イラスト1

漢方をもっと身近に

西洋薬と東洋薬のハイブリットにより、
より効果的で安全な治療を。

医薬品の種類

イラスト2

様々な指定

一口に医薬品と言いましても、成分や用途によって細かな区分があります。 大きな区分として、医療用医薬品・一般用医薬品・動物用医薬品があります。 医療用医薬品は病院などで医師が処方する薬で、医師が選定権を持ち、患者の意志で選んだり自分勝手に使用するものではありません。 一般用医薬品は薬店などで自分の意志で選び・購入できる薬です。 この2種は人に使用する医薬品であり、厚生労働省が管轄しています。 動物用医薬品は獣医師が処方し、人には使用しない薬です。 こちらの管轄は農林水産省になります。 さらに、各種法律に関連した指定もあり、どれに属するかで扱いが違います。

麻薬・覚醒剤

「麻薬および向精神薬取締法」において麻薬に指定された医薬品と、「覚醒剤取締法」で指定された医薬品です。 精神依存だけでなく身体依存をもたらす可能性がある成分が該当します。 つまり、禁断症状(退薬症状)を起こす可能性がある薬です。 麻薬や覚醒剤と聞くと犯罪をイメージする人が多いでしょう。 確かに、これら取締法は乱用や犯罪を防止するための法律で、非常に厳しい制約が設けられています。 治療のための医薬品であっても、これに該当する成分であれば、取締法を順守した扱いが必要になります。 医療用麻薬は、通常の鎮痛剤では効果がない癌性疼痛などに対して使用されることが多い薬です。 副作用もある程度強いので、使用のハードルが高い種類になります。 昔は病院内でしか見かけることはありませんでしたが、最近は在宅医療の拡大によって、患者宅でも時々見かけるようになりました。 作用がマイルドな種類が登場してきたこともあって、使用のハードルが少しずつ下がっています。 とは言いましても、取締法が緩和されたわけではなく、医師や薬剤師でも別途の免許を得ないと扱うことができません。 病院や薬局での保管には鍵がかかって動かせない金庫が必要ですし、1錠紛失しても保健所や警察署に届け出が必要です。 医療での使用が認められている覚醒剤はメタンフェタミンのみで、許可を受けた医療施設でしか使用できません。 昏睡や麻酔覚醒などに適応がありますが、まず他の薬を使用することが多く、皆さんが見かけることはないと思います。 麻薬と同じく厳しい保管・管理が必要です。 覚醒剤原料という指定の医薬品も取締法の対象です。 こちらは覚醒剤よりも制限が緩く、次に紹介します向精神薬と麻薬の中間くらいの規制です。

向精神薬

「麻薬および向精神薬取締法」で向精神薬に指定された医薬品です。 精神依存を起こす可能性がある成分で、主に睡眠導入や抗不安に使用されます。 (長年、身体依存は起こさないとされてきましたが、長期使用では身体依存が起きる可能性もあります) 作用の強さによって1~3種に区分され、1>2>3の順で規制が強くなっています。 多量に入手ができないように処方日数に制限があり、外国に入国する際に持参できる量にも制限があります。 病院や薬局では申請をしなくても扱うことができますが、それ以外では免許を受けねば扱うことはできません。 保管は鍵のかかる金庫で行い、規程数量以上の紛失があった場合は、保健所や警察署に届け出が必要です。

習慣性医薬品

習慣性すなわち依存性があると厚生労働大臣が指定した医薬品です。 麻薬・向精神薬・覚醒剤の指定と重複する薬が多いのですが、麻酔薬などで指定を受けているものがあり、全てが合致しているわけではありません。 代表的な麻薬であるモルヒネは指定外ですので、どこに線引きする基準があるのかよく分かりません。 歴史的には、昭和中期の精神安定剤乱用が社会問題となり、その規制のために設けられた指定です。 扱う場合に注意は必要ですが、取締法のような法的な規制はありません。

処方箋医薬品

医師が効果と安全性を確認しながら使用する医薬品で、処方箋に記載がないと販売や譲渡ができません。 医師が処方する薬は大部分がこの指定を受けています。 もちろん、麻薬などの上で紹介した薬は全てが処方箋医薬品です。

指定医薬品

安全性や安定性などの要因から、薬剤師以外の者が販売や譲渡してはいけないと厚生労働大臣が指定した医薬品です。 実質的には、医療用医薬品から処方箋医薬品と一般用医薬品にもなっている薬を除いたものです。 平成21年に廃止された区分で、名称としては過去のものです。 同じ主旨の区分が、一般用医薬品の要指導医薬品や第1類医薬品として残っています。

