労働保険 | 労働保険と雇用保険を総称した言葉で、政府が管掌する強制保険です。農林水産の一部の事業を除き、労働者を一人でも雇用すれば加入手続きをおこなわなければなりません。
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労災保険 | 労働者の方が業務中や通勤途中に事故に遭った場合に、必要な保険給付を行い、被災された方や遺族の方の生活を保護し、併せて社会復帰を促進する事業を行うための保険制度です。 |
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取締役が労災保険に加入できる場合とは | |||
労働災害が発生したとき 労働者災害補償保険法第12条の8では、保険給付は(中略)補償を受けるべき労働者若しくは遺族(中略)に対し、その請求に基づいて行う、とあり、また、またその第5章 不服申し立て及び訴訟では 第38条 保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし(後略)とあります。 ご参考としていただくために関係する法令を掲げました。 労働保険審査官 労働保険審査会とは |
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平成15年 業務上疾病の認定基準 | |||
雇用保険 | 労働者の方が失業した場合に失業等給付を支給したり再就職を促進する事業を行うための保険制度です。 新たに労働者を雇い入れた場合は、保険料の納付とは別に、その都度、事業所を所轄する公共職業安定書(ハローワーク)に 「雇用保険被保険者資格取得届」 の提出が必要です。 |
労災保険料率表 | 労災保険料の申告・納付 |
社会保険労務士に委託 | 社会保険労務士会員を通して | 一人親方の特別加入 (こちら)厚生労働省 |
兵庫SR経営労務センター (労働保険事務組合) |
事業主・家族従事者の特別加入 | |
3回の分割納付が可能に | ||
に加入の手続きをすると、 | 事務の省力化 |
加入を怠っていた期間中 に労働災害が発生した場合 |
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事業主が故意または重大な過失により、労働保険関係成立届(労働保険への加入届)を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合、事業主から次を徴収することになります | |
@ | 最大2年間遡った労働保険料及び追徴金(10%) |
A | 労災保険給付金の100%又は40% |
労働保険の加入手続きについて労働局職員等から加入勧奨・指導を受けていた場合 | ⇒ | 事業主が故意に手続きを行わなかったものと認定し、労災保険給付額の100%を徴収 |
上記の場合以外で、労働保険の適用事業となってから(労働者を雇用したのに)1年を経過していた場合 | ⇒ | 事業主が重大な過失により手続きを行わなかったものと認定し、労災保険給付額の40%を徴収 |
労災保険の加入後において 業務災害や通勤災害 が発生した場合の徴収 |
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@ | 事業主が一般保険料を滞納している期間中に業務災害や通勤災害が発生した場合、労災保険給付額の最大40% |
A | 事業主の故意または重過失により業務災害が発生した場合、労災保険給付額の30% |
労働者災害補償保険法 |
●業務災害に関する補償給付(療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償年金、介護補償給付) |
●障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金とする。 |
労働基準法第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう |
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労働条件通知書等の様式 | |||
賃金台帳 | |||
労働者名簿 | |||
賃金控除に関する協定書 | |||
口座振り込み同意書 | |||
労働者性の判断基準 | |||
基本的には、事業に「使用される」者であるか否か、その対象として「賃金」が支払われるかどうかによって判断される。この判断が困難な場合もあるが、労務提供の形態や報酬の労働対償性及びこれらに関連する諸要素を勘案して総合的に判断する。 |
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昭和60年12月19日 労働基準法研究会報告 「労働基準法の労働者の判断基準について」 |
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使用従属性に関する判断基準 | チェック |
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仕事の依頼、業務従事の指示等に対する許諾の自由の有無 | |||
