
薬を飲めば病気が治る、と思っている人が多いのではないでしょうか?
実は、ただ症状を抑える効果しかない薬もたくさんあります。
多くの風邪薬・咳止め・下痢止め・解熱鎮痛剤などがこのタイプです。
放置しておけば連鎖的に強くなっていく症状を止めるため、あるいは、一時的に症状を抑えることで、体が持つ抵抗力や治癒力を発揮させる目的で使用します。
ですから、これらの薬を服用しただけで安心してはいけません。
症状を抑えたことは治癒を意味しませんので、無理をすれば悪化し、薬の効果が切れた段階でもっと強い症状が出ることがあります。
また、あまりに体力の低下している人は治癒力も弱いので、一時的に症状を抑えるだけで、いつまでも治らないという事態になりかねません。
治す薬は、病気の根本に作用して治癒させることを目的にしています。
ただし、表に出ている症状に直接作用するわけではありませんので、すぐに効果を実感できる場合は多くありません。
治す薬と抑える薬では、一般的な使用方法にも違いがあります。
治す薬は作用が比較的穏やかで、安全性が高い種類が多く、効果が十分に発揮されるように一定期間は継続して使用します。
抑える薬は比較的強い作用を持ち、根本的な治療をしているわけではありませんので、長期にわたって使用しない方が望ましいのです。
副作用発現の可能性は種類によって差がありますが、治す薬よりも抑える薬の方が高いと言えます。
「効果がない」や「副作用が出た」という事例は、タイプや使用方法が間違っていることが少なくありません。
抑える薬には、作用の強さで何段階かに分類されるものがあります。
痛みを抑える鎮痛剤や、痒みなどの炎症を抑えるステロイド系外用剤などが典型です。
どの程度の強さの薬を使用するのかが問題で、弱すぎて症状を抑えられなければ使用の意味がなく、強すぎると体への負担が大きくなります。
弱い薬であっても、頻回に使用すれば負担は大きくなりますので、原因や症状の強さ・体調などを総合的に判断して選択せねばなりません。
タイプを間違えやすい薬をいくつか紹介します。(特殊な使用をする場合には当てはまらないことがあります)
- 水虫薬:原因となる白癬菌を退治する薬で、治す薬です。痒みが無くなっても、しばらくは継続しないと治すことはできません。
- 湿疹用外用薬:炎症や痒みなどを抑える薬です。必要以上に強い薬や長期連用は好ましくありません。また、薬剤性の湿疹を誘発する場合もあります。
- 温湿布:血行促進によって治療を早める薬で、治すタイプです。強い炎症が残っている時期には使用しません。慢性疼痛の緩和には適していますが、皮膚に刺激を与える場合があり、肌が弱い人には要注意です。
- 冷湿布:打撲などの炎症に伴う腫れや痛みを緩和する薬で、抑えるタイプです。炎症がない部位には意味がなく、血行阻害によって治りを遅くする可能性があります。
- 滋養剤:ビタミンやミネラルの補給、新陳代謝を高めることで疲労を治す薬です。
- ドリンク剤:成分は滋養剤に似ていますが、一時的な疲労感を抑える薬です。速効性はありますが持続性はなく、根本的な疲労回復には適しません。