アフガニスタン人難民不認定異義申し立ての裁判について
文:米辻妙子

 [裁判について Top] [ 第四回公判を傍聴して ] [ 第六回公判を傍聴して ] [第七回公判を傍聴して][第八回公判を傍聴して]
第九回公判を傍聴して][第10回公判を傍聴して]「判決の報告] [難民認定手続きに関するUNHCRの回答1 回答2 回答3][Home]

<裁判が終わって>

三年の長い裁判の上、ようやく判決が下されました。9.11以降のアフガニスタン難民としてやってきた人々の先行きは、見えない中での思いがけない喜びの判決でした。しかしながらこの「少なすぎる保護」、「遅すぎる保護」もアフガニスタン難民申請者の自殺や自殺未遂事件の多発として表面化しました。しかるべき期間内に結論をだすことが今後の課題だいわれるのも当然と思います。(最後のバセルさんの弁護団の準備書面より)                                                         


   <第六回公判のあとで>
 アブドル.バセルさんと一緒に入国した従兄弟のアブドル.アハマドさんに「在留特別許可」がおりました。
 「アフガニスタンを実効支配しているタリバンから迫害を受ける事を理由とし難民認定を求めましたが1999年に不認定となり原処分の判断に誤りがあるとして異議申し出を行なっていたところでした。2001年10月5日付で在留特別許可がおり、定住者1年という資格が認められ難民認定異議申し出については却下されました。 ご本人も私達支援者も、日本政府がアハマドさんを難民として認めるべきだという立場を崩していませんが在留が長期に及び一刻も早く安定した在留を願う気持ちを理解すべく、一方で遺憾ですが「在留特別許可」を受け入れました。」(支援者:外国人労働者保証人バンク山本直子さんのコメントより)

 数人の「不法残留」のアフガニスタン人が東京入国管理局に入管法違反容疑で強制収容される
  世界貿易センターテロ事件以降、関東を中心に数人の「不法残留」のアフガニスタン人が東京入国管理局に入管法違反容疑で強制収容され多くは、バセルさんと同じハザラ人で 難民認定申請している人達のようです。 このような「反動」の兆しは、ペルー、パラグアイを始めとする多くの国々でもみられ、イスラム教徒や中東諸国出身者が「テロ」組織と関連があるという容疑で拘束され、恣意的拘禁や虐待が懸念されています。 ヨーロッパを始め、各国政府は市民的自由を制限し人権侵害に対する防護策を弱める法案の作成を、政治の最優先課題として急いで行なっています。多くの国で難民としての保護を求める人々をないがしろにするような不法滞在移民に対する措置の導入が議論されています。
上記の事に対してアムネスティは、各国政府に憎悪犯罪(hate crime)を 非難し、それらの加害者を法の裁きにかけること、全ての政府が自らの市民を保護する権利いやまさにその義務を認めるが、一方でそうした措置が人権侵害を引き起こすことがないようにすることが必須であることを訴え、難民の保護と彼ら(彼女ら)の権利保護を要請しています。 (詳細は:http://www.amnesty.org/   in the backlash :Human rights undder threat in aftermath of September 11 attacks) ( 2001年11月2日、米辻)

                                <第4回公判の後で>

 アフガニスタン人のバセルさんの裁判も4回を数え、その間に大阪周辺に居住しているアフガニスタン人の状況も少しづつですが変わりつつあります。明るいニュースもあり、特別在留許可がおりた人、マンデイト難民(国連難民高等弁務官事務所難民のことで、UNHCRが難民性がつよいと判断し認定)として認定され、UNHCRが政府に難民として認めるように働きかけが始まったりしています。
 しかし、日本も難民条約の締約国でありながらいかに難民性がつよくても難民の地位を与えようとはしません。法務省側は、どのような難民認定手続きをとるかは、難民条約若しくは難民議定書には何ら規定していないので、締約国の裁量にゆだねられているという見解を示しています。又、国連難民高等弁務官事務所のガイドラインは、法的拘束力を持たず意見にすぎないとし、国際的な取り扱い自体が不明確であると言っています。
 バセルさんの被告訴訟代理人の意見書は、このように手続きと法的拘束力に終始していて、難民として保護を求めるのは、国籍国と通過国においての命の危機が迫っているからであることは全く審査対象となっていません。つまり入国管理局の審査過程には人権意識が欠けています。

home