第七章 その他の力学
(広がりと重力・形の力)

始めに 第一章 第二章
第三章 第四章 第五章
第六章 第七章 表紙

私たちは日常の経験から、画面に引かれた水平線に地面を感じ、垂直の線に高低を感じる
この感覚から画面上の広がりと重力が生み出される

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図1

図2

図3

まず図1から図3までを見て、それぞれに受けるイメージの違いを体験していただきたい。
まず横に広がる一本の線は地平線とそて認識される。すると、重力の認識がそれに伴って生まれる。
さて図1は線より下にそれどれの形を配したものであるが、形によって様々な力の強弱はあるものの、すべて地上にひき付けられているように見える。心に作り出された重力の作用である。
図2は線より上に形を配しただけの図であるが、どれも地面から浮き上がっているように見える。それどれの形が重力に対抗しているがその力関係には格差がある。
図3は図1-2の不安定さを考慮して、それどれの形が地平(重力)に対してもっとも安定していると思われる位置に配したものである。こうする事で心もまた安定する。
同じ地平に対して安定する位置が違うのは形そのものの中に独自の力関係を持っているからである。 (□△○に関してはデッサン論参照)

法則Z−1 水平線より下方(地面)に重力が発生し、それより上方(空間)では反重力がうまれる
法則Z−2 形はそれ自体の中に独自の力学をつくり上げている
△はその内部に鋭い垂直の線と広がりを持っている。これは自体の中に重力を作り出していることを意味する。すなわち形自体が地平線を要求しているのである。また末広がりの安定した形が横への広がりを求めている。
□は均等に重力と広がりを持っており、デッサン論では物の生み出された最初の形として位置付けた。物と地平(空間)の在り方の基本形である。
□と同じ形であるが、垂直線が斜めに傾く事で重力がそがれてしまっている。しかし反重力からも支配されずに中空に漂う関係を作り出している。
○はどの方向にも重力と広がりをもっている。逆にいえば人間の次元での重力には支配されず、画面のどこに配しても安定している。地平線にある○は夕陽を連想すれば↓、朝日なら↑と、現れる力は変転する。
△の天地が逆になったもので、倒立した人間のイメージを強く与える。これは△が最も人間的な形態であるからで、この図は地上に配置しないと収まらないが、高い位置では不安が強くなる
☆は言うまでもなく夜空の星をイメージさせる。鋭角が放射状に突き出た形は重力を拡散させ、その周りに空間を要求する。その強さは身にとげの痛みを感じさせるほど脅迫的である。