MODERN EYE FATIGUE

現代病としての目の疲れ

知っておきたい目の話――日常生活で役立つ目の健康情報を、わかりやすくご紹介しています。

この記事の作成・監修

目加田 篤 医師公益社団法人 日本眼科学会 眼科専門医

最終更新:

「目の疲れ・スマホ老眼」にお悩みの方へ

スマホ・PC社会の今、目はかつてないほど酷使されています。気づかないうちに進行する「現代病」としての目の疲れと、そのリスクを知っておきましょう。

現代人の目の健康:主な原因とリスク(スマホ・PC・LED、アイフレイル・スマホ老眼、内斜視、糖尿病網膜症)
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ブルーライト・LED・VDT症候群 ―― 目が疲れる理由とセルフケア

ブルーライトの仕組み・眼への影響

ブルーライトの仕組み・眼への影響

ブルーライトとは

ブルーライトは、可視光線のうち波長380〜500nm程度の青色の光です。太陽光にも含まれていますが、パソコンやスマートフォンのディスプレイ、LED照明といった人工光源からも多く放射されています。通常のデジタル機器の使用によるブルーライトが、直接眼疾患を引き起こすことについては、現時点で明確には証明されていません。

眼への影響

目に入った光の多くは角膜や水晶体で吸収・散乱されます。ブルーライトは波長が短くエネルギーが高いため、一部が吸収されきらずに網膜まで到達すると考えられています。

これにより網膜細胞で活性酸素の発生が増加し、涙の質や量の低下によるドライアイの悪化、目の疲れの強まり(眼精疲労)に関与する可能性が一部の研究で指摘されていますが、これはあくまで示唆されている影響であり、個人差があります。目の疲れには、ブルーライト単体よりも、長時間の近距離作業やまばたきの減少、画面のまぶしさ、姿勢、度数の合わない眼鏡など、複数の要因が関わっていると考えられています。

睡眠への影響

ブルーライトは体内時計の中枢である視交叉上核(脳)にも作用し、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を抑制します。

夜遅くまでスマートフォンなどを使用すると、脳が昼間と錯覚してメラトニンの分泌が抑えられます。寝つきの悪化や睡眠の質の低下、日中の眠気・疲労感の増加など、生活リズムの乱れにつながることがあります。

起こりやすい症状

  • 目の疲れ(眼精疲労)
  • かすみ・ピントが合いにくい
  • 目の乾き
  • 頭痛・肩こり
  • まぶしさ・光がまぶしく感じる
  • 集中力の低下

特に、長時間の画面作業(仕事・学習・ゲームなど)をされる方、就寝前のスマートフォン使用が多い方、もともとドライアイや眼の病気をお持ちの方は影響を受けやすいため注意が必要です。

一方で、ブルーライトは日中の覚醒や集中力を保つためにも必要な光です。これらはあくまで研究で示唆されている影響であり、すべての方に同様の症状が生じるわけではありません(個人差があります)。大切なのは「完全に避けること」ではなく、使用時間帯や連続使用時間を意識しながら、上手に付き合っていくことです。

ブルーライト・LEDの影響 ―― なぜ目が疲れるのか

ブルーライト・LEDの影響

身の回りにあふれる光

ブルーライト・LEDの光は、私たちの身の回りに数多く存在しています。スマートフォンやパソコン、モニターの画面はもちろん、LED照明そのものからもブルーライトが放出されており、日常生活の中で意識せずに浴び続けているのが実情です。

これらの光は角膜・水晶体を通って網膜まで届きます。ブルーライトは波長が短くエネルギーが高いため、長時間画面を見続けると目に負担がかかりやすくなります。

目が疲れる3つの要因

  • 筋肉近くを見るときは、目の中の毛様体筋が緊張してピントを合わせています。長時間スマートフォンを見続けることは、重い荷物を腕で持ち続けるようなもので、筋肉が疲れて目の奥の痛みや頭痛、肩こりの原因になります。
  • 涙画面を見続けるとまばたきの回数が減少し、涙が蒸発しやすくなるため、ドライアイやゴロゴロとした異物感も起こりやすくなります。
  • 光LED照明やディスプレイは、製品や設定、使用環境によって、目に見えにくい高速なちらつき(フリッカー)や強いまぶしさ(グレア)を感じることがあります。

LEDとの上手な付き合い方

LEDは、わずかな電力で驚くほど明るく照らすことができる、現代の光の革命とも言える発明です。省エネルギーで長寿命という優れた技術である一方、光の直進性が高く一点に集中しやすいため、まぶしさを感じやすいという性質も持ち合わせています。

光源を直接見つめず、照明カバーやすりガラスなどで光を適度に和らげて使うのが、LEDと賢く付き合うコツです。目にとっては「少し刺激が強すぎる光」であることを知っておくと、日頃の対策がしやすくなります。

