来、金持ちを優遇して社会的弱者を冷遇する逆立ち政治が、市民生活を直撃しています。定率減税全廃で高齢者の住民税が数倍になり、それが保険・医療・福祉などの負担増に直結して、明細を見た市民から問い合わせが殺到することが予想されます▼職員として鍛えてほしいのは、ヘッドとハートとボディです。ヘッドのための推薦図書一冊は『新地方自治法』(金子仁著・岩波新書)を、ハートのための推薦映画一本は『生きる』(黒澤明監督)を、ボディのためのスポーツは、私はソフトボールですが、自由に何か選択を▼我が市労組は皆さんを心から歓迎します(M)

送別会でのことば  2007.3.22掲載

  この3月で定年退職する職員に対する送別会が開かれています。職場やクラブや仲間やいろいろな単位があるようです。過日の送別会で言葉を求められて一言▼黒澤明監督の初期の作品に『我が青春に悔いなし』という映画があります。60年前の1946年の作品で丁度今度退職される皆さんが生まれた年です。京大滝川事件を題材にしています。教授(大河内伝次郎)とその娘・幸枝(原節子)と二人の学生・の野毛・糸川(藤田進・河野秋武)が登場します。日本の軍国主義化という大きな流れの中、それに逆らい翻弄されながら生きる学生二人と幸枝の交流を描いています。終盤、スパイ容疑で獄死した野毛の妻として生きる決意をし、苦難の末、敗戦という新しい日を迎える幸枝の眼の輝きがみごとです。「学問の自由を守れ」と学生たちがデモするシーンは、さながら皆さんが経験された学園紛争のときのデモのようです▼敗戦後、日本の価値観が180度転換した中で、時流に流されなかった黒澤監督はすぐにこんな素晴らしい映画を製作することができました。皆さんが自らの青春時代に培った人生観を今日まで貫いて生きて来た人生こそ『我が60年に悔いなし』と胸張っていえる人生では▼今後も悔いなき生き方を(M)

最新作『片眼の猿』を読む  2007.3.14掲載

  作家・道尾秀介さんの最新作『片眼の猿』(新潮社・1600円)が出ました▼主人公の俺(三梨)は私立探偵、遠くの会話を聞き取ることができる特技があり業界では有名人だ。今はある産業スパイ容疑を調査する仕事をしている。破格の報酬が魅力的だ。調査の過程で会社員たちの会話を小耳に挟む。何でも超人的な視力をもった女性がいるらしい。目当ての女性を見つけ探偵事務所のスタッフにならないかと持ちかけるとあっさり承諾した。二人が組めば楽勝と思われた仕事のはずが、いつのまにか殺人事件に巻き込まれて‥‥▼今人気の『ケータイ文庫』に配信された連載小説であるためか、ハードボイルド風ながらライトなタッチでスピーディーな展開です。ミステリーらしく謎と仕掛けが至るところにあって読者を飽きさせません。そして何よりも登場人物に対する伏線が驚きです。猿とは何か、何故片眼なのか、本書での著者のメッセージは確かです。2007年「本格ミステリベスト10」に期間内に発表した3作(向日葵の咲かない夏・骸の爪・シャドウ)全てがランクインする快挙を成し遂げた著者。今もっとものっている若手作家(1975年生)の一人といわれています▼成長が心強いコラム子の甥です。よろしく(M)

新型交付税でどうなる?  2007.3.7掲載

 総務省は2日「新型交付税」の影響額の試算を公表しました。新型交付税は「骨太方針」に基づいて来年度から導入するもので、交付税の算定方法の簡素化をうたい、自治体の人口と面積を基本に算定するもので、その行方が注目されていました。自治体の財政運営に支障が生じないように変動額を最小限にとどめる制度設計を行なったとして、人口と面積の反映比率を都道府県で3対1、市町村で10対1程度に設定しています▼その結果、都道府県と政令市で、増加31、減少31の同数(大阪府は5億51百万円減額)。中核市・特例市では、増加36、減少39(高槻市は35百万円の減額)。一般市では、増加432、減少257、町村では、増加783、減少258となっています。(全試算結果は総務省HPにあります)▼初年度となる来年度は、全自治体の基準財政需要総額である約41兆円(H18年度実績)の一割程度をこの新型に切り替える方針といいます。財政力の弱い小規模自治体が標準的な行政サービスを行なっていくためには地方交付税が生命線となっています。その行く末は直接存亡にも関わっています▼出発はソフト・ランディングの様相ですが係数一つで変更が可能であり注意が必要です(M)

