アフガニスタン人(バセルさん)難民不認定異議申し立て
第六回公判を傍聴して
文:米辻妙子

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     2001年3月1日までの裁判の経過

 1.裁判所の案が出て、原告側がプラスする形で2000年11月20日に調査嘱託採用。

 2.タリバンと対立する(ワハダット軍)に居た事を証明するカードを被告側が鑑定申請し、写真の貼り替え、インク等鑑定請求(原告の兄が新たにカードを提出、翻訳)。
 3.元高等弁務官緒方貞子氏を証人として申請したが、実現せず。

 4.次回2001年4月25日、小室にて訴訟をどうしていくかを決めるオープントライアルではなくミーテイングをする。(傍聴はできない)


 この一年を通じて被告側(法務大臣)の主張は、
 @難民条約及び難民議定書は、難民の認定手続きに関しては何ら規定されていない。
              ・・・・・・・・・・
  手続きの設立は、条約締約国の裁量に任されている。
 A調査嘱託という証拠調べ。
 B国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のガイドラインは、法的拘束力を持たないものであり、仮にガイドラインが存在するとしても我が国の難民認定手続きを法的に拘束するものではない。
 C難民認定申請として提出したカード等の鑑定。
というものでした。


 これに対して、原告側が意見書を出しUNHCRに意見を求めた回答書が上記の事に返答する形になっています。
 UNHCRのガイドラインは、最初の25年間でUNHCRや政府が築いてきた知識だけではなく各国政府の実務や見解も含まれ、積極的に推進する国々にはそれらの原則や基準に従いその責任を果たすという道徳的な義務がある。あるいは、「認定手続き」の設立が条約国の裁量に任されているとはいえ、難民条約の施行を無視したり、その施行と矛盾すべきではなく高等弁務官行動執行委員会(57ケ国の代表から成り日本は現構成国)は、難民の受け入れ認定制度及び処置についての政策指針を規定した国際的保護に関する結論に賛成してきています。原告は、共通語のダリ語ではなくペルシャ語を話し認定手続きでは十分な通訳、翻訳文の添付等の手続き保障が受けておらず陳述書を大阪入管へ提出しています。UNHCRの回答書が言及しているのは、彼ら(彼女ら)が自ら難民であることを立証しなければならず当局間との意見疎通が不十分であった為に事実を立証出来なかったとしたら自由権規約の第14条を破る事になると能力ある通訳及び全ての書類の翻訳を無償にて提供する事を、公正な庇護手続の重要な要素として含むとしています。

         (国連難民高等弁務官事務所 
          日本.韓国地域代表 カシディス.ロチャナコン氏の
          回答書添付をUPしました。こちらです。)