日本の伝統調味料「醤油の豆知識」

醤油の賞味期限

◇醤油の品質表示項目

名称、原材料名、内容量、賞味期限(品質保持期限)、保存方法、製造業者等(輸入品は輸入者)の氏名または名称及び住所を下記の様式(一括表示枠)に従い、一括して表示する。輸入品の場合は、この他に「原産国名」を記載する。これらの表示事項は、容器又は包装の見やすい箇所や商品に近接した掲示等、消費者の見やすい場所に表示します。

「義務表示」

■名 称
一般的な名称が記載されています。(商品名ではありません)

■原材料名
原材料は食品添加物とそれ以外の原材料に区分され、原則として使用したすべての原材料が記載されています。原材料の中にアレルギー物質を含む食品が使用されている場合には、その旨が記載されています。原材料はそれぞれ重量の多い順に記載されています。

■遺伝子組換え食品の表示について
大豆などの遺伝子組換え農産物とその加工食品については、遺伝子組換え食品の表示が必要です。しかし、「しょうゆ」の場合は長期に渡り分解・発酵・熟成の過程を経るため、組換えられた「DNA」やこれによって生じた「たんぱく質」が、ひろく認められた最新の技術によっても検出できません。
このため「しょうゆ」は遺伝子組換え表示の義務表示対象外とされています。ただし、任意で表示することができます。(任意表示)
しかし、遺伝子組み換え食品について表示を求める声が高いので、遺伝子組み換えでない大豆を使用して製造したことを表示して販売する際の原材料・製造表示の業界ガイドラインを自主的に決めて表示するようにしています。

■アレルギー物質を含む食品表示について
醤油業界でも、醤油、つゆ類ならびに醤油加工品を製造する際にアレルギー物質を使用する場合には、食品衛生法及び関係規定に従ってその製品に必要な表示を行うことにしています。
醤油においては、大豆と小麦が該当しますが、醤油の場合は大豆を使用していることが想像できるので、表示するのは小麦のみでよいことになっています。


◇醤油の賞味期限・保存表示
食べ物には賞味期限か消費期限が表示されますが、しょう油は保存期間が長い食べ物のなので、賞味期限になります。
醤油の賞味期限は、未開封の場合と開封後で大きく異なります。一般的に、パッケージやボトルに表記されている賞味期限は未開封の場合の期限です。醤油は古くから保存調味料として使われてきただけあり、未開封時であれば長期保存が可能です。

醤油のラベル表示(例)

ラベルには、しょうゆの種類や製造方式はもちろん、原材料名、内容量、賞味期限、保存法、製造者など、商品を選ぶ際に目安となる情報が記載されています。

醤油の賞味期限と保存法
未開封の醤油はペットボトルの容器に入っているものは1年半、一升瓶などガラス裂のビンに入ったものでは2年位が賞味期限として定められています。醤油は古くから保存用の調味料として親しまれてきただけあって、賞味期限が過ぎてもすぐに処分しなければならないわけではありません。ですが、保存状態によって、どの程度まで使えるかは異なってきます。なるべく涼しい場所や直射日光の当たらない場所で保管しておきましょう。
開栓前の賞味期限 保存方法 濃口醤油・溜醤油・再仕込み醤油 淡口醤油 白醤油
プラスチック・ボトル 直射日光を避け冷暗所に保存 18ヶ月 12ヶ月 -
ガラスびん 24ヶ月 18ヶ月 8ヶ月

醤油はどの種類のものでも時間経過とともに色が濃くなります。酸素と触れる事による酸化やメイラード反応によって、淡い色から黒く濃い色に変化をします。当然、白醤油や淡口醤油も時間が経つほどに色が濃くなりますので、賞味期限が短く設定されています。

開封してしまった醤油の賞味期限は常温保存なのか、冷蔵保存なのか、といった様々な要因により大きく異なります。そのため、一概に「〇日以内」と述べることはできません。可能であれば1ヶ月以内で使い切るようにしましょう。

開栓後の保存のめやす 濃口醤油 淡口醤油 白醤油
プラスチック・ボトル 室温
1ヶ月
室温
1ヶ月
室温
1ヶ月
ガラスびん

一般的に、醤油は容器や種類にかかわらず、開封後は冷蔵保存が推奨されています。醤油のおいしさを保つための保存方法としては、冷蔵庫での保存が一番おすすめです。温度差が激しいと風味の低下や品質の劣化が進んでしまうため、一定の温度が保てる場所を選びましょう。

開栓後 賞味期間
5℃で保存
(冷蔵庫に入れた方が良い)
1ヶ月
(風味が落ちてしまう為)

・醤油は、鮮度が落ち風味が損なわれるが、その殺菌効果により腐ることはない。
・醤油の表面に生えている黴(カビ)は、酵母菌の一種で、基本的には身体に入っても害はない。

醤油の保存方法

醤油の保存方法
開栓前は冷暗所 開栓後は冷蔵庫1カ月を目安に使い切る。 しょうゆは、腐敗しにくいが、時間の経過とともに色が濃くなり、風味もおちてしまう。そのため、直射日光を避け、できるだけ涼しいところに保存する。空気に触れることで酸化が進み、品質が落ちてしまうので、開栓後はきちんと栓をして冷蔵庫で保存し1ヶ月を目安に使い切る』

醤油は基本的に開栓後も常温で保管して大丈夫ですが、防腐剤(保存料)を使っていない醤油は、一度栓を開けると、表面に白いカビ(産膜酵母菌)が発生することがあります。このカビは有害なものではありませんが、風味が落ちてしまいます。
醤油は時間がたつとともに色が濃くなり風味も落ちてきます。(醤油の褐色現象)そのため、保存においては直射日光を避け、なるべく涼しいところに置くなど注意が必要です。開栓前は基本的に長期保存しても酸敗・腐敗しにくいものですが、本来のおいしさを味わうためにも規定の賞味期限内に食べきったほうがよいでしょう。