最低賃金を時給1,000円に  2007.2.28掲載

 「ロストジェネレーション」という言葉をご存知ですか。就職氷河期に就職活動を行った25歳から35歳ぐらいの層のことをさしています。今多くの企業が競争力と高収益を取り戻していますが、依然として彼らの多くは非正規・派遣労働に甘んじています▼「貧乏は国家の大病なり」と経済学者・川上肇が『貧乏物語』に書いていると知りました。1916年といいますから今から90年前の話です。「毎日規則正しく働いていながらただ賃銭が少ないために貧乏線以下の者」がいるのは「極めてわずかな人々の手に驚くべき巨万の富が集中されつつあるから」だと指摘しています▼「最低賃金を時給千円に引き上げること」が「国家の大病」を治す処方箋である、と労働運動総合研究所が試算を発表しました。時給千円はほぼ年収200万円に相当します。時給千円とすると賃金総額は2兆1,800億円増加しますが、2兆6,400億円の生産誘発の経済波及効果をもたらし、日本経済の健全な発展をもたらす、と試算。最低賃金アップは労働条件を向上させるとともに消費購買力を高めて経済に寄与すると述べています▼最低賃金引き上げが焦点の今春闘はいよいよ本番です(M)

映画『それでもボクはやっていない』鑑賞記  2007.2.21掲載

 上映中の映画『それでもボクはやっていない』を観ましたか▼面接試験を受けるため満員電車に乗った徹平はドアに服を挟まれ必死に取ろうとしていた。次の駅で降りると女子中学生が服の袖をつかんで「痴漢したでしょう」。駅の乗務員室から警察へ連行され取り調べを受ける。「やったと認めれば略式で罰金払って釈放だ」と自白を強要されますが、無実を主張し続ける徹平は、拘留され、送検、起訴されます。そうして刑事裁判が始まります▼周防正行監督が一青年の痴漢冤罪事件を通じて刑事裁判を問う渾身の作品です。無実でも無罪になる保証はない刑事裁判の現実。「裁かれるのはひょっとしたら明日はあなたかも知れない。そうなった時あなたは大丈夫ですか?」。強烈なメッセージを持って迫ってきます。弁護士や友人、母親などが目撃者探しや再現ビデオ撮影などで必死に徹平を応援するのですが、刑事事件における有罪率は九九・九%。本人が否認して九七%、無罪は三%しかありません。裁判官が途中交代して訴訟指揮が一変してしまったり、周到な調査が臨場感を生んでいます。「十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ」と裁判官に語らせる周防監督の思い▼深く心を動かされる映画です。是非鑑賞を(M)

福祉を守る対抗軸  2007.2.14掲載

 二宮厚美教授(神戸大)の講演を聞く機会がありました(2/10 大阪地方自治研究集会)。福祉の動きを体系的にとらえたよい話でした。以下概略を紹介します▼憲法第二五条に基づく生存権保障としての福祉には三本の柱がある。@現金給付型の所得保障(児童手当・生活保護等) A現物給付型の社会サービス保障(教育・医療・福祉サービス等)。原則無償であって、給付と負担とは別の原則で運営されている B保障確保のための公的ルール・規制(公衆衛生・労働基準、環境保全等)▼政府がすすめる「構造改革」はこの三本柱全てに襲いかかっているのが特徴。@所得保障の限定化と抑制(生活保護の限定化、老齢者加算・母子加算の廃止など)A社会サービス保障を現物給付から現金給付化(障害者が契約を結んで現金を支払う・教育バウチャー制度の検討等)B公的ルール・規制の緩和・撤廃(労働市場の規制緩和、労働法制の枠外におくエグゼンプション法など)▼では、対抗軸は何か。@最低所得保障とナショナルミニマムの確保 A受益者負担主義を批判し必要充足・応能負担原則の現物給付を守る B階級や政策に触れない格差社会論批判。骨子だけでは分かりにくいかも▼「負担と給付を考えるシンポジウム」は多分野から発言があって盛り上がりました(M)

『発掘!あるある大事典』放送打ち切りを考える  2007.2.7掲載

 「納豆データの捏造」によって『発掘!あるある大事典』は打ち切りとなりました。特定の食べ物に対する良・悪情報を手っ取り早く入手して即実行する風潮への警鐘とみています▼今は「健康」「環境」「倹約」が行動パターンの上位といいます。テレビ番組が「健康に良い」という言葉に飛びつく消費者心理を利用して「○○は××によい」という単純な言葉で誘導していくのです。単純化すればするほど、都合のよい結果ばかりが求められ、科学からは遠ざかります。ある識者は、かっての成人病が「生活習慣病」と名を変え「あなたの生活生活態度が悪いから病気になるのだ」と言わんばかりに、種々の要因で決まるはずの健康が、個人の責任や倫理へと集約されていく現代の「生きづらさ」をこの事件は反映したものだと指摘していました▼「健康」の一方で食料品の賞味期限が コンビニやスーパーで大量の廃棄を生んでいる現実。私は、我が菜園でエンドウとソラマメの幼苗に支柱を立てながら、今のところ代替が効き自由に選択できる商品だと思っている食料品が、とにかくひもじさを埋め合わせするだけで精一杯となる、かって日本が経験した時代が再来しないと誰が約束できるかを考えました▼飽食はいつまでも続かない(M)