業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無 | |||
通常予定されている業務以外にも「使用者」の指揮命令に、依頼の業務に従事する | |||
拘束性の有無 | |||
代替性の有無(本人に代わって他のものが労務を提供) | |||
報酬の労働対償性 | チェック |
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欠勤の場合の控除 | |||
時間給を基準として算定されるなど「労働の結果」による較差が少ない | |||
残業手当の支給など一定時間の労働の提供に対する対価と判断される | |||
事業者性の有無 | チェック |
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報酬の額が正規従業員に比して著しく高額 | |||
自らの計算と危険負担に基づく「事業者」に対する代金の支払いと認められる | |||
機械、器具の負担 | |||
業務遂行上の損害に責任を負う | |||
独自の商号使用 | |||
専属性 | チェック |
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他社への業務従事が制約されている、または時間的に無理である | |||
生計を維持しうる程度の固定給がある | |||
その他 | チェック |
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源泉徴収、労働保険の対象 | |||
服務規律の適用 | |||
退職金制度、福利厚生 |
建設アスベスト集団訴訟 損害賠償 (2016年1月30日読売新聞報道) |
建設現場で建材に使われたアスベストを吸って肺がんなどの健康被害を受けたとして、元建設労働者と遺族が国と建材メーカー32社に約10億円の損害賠償を求めた「建設アスベスト集団訴訟」 1月29日の京都地裁判決の要旨 国は、石綿吹き付け作業では1972年以降、屋内作業では74年以降、屋外作業では2002年以降に、事業者や建材メーカーに対し、防塵マスク着用や集塵機付き電動工具の使用、具体的な警告表示を義務付けるべきだったのに怠ったものであり、国家賠償法上の責任がある。 労働基準法上の労働者でない「一人親方」に対して、労働安全衛生法が保護する「労働者」でないために国は責任を負わないが、警告表示義務を怠った建材メーカーには労働者以外にも責任が及ぶ。 被告企業らも国と同時期には、各建材に具体的な警告表示を行う義務があったのに、怠った過失がある。 (一人親方を含め)建設作業従事者は現場を転々とし、一つの現場に長くとどまらないことなどにかんがみると、おおむね10%以上のシェア・市場占有率を持つメーカーが販売した建材について、販売の時期や地域、使用した箇所、方法などが、被災者の就労状況や粉じん暴露状況と整合していれば、その製品が被害者に到達していた蓋然性が高い。 その建材を製造し、警告表示なく販売し、流通に置いた行為そのものが加害行為に当たる。 |
どのメーカーの建材が原因で発症したのかは因果関係を立証するのはむつかしいが、地裁はシェなどを根拠に認定している。同様の訴訟への影響は大きい。シェア10%以上で線引きしたことについてはメーカーの反発も予想される。 |
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090-5882-3271
兵庫県内の社会保険労務士 吉村由紀夫
労働安全衛生法における事業場の解釈 |
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事業場の解釈としては、昭和47年9月18日発基第91号通達の第2の3「事業場の範囲」で示されています。 その中で、労働安全衛生法は、事業場を単位として、その業種・規模等に応じて適用することとしており、事業場の適用範囲は、労働基準法における考え方と同一です。つまり、一つの事業場であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)によって決定すべきであり、同一の場所にあるものは原則として一つの事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とされています。 例外としては、場所的に分散しているものであっても規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場という程度の独立性が無いものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱うとされています。 また、同一の場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門がある場合には、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることにより労働安全衛生法がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえることとしています。 この例としては、工場の診療所などがあげられます。なお、事業場の業種の区分については、「その業態によって個別に決するもの」とされており、事業場ごとに業種を判断することになります。例えば、製鉄所は「製造業」とされますが、その経営や人事の管理をもっぱらおこなっている本社は「その他の事業」ということになります。 |
