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【1】
<「猶興」の由緒>
本会派の名称にある「猶興」について。
「かの豪傑の士のごときは、文王なしと雖ども猶興る」孟子が説いた
有名な章句です。
文王は中国古代王朝の周を開いた周公旦のことで、優秀なリーダー
の象徴です。
つまり、この章句の大意は、「本当に優れた人物というものは、文王
のような特別な指導者がいなくても、自ら独力で興るものだ。」という
ものです。
言い換えれば初代宗家が興された吟詠の道は悠々として永続して行く
ことを念じて採用されたと思慮され、「初代宗家の如く特別な指導者が
いなくても、猶独力で (後に続く指導者が) 興きて行くものだ」と 解する
ことが出来ます。
更には祖宗家でさえ教えを乞うた大先達の起こされた吟道を猶自らが興さ
ねばならぬと一念発起したことを 此の二字「猶興」に込められています。
---------------------------------------------清峰流の猶興の士へ
【2】-1
<詩吟の仲間は楽しく幸せ>
「感謝」を説くのは容易ではありません。それは広く多岐に渡っている事と、「説く」を聞く(受ける)側の「心構え」が整ってないと空しく無駄な時間とも云えます。
どれ程 多岐かと云えば、損得・愛憎・喜怒哀楽・快楽苦難・欲望失望・嫉妬、などあらゆる事柄心情の中に感謝の種は有ります。
私には難しいですが、意に染まぬ人から誹謗中傷を受ければ腹は立ちます其れを指導と思えば感謝(有難う)に繋がります。いわゆる「ご指導ご鞭撻」と云うものでしょうか、この境地に至るのはかなり先の様ですが、親切には「ありがとう」が多く含まれています。究極は「生かされて有難う」まで行ければ良いでしょうが容易ではありません。
此処では、「幸せは感謝の心を高めれば掴むことが出来る」と云う事を共感頂きたくご案内申し上げます。
「感謝」は日常の中に「有難う」をどれだけ見つけられるか、多いほど幸せと云えます。恩を忘れることは普通に雑草の様に有る事で仕方のないことと云えますが「感謝」の気持ちは、明るく華やかで雑草に比べて薔薇のようなものですから大切にしなければなりません。此の「感謝の心」が高まれば高まるほど、それに正比例して「幸福感」が高まっていくと説かれています。
我々詩吟を愛する者は常々独りで吟詠力の向上に勤めている様に見えても仲間から支えられている事や師範の恩を自覚し、いつも「有難う」と思いながら過ごしています。 声に出して「ありがとう」と言うことは少ない様ですが、時には場に応じて小さな事にも「ありがとう」と言う機会を増やして行ければ、「詩吟の仲間は楽しく幸せ」と成り会員の輪も広がって参りましょう。
忘恩は雑草のごとく自然にあり、感謝はバラのようなもの。それは施肥し灌水し、愛し保護し、培養し育ててやらねばなりません。
【2】-2
<名言紹介>
漢詩には心に響く抒情詩が多くあり「志」を高める詩も多いです。
詩の「志」を支える、名言をご紹介させて頂きます。
イットウヲカカゲテ・・・
★一燈を提げて暗夜を行く、暗夜を憂うること勿れ、只だ一燈を頼め!☆
「言志四録」の中から選んだ言葉です。
夜もさまざまあります。月の出ている明るい夜もあるでしょう。
かたや新月で一寸先も見えない闇夜もあるでしょう。
足元も見えない真っ暗な夜は、歩くのも怖くなります。
そんな一寸先のことも判らない闇夜のようなものが「人生」で、人は
それをたったひとつの灯りだけを頼りに歩いて行くものなのでしょう。
ここで言う「暗夜」とは、ただ暗い夜という意味だけではない。
闇夜のような人生には、いらだちや憎しみ、嫉妬や絶望、自分をさい
なむ様々なものが潜んでいます。
一言でいうならば「苦境」とも解されます。「それでも」と、くわえれば、
「自分の周りが闇夜(苦境)であることを悲しむのではなく、心にひとつの
灯りを掲げて生きよ」と。
名言は「一燈」を「志」の意味で語ったのだろうとも解されます。
「志」は大抵、我欲や執着を離れた純粋な願いのようなものですから、
掲げる灯りの中でも最も明るく道を照らすことでしょう。
私もこうありたいと思うのですが、なかなか明確な「志」は立てきれて
いない現状です。
道を照らす「一燈」は人によって違うでしょう。
ある人には「愛」だったり、ある人には「夢」だったり、またある人には「希望」
だったり。どんなものでも良いと思います。それが暗夜を行く力を与えて
くれるものであれば。
でも決して「嫉妬」や「欲望」では明確に道を照らすものにはなり得ない
でしょう。仮に一時道を示すように思えても、それは最終的に辿り着く
場所を教えてくれるものではありませんから。
「欲望」を、「愛」や「夢」と偽っている場合もそうですね。
自分を偽らず、真の「一燈」(志)を持って、人生を生き抜きたいものだと
思います。
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ツァイツェン