Viaggi
朝7時を回ったところで駅のバールで朝食をいただくこととしましょう。
通勤前の人々でバールは大盛況。店員のオバちゃんに注文方法を教えてもらい甘いパンとコーシーをゲット!カウンターで立ちながらの朝食にシブさを感じる。
午前中、前から行きたいと目をつけていた国立映画博物館『Museo Nazionale Cinema』へ。開館早々のせいか人もまばら。券売所でオバちゃんが「博物館だけにするか、それとも塔も登るか」と思わぬ選択肢を提示してきたので、せっかくだからと両方の券をご購入。
暗幕で仕切られた順路を進むと、映画の元となる幻影機の紹介から始まる。恐ろしく初期のものと思しきサイレント映画が、ベンチをひとつふたつ置いただけのミニシアターで上演され、暗闇を抜けると、中央吹き抜け部分を大きく囲むようにして、壁沿いに螺旋状のスロープがもうけられ世界の映画のパネルが年代を追って飾られている。
吹き抜け中央部分の1階はというと、ファーストクラス並みにくつろげる椅子が置かれ、特大スクリーンに映し出されるモノクロ映画を楽しむスペースとなっている。
スロープを上がり、ひとつひとつポスターを舐めるように見ていくと、脳内でおのずとかかるBGMは『ニュー・シネマ・パラダイス』。アルフレード~!ベニッ~シモォ~~!ドラム缶サイズの大きな感動を胸に塔に登ることとする。
古き良き時代の映画へのオマージュを詰め込んだ博物館、映画ファンには必見のスポットでございます。

前述のとおり、映画博物館は別料金で展望台にも登れる。どう見ても歴史的建造物であるソレの天井をぶち抜き、更に天高くにゴンドラを通すイタリア人のいさぎ良さよ。カーニボンはなぜか同じアングルで無心にシャッターを押し続ける。何かが我が家臣に降りてきてるのであろう。
午後はFIATのお膝元であるトリノにおいて、ココへ行かない手はない!と、これまた前からツバをつけていた自動車博物館『MUSEO DELL'AUTOMOBILE』へ。中心部からタクシーで10分ほどのそこは幹線道路沿いのなんとも閑散とした場所にあり人影もまばら。見学者はいいとこ課外授業の小学生軍団くらいか。
FIATの創業者たちによって開かれたこの博物館には、クラシックカーからF1カーに至るまで、約500台が展示されているとなそちら方面の車好きが泣いて喜びそうな世界でございます。
帰りの車中、タクの運ちゃんはトリノの観光スポットを宣伝し、『ヨーロッパで一番ンマいチョコはトリノ産だ』と鼻息荒く語った。確かに街には、ウィンドウを高級そうなチョコで飾った、おフランスっぽいパティスィリ〜が多く見られる。入ってみたいが、1週間前から同じ服を着ている貧相な異国人には気後れしてしまう。ふとあるウィンドウを見ると『FIATチョコ』なるものが!親ボックスの中に子チョコたちが収納されている。意を決して入店、カーニボンお買い上げ~。
そらそうと10月中旬ともなると、トリノはもうコートが必要なご様子。それを知らず、ギリシャの島で過ごした夏服のまま北イタリア上陸となったもんだから寒いしビンボーくさい。同じく薄着で来たはずの家臣カーニボンですら、いつの間にかゲットしたステキなおべべを着て「おやミヅーラさま、なんて涼しい格好を」とホカホカしている。ああ、さぶい、わびしい。
夕食は偶然見つけたチネーゼ(中華)の店に入ることとする。早かったのか客が誰もいない。
メニューを開き、またまた固まっていると従業員が「こっちで食材を見て決めな」と手まねきする。食材を見たとて、調理法で全然別のものになるがな。
まず最初に登場は青島ビッラ。しかも日本ではレアな大瓶!その輝くグリーンに一気にテンションが上がる。次々運ばれる料理はどれもンマく、たらふく食ってビッラもお代わりして、二人で15ユーロ。ここで『チネーゼ=安くてンマい』という絶対的な図式がワタクシの中で出来上がる。
お宿への道すがら、惣菜屋のウィンドウ越しに目が合った鶏の丸焼き想いつつ、幸せな気持ちで眠りに落ちる。今日はよく行動しましたなぁ。明日はイタリアを離れる日ですなぁ。