毒薬・劇薬

薬の危険性を示す指標として50%致死量(LD50)があります。 投与した動物の半数が死亡する量のことで、この値が小さいほど危険性が高いことを意味します。 毒薬は、マウスに皮下注射で投与した場合のLD50が20mg/kg(体重1kg当たりに換算した投与量が20mg)以下の薬です。 劇薬は、同様の投与方法でLD50が200mg/kg以下の薬です。 経口投与では、毒薬で30mg/kg・劇薬で300mg/kgが基準値になります。 言葉のイメージでは、毒薬よりも劇薬の方が強いと思う人が多いようですが、毒薬は劇薬の10倍以上も危険な薬だということです。 この基準値以外でも、効果を発揮する量と有害な作用を起こす量との差が小さい場合にも、指定されることがあります。 つまり、毒薬・劇薬は、使用量に細心の注意が必要な薬を意味しています。 毒薬はあまり見かけることはありませんが、劇薬はよく見かけます。 名称の表示にルールがあり、毒薬の場合は黒地白字(白抜き文字)、劇薬の場合は白地赤字、普通薬は白地黒字です。 内服薬は外包装のままで受け取ることが少ないために判別できないと思いますが、軟膏などの外用剤では名前の表示で判別できます。 名前は似ていますが、「毒物及び劇物取締法」で指定されている毒物や劇物とは無関係です。 毒物は正式には医薬用外毒物と言い、劇物は医薬用外劇物が正式名称です。 ともに医薬用外となっており、医薬品ではないものの指定です。

OTC医薬品

Over The Counterの頭文字をつなげたもので、カウンター越しに販売する医薬品のことを指します。 一般用医薬品の別称だと思ってください。 ドラックストアなどではセルフ形式の販売が中心で、OTCという言葉と合致しないのですが、今では固有名詞として定着しています。

スイッチOTC医薬品

医療用医薬品の中から、比較的安全性が高く一般用に転用された医薬品です。 従来の一般用医薬品よりも効果の優れるものが多いですが、価格設定がやや高めになっています。 健康保険による医療費を少しでも抑制するために、国としては増やしていこうとしているようです。

ダイレクトOTC医薬品

医療用医薬品を経ずに、外国での実績などから、いきなり一般用医薬品として販売された薬です。 発毛剤のリアップが最初でした。 発売後の一定期間は、安全性確認のために要指導医薬品に区分されます。

要指導医薬品

一般用医薬品における区分の一つです。 薬剤師が対面で情報提供を行い、薬学知識による指導が必要と厚生労働大臣が指定した医薬品です。 スイッチOTC医薬品やダイレクトOTC医薬品でリスクが確定していないもの、および劇薬の指定を受けている一般用医薬品が該当します。 販売に際して、書面を用いた情報提供が必須なので、インターネット販売はできません。 厚生労働省と薬剤師会が、一般用医薬品のインターネット販売解禁に抵抗して誕生したような区分です。 元々は、第1類医薬品がその位置にあったのですが、度重なる規制緩和によって崩れてしまい、後から追加された区分です。

第1類医薬品

一般用医薬品の中でリスクが高く、積極的な情報提供を要するために薬剤師以外は販売できない薬です。 スイッチOTC医薬品の大部分が該当とします。 要指導医薬品と同様に、書面を用いた情報提供が義務なのですが、購入者が説明を要しない旨の意志表示をした場合には、必須ではなくなりました。

第2類医薬品

一般用医薬品の中でリスクが中等度とされる区分で、一般用医薬品の大部分が入ります。 特に注意する成分を含むものは、指定第2類医薬品と区別されますので、実質は2段階の区分になっています。 リスクが更に低い第3類医薬品を含めて、薬剤師でなくとも販売ができる医薬品です。 第1類であったスイッチOTC医薬品が、少しずつ第2類へ区分変更されています。 第1類は薬剤師がいないと販売ができないため、ドラックストア協会などが区分緩和に動いた結果です。 安全性に問題がなければ、医療用→要指導→第1類→指定第2類という区分変更が定着しつつあります。

指定医薬部外品

昔は一般用医薬品であったのに、医薬部外品に変更されたものの区分です。 コンビニでも見かけるビタミン主体のドリンク剤や整腸剤などが該当します。 コンビニを代表とする大手の小売業界が、医薬品を販売できるように規制緩和を政界に働きかけ、その結果として誕生した区分です。 薬剤師や登録販売者の免許や資格を持たない者でも販売が可能です。 24時間営業のコンビニでも購入できるようになった利点は大きいですが、使用の適否などの判断は購入者がしなければなりません。 薬剤師から見れば、顕在化していないだけで、小さな問題が多発している区分のように思います。

扱いに注意

医薬品の区分で注意していただきたいのは、皆さんが入手された後も様々な規制が生きていることです。 「友達が風邪をひいたので、自分が持っていた風邪薬を飲ませた」という状況を例に説明します。 自分が持っていた薬が一般用医薬品で、用法や用量を守って飲ませてあげた場合は、友達想いの美談です。 しかし、その薬が病院で処方された薬の場合は事情が違います。 処方薬の大部分は処方箋医薬品なので、医師の資格を持っていなければ医師法や薬機法の違反になります。 また、咳止めとして麻薬が処方されていた場合は、麻薬取締法にも抵触する可能性があります。 知らなかったでは済まない場合がありますので、注意しましょう。

Copyright(c) 2024 tahara kanpou. All Rights Reserved. Design by http://f-tpl.com