また、開栓後は空気に触れることで酸化が進むため、きちんと栓をし、冷暗所に保存する必要があります。これはカビを防ぐことにもなるので、家庭で保存する場合には、できれば冷蔵庫にしまうのが最適です。冷蔵庫に保管してある容器から、使いきるぶんだけ小型の容器に移し替えて使用することも、品質の保持にはよい方法。このように保存法に気をつけた上で、一ヵ月くらいで使い切るのが理想的です。


醤油の褐変現象(酸化)とは?
醤油の色が黒ずんでくる褐変現象はメイラード反応と呼ばれるもので、醤油中の糖分とアミノ酸が化学反応をおこしてできたメラノイジン物質によるものです。色が悪くなってるだけで無害で十分食べられます。醤油は長くおいても悪くなることはありませんが、褐変現象が起きてくれば香りも落ち、醤油の本当のおいしさが失われてきます。
褐変現象は、開封後に醤油が空気にふれたり、紫外線(日光)に当てたり、熱を加えたりするといっそう早まります。そのため、栓をあけたら「冷暗所」へ置くのが上手な保存法です。醤油のおいしさを長持ちさせるには、栓を開けたら冷蔵庫に入れるのが一番です。醤油の色・味・香りがより長持ちします。


写真:ヤマサ醤油株式会社(しょうゆの酸化より)


■賞味期限と消費期限との違い
加工食品には、期限表示をすることになっています。安全においしく食べられる期限を判断する目安になります。
期限表示には2種類あり、消費期限と賞味期限の2つがあります。すべての加工食品には、製品の特性に応じて、消費期限又は賞味期限のどちらかを表示しなければなりません(一部の製品を除きます)。

賞味期限 定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をい う。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。

賞味期限は簡単に説明すると「おいしく食べられる(飲むことができる)期間」です。
消費期限 定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。

消費期限は「安全に食べられる期間」なります。(基本は5日以内です)




賞味期限とは「容器包装が開かれていない製品が、表示方法によって保存された場合に、その食味及び品質特徴を十分に保持しうると製造業者が認める期間」と定義されています。
つまり、メーカーが独自に決めても良いのですが、醤油業界では官能検査のベテランが、醤油の種類別・販売する容器別に、未開栓の状態で室温(20度)で保存し、その品質保持期間を決定しています。


賞味期限の設定

■賞味期限の設定
賞味期限の設定方法は、製品の品質特性に大きく左右されますが、次のような手順で決めている例が多いようです。
  1. 1.保存試験の実施
  2. 製品の保存、流通温度で、製造直後の試料を次の検査回数を配慮して保管します。保存期間は、予想される賞味期限の約1.5倍程度といわれています。
  3. 2.抜き取り検査の実施
    想定される賞味期限までに一定間隔で(ドレッシングの例を参照)保存した製品を抜き取り(3~5検体が一般)、検査します。検査は官能検査(色、香り、外観等)、理化学検査(酸化、過酸化物価等)、細菌検査があります。食品の特性にあわせて選択する必要があります。
  4. 3.検査結果の評価
    官能検査で異常が発見されたり、理化学検査で基準以上の値となった時点を賞味期限限界とし、賞味期限限界値を決めます。
  5. 4.賞味期限の設定
    賞味期限限界値に安全率(70%をとる場合もあります)を掛けて、賞味期限を設定します。

■しょうゆ-日本醤油協会資料-
1.醤油の特性と品質変化の要因
醤油は、本来、高濃度の塩分を含むものであるため、常温流通でも十分保存できる食品である。賞味期限内では品質特性のうち、食塩分、全窒素分、可溶性固形分等は変化しないが、製造後の品質は温度の変化により、色、味、香りが経時的に変化する。変化の早さは色が最も早く、色度に顕著に現れる。

2.期限設定の検査方法
①色度(標準色度計で測定)
 こいくちしょうゆ:7ランク下がった時点、 うすくちしょうゆ:13ランク下がった時点、 しろしょうゆ:8ランク下がった時点を目安とし
②保存試験の官能評価(3点採点法)において、2点を賞味期限限界とする。
1点 : 新鮮さを失っていないもの
2点 : やや新鮮さを失っているもの
3点 : 新鮮さがまったく無いもの

3.醤油の種類別の賞味期限の設定
上記2「期限設定の検査方法」の考え方を踏まえて、摂取可能な期限より更に十分な安全率を考えた標準的な期間を下表のとおりとした。

包装形態 賞味期限までの期間
濃口醤油 淡口醤油 白醤油
プラスチックボトル 18カ月 12カ月
ガラスびん 24カ月 18カ月 8カ月
24カ月 18カ月 8カ月

・保存方法:
表示された期限は表示方法に従って保存されることが前提であるので品質に影響を与える条件は必ず記載し、一括表示の枠内に表示することを原則とし、枠外に表示する場合は記載場所を明記して賞味期限と近接して記載すること。

・文例:
(1)直射日光を避け常温で保存すること。
(2)直射日光を避けて保存すること。
(3)(1)、(2)の短縮形

・たまり醤油、再仕込醤油は、濃口醤油に準ずる。

・実際の賞味期限は、使用原材料、製造方法又は容器包装等の特性に応じて製造業者等が適正に定める。特に、缶、小袋詰め等の特殊容器については十分配慮すること。


参考資料(しょうゆ情報センター(日本醤油協会)「しょうゆの日付表示に関するガイドライン」、独立行政法人 農林水産消費技術センター、発掘!あるある大事典/#121、財団法人食品産業センター