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労災保険制度における業種別の考え方 (2005年1月労災保険料率の設定に関する検討会より) |
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労災保険制度は、業種別に労災保険率を設定する制度を採用している。これは、業種ごとに作業態様等の差異により、災害率が異なるという実態を前提として、労働災害防止のインセンティブ促進の観点から、業種別に設定することが適切であるとの判断に基づくものである。 労災保険の業種区分は、労働災害防止インセンティブを有効に機能させるという観点から、作業態様や災害の種類の類似性のある業種グループに着目して、当該グループごとの災害率を勘案して分類することとしている。その際には、費用負担の連帯性の下に労働災害防止活動を効果的に浸透させていくことのできる業界団体等の組織状況等についても斟酌することとしている。また、保険技術上の観点から、保険集団としての規模及び日本標準産業分類に基づく分類等について勘案することとしている。 労災保険は、適用事業場数約265万、適用労働者数約4,819万人を擁しており、その業種は、現在51業種に区分されている。これまでは、上記の考え方に基づき、災害率の比較的高い製造業、建設業などでは区分が細分化されているが、サービス業を中心とする第三次産業等については、比較的大括りの区分となっている |
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業務災害分の料率については、業種別に短期給付分及び長期給付分に分けて算定することが適当である。 短期給付の財政方式については、基本的には短い期間で給付が終了する性格のものであるため、一定期間(3年間)の収支が均衡するように賦課する方式(「純賦課方式」)によることが適当である。 また、長期給付の財政方式については、長期にわたる年金等という形式での給付であるため、そのような労災事故を起こした責任は労災事故発生時点の事業主集団が負うべきであるという観点から、災害発生時点の事業主集団から将来給付分も含め、年金給付等に要する費用を全額徴収する方式(「充足賦課方式」)によることが適当である。 |
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労災保険率の適用の仕組み |
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労災保険率の適用原則 | |||
1 | 業種の分類 |
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ア | 業種ごとの料率 |
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労災保険率は、業種ごとに定められており、2006年度現在の業種区分は54種類で、料率の区分は28段階(最低1000分の4.5から最高1000分の118)に分かれている。 この法令上の根拠は、徴収法第12条第2項及び同法施行令第2条に規定されており、その規定に基づき労災保険率は業種ごとに定められ、同法施行規則第16条第1項で規定される別表第1として、「労災保険率表」が定められている。 また、この労災保険率表に掲げられた業種の内容及び範囲を詳しく規定したものとして「労災保険率適用事業細目表」が厚生労働大臣の告示として示されている |
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イ | 業種のメルクマール |
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労災保険の業種分類については、名称は日本標準産業分類に準拠しているところもあるが、労災保険の特殊性から異なっているところも多い。 日本標準産業分類は、事業所において行われる経済活動の内容を区分したものであるが、労災保険における業種分類は、業種ごとの作業態様等の差異により災害の種類・災害発生状況が異なるという実態を前提として、事業主に対する労働災害防止のインセンティブを促進する観点から定められている。 これは、労災保険制度が業務災害に対する事業主の補償責任の法理を基盤していることに加え、保険制度の中で労働災害防止インセンティブを有効に機能させるという観点から、作業態様や災害の種類の類似性のあるグループに着目して、当該グループごとの災害率を勘案して分類することとされている。 その際に、費用負担の連帯性の下に労働災害防止活動を効果的に浸透させていくことのできる業界団体等の組織状況等について斟酌しつつ、保険技術上の観点から、保険集団としての規模及び日本標準産業分類に基づく分類等についても勘案することとされている。 |
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ウ | 業種の決定 | ||