特に長時間の使用や夜間の使用は、目の負担が蓄積しやすいだけでなく、体内時計(生活リズム)にも影響を与える可能性があるとされています。使用時間や環境を見直すことが、目の健康を守る第一歩になります。

VDT症候群の症状・治療・セルフケア

VDT症候群の症状・治療・セルフケア

VDT症候群とは

パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器を長時間使用すると、目だけでなく首や肩、全身にも負担がかかり、「VDT症候群(Visual Display Terminal症候群)」と呼ばれるさまざまな症状が現れることがあります。

代表的な症状

  • 疲れ目(眼精疲労)
  • 目の乾き(乾燥感)・充血
  • かすみ目(ピントが合いにくい)
  • 頭痛、肩こり・首のこり
  • 首や肩の痛み、全身の倦怠感

主な原因としては、長時間のパソコン・スマートフォン使用、まばたきの減少による涙液の蒸発、モニターとの距離や姿勢の不適切さ、長時間の近方作業による目への負担などが挙げられます。症状が続くと、集中力や作業効率の低下につながることもあります。

検査

眼科では、視力検査に加えて、オートレフラクトメーターによる屈折検査、下眼瞼の外側に試験紙をはさんで涙の量を調べる涙液検査などを行い、必要に応じて眼底検査も実施しながら、症状の原因を丁寧に確認していきます。

治療・セルフケア

治療としては、涙液を補う点眼薬など、症状に応じた点眼治療を行うほか、作業環境や生活習慣の見直しについての生活指導もあわせて行います。

⚠️

セルフケアで改善しない場合や、急な視力低下、強い痛み、充血が続く場合は、自己判断で様子を見ず、早めに眼科を受診しましょう。

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アイフレイル・スマホ老眼(調節機能の低下)

アイフレイル(目のフレイル)とは

アイフレイル(目のフレイル)とは

アイフレイルとは

「アイフレイル」とは、加齢とともに目の機能が少しずつ低下した状態のことです。体のフレイル(虚弱)と同じように、早めに気づいて対策をすることで、進行を緩やかにできる可能性があります。

こんなサインに注意

  • 小さな文字が読みづらい
  • 夕方や暗い場所で見えにくい
  • まぶしさを感じやすい
  • コントラストが見えにくい
  • ピントが合うまで時間がかかる
  • 段差や階段でつまずきやすい
  • 目が疲れやすい
  • 物が二重に見えることがある

一つひとつは些細に思えても、複数当てはまる場合は要注意です。

進行のイメージ

まず見え方の機能が保たれている「健康な目」の状態から、見えにくさを自覚し始める「アイフレイルの始まり」へと移行します。早めに気づいてケアをしないままでいると、活動がしづらくなり転倒リスクが高まる「アイフレイルの進行」段階に至り、やがて外出を控えるようになるなど、日常生活の質そのものが低下してしまうことがあります。逆に、早い段階で気づいて対策すれば、進行を防ぎやすいとされています。

⚠️

急に見えにくくなった、片方の目だけ見えにくい、視野の一部が欠ける・狭くなる、視界に黒い影や光が見える、目の痛み・強い充血がある――こうした症状は、単なる老化ではなく治療が必要な病気のサインである可能性があります。自己判断で様子を見ず、早めに眼科を受診しましょう。

眼精疲労の症状・治療・デスクケア

眼精疲労の症状・治療・デスクケア

眼精疲労とは

眼精疲労とは、目を休めても十分に回復しない、あるいは症状が繰り返し起こる状態を指します。

  • 目の疲れ・重だるさ
  • 乾燥感や異物感
  • かすみ・ピントが合いにくい
  • 頭痛・肩こり・首のこり

目そのものの不調に加え、体全体に波及する症状が現れることもあります。

治療

医療機関では、まず眼科での受診・検査により目の状態や原因を詳しく調べます。そのうえで、点眼薬の処方や生活習慣の見直しに関する指導など、原因や症状に応じた治療を行い、目にかかっている負担を軽減していきます。

デスクケアとセルフケアの注意点

日々のデスク環境や姿勢を整えることも、眼精疲労の予防・軽減には欠かせません。画面との距離や姿勢を適切に保ち、作業の合間に定期的な休憩をとることを習慣にしましょう。

市販の目薬は手軽なセルフケアのひとつですが、自己判断で長期間使い続けることは避けてください。同じ目薬を漫然と使い続けると、かえって症状の原因がわかりにくくなることがあります。症状が続く場合は、早めに眼科に相談することをおすすめします。

スマホ老眼(調節機能の低下)―― 初期症状・検査・治療

スマホ老眼(調節機能の低下)初期症状・検査・治療

スマホ老眼とは

「スマホ老眼」は正式な病名ではなく、スマートフォンなどの近距離作業を続けることで、ピントを合わせる調節機能が一時的に低下した状態を指す通称です。年齢に関係なく、若い方にも起こり得ます。

