論理・数値と現実のバランスを大切に
仕事、特に人作り・物作りには、設計図は必要です。しかし、現実の仕事、物作りの現場は、机上の計算通りには行きません。また、毎日使う原料や機械・道具、また操る人も、微妙に異なるものです。
常にその違いを見極める、感じる能力が大切と考えています。
また、机上計算で、安く仕入れ、無理な製造コストダウン、安く売るだけでは、多様化、デフレ・スパイラルの現代社会では、生き残れることが難しい時代です。
逆に、高級な原料ばかり使用し、手間暇を掛けても、生活者(ステークホルダー:利害関係者)との価値観とかけ離れていれば、受け入れてもらえません。
極端な速度で、二極化した所得層、多様化する志向・ライフスタイルの中で、「あきない製品・サービス(役務)を、リーズナブル・プライス(合理的な価格)で提供できる読みとバランス感覚を育むこと」が、難しくも、キー・ポイントであると思っています。
物作りには、譲(ゆず)れない職人的なこだわりが必要です。しかし、消費者の要望に答える誠実な姿勢も必要です。理想と現実の歪みを、どう埋めるのか・・思考錯誤の繰り返しです。迷ったときは、基本体に戻ってみる。そのような姿勢を大切にしています。
神輿(みこし)を担ぐようなチーム作り
休日に、鳥取県との県境近くの高校で、部活動指導員(旧:外部指導員)として武道を教えていた時期もあります。
男女でも、10人も満たない部員数でした。
一人、一人には、絶対的な強さはありませんでしたが、団体戦で、各自が自分の良いところを出せるようにすることを大切にしました。
仕事でも、同じことが言えます。一人、一人の個性・特性を生かせば、全体が強くなる姿をよく見てきました。
「助け合う」「支え合う」とは、人同士が「もたれ掛かり合う」ことでなく、神輿の担ぎ手のように、一人一人が、そのポジションで頑張ることが必要です。しかしながら、一人でも、担ぎ方を間違えれば、神輿全体は崩れます。
チーム・組織内のコミュニケーションや連携は大切ですが、「和気」と「慣れ合い」は違うことを常に心がけています。
大抵、組織・集団が緊急非常事態に陥ったとき、組織のために、集団のために、自己犠牲の精神で協力する姿勢があるか、否かの、その人の本当の姿を、垣間見ることができます。
組織・集団が崩壊すれば、自分の居場所もありません。また、人生の中では、幾度ともなく、危機は訪れます。
緊急事態にあっても、組織・集団が大きな輪・和(YAMATO)を築きつつ、前進できるよう、置かれたポジジョンで動ける人間でありたいと思います。
ゼネラルなスペシャリストを目指す
食の品質管理・研究開発・販路開拓営業・消費者対応・企業法務・総務監理等の実務とマネジメントを25年間程度、全体を見据えて職務遂行を行ってまいりました。
ある程度の質で、どのポジションでも、実務とマネジメントを同時に行いました。
どれぐらいの質であるかは、組織によって要求されるハードルが違いますので、具体的な職務を見なければ、可能か、否かは、自身も判断することはできません。
ゼネラルなスペシャリストを目指しすきっかけは、27歳で、急な人事で新規販路開拓部署を立ち上げ、経営したとき、「世の中に工夫できることはたくさんあり、それを実践すれば、成功する確率が高いこと」を体験したことが、大きいと思います。
結果、「学歴・地位・資格は、自身の能力の目安であり、職務遂行において、自らが悩み考え、体で体験、習得した智慧を利かすことが大事である。」と言うことを学びました。
また、新規部署の立ち上げ、運営マネジメントする難しさと既存部署をマネジメントする難しさとは違います。
共通するところは、早く全体の職務遂行パターンを掌握し、行動しつつも、観察して、自分の中で、自分と組織が求める職務とマッチする最善の職務遂行パターンを考え、試すことが大切と考えています。
組織の安全装置として
組織内の一部署で業務を行っていると、組織全体を揺るがす「大きなミス」につながりそうな「小さなミス」に気がつかないときがあります。
ダムで言えば、小さな水漏れを起こしているのを見て、「これぐらい」と見過ごしがちです。それは、担当部署の人間でも、気がつかないときがあります。
しかし、その小さな出来事が、大きなダム全体の決壊につながるときがあるのです。
通常、小さな水漏れは、いくつもあります。その中から、どれが「ダムの決壊」につながる「小さな水漏れ」なのか、その見極めが重要です。
その大きな惨事の前触れを、見つけることは、幾度かありました。
また、その安全装置をくぐり抜け、緊急非常事態に陥っても、最速に業務復旧まで、回復処理をしてまいりました。その見極める力は、今後、どの業種・職種についても、生かせるものと思います。
4年毎にページをめくってきた白い便せん
若くして、その組織にない新規分野参入への事業を新設する職務を受けました。
『獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす』のことわざ通りの人生でした。
しかし、そのことは、「仕事を成し遂げる生き方」において、大変勉強になりました。
観て、感じて、考えて、前に進むことの大切さを学び取らせて頂きました。厳しくも、優しいトップに感謝致します。
その組織の永い歴史・気風・スタイルも大切です。また、新たに参入する業界のシステム・ルールも大事です。
常に、「学ぶ精神」で、気持ちを白紙に変えて、自らが歩き始めなければ、前進はありません。
知識・経験・智慧という前までのページの筆圧は残っていますが、いつも白紙の便せんで挑む気持ちを大事にしています。