一の事業の業種の決定は、主たる業態に基づき、「労災保険率適用事業細目表(昭和47年労働省告示第16号。以下「事業細目表」という。)」により決定する。 ただし、建設事業における業種及び製造業における構内下請事業の業種及び労働者派遣事業における業種は、次により決定する。 |
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(ア)建設事業 | |||
建設事業における業種は、請負契約の形態(分割請負、一括請負等)及び併せ行われる工事の内容如何にかかわらず、事業細目表に照らし完成されるべき工作物により決定する。 なお、完成されるべき工作物により難い場合は、主たる工事、作業内容によるものとする。この場合の主たる工事、作業の判断は、それぞれの工事、作業形態に係る賃金総額の多寡によるものとする。 また、建設事業において一の事業の中に、事業細目表の「事業の種類の細目」欄又は「備考」欄において除外すべき事業として掲げられている工事であって別に指定されている工事(以下「除外事業」という。)が含まれている場合には、当該除外事業を分離し、当該事業の業種は、その業態により決定する |
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(イ)構内下請事業 | |||
製造業に属する事業の事業場構内において専ら作業を行う事業であって、当該製造業に属する事業(以下「親事業」という。)の主たる製品を製造する工程における作業及び当該工程に直接附帯する作業の一部を行う事業は、親事業と同種の業種に分類される。 なお、親事業が主たる製品以外の製品を製造している場合には、当該主たる製品以外の製品を製造する工程における作業及び当該工程に直接附帯する作業の一部を行う事業は、当該主たる製品以外の製品を製造する工程を一の事業とみなした場合に分類される業種に分類される |
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(ウ)労働者派遣事業 | |||
労働者派遣事業における業種は、派遣労働者の派遣先での作業実態に基づき決定する。派遣労働者の派遣先での作業実態が数種にわたる場合には、主たる作業実態に基づき業種を決定することとし、その場合の主たる作業実態は、それぞれの作業に従事する派遣労働者の数、当該派遣労働者に係る賃金総額等により総合的に判断する。 なお、労働者派遣事業と他の事業を一の事業として併せ行う事業であって適用上一の事業として扱われるものについては、その主たる業態に基づき業種を決定する。 |
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エ | 労災保険率 | ||
決定された業種に基づき、労災保険率表(徴収法施行規則別表第1)により労災保険率を決定する。 |
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2 | 賃金総額の把握方法の特例 |
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ア | 継続事業の場合 | ||
継続事業の場合は、当年度の賃金総額の見込額が前年度の確定した賃金総額に比べ100分の50以上100分の200以下であると見込まれる場合には、特例的に前年度の賃金総額を用いることとしている。 すなわち、前年度と当年度とで労災保険率に変更がない場合には前年度の確定保険料と当年度の概算保険料は同額となる。このような方式を採用することにより、事業主及び政府の事務処理の簡素化が図られている。 |
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イ | 有期事業の場合 | ||
建設業や林業のような有期事業については、事業の特殊性から数次の請負により施行されるのが一般的であるので、その現場における賃金総額を正確に把握することが困難である。 そのため、賃金総額を把握するための第二の特例として、「労務費率」を用いて賃金総額を推計する方法が取られている。 建設業の場合には業種別に厚生労働省令で「労務費率」が定められており、建設工事の「請負金額」に「労務費率」を乗じることにより、その工事現場の賃金総額を推計するものである。 この場合の請負金額には発注者から工事に使用するために支給された工事用物の価額相当額は含むこととなっており。機械類を貸与された場合にはその損料相当額も同様の取扱いとなる。 なお、「機械装置の組立て又は据え付けの事業」については、「機械装置」の価額は請負金額に含めないこととなっている。これは、機械装置の価額が相当高額な場合が多く、請負金額に占める割合が極端に高くなることから、これを含めたままでは賃金総額が高めに推計されることになるからである。 したがって、この業種の「労務費率」については、あらかじめ請負代金の中から「機械装置」の価額を控除した後の請負金額と労務費(実賃金総額)との関係で比率が決定されている。 このような取扱いをしているのは、「機械装置」だけであり、厚生労働大臣が「控除対象工事用物」として告示している。 |
