石川虚舟
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《随》 Following
石川虚舟 2014
 
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石川虚舟の造形作品
 
 
 

石川虚舟《随》2014
鉄、尾鷲檜、牛革、台座(SPF材に墨塗、251×233×38mm)
 
15年程前、和歌山県に近い大阪府南部の霊山で「沢」に遊ぶ。
せせらぎに、霊気を浴び錆び付いた鉄片を発見。
「随風庵」に持ち帰り「時熟」させ、此の度、漸く造形作品と化す。
五行説では「金」(金属)は感性を、そして「木」は理性を表象する。
青棒(研磨剤)を擦り付けた牛革で、あたかも清水が流れるが如く、
感性、つまりその「金」を研ぎすませてみよう。
陰陽五行説では、「金」と「木」は『易経』の「兌」と「震」に対応する。
「兌」(沢)の下に「震」(雷)は『随』、
つまり「年少の女」の下に「男」という関係。
 
   ⇒ 石川虚舟《随 No.2》2014
   ⇒ デュシャンと易経
 
 
 
 
 随  Following
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CHENG YI, Translated by THOMAS CLEARY, SHAMBHALA 2003, p.93
 
随、元亨利貞。无咎。
彖曰、随、剛來而下柔。動而説随。大亨貞、无咎、而天下随時。
随時之義(随之時義)、大矣哉。
象曰、澤中有雷随。君子以嚮晦宴息。

随は、元(おお)いに享る貞しきに利あり。咎なし。
彖に曰く、随は、剛來って柔に下る。動いて説(よろこ)ぶは随なり。
大いに亨る貞にして咎なし。而して天下これに随う。
随の時義、大いなるかな。
象に曰く、沢中に雷あるは随なり。君子もって晦(くらき)に嚮(むか)って入りて宴息す。
 
【註】「随之時義」は朱子の説。「時義」は時の意義。 「晦」は日暮れ。「宴」は安と同じ。「澤中有雷」とは、活動期以外には地底深くかくれ伏していること。
cf. 本田済『易』(朝日選書)、p.176-177
 
五行では金を情に属せしめ、木を性に属せしむ。・・・
人の性は元来陽に属し、人の情は元来陰に属する。しかし陰と陽は一つの気であり、 性と情が合して渾然たる一理となる。故に修養の道は金を帰って来させて、 性の初ともいうべき木に併せ、性がその情を統摂して、 太初先天の本源に帰ること還丹と称するのである。
鈴木由次郎『周易参同契』明徳出版社、 p.99-100