<ラプソディー:狂詩曲>を5曲集めた珍しいプログラム。 
                        民俗音楽を色彩豊かに聴かせてくれる音楽で、その代表的なものが集められている。 
                        ふだん演奏会の最初かアンコール曲として取り上げられることが多くて、このように定期演奏会でまとめて聴くような機会があるとは予想していなかった。 
                        これらの曲のどれかを改めてじっくり聴いてみようという機会はほとんどなく、CDの余白に入っているからついでに聴くことくらいしかないかもしれない。 
                        この日の聴き方もその延長で、「気軽に聴いてみよう」 
                         
                        
                         
                        聴き終えての感想は、予想通り結構楽しめたなというものだった。 
                        前半の3曲は、打楽器の活躍する民族色豊かな音楽、後半はオーケストラの機能を発揮した音楽という印象。 
                         
                        第1曲の伊福部の曲は、戦前の1935年に作られたもので、日本の昔を懐かしく思い出させてくれるリズムがなんともノスタルジックで、眼をとじて聴いていれば<子供の頃の田舎の祭>の風景を思い出す人も多かっただろう。 
                        開始早々、ビオラのソロが奏でるカデンツァふうの音楽が我々をタイムスリップさせる。打楽器の単調なリズムがそれを助長する。 
                        全曲に亘って比較的単調なリズムで推移するこの曲、今の複雑なリズムになれた耳には少し物足りないと感じる人もいるかもしれないが、はまってしまうと絶対飽きない音楽でもある。 
                        リストとエネスコは誰もが一度は耳にしたことがあるはず。 
                        それなりに楽しい演奏ではあったが、井上さんにはもっと芝居ッ気たっぷりにやって欲しかった。アンサンブルを揃えようとするとリズムが生きてこないと言うか、小さく纏まってしまうので難しいとは思うが、多少の乱れなんか気にしない!という意気込みで演奏してもよかったのでは・・・・ 
                         
                        後半の第1曲、ディーリアスはイギリスの作曲家で、どちらかといえば穏やかな音楽。 
                        ラプソディーというと民俗音楽の華やかなリズムをイメージしがちだが、これは静かな田園風景を思わせるもので、オーケストラの個々の奏者が楽しませてくれた。 
                        そして最後はラヴェル。 
                        名前の通りスペインのリズムを堪能できる曲で、オーケストレーションの天才ラヴェルがフルオーケストラを使って盛り上げてくれる。 
                        とくにクラリネット・フルート・チェロのパートが素晴らしい演奏を聴かせてくれた。 
                         
                        
                         
                         
                        井上の持ち味であるストレートな音楽が楽しめた一夜で、大阪フィルのアンサンブルの充実がこの日も実感できた。 
                        ドイツ音楽以外の分野で大阪フィルの好演が聴けるようになって、我々のレパートリーにも広がりが出来大変嬉しいこと。 
                         
                         ※客演コンサートマスターとしてマウロ・イウラートという人が登場したけど、これはどういうことなんだろう? |