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ダイヤモンドの美しさと4C

宝石の定義
人々を魅了し続ける宝石たちの代表、ダイヤモンド。その純粋無垢なまばゆい輝きは他の宝石にはあまりない美しさです。
宝石の定義として
1.美しいこと 2. 耐久性があること  3. 稀少性があること (4.携帯性があること)とされていますが
まさにダイヤモンドはその全てを十分に備えた
King of Gem Stone として一番の人気を誇る宝石です。


ダイヤモンドの輝き
 ダイヤモンドは多くの人に知られているように、炭素のみから出来た物質です。他の宝石は化合物である事が多く
例えば同じ無色透明宝石の代表である水晶と比較すると、原子間の間隔も比較的狭いため、 硬く丈夫です。
分かりやすく考えるとぎゅっとつまった物質は硬度が高く、比重(宝石の重量と、同体積の水の重量との比)
も重く、
光の屈折(光が空気中から、光学的に密度の高い物質へ斜めに入射すると曲げられてしまう性質。屈折率が高いほど大きく屈折する。)
も高くなる傾向が強いように見受けられます。例に漏れず、ダイヤモンドの
屈折率は2.42と非常に高く、硬度も10と最も硬いです。
同じ炭素から成るグラファイトは密度が半分のため、硬度も全く異なる柔らかい物質です。
光が曲がるという事は、それだけ反射するという事です。つまり私達の目には輝きとして捕らえられます。
ダイヤモンドは結晶質の宝石ですが、結晶の形はパターンがあり、通常は
等軸晶系とよばれる形で生成します。
画像では左端の8面体が典型的なダイヤモンド原石の形として知られています。

「出光科学叢書3宝石の話」砂川一郎、鹿子木昭介/出光書店(1971)では現実の結晶の形が詳しく図解されています。
全て結晶軸の長さは等しく交差角度は90度になります。
他の結晶系と比べでもっとも対称性が高いため屈折率は単一で
どの方向から光が入射しても、光が全ての方向で同じ速度で伝達される
等方性という性質があります。


 さて、大まかですが、輝きの予備知識をあげました。ただし、ダイヤモンド原石のままでは美しい輝きがそれほど感じられません。
人間がカット、磨きを施す事でまばゆいばかりの美しさを放ちます。カットのことは後ほど触れますが、 輝きの性質には3つの要素があります。
フェースアップ(正面真上から見た状態)での見え方を判断します。

輝きの3要素
・ブライトネス
研磨ダイヤモンドの内外部の光の反射をフェースアップ位置で観察したときに見える白色の反射光を放つ事。
(以前はブリリアンシーと呼ばれていました。)指輪を手にとられたときの感じ方としてはダイヤモンド全般の白い輝きです。
ファイア(ディスパージョン)
光が内部でスペクトルカラーに分散され、虹色の輝きを放つ事。
指輪を手にとられたときは動かしながらご覧になると虹色を特に感じられます。
・シンチレーション

要素としてスパークルとパターンがある。
スパークル--- 指輪を手にとられたときは、光源下や直射日光下で動かしながらご覧になると
一瞬放たれる強い輝き。特に表面のファセット(切子面)から眩いほどの強い白色光を放つ事があります。
パターン---観察者や光源が動いているときに見られる、石の内外部に起因する明暗の配置やコントラスト。

4Cとは

ダイヤモンドの品質を客観的にあらわす指標。評価の基準のことで米国宝石学会(G.I.A)が考案したもので
世界的に最も認知され、使用される基準となっています。
4つの要素があり、英語の頭文字が全てCで始まる事から4Cと呼ばれています。
上記の3つの輝きを引き立たせる重要な要素となります。

4つのC
キャラット(Carat)
宝石の重さの単位。
1ct=0.2gの重さです。
重さでは実感されにくい事と大きければ、同じ物質なら当然質量も重くなるのでサイズもある程度は推測できます。
下図のct数ではジュエリーの中心の石として使用されることも多くなり、正式には電子天秤で千分の1ct単位で
○.○○○ctとコンマ3桁まで読み取引されます。
ジュエリーへのct刻印には下2桁の場合も多いですが、小数点第三位が八捨九入されることも特徴です。

4Cをご存知の方で、サイドストーンの小さな石でもグレーディングをお尋ねなさるお客様がいらっしゃいますが
非常に繊細かつ微妙な検査のため、あまりct数の少ない石にグレーディングを依頼することは現実的ではありません。
本国のGIAに持ち込まれるようなダイヤモンドは大変高額なものも多く、場合によっては鑑定に1年以上を要する場合もある程です。
又、グレーディングを行うために完成品となったジュエリーの場合はカットやカラーにおいて検査が出来ない場合がございます。
その為、原則ルース(裸石)にのみ発行される場合が多くなります。


ct数とサイズ(直径)の関係

※ほぼ実物大。0.1ctで直径約3mm、1ctで直径約6.5mmになります。

ジュエリーのサイドストーンとしては更に小さなサイズも使用されます。現実にはカットにより若干前後しますが、参考に記載します。

0.005ct 直径約1.0mm
0.01ct  直径約1.30mm
0.02ct  直径約1.72mm
0.025ct 直径約1.8mm
0.033ct 直径約2.0mm
0.05ct  直径約2.5mm
0.06ct  直径約2.6mm
0.07ct  直径約2.7mm


