四名のアフガニスタン難民と二名に関するUNHCRの回答2

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UNHCRの回答書
大阪地方裁判所第7民事部 殿

この照会は、アフガニスタン人アブドル バセル氏の難民申請却下の取り消しを求める裁判に関する2002年5月15日付調査嘱託に対して、世界の難民の保護と援助を委任された国際機関であるUNHCRの資格に基づき作成されたものである。当事務所の返答は、裁判所よりの嘱託い対したものである。

1.貴事務所は、2001年9月10日ごろ以降に、日本国に対し、本件原告(アブドル バセル abdul Basir、1974年11月6日生)を難民として保護するよう要請する旨の書簡を送付しましたか。仮に送付したのならば、同書簡の写しを御回答頂ければ幸いです。また、そのころ、その旨を電話にて原告代理人(金井塚弁護士)に通知しましたか。

はい。2001年7月に当事務所は、原告がアフガニスタンにおいて迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有し、ゆえに難民の地位に値すると結論し、何度かの機会(下記参照)にわたり日本国政府に対して本件に対する当事務所の見解を通知し、難民条約に基づき原告を難民と認定するよう要請しました。

・ 2001年7月 電話において、当事務所より法務省入国管理局難民認定室に通知。
・ 2001年8月23日 当事務所は法務省入国管理局難民認定室、審判科及び警備課と会合の機会を持った。その際、2001年8月22日時点で当事務所が憂慮している人々のリストを提供した。当事務所は、難民の地位又は特別在留許可をそのリスト3(UNHCRが、難民性が高いと判断した難民申請中の者)に記載されている人々に付するよう、政府代表者に要請した。別添参考資料のとおり、アブドル バセル氏は、リストの一番上に記載されている。
・2001年9月3日 当事務所は、2001年9月3日付で更新された同リストを難民認定室に手交し、好意的な配慮を彼らに与えるよう依頼した。
・2001年11月22日 当事務所はアフガン人の難民4名とUNHCRの関心の対象2名のケースに関して手紙を送り、その中でUNHCRの見解を繰り返し述べ、バセル氏を含む彼らへの解決策を要請した。手紙は別紙。
・2001年9月11日 金井塚弁護士の電話での依頼に対し、当事務所は同弁護士にUNHCRがバセル氏の日本政府への申請を支援することを決定した旨を伝えた。

2.本件要請の趣旨は、原告が難民の地位に関する1951年条約及び同」1967年議定書規定の難民に該当することを国連の機関である貴事務所が認定するというものですか。

否。UNHCRが日本国内の保護に値する庇護希望者を支援する行為には2段階ある。

1.難民条約の署名国であり難民の地位認定に関する国内法や手続きが存在する日本のような国でUNHCRが再審査する目的は、政府に対してなされた庇護申請を当事務所が支援する状況にあるかどうかを決定することである。これに基づき、バセル氏のケースの精査が行われ、法務省にたいしても、難民条約に依拠した彼への十分な保護が与えられるように意見表明を行った。
UNHCRによる精査の過程において、ある申請者が難民と認められた場合、その認定は内部扱いとなり、法務省に対する介入(ケース毎の審議及び又はUNHCRの見解や対象者の地位に関する推薦を述べた手紙を通じて)の際の根拠となる。UNHCRがそのような認定をした際は、本人には彼らへの申請をUNHCRが支援する旨を、本人に伝えているのみである。

2.日本における当該行政機関(法務省)によるあらゆる難民認定審査手続きが終わってはじめて、不幸にして日本政府による保護の便益を受けられない難民へ国際的保護を差し伸べる目的で、UNHCRは事務所規定(国連総会決議428(V)、採択1950年12月4日)によって定められた委任行為を正式に遂行する。      以下
難民の地位に関する条約35条とUNHCR事務所規定第35条省略