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「除外事業]の理解のために 労働保険料適用基準 厚生労働省から抜粋 |
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5 (35)建築事業(38)既設建築物設備工事業を除く この分類には、建築物及び橋梁の新設、改修、復旧、維持、解体等を行う事業及びこれらに付帯して行われる事業が該当する。 なお、建設工事用機械以外の機械の組立て又は据え付けの事業は、除外事業として(36)「機械装置の組立て又は据え付けの事業」に分類される。 |
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7 (36)「機械装置の組立て又は据え付けの事業」 この分類には、各種機械装置の組立て又は据え付けを行う事業及びこれに付帯して行われる事業が該当する。 なお、建設工事において、当該建設工事に使用するための機械の組立て又は据え付けを行う事業は、当該建設工事に附帯する事業として取り扱う。 |
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演習事例 大手機械製造メーカーA社が試作した大型の装置を発注者の工場で解体した後に、兵庫県隣の府県に搬送し、ここで組立て・設置を行い、装置の性能確認試験後、再度解体して工場に搬送して、組立てを行い、引き渡す業務を72日間で行う。 受注はA社の100%出資子会社のB社で、C社は機械据え付け工事業者で二次下請けの立場にある。 B社は、性能確認試験のために臨時に据え付けを行うもので、建設工事には該当しないと言い出したが、C社は労災保険がどうなるのか心配する。 |
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専門家甲氏のアドバイス | 本件は機械据え付け工事に該当します。建設工事ですから、発注者から受注したB社は一括有期事業として事前に届け出を行うべきです。 C社は工事の一部を受注している下請け事業者ですから、元請けとして労災保険の手続き行うことはできません。 |
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専門家乙氏のアドバイス | 保険関係成立届を提出するとき、概算申告書(年更時提出の申告書は確定申告と言います)も同時に提出します。 さらに、一括有期事業(請負金額が1億8千万円未満)の場合、工事が始まれば、(つまり本件では機械装置搬出のため、製造会社に出向いた日の)翌月の10日までに事業開始届を署の適用係に提出します。 災害事故が起こった場合、被災労働者は病院に受診します。病院は事業場(あるいは社労士)が作成した5号請求書と共に治療費の請求書を労働局に送ります。労働局は5号請求書を監督署に転送します。5号請求書が労働基準監督署に届くと、必ず事業開始届が出ているかをチェックします。提出していなければ、督促の電話が必ず入ります。事業開始届はそれほど大事です。 |
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事業主が故意または重大な過失により、労働保険関係成立届(労働保険への加入届)を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合(冒頭に掲示)、徴収することになります、とありますから、10日までになどと構えるべきではありません。 | |||
専門家丙氏のアドバイス | mail:mmm2010sw@ares.eonet.ne.jpで問い合わせ | ||
専門家丁氏のアドバイス | 製造業の一人親方の制度はない。 | ||
労災保険のメリット制は、 |
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一定の要件(継続事業については一定の規模以上、有期事業については確定保険料又は請負金額等が一定額以上のもの)を満たす事業について、個々の事業の労災保険の収支(メリット収支率)に応じて、非業務災害分を除く労災保険率又は保険料の額を、継続事業については40%の範囲で、一括有期事業及び有期事業については35%の範囲で増減させる制度である。 このほかに、特例メリット制として、労働者の安全又は衛生を確保するための一定の措置(労働安全衛生規則第61条の3第1項の規定による認定を受けた同項に規定する計画に従い事業主が講ずる快適な職場環境の形成のための措置)を講じた中小企業である継続事業場が、その適用を希望した場合に、メリット増減幅を45%の範囲で増減させる制度がある。 メリット収支率別の適用事業場の分布を見ると、メリット適用事業場の8割以上の事業場で保険料が減額されている。 また、−40%又は+40%の最大の引下げ又は引上げの区分に事業場が集中している。 −40%の事業場が多いのは、近年の労働災害の減少傾向を反映して、無災害事業場が増加しているためと考えられる。一方、+40%の事業場が多いのは、近年の労働災害の減少等による労災保険率の引下げに伴い保険料が低減し、分母にあたる金額が減少していることにより、小規模事業場にあっては、一度重篤な災害が発生すればメリット収支率が極端に悪化するためと考えられる。 |