カラー(Color)
宝石の色。 ダイヤモンドは皆さんがご存知のとおり自然界では炭素から生み出される宝石です。
天然のものですので、当然不純物が混じり、産出される宝石品質の石の殆どが色味を持っています。
多くが黄色味、褐色味を持つ傾向があり、色合いでグレーディングがなされます。
一般的に色が無いものは少なくなり高い価値があると認められ、その純白無比な美しさが花嫁に向けての
婚約指輪に使われるようになっています。


※カラーグレードに比例する産出量は傾向であって、実際は鉱山によって異なります。色合いはイメージです。
又、Zカラーより濃い色で、宝石として扱える品質の石
は逆に少なくなり
鮮やかな色のダイヤモンドはファンシーカラーと呼ばれ評価が高くなります。

D E F
G H I J
K L M
N〜R S〜Z
無色

ほぼ無色。 単体では無色に見える。

ごく僅かな黄色又は茶味を帯びる。
肉眼で比較的容易に色味を感じる。
非常に薄い黄色又は茶味を帯びる。
肉眼では容易に色味を感じる。
薄い黄色又は茶色。
肉眼でも明らかに色味を感じる。



紫外線による蛍光反応
ダイヤモンドの色判定にもう一つ影響する要素として、ダイヤモンドが持つ蛍光性という性質とその測定環境があります。
鉱物は紫外線により様々な蛍光反応を示すものがありますが、ダイヤモンドの場合は青く光る性質を持つものが多いです。
青色という事はカラー判定の黄色と反対色で強い蛍光反応は直射日光の場合は黄色を打ち消す働きを持つために本当の色とは
異なった色合いに見えるという影響を及ぼします。そのため蛍光の強さの度合いを段階に分けて判定時に考慮に入れています。

5つの蛍光のグレード
None(無反応)、Faint(弱い)、Medium(中)、Strong(鮮やか)、Very Strong(かなり鮮やか)
 
グレーディングへの影響度は少なく、あまり気にする必要はありません。ただ、 あまり強い蛍光の場合は価格に影響する事もありますし、鑑定機関でもグレーディングをキャンセルすることも可能とされています。ただし、世界的な市場で動いてること、国による好みもあるため価格に対する絶対的な影響力は少ないです。一般の方ですとブラックライト(長波に近くダイヤモンドは長波に反応しやすいです) で蛍光反応をご覧頂けます。

燐光性
レポートには記載されませんが、蛍光反応を検査時、紫外線照明を消した後でも発光し続ける現象です。
ダイヤモンドでは時折見られますので、もしかするとお手持ちのダイヤモンドジュエリーで
ご覧になれるかもしれませんね。蛍光が強い場合が多いので、小さな石でもはっきりとわかります。

測定環境
蛍光性は光源により影響度がかわってきます。午前中の北側からの光が理想とされるため、現代では
「デーライト」と呼ばれる4800K-6500K程度(K=ケルビン)の色温度を持つ特殊な照明下で測定されます。
GIAやIDCルール等、国際的には6500Kが多いようです。また部屋は照明以外の光源が入らないよう、暗くしています。
蛍光性は長波紫外線(365nm)、短波紫外線(254nm)の波長で検査されます。
ご参考までに日光は朝夕で5000K程度、日中で5800K〜6500K程度、夕日で2800K程度の色温度を持っています。

実際は非常に厳密に選定された「マスターストーン」とよばれる番号が付けられたD〜Zカラーの基準石と並べてグレーディングは行われます。
ジュエリーの場合は、貴金属の色が写り込み正しい判定が不可能なため、原則ルース(裸石)の状態で検査されます。
ちなみにマスターストーンは検査を多くの人数、回数を経て厳選された石のため、同じグレードの他の石と比べると数倍の価格になります。
日本の鑑定機関では N以下のカラーの場合、イエローやブラウン系では"Under"を冠して、Under N(Very Light Yellow)
Under S(Light Brown)などと記載される場合もあります。
グレー系の場合はUnderを冠せず記載されます。
例 K-M⇒Faint Gray N-R⇒Very light Yellowish Gray(黄色味を帯びたグレーの場合)、S-Z⇒Light Grayのように記載されます。
試験石単体で見ると厳密な
グレーディングは不可能なほど微妙で繊細な試験です


クラリティ (Clarity)
一言で表現すると透明度が一番近い言葉になります。 ダイヤモンドは他の宝石と比べると、圧倒的な高温高圧の自然環境で結晶化します。
高温から冷める時の環境によってグラファイトが生じたり、結晶に歪みや結晶の成長線により濁りに感じられる(グレイニング)現象が起きたり、
またジュエリーにするにはルース(裸石)にするわけですが、石をカットや研磨をする段階でできてしまう僅かな研磨線なども品質に加味されます。
そのあたりの厳密さは
ダイヤモンド以外のカラードストーン(色石)とは比較にならない厳密さです。
無色透明なダイヤモンドが生まれるにはいくつもの条件が必要となります。 
そういった内部の不純物(インクルージョン)や外的な特徴(ブレミッシュ)を検査し、そういった特徴の少なさと天然である事を検査します。

品質は11段階に分けられています。
クラリティ特徴の少ないものほど高品質ということになります。
質の高い順から例に挙げます。

グレード FL
(フローレス)
IF
(インターナリー
フローレス)
検査規定
熟練したグレーダーが10倍に拡大して検査しても、熟練したグレーダーが10倍に拡大して検査しても、いかなるインクルージョン、ブレミッシュ特徴も発見できない石。 熟練のグレーダーが10倍に拡大して検査して、インクルージョン特徴は発見できず、僅かなブレミッシュ特徴が認められる石。
特徴
特徴が全くない 僅かな外的特徴
流通量
皆無に等しい 滅多に流通しない

グレード VVS1
(ベリー ベリー
スライトリー
インクルーディッド)
VVS2
(ベリー ベリー
スライトリー
インクルーディッド)
VS1
(ベリー
スライトリー
インクルーディッド)
VS2(ベリー
スライトリー インクルーディッド)
検査規定
微小なインクルージョンが存在し、熟練したグレーダーが10倍に拡大して検査してもその発見が極端に困難。
石の表側からの発見は不可能。裏側から見て初めて分かる程度。
微小なインクルージョンが存在し、熟練したグレーダーが10倍に拡大して検査しても、その発見が非常に困難。
石の表側からの発見は極めて困難。
軽度なインクルージョンが存在し、熟練したグレーダーが10倍に拡大して検査し、その発見が困難。 軽度なインクルージョンが存在し、熟練したグレーダーが10倍に拡大して検査し、その発見がやや困難。
特徴
極々僅かな内包物 極々僅かな内包物 極めて小さな内包物。素人が見つける事は不可能。 極めて小さな内包物。素人が見つける事は極めて困難。
流通量
極めて珍しい。事実上は最高級 極めて僅か。事実上は最高級 少ない流通量。上質かつ高級。 少ない流通量。上質かつ一般にもなじみやすい。主として指輪に使用される。

グレード SI1
(スライトリー
インクルーディッド)
SI2
(スライトリー
インクルーディッド)
検査規定 熟練したグレーダーが10倍に拡大して検査してその発見が容易。素人でも10倍の拡大ルーペ使用で発見が可能。 熟練したグレーダーが10倍に拡大して検査してその発見が容易。素人でも10倍の拡大ルーペ使用で発見は容易。
特徴 少量だが、明瞭なインクルージョンが存在。ただし、レリーフは低い為目立たない。素人で10倍ルーペで発見可能。 明瞭なインクルージョンが存在。石端に小さな結晶、クラウド、フェザーやキャビティを内包することが多い。レリーフは低い為目立たない。素人でも容易に発見可能。
流通量 良質かつ流通量も増える。主として指輪に使用されるが、その他の宝飾品にも使用される。 一般的に流通。ジュエリー全般に使用される。

グレード I1
( インクルーディッド)
I2
(インクルーディッド)
I3
(インクルーディッド)
検査規定 10倍の拡大検査で顕著なインクルージョン特徴を有する。フェィスアップで良く見ると肉眼でも内包物が見える。 10倍の拡大検査で、顕著なインクルージョン特徴を有する。肉眼でも内包物が容易に見える。 10倍の拡大検査で、顕著なインクルージョン特徴を有する。肉眼でも内包物がはっきりと見える。
特徴 内包されるインクルージョンが肉眼で発見できる。グラファイトなど色のついた内包物が入ってくる。
素人でも肉眼で発見可能。
内包されるインクルージョンが肉眼で発見できる。色のついた内包物が中心付近にも入ってくる。素人でも肉眼で容易に発見できる。 多くのインクルージョンを含む。透明感も損なわれ、石の耐久性にも影響する。工業用にも使用される。
流通量 宝飾用途では主流。指輪よりはネックレス、ペンダント、ピアスやイヤリングで使われる事が多い。
シルバーアクセサリーでも使用される事がある。
豊富な流通。指輪以外の宝飾で使用される。質的に劣るため、ソリテールの指輪に使われる事は通常では考えにくい。
豊富な流通。安価な製品で使用される。本来、工業用と言っても良い品質のため、ジュエリーでは使用されにくい。使用されるとしてもアクセサリーが妥当。



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