加齢黄斑変性症
ものの中心がゆがんで見えるなどの症状に対し、早期診断と適切な治療を行います。
この記事の作成・監修
目加田 篤 医師公益社団法人 日本眼科学会 眼科専門医最終更新:
加齢黄斑変性症とは
「加齢黄斑変性症」の症状にお悩みの方へ
網膜の中心部にある「黄斑」が加齢によって傷み、視界の中心が見えにくくなる病気です。日本でも高齢化に伴って患者数が増加していますが、早期発見と適切な治療によって進行を抑えられる病気でもあります。黄斑は物の形や色、文字を認識するために最も使われている部分のため、ダメージを受けると日常生活への影響が大きく出やすいのが特徴です。
症状
- ものがゆがんで見える(変視症):まっすぐな線や格子模様が、中心部分で波打って見えたり、ゆがんで見えたりします。
- 視野の中心が暗く、かすんで見える:見ようとしている中心部分が暗くなったり、かすんで見えにくくなったりします。
- 文字の中心が欠けて読みにくい:読書や細かい作業の際、文字の一部が欠けて見えたり、中心が見えにくくなったりして、スムーズに文字を追えなくなります。
- 左右で明るさが違う:片目ずつ見え方を比べると、明るさや鮮明さに差があることに気づく場合があります。
- 60歳以上で喫煙習慣がある:加齢と喫煙は、いずれもこの病気の代表的な危険因子です。
進行の特徴:滲出型(後述)は急に視力が落ちることがあり、早期受診が特に重要です。一方、萎縮型は数年単位でゆっくり進行します。「片目で見て初めて違和感に気づく」というケースが多いため、時々、片目ずつ見え方を確認する習慣が早期発見につながります。

治療
病型によって治療方針が大きく異なります。
- 滲出型(新生血管型)網膜の下に異常な血管(新生血管)が伸び、出血やむくみを起こすタイプです。進行が比較的速い病気ですが、定期的な検査と適切なタイミングでの治療により、視力低下を防ぐことが期待できます。治療の中心は抗VEGF薬の眼内注射で、血管の増殖を抑え、むくみを軽減します。多くの場合、複数回の注射を一定間隔で行い、効果を見ながら治療頻度を調整します。
- 萎縮型黄斑の組織が徐々に萎縮するタイプで、進行は緩やかです。進行を止める確立された治療法は限られており、生活習慣の管理と定期的な経過観察が中心になります。
- レーザー治療病変の位置や状態によっては、進行を抑える目的で行うことがあります。
網膜光凝固術や硝子体手術について、病状により連携医療機関をご紹介することがあります。
いずれの治療も「失われた視力を完全に元に戻す」ものではなく、進行を抑え、今の見え方をできるだけ長く維持することを目標とします。そのため、できるだけ早い段階で治療を始めることが、結果を大きく左右します。
リスクについて:抗VEGF薬の眼内注射は広く行われている治療ですが、効果や必要な投与回数には個人差があり、リスクがまったくないわけではありません。頻度はまれですが、眼内炎(目の中の感染症)、一時的な眼圧上昇、硝子体出血、網膜剥離といった合併症が起こる可能性があります。レーザー治療についても、治療部位や範囲に応じた合併症のリスクがあります。当院では、治療前に検査結果をもとにリスクを含めて丁寧にご説明し、治療後も経過観察を行うことでこうしたリスクの早期発見に努めています。

今後のケア
- 滲出型では、治療がいったん落ち着いた後も再発することがあるため、医師が指定した間隔での通院が欠かせません。
- アムスラー格子(格子状の表)を片目ずつ見て、線のゆがみや欠けがないか日々確認しましょう。変化に気づいたら、次の予約を待たずにご連絡ください。
- バランスのよい食事(緑黄色野菜などに含まれるルテインなどの抗酸化成分)、紫外線対策(サングラスの着用)、適度な運動、禁煙が、黄斑の健康維持に役立つとされています。
ご参考までに
加齢黄斑変性症は、自分の目で気づける変化が多い病気です。「まっすぐな線が波打って見える」など、ささいな違和感でも構いませんので教えてください。特に片目だけの変化は見過ごされやすいので、時々片目ずつ確認する習慣をつけていただくと、早期治療につながりやすくなります。
関連ページ
ご留意事項:本ページで紹介する治療の効果には個人差があり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。症状の程度や経過については、診察のうえで医師よりご説明いたします。
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