こんな症状はサインかも

  • 手元や遠くにピントが合いにくい
  • 目が疲れる・重い
  • 首や肩のこり・頭痛
  • 目の乾き

検査

眼科では、視力検査や屈折検査に加え、アコモドメーターなどを用いて調節機能そのものを評価する調節機能検査、眼位や眼球運動を調べる検査、BUT検査・シルマー試験・フルオレセイン染色といったドライアイ検査を行います。必要に応じて眼底検査も実施しながら、原因を総合的に見極めます。

治療

治療は、調節機能や眼精疲労、ドライアイの改善を目的とした点眼治療、眼鏡・コンタクトレンズの度数や見え方の調整、視能訓練士によるピント調節・目の動きのトレーニング(視機能トレーニング)、ドライアイそのものへの治療などを、症状に応じて組み合わせて行います。検査や治療の内容によっては、必要に応じて連携医療機関をご紹介することがあります。

今日からできるセルフケア

  • 意識してまばたきをして涙を行き渡らせ、目の乾きを防ぐ
  • 画面と周囲の明るさの差を小さくするため、部屋を明るくする
  • こまめに休憩をとり、長時間の連続使用を避ける

日々のちょっとした心がけが、目の負担を大きく軽減してくれます。

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内斜視(スマホ内斜視)

内斜視:症状・治療と診療の流れ

内斜視:症状・治療と診療の流れ

内斜視とは

内斜視とは、片方の目が鼻のほうに寄ってしまい、両目の向きがずれた状態を指します。正常な状態では、上直筋・下直筋・内直筋・外直筋という目を動かす筋肉がバランスよく働き、両目がまっすぐ同じ方向を向きます。

このバランスが崩れると、片方の目だけが内側に寄ってしまいます。近年は、スマホなどを至近距離で長時間見続けることが一因となる「スマホ内斜視」が、特に若年層で報告されています。

主な症状

  • ものが二重に見える(複視)
  • 目の疲れ
  • 集中しづらさ・頭が重いなどの疲労感・頭痛

近くを見ると疲れやすい、集中しづらい、頭がぼんやりするなどの症状が続く場合は、単なる疲れ目ではなく内斜視が関係している可能性があります。

診療の流れ

眼科での診療は、段階を踏んで進められます。まず医師による問診・視診で、症状やいつから気になっているか、生活・作業環境、既往歴などを詳しくお聞きし、目の状態を確認します。

次に、屈折・調節検査(近視・遠視・乱視やピントの調節機能を調べる)、眼位・眼球運動検査(目のズレの大きさや方向、目の動きを検査)、タイプと程度の特定(内斜視のタイプ〈調節性・非調節性〉と程度を判定)といった精密検査を実施します。最後に、検査結果と生活背景をもとに、お一人おひとりに適した治療方針をご提案します。

治療

代表的な治療は、点眼薬で目の炎症や調節の緊張を和らげながら、視能訓練によって両眼の協調性を高め、目の筋肉のバランスを整えて正しく使えるようにしていく「点眼薬と視能訓練」です。

それでも改善が難しい場合は、外眼筋の付着位置を調整し目の向き(眼位)を改善する手術が選択されることもあり、症状や年齢・タイプに合わせて適切な手術方法が検討されます(必要に応じて連携医療機関をご紹介することがあります)。あわせて、生活環境や作業距離の見直し、休息の工夫など、再発予防までしっかりサポートする総合的なケアも重要です。

⚠️

複視や強い目の疲れ、頭痛などの症状が続く場合は、自己判断で様子を見ず、早めに眼科を受診することをおすすめします。特にお子さまの場合は、視力の発達にも関わるため、早期の受診・治療が大切です。

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糖尿病網膜症のリスク

糖尿病網膜症とは?―― 病期ごとの症状

糖尿病網膜症とは?―― 病期ごとの症状

糖尿病は血糖値の乱れにより網膜の血管を傷つけ、「糖尿病網膜症」を引き起こすことがあります。初期は自覚症状がほとんどないため、糖尿病と診断された方は自覚症状がなくても定期的な眼底検査を受けることが重要です。早期に発見できれば、視力低下を防ぐための治療につなげることができます。

⚠️

視野の一部が欠ける、硝子体出血や網膜剥離による急激な視力低下、視界に急に黒い影が広がるといった症状は緊急性が高く、できるだけ早い受診が必要です。

病期ごとの症状や検査・治療について、より詳しくはこちら

関連ページ

ご留意事項:本ページは一般的な医学情報を掲載したものであり、診断や治療を行うものではありません。症状がある場合は、医師の診察を受けてください。

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