『生活保護物語』を読んで  2007.1.31掲載

浦田克巳さんの著書『生活保護物語』(日本機関紙出版センター1,238円+税)を興味深く読みました。著者は元大阪市職員で、27年間ケースワーカーの仕事を担当、その後市民相談8年、市税の滞納整理8年を経験しています。一貫して公的扶助研究会に加わってきたとあります▼著者が実際に担当したケースの具体例が沢山紹介されています。どれも貧乏への落とし穴の例です。そうした落とし穴は社会にいっぱいあります。戦争・交通事故・病・毒物・エネルギー政策・公害・災害等々。そのほとんどが本人の責任に帰せられないもの。 だから安全装置として社会福祉と公衆衛生があるはずなのに、原因の各々に対する救済制度が不十分である上に、「構造改革」による「自己責任」で破壊されると、最後のセーフティネット=生活保護制度が「何でも屋」となります▼しかし貧乏の条件は十分揃っているのに、生活保護制度「適正化」によって、国家公認の「貧乏の資格」は「トコトン貧乏」であることが要求されます。しかもワーキンク・プアなど困難者同士の歪み合いが演出されます。 『国家が国民を「愛し」「大切にし」、国民が困った時に「助ける」のが国家の役目ではないでしょうか。』著者のことばです▼購読をお勧めします(M)

緊急参集訓練とプロフ  2007.1.23掲載

  「徒歩あるいは自転車で庁舎に集合する」全職員対象の緊急参集訓練、どうでしたか。阪神・淡路大震災から12年、課長職以上は13日、それ以外は15日〜21日に実施されました▼訓練は設定どおり実行することが大切。交通手段が電車・バス・自家用車である者は5キロを目安とした駅・バス停を出発点にして徒歩で庁舎をめざすことになります。17日は小雨、JR山崎駅から歩きました。市公認の「8qウオーキング」と考えればいい。元気よく歩いたお陰でいつまでも汗が引かずに困りました。この体験を書いたブログのアクセス数は一日で1,070ありました。関心が高いということです▼さて、そのブログならぬ『プロフ』をご存知ですか。プロフとは「プロフィール」の略で、自分のHPというより名刺といった体裁です。性別、年齢、誕生日、趣味、性格など質問に答えることで無料で簡単に作成でき、携帯電話でアクセスできるところから、今十代の若者の間で大流行しています。それ自体は楽しいウエブですが、名前・メールアドレス・住所など個人情報の掲示は非常に危険なので絶対にしないと親や先生や同僚から忠告が必要だと感じました。写真も散見されます▼携帯電話の機能充実は日進月歩です(M)

映画『武士の一分』鑑賞記  2007.1.17掲載

 映画『武士の一分』が公開中です。藤沢周平の時代小説を原作にした山田洋次監督の時代劇三部作の三作目、山田監督七九作目の作品です▼海坂藩の下級武士・三村新之丞は毒見役として妻加世、中間徳平と共に慎ましく暮らしていた。ある日、毒見で食べたまき貝の刺身が当たって、一命を取り留めるが視力を失ってしまう。藩のために働けなくなった新之丞の生活と三〇石扶持はどうなるか。妻の行動が気になる‥‥。映画は、新之丞夫婦が住む居宅が物語の中心です。四季の移ろいを背景に家の間取りが分かるほどで、生活の場を写す小津映画を連想させる描きかたです。妻役壇れいさんの押えた演技と中間徳平役の笹野高史さんのひょうきんな演技は特筆です。一分(いちぶん)とは命をかけて守る名誉、面目の意味です。新之丞が守ろうとする武士の一分とは何か、武士の名誉・夫婦の絆を描いたいい映画でした▼映画の楽しみ方の一つに、ロケ地をめぐる話題があります。この映画では、子どもたちが楽しむ釣り場が彦根城のお堀、道すがらが井伊直弼の埋木舎前での撮影、と直感しました。風景がフィルムに焼き付くことで映画とともに生きています。現代劇ならなおさらです▼今年は何本の映画を鑑賞できるかな(M)

尾木直樹さんの教育講演会  2007.1.10掲載

新年おめでとうございます。今年も気軽にお付き合いをお願いします。過日、教育評論家の尾木直樹さんの講演を聴く機会がありました。いじめ・教育基本法などで積極的に発言され、テレビのコメンテーターとしてお馴染みの尾木さん▼渋谷で起こった悲惨な事件は、社会病理の反映と見る必要があると尾木さん。今、格差社会が市民を直撃している。ワーキング・プアが10.8%、400万家族、生保は104万世帯を越えている。非正規労働者が三人に一人の状況。東京都の小学5年生の国語のテストで、就学援助児童数と学力との相関関係を調査した結果、相関係数は0.88という高い数値だった。子どもの学力と親の経済力が一体化している▼今の教育は、できない子(無才・非才)をできるようにするなどとは考えない。習熟度学習といって達成感、充実感だけを与えて、子どもにのぞみ・ひかり・こだまを作っている。そうした中で「勝ち組」から落ちるという危機感が、子どもと親を異常な受験勉強に駆り立て、病理現象を生んでいる。教育の原点は現場=子どもの目線・教師の目線、を強調される尾木さんの話は説得力がありました▼話が大変上手で、たちまち引き込まれました。機会があればぜひ聴講